音楽劇研究所 主催シンポジウム 研究所2015年度10月研究例

早稲⽥田⼤大学総合研究機構
オペラ/⾳音楽劇研究所主催 公開シンポジウム
2015年年度度10⽉月研究例例会(第142回オペラ研究会)
歌劇場の
プログラム分析から
⾒見見えるもの
―⾳音楽劇データベースの構築と利利⽤用法―
⽇日時
場所
 開会挨拶
 趣旨説明
2015年年10⽉月10⽇日(⼟土)13:30-17:30
早稲⽥田⼤大学早稲⽥田キャンパス 1号館401教室
荻野
岡本
静男(早稲⽥田⼤大学教授・研究所所⻑⾧長)
佳⼦子(東京⼤大学学術研究員・研究所招聘研究員)
【第1部】 (13:40-15:10 予定)
中東欧の歌劇場におけるプログラム研究ーワーキンググループ活動報告として
司会:荒⼜又 雄介(⼤大東⽂文化⼤大学准教授・研究所招聘研究員)
 研究報告
若若宮 由美(帝京⼤大学⾮非常勤講師・研究所招聘研究員)
1865〜~75年年のウィーン宮廷歌劇場における上演演⽬目
岡本 佳⼦子
⾃自国語によるオペラの制作状況⽐比較:19世紀後半のプラハとブダペスト
平野 恵美⼦子(東京⼤大学研究員・研究所招聘研究員)
1890年年代のロシア帝室劇場のオペラのレパートリー
神⽵竹 喜重⼦子(⼀一橋⼤大学科研費研究員・研究所招聘研究員)
私⽴立立マーモントフ歌劇場――ナショナリズムとモダニズムの狭間
【第2部】 (15:30-17:30 予定)
⾳音楽劇データベースの活⽤用について
司会:荻野
静男
 研究動向紹介 (「歌劇の上演状況に関する研究」WGによる報告)
近年年の⾳音楽劇データベースの公開状況について
 招待講演
坂部 裕美⼦子 (公益財団法⼈人統計情報研究開発センター研究員)
興⾏行行データベースの作成と活⽤用〜~歌舞伎を例例として〜~
 全体討論論
討論論者:
佐藤 英(⽇日本⼤大学助教・研究所招聘研究員)
東 晴美(群⾺馬県⽴立立⼥女女⼦子⼤大学⾮非常勤講師・研究所招聘研究員)
問い合わせ先 オペラ/⾳音楽劇研究所 [email protected]
主催 早稲⽥田⼤大学総合研究機構オペラ/⾳音楽劇研究所
後援 早稲⽥田⼤大学総合研究機構
1980年年代に歌劇場研究が本格化して以来、様々な歌劇場のプログラムやレパートリー集が刊
⾏行行されている。とりわけ2000年年代後半からは劇場研究が盛んな国において歌劇場資料料のデー
タベースが公開され、各国の⽐比較研究基盤が整いつつある。このような潮流流を受けて本研究
所ではワーキンググループを⽴立立ち上げ、19世紀後半から20世紀初頭にかけての中央ヨーロッ
パの歌劇場のレパートリー(初演/新制作作品)およびプログラム(上演演⽬目)の調査を
⾏行行ってきた。具体的には本年年度度、① 既存のデータベースの情報共有と活⽤用⽅方法の検討、②
資料料整理理が進展していない中東欧の主要劇場のレパートリーとプログラムの調査 を⾏行行って
おり、最終的にはデータベース構築も視野に⼊入れつつ、当時の都市間での歌劇の上演ネット
ワークを可視化する⽅方法を探っている。本シンポジウムは研究成果の中間報告であるととも
に、すでに国内のデジタル・ヒューマニティ分野において最先端の研究が進んでいる⽇日本⽂文
化研究でのデータベースやそれを⽤用いた分析⼿手法について講演をいただき、⾳音楽劇研究での
データベースの構築、利利⽤用法とプログラム分析について議論論を⾏行行う。
【招待講演要旨】
