平成27年10月1日発行 10月号 きれいな学校 輝く笑顔 ~J(授業)A(挨拶)S(清掃)MI(身だしなみ)N(仲間)~ 〒338-0815 さいたま市桜区五関282 Tel 048-852-3554 Fax 048-840-1430 Mail Address : [email protected] 読書の秋 ~大久保中生、かくあるべし!~ 校長 澤 田 純 一 街にはキンモクセイの香りがただよい、秋の気配を感じることができます。我が家の愛犬 も猛暑が過ぎ、毎日が過ごしやすいのか居眠りばかりしています。そんな愛犬との早朝の散 歩時には空気が冷たく感じられ、上着が必要な季節となりました。 す ぎ は ら ち うね さて、シルバーウィークの間、一冊の書物と出会いました。「戦場の外交官 杉原千畝」 (PHP文庫・櫻田啓著)です。久しぶりに心が揺さぶられた書物であったため、ここに紹 介します。1939年、杉原氏はリトアニアの日本領事館で領事代理に就任しました。その 頃、ドイツのナチスは反ユダヤ政策を掲げながらヨーロッパ戦線を拡大していきました。そ のような情勢の中、ユダヤ人は、「ユダヤ人狩り」と呼ばれるナチスの手から逃れるため、 リトアニアの日本領事館に救いを求めました。その対応にあたったのが杉原氏でした。日本 領事館には毎日1000人を超えるユダヤ人がアメリカに渡るため日本に立ち寄るビザ(入 国査証。これがないと外国には渡航できない。)の発給を求めていました。その中には子ど もや老人、女性もいました。杉原氏は、日本の外務省にビザを発給してよいか問いましたが、 ドイツと手を結んだ政府(日独伊三国同盟)の回答は「行きたい国からの入国許可証を持っ かこく ていない者には、ビザの発給はしてはならない。」というあまりに苛酷なものでした。杉原 氏は悩みました。外交官として命令に従うか。あるいは、ナチスによって命の危険にさらさ れ、救いを求めてやってきているユダヤ人にビザを発給するか。 杉原氏は、ビザを発給する覚悟を決めました。「一人でも多くの難民にビザを渡したい。」 そう願いながら徹夜で作業をしました。そして、この勇気ある行動によりユダヤ人6000 人以上の命を救うことができたのです。(戦後、日本に帰国した杉原氏は、外務省を免職さ れている。) そくいん じょう 惻隠の 情 という言葉があります。困った人には手を差し伸べることを意味します。杉原 氏はまさに困った人に手を差し伸べ、自分を犠牲にして力を尽くしました。まさに「外交官、 かくあるべし!」という姿であるといえます。 皆さんにも、他者に対しての優しさや、いたわりの心があります。そればかりではなく明 るく素直であることや、努力する姿も見られます。なにより、先日行われた体育祭では3年 生が良い手本となり、大成功に終わることができました。そんな皆さんをみて、「大久保中 生、かくあるべし!」と確信しました。心からありがとうと伝えておきます。そして、私も 「校長、かくあるべし!」と皆さんに負けぬよう頑張らなくては、と決意しました。良書は、 その時の人物に会わせてくれます。時間を超え何かを教えてくれます。共に多くの書物に出 会い、豊かな人生を歩んでいきましょう。 す ぎ は ら ち うね 【今回の「戦場の外交官 杉原千畝」は、特に若い人に読んでもらいたい作品です。そして、 この小説は、俳優の唐沢寿明さん主演で12月に公開予定だそうです。私も映画館に足を運 んでみようと思います。そして、その後、もう一度原作を読んで思考を深めたいと思います。】
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