平成27年度 技術情報第3号 ダイコン白さび病(ワッカ症) 平成 27 年 11

平成27年度 技術情報第3号
ダイコン白さび病(ワッカ症)
平成 27 年 11 月 25 日
静岡県病害虫防除所長
県西部地域でダイコン白さび病が多発しています。
本病の病原菌は、ダイコンの根部に発症する「ワッカ症」の原因になります。
ワッカ症の発生を防止するために防除の徹底をお願いします。
1 発生状況
11 月中旬に行ったダイコンの巡回調査では、浜松三方原地域で白さび病の平
均発病株率は 28.4%(平年 4.2%)、発生面積率は 70%(平年 31%)と非常に
多い発生であった(図1,2、表1)。一方、牧之原・御前崎地域では発生は認
められなかった(平年 2.1%、表1)。白さび病は 12 月になると増加する傾向が
あり(表1)、ワッカ症(図3)の原因になるため注意が必要である。
2 防除方法
(1)葉に白さび病が発生しているほ場では、ワッカ症を予防するために間引
き後7~30 日の間に、地際部まで十分薬液がかかるよう予防散布を行う。
予防防除の適期を過ぎている場合は治療効果のある薬剤を散布するが、耐
性菌を生じやすいので同一薬剤の連用を避ける。また、農薬の選択に際し
ては収穫前日数に注意する(表2)。
(2)周辺株や周辺ほ場への感染拡大を防ぎ、次年度の伝染源を減らすため、
被害株や被害残渣は早期に取り除き、地中深くに埋める。
(3)排水を良好にするなどして多湿にならないようにする。
図1 白さび病に罹病
した葉表
図2 白さび病に罹病
図2 白さび病に罹病
した葉裏
した葉裏
図3 ワッカ症を発症
した根部
(神奈川県農業技術セ
ンター提供)
表1
巡回調査におけるダイコン白さび病の発生状況(各地域 10 地点調査)
浜松三方原地域
発病株率
(%)
発生面積率
(%)
牧之原・御前崎地域
10 月
11 月
12 月
1月
10 月
11 月
12 月
1月
0.0
(0.0)
28.4
(4.2)
-
(12.4)
-
(-)
0.0
(0.0)
0.0
(2.1)
-
(3.5)
-
(1.4)
0
(0)
70
(31)
―
(58)
-
(-)
0
(0)
0
(20)
-
(33)
-
(34)
※( )内は平年値、-は未調査であることを示す
表2 ダイコン白さび病・ワッカ症の主な防除薬剤
商品名
適用
使用
病害虫名
方法
白さび病
本剤の
希釈倍数
使用時期
散布
1000 倍
-
-
ランマンフロアブル
白さび病、
散布
ワッカ症
2000 倍
収穫 3 日前まで
3 回以内
ライメイフロアブル
白さび病、
散布
ワッカ症
2000~
4000 倍
収穫 7 日前まで
4 回以内
ハチハチ乳剤
白さび病、
散布
ワッカ症
1000 倍
収穫 14 日前まで
2 回以内
アミスター20フロアブル
白さび病、
散布
ワッカ症
2000 倍
収穫 14 日前まで
3 回以内
1000 倍
収穫 14 日前まで
3 回以内
コサイド3000注1)
カスミンボルドー注1)
ワッカ症
散布
使用回数
※下線は治療効果の見込める薬剤。農薬はラベルを確認し使用すること。
静岡県農薬安全使用指針・農作物病害虫防除基準(http://www.s-boujo.jp)に掲載されて
いる薬剤から抜粋(平成 27 年 11 月 13 日時点 JPP-NET 配信データによる)
。
注1)カスミンボルドー及びコサイド 3000 の薬害軽減には、炭酸カルシウム剤の添加が有
効だが、収穫間際の添加は避ける。
問い合わせ先:静岡県病害虫防除所(TEL:0538-36-1543)
病害虫防除所 HP(URL):
http://www.agri-exp.pref.shizuoka.jp/boujo/boujo.html
病害虫防除基準 HP(URL):http://www.s-boujo.jp/