A00121J 海水のマトリックス効果

Application Note [A00121J]
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海水のマトリックス効果
目的
ハンディ元素分析器 MH-5000 を用いて、海水中の Cs（セシウム）, Sr（ストロンチウム）, Sn（ス
ズ）を前処理なしで測定可能か、調査します。
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B
C
N
O
F
Ne
H
ハンディ元素分析器 MH-5000
He
Li
Be
Na
Mg
K
Ca
Sc
Rb
Sr
Cs
Ba
Fr
Ra
**
Ti
V
Cr
Y
Zr
Nb
*
Hf
Ta
*
La
**
Ac
Al
Si
P
S
Cl
Ar
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
Kr
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
Xe
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po
At
Rn
Gd
Tb
Dy
Ho
Er
Tm
Yb
Lu
Am Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr
Mn
Fe
Co
Ni
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
W
Re
Os
Ir
Pt
Ce
Pr
Nd
Pm Sm
Eu
Th
Pa
U
Np
Pu
Cu
課題
海水中には多量の Na, Mg などが含まれるため、発光分
析の際、マトリックス効果により目的元素の発光が抑え
られる結果、定量できなかったり、誤差が大きくなった
りすることがあります。
マトリックス効果により、目的元素の発光が抑え
られることがあります。
解決
海水および水に Cs, Sr, Sn をスパイクした液をハンディ元素分析器 MH-5000 で測定して検量線を
作成し、海水のマトリックス効果を評価しました。
Cs, Sr は海水中でも直線性のある検量線が得られました。前処理なしで定量可能です。
Sn は海水からのマトリックス効果を非常に受けており、そのままでは定量できませんでした。定
量するには、前処理（Na 等の除去）が必要です。別紙『海水中の Sn の脱塩・濃縮による定量』
を参照してください。
手法
前処理なしの分析
LEP: Liquid Electrode Plasma（液体電極プラズマ）
Application Note [A00121J]
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実験方法
海水に含まれる Na などが Cs, Sr, Sn の発光にどの程度影響するかを調べるため、以下の 2 種類の溶媒
で標準液を調製し、発光強度を比較しました。
A.
IAPSO STANDARD SEA WATER に Cs, Sr, Sn をスパイクし、測定に適した酸濃度になるよう、
酸を添加しました。
B.
水に Cs, Sr, Sn をスパイクし、測定に適した酸濃度になるよう、酸を添加しました。
なお、A, B の導電率が同程度になるよう調整しました。
02
測定結果
元素毎に、A, B 液のスペクトルを比較しました。スパイク量を変えて、検量線を作成しました。
Cs（セシウム）
測定液：
下記の 6 種類
溶媒
Cs 濃度(mg/L)
酸の濃度と種類
A
IAPSO STANDARD SEA WATER
0, 10, 50
0.1 mol/L HNO3
B
水
0, 10, 50
0.12 mol/L HNO3
ハンディ元素分析器 MH-5000 s2086
装置：
測定容器：石英製 LepiCuve-C
印加条件： 900 V, (ON: 10 ms / OFF: 80 ms)×10 パルス
スペクトルと検量線：
Cs 10 mg/L peak
Cs検量線
A
B
2000
3000
発光強度[a.u.]
発光強度 [a.u.]
2500
1500
Cs 852.1 nm
1000
2000
1500
1000
500
0
500
0
10
20
30
40
50
濃度[mg/L]
0
830
840
850
860
870
A
B
波長 [nm]
スペクトル上のピーク高さおよび検量線の傾きの違いより、Cs は海水からのマトリックス効果を受け
ています。しかし、海水においても直線性のある検量線が得られるため、前処理なしで定量可能です。
LEP: Liquid Electrode Plasma（液体電極プラズマ）
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Sr（ストロンチウム）
測定液：
下記の 6 種類
溶媒
Sr 濃度(mg/L)
酸の濃度と種類
A
IAPSO STANDARD SEA WATER
0, 50, 100
0.9 mol/L HCl
B
水
0, 50, 100
0.9 mol/L HCl
ハンディ元素分析器 MH-5000 s2086
装置：
測定容器：石英製 LepiCuve-C
印加条件： 950 V, (ON: 10 ms / OFF: 300 ms)×10 パルス
スペクトルと検量線：
Sr 50 mg/L peak
5500
Sr検量線
A
B
1200
Sr 460.7 nm
1000
発光強度[a.u.]
発光強度 [a.u.]
5000
4500
4000
3500
800
600
400
200
0
0
3000
20
40
60
80
100
濃度[mg/L]
440
450
460
470
A
B
480
波長 [nm]
Sr は海水からのマトリックス効果を受けておらず、前処理なしで定量可能です。
LEP: Liquid Electrode Plasma（液体電極プラズマ）
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Sn（スズ）
下記の 6 種類
測定液：
溶媒
Sn 濃度(mg/L)
酸の濃度と種類
A
IAPSO STANDARD SEA WATER
0, 100, 300
0.9 mol/L HCl
B
水
0, 100, 300
0.9 mol/L HCl
ハンディ元素分析器 MH-5000 s2086
装置：
測定容器：石英製 LepiCuve-C
印加条件： 850 V, (ON: 10 ms / OFF: 300 ms)×10 パルス
スペクトルと検量線：
Sn 300 mg/L peak
3
Sn検量線
4000
A
B
3500
Sn 380.1 nm
10
発光強度[a.u.]
発光強度 [a.u.]
12x10
8
3000
2500
2000
1500
1000
500
6
0
0
Sn 380.1 nm
4
370
100
200
300
濃度[mg/L]
375
380
385
390
波長 [nm]
A
B
スペクトル上のピーク高さおよび検量線の傾きの違いより、Sn は海水からのマトリックス効果を非常
に受けています。定量するには、前処理（Na 等の除去）が必要です。
前処理した実験については、別紙『海水中の Sn の脱塩・濃縮による定量』を参照してください。
株式会社マイクロエミッション
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LEP: Liquid Electrode Plasma（液体電極プラズマ）

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