読書の秋 ~大久保中生、かくあるべし!~

平成27年10月1日発行 10月号
きれいな学校 輝く笑顔
~J(授業)A(挨拶)S(清掃)MI(身だしなみ)N(仲間)~
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読書の秋
~大久保中生、かくあるべし!~
校長 澤 田 純 一
街にはキンモクセイの香りがただよい、秋の気配を感じることができます。我が家の愛犬
も猛暑が過ぎ、毎日が過ごしやすいのか居眠りばかりしています。そんな愛犬との早朝の散
歩時には空気が冷たく感じられ、上着が必要な季節となりました。
す ぎ は ら ち うね
さて、シルバーウィークの間、一冊の書物と出会いました。「戦場の外交官 杉原千畝」
(PHP文庫・櫻田啓著)です。久しぶりに心が揺さぶられた書物であったため、ここに紹
介します。1939年、杉原氏はリトアニアの日本領事館で領事代理に就任しました。その
頃、ドイツのナチスは反ユダヤ政策を掲げながらヨーロッパ戦線を拡大していきました。そ
のような情勢の中、ユダヤ人は、「ユダヤ人狩り」と呼ばれるナチスの手から逃れるため、
リトアニアの日本領事館に救いを求めました。その対応にあたったのが杉原氏でした。日本
領事館には毎日1000人を超えるユダヤ人がアメリカに渡るため日本に立ち寄るビザ(入
国査証。これがないと外国には渡航できない。)の発給を求めていました。その中には子ど
もや老人、女性もいました。杉原氏は、日本の外務省にビザを発給してよいか問いましたが、
ドイツと手を結んだ政府(日独伊三国同盟)の回答は「行きたい国からの入国許可証を持っ
かこく
ていない者には、ビザの発給はしてはならない。」というあまりに苛酷なものでした。杉原
氏は悩みました。外交官として命令に従うか。あるいは、ナチスによって命の危険にさらさ
れ、救いを求めてやってきているユダヤ人にビザを発給するか。
杉原氏は、ビザを発給する覚悟を決めました。「一人でも多くの難民にビザを渡したい。」
そう願いながら徹夜で作業をしました。そして、この勇気ある行動によりユダヤ人6000
人以上の命を救うことができたのです。(戦後、日本に帰国した杉原氏は、外務省を免職さ
れている。)
そくいん
じょう
惻隠の 情 という言葉があります。困った人には手を差し伸べることを意味します。杉原
氏はまさに困った人に手を差し伸べ、自分を犠牲にして力を尽くしました。まさに「外交官、
かくあるべし!」という姿であるといえます。
皆さんにも、他者に対しての優しさや、いたわりの心があります。そればかりではなく明
るく素直であることや、努力する姿も見られます。なにより、先日行われた体育祭では3年
生が良い手本となり、大成功に終わることができました。そんな皆さんをみて、「大久保中
生、かくあるべし!」と確信しました。心からありがとうと伝えておきます。そして、私も
「校長、かくあるべし!」と皆さんに負けぬよう頑張らなくては、と決意しました。良書は、
その時の人物に会わせてくれます。時間を超え何かを教えてくれます。共に多くの書物に出
会い、豊かな人生を歩んでいきましょう。
す ぎ は ら ち うね
【今回の「戦場の外交官 杉原千畝」は、特に若い人に読んでもらいたい作品です。そして、
この小説は、俳優の唐沢寿明さん主演で12月に公開予定だそうです。私も映画館に足を運
んでみようと思います。そして、その後、もう一度原作を読んで思考を深めたいと思います。】