Laser Measurement Corporation ETTEMEYER 社 技術資料 No.03-97 シェアログラフィによる非破壊内部欠陥検査 ヘリコプターロータブレード用全自動検査システム Laser Measurement Corporation シェアログラフィによる非破壊内部欠陥検査 ヘリコプターロータブレード用全自動検査システム 1. はじめに 近年、航空機等の主要部材やエンジンなどに最先端技術によって作られた複合材料が使用 されている。この材料を用いた部品の検査において、従来の非破壊試験方法では欠陥が検 出できにくいという問題が生じてきた。 このため、この問題を解決する方法としてシェアログラフィ法が検討され、ここに初めて、 ヘリコプターのロータブレード用の全自動検査システムが航空宇宙産業へ納められた。 本システムは製造ラインへと組み込まれ、そこで作られた、それぞれのロータブレードを 完全に検査する能力を有する装置である。 本文では、この装置を基にシェアログラフィのシステムを紹介する。 2. 複雑な構造 ヘリコプターのロータブレードは非常の精巧な部品で多様な金属複合材料で構成されて いる。また、これらは安全性に関わる部品のため 100%の品質管理が保証されなければな らない。それぞれのロータブレードは発泡またはハニカム材を心材とし、プラスチックフ ァイバーによる補強材が 1 層以上施された外層によって形作られた複合部品として製造さ れている。さらに補強する場合はカーボン、ケブラーやグラスファイバが使用される。ブ レードのフロントエッジのような非常に高いストレスを受けるところは金属を用いた層 の補強材が施されることもある。 3. 100%検査の要求 これらのロータブレードの生産においては、多くの複雑な工程があり、このため検査は生 産終了後に実施しなければならない。新しい自動検査装置はレーザシェアログラフィ法と 真空チャンバー用いている。本検査システムの外観は巨大な真空チャンバー(11×5.5×2 m3)が占めている。図1参照 ロータブレードは真空チャンバー内に配置され、 50mbar 以下の僅かな圧力変化を受ける。この真 空チャンバー内の圧力変化は、ロータブレード 表面の僅かな変形をもたらす。レーザシェアロ グラフィシステムはこれらの変形を捕らえ、自 動的に典型的な欠陥パターンとして見出せるデ ラミネーションや接着不良等を表示する。 図1 ヘリコプターロータブレード用 全自動検査システムの外観 4. ロータブレードへの負荷 本装置の排気システムは、短時間で圧力を変化させることを可能にした。このような大き な形状の真空チャンバーにも関わらず、通常の圧力差の数 mbar を 5 秒以内で実現しテス ト可能な状態にできる能力を持つ。また、安全弁は、最大圧力差が 50mbar 以上になると 作動するよう設計されている。 1 Application Report Laser Measurement Corporation 5. 自動クランプ 図2 ロータブレードは搬送台の上に配置され、中心 検査装置内部 位置に自動的にクランプされるとチャンバー内 へと導入される。図 2 はテスト時における真空 チャンバー内にセットされたロータブレードを 示す。真空チャンバーの内部寸法は検査される ロータブレードの大きさに合わせて設計されて いる。2 台のシェアログラフィ カメラはロータ ブレードの両サイドのセパレートガイドシステ ムに配置され、1 回の工程でロータブレードの両サイドを同時に検査する事を可能にした。 6. シェアログラフィ カメラ レーザー・シェアログラフィ・カメラシステムは 50mbar という僅かな圧力変化によるロータブレードの表面変 形を捕らえる。本システムの計測エリアは 600×800mm である。図 3 はレーザを照射して航空宇宙用複合材を検 査している様子を示す。 図3 シェアログラフィ カメラ 7. レーザイルミネーション 検査エリアは SHG を使用した Nd:YAG レーザの緑の光によって照らされる。このレー ザは操作ラック内に収められ、外部冷却は必要としない。レーザ光は 2 本のシングルモー ドファイバによってシェアログラフィ カメラまで導かれ、拡散板によって計測面全体に 均一に照射される。 8. 容易な操作 本システムは OS に Windows 使用し、コントロー ルソフト ISTRA で操作する。ソフトウェアはシ ェアログラフィ カメラの精密な位置決めと、 自動で真空チャンバーの圧力制御と測定結果を 評価する。操作パネルの 2 台のモニターは両方 のカメラからの検査結果を表示する。(図 4 参 照)本システムは次の 3 つの異なる操作レベル を提供している。 ・オ ペ レ ー タ レ ベ ル:自動による検査 図4 コントロールボックス ・スペシャリストレベル:新しいロータブレードの定義づけと判定基準の決定 ・エ キ ス パ ー ト レ ベ ル:全てのデータとコンフィグレーションへのアクセス タッチパネルを用いる事によりキーボードとマウスを使用せず操作する事を可能にした。 2 Application Report Laser Measurement Corporation 9. マスターブレードとの比較 一連の流れによって計測されたロータブレードの 測定結果はデータベースに保存される。 これらのデータには、1 回の検査工程における光 学及び機械的な特性のパラメータの全てが含まれ ている。ロータブレードコードを使用すれば、す べてのパラメータが自動的に読み出され、検査が 開始する。もし以前に類似するロータブレードを 検査していれば、測定結果は自動的に前に検査し 図5 て記録されているマスターデータと比較する。偏 オペレータレベル 差はモニターに表示され、作業者はこれらのデー タを良品のマスターデータにするか、もしくは不 良品へと振り分けるためのデータにするかを決定 する事ができる。この様に、本システムは測定を 重ねることによってロータブレードの特性を学習 していく。図 5 に作業者に提示するメニュを示す。 作業者が実施する操作はほんの僅かで、検査はタ ッチパネルを触れるだけで開始し、キーボードや 図6 マウスは必要としない。エキスパートレベルはシ エキスパートレベル ステム全ての機能を操作することが可能でそのた めメニュはより複雑になる。図6参照 10. 欠陥ポイント 検査結果は印刷され、欠陥の位置と大き さを示す。欠陥の位置の確度は 5mm以 内で、検知のできる最小の欠陥の大きさ は 10×10mmである。図 7 に検査によ って発見された、いくつかのデラミネー ションを示す。 図7 11. 検査結果 結論 本装置を導入したことにより、以前の手法と比較するとメインのロータブレードの検査に 要する時間は大幅に短縮できた事をここに報告する。 問い合わせ先 株式会社 レーザー計測 〒167-0051 東京都杉並区荻窪 5-22-1 ネオ荻窪ビル1F TEL:03-5347-1471 FAX:03-5347-1472 URL:http://www.laser-measurement.com E-mail:[email protected] 3 Application Report
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