食品衛生法施行条例(管理運営基準)の改正について

食品衛生法施行条例(管理運営基準)の改正について
静岡県健康福祉部生活衛生局衛生課
河野哲也
【要旨】
平成 26 年 5 月、国は、食品の安全性確保と輸出促進の観点から、従来型の衛生管
理基準に、HACCP導入型基準を追加した「食品等事業者が実施すべき管理運営基
準に関する指針(ガイドライン)
」
(以下「ガイドライン」という。
)を発出し、食品
衛生法施行条例
(管理運営基準)
を平成 27 年 3 月末日までに改正するよう要請した。
また、国は、平成 25 年末に発生した冷凍食品への農薬混入事件を踏まえ、営業者
に対し、保健所への迅速な報告を義務化する、更なるガイドラインの改正を行った。
(平成 26 年 10 月)
本県として、HACCPの導入はノロウイルス等の食中毒防止に極めて有効であり、
また、健康被害の拡大防止に向け迅速な対応を図るため、条例改正議案を平成 27 年
2 月議会に上程している。
【管理運営基準改正の内容】
(1)HACCP導入型基準の追加
改正前
従来型基準
改正後
従来型基準
営業者の施設内外の清潔保持、ねず
み、昆虫等の駆除その他公衆衛生上構
ずべき措置についての基準
従来の管理運営基準
HACCP導入型基準
従来型基準+HACCP原則に基づく基準
営業者はこの基準を遵守すること。
営業者はいずれかの基準を満たすこと。
(守らない営業者に対しては、都道府県 HACCP導入型基準の不適があっても、
等に行政処分権限が付与されている。) 従来基準を守っていれば、違反にはならな
い。
(2)営業者から保健所への報告義務の強化
改正前
改正後
○健康被害に関する情報を受けた場合に報 ○ 同 左
告すること。
+
○健康被害につながるおそれがある情報(異味、
異臭、異物混入など)を受けた場合にも報告す
ること。
【施行期日(予定)】
平成 27 年 4 月 1 日
7月1日
HACCP導入型基準施行
営業者の報告義務施行
【参考】
1
HACCP(ハサップ)とは
HACCPは宇宙食の安全性を確保するために確立された衛生管理手法で、※コーデック
ス委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたもの。
Hazard Analysis
Critical Control Point
(危害要因の分析)
2
(重要管理点)
衛生管理手法
HACCPは原材料の受け入れから最終製品までの各工程ごとに、微生物汚染等の危害
要因を分析・特定した上で、危害の発生防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・
記録する工程管理のシステム。
<従来の衛生管理との違い>
従来
方式
原
料
工
程
例
HACCP
方式
3
抜取検査
入
荷
※CCPの例
保
管
加
熱
温度の管理
冷
却
包
装
出
荷
異物の検出
継続的な監視・記録
従来は、最終製品の抜
取検査により食品の安全
性を担保しようとするも
のでしたが、HACCP
方式を用いることで、よ
り効果的に問題のある製
品の出荷を未然に防ぐこ
とが可能となるととも
に、原因の追及を容易に
することが可能になっ
た。
HACCP方式による衛生管理
※
コーデックス委員会から示されたHACCP原則による衛生管理
≪HACCPシステムの7原則と手順≫
手順1 HACCPチームの編成
手順2 製品の特徴の確認
手順3 製品の使用方法の確認
手順4 製造工程一覧図、施設の図面及び標準作業手順書の作成
手順5 製造工程一覧図の現場での確認
手順6 (原則1) 危害要因分析の実施
手順7 (原則2) 重要管理点の決定
手順8 (原則3) 管理基準(許容限界)の設定
手順9 (原則4) 重要管理点をモニタリングするシステムの設定
手順10 (原則5) 重要管理点における管理が逸脱した時に取るべき是正措置の設定
手順11 (原則6) HACCP手法が効果的に機能していることを確認するための検証手順の設定
手順12 (原則7) 文書化及び記録保管の設定
危害要因分析等のための
導入準備
危害を予測した上
で、重要な工程を
特定し、継続的に
【7原則】 監視し、検証・記
録するHACCPの
構成要素
※コーデックス委員会とは、国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が 1963 年に設立した、
政府間組織。食品の安全性と品質に関して国際的な基準を定めており、各国の食品の基準は、
この国際基準との調和を図るよう推奨されている。