「興⾏行行データベースの作成と活⽤用〜~歌舞伎を例例として〜~」(坂部 裕美⼦子)
公益社団法⼈人⽇日本俳優協会が作成・公開している「歌舞伎公演データベース〜~戦後から現代まで〜~」
(http://www.kabuki.ne.jp/kouendb/)は、現在⽇日本で公開されている様々な興⾏行行データベースの中で、最
も管理理が⾏行行き届いているものの1つである。このデータベースの新規公開時に技術協⼒力力した経験をもとに、筋
書の記載内容をテキストデータ化した「歌舞伎公演リスト」を、集計可能なデータベースに編成する際の問題
点について簡単に述べる。さらに、このデータベースを⽤用いて実際に集計を⾏行行った結果(例例:演⽬目別の上演回
数、「三⼤大狂⾔言」の上演傾向、年年代別の「勧進帳」弁慶役俳優の変遷、「歌舞伎」の定義を再考した上での歌
舞伎興⾏行行回数など)をご紹介する。
【招待講演者プロフィール】
坂部 裕美⼦子 Sakabe Yumiko 公益財団法⼈人 統計情報研究開発センター研究員。1997年年早稲⽥田⼤大学⼤大学院経
済学研究科応⽤用経 済学専攻修⼠士課程修了了。2000年年より現職。14年年⽴立立命館⼤大学⼤大学院⽂文学研究科⼈人⽂文学専攻(⽇日本
⽂文 学専修)博⼠士後期課程修了了。博⼠士(⽂文学)。同年年より⽴立立命館⼤大学アート・リサーチセンター客員研究員。
【第1部 各報告要旨】
「1865〜~75年年のウィーン宮廷歌劇場における上演演⽬目」(若若宮 由美)
19世紀のウィーン宮廷歌劇場における上演演⽬目と傾向について報告する。いまからちょうど150年年前、ウィー
ンでは城壁跡地に建設された環状道路路が開通した。そして、同道路路沿いの⼤大規模な建築計画の⼀一環として、
1869年年5⽉月にウィーン宮廷歌劇場の新劇場が開場する。しかし、新劇場の落落成後も約1年年間は新旧の劇場を並⾏行行
して使⽤用していた。今回は新劇場開場をはさむ10年年間のレパートリーについて考察する。
「⾃自国語によるオペラの制作状況⽐比較:19世紀後半のプラハとブダペスト」(岡本 佳⼦子)
19世紀後半の中東欧の歌劇場では、主要とされたイタリア、ドイツ、フランスからのオペラ作品の翻訳上演
のほか、オリジナルの作品がそれぞれの⾔言語にて制作・初演されている。これら各国のオペラは歴史的主題や
⺠民俗⾳音楽が使⽤用されており主に国内向けのレパートリーではあったが、いくつかの作品は国外でも上演されて
いる。本報告ではプラハとブダペストにおける国⺠民劇場のレパートリーを対象として⽐比較を⾏行行う。
「1890年年代のロシア帝室劇場のオペラのレパートリー」(平野 恵美⼦子)
1890年年代のロシア帝室劇場では、主にマリインスキー劇場(サンクトペテルブルク)とボリショイ劇場(モ
スクワ)でオペラとバレエの上演が⾏行行なわれていた。本発表では、『帝室劇場年年鑑』を資料料として、オペラの
レパートリーと上演回数を調べ、その傾向を、作品の⾔言語、ペテルブルクとモスクワの違いなどの観点から、
分析・考察する。
「私⽴立立マーモントフ歌劇場――ナショナリズムとモダニズムの狭間」(神⽵竹 喜重⼦子)
19世紀末から20世紀初頭のモスクワで、オペラ業界を率率率いていた私⽴立立マーモントフ歌劇場の歴史的意義を問
う。リアリズムから「銀の時代」に突⼊入し、モダニズムという新しい美学に直⾯面したロシア⾳音楽界で、同歌劇
場が伝統と⾰革新の狭間でいかなる試みを⾏行行っていたかを⾒見見ていく。