県内の農業者による「こだわり米」の直接販売事例

米価下落・農政改革への対応 No.3
県内の農業者による「こだわり米」の直接販売事例
14.12.26 農業革新支援担当情報
今回の仮渡金の下落に代表される米価下落の影響により、収入が生産コストを下回る状況
が多く見られています。その一方で消費者等に直接販売を行っている農業者の中には、米価
変動の影響をあまり受けていない例があります。
ついては、インターネットのホームページから米の直接販売に取り組んでいる農業者等の
取組概要を紹介します。
1
26年産米の販売価格と年次動向: インターネットによる直接販売事例、地域区分は全県
(H26年11月6日現在)
○ネットを活用した販売に取り組んでいる農業者(74事例)における精米販売価格 (送料別)
・慣行栽培コシヒカリは、平均 3,112円/精米5㎏で販売されており、前年並(前年比99.9%)
の価格水準
・特別栽培コシヒカリは、平均 3,291円/精米5㎏で、前年並(前年比100.3%)の価格水準
・有機栽培コシヒカリは、平均 4,120円/精米5㎏で、前年並(前年比100.8%)価格水準
・こしいぶきは、平均 2,216円/精米5kgで、前年より低い(前年比97.0%)価格水準
2
生産者による有利販売に向けた取組内容
(1)直接販売に取り組む農業者(96事例⇒※前年同期比較が可能な農業者)の平均価格
(調査時期9月上旬における前年との比較、精米5㎏当たりの税込価格)
慣行栽培コシヒカリ
現在の価格
3,116 円 (前年比 101.0 %):45 サンプル
特別栽培 コシヒカリ
〃
3,408 円 (前年比 100.6 %):55 サンプル
有機栽培コシヒカリ
〃
4,313 円 (前年比 100.9 %):33 サンプル
こしいぶき(栽培方法を区別せず)〃
2,338 円(前年比
99.7 %):17 サンプル
※調査方法:インターネット販売を行う農業者を予めリスト化し、経時的に販売価格を確認
※送料を含む価格と送料別の価格があるが、価格の変動が調査目的のため特に区別していない。
(参考)関東地方への送料は500円~972円(精米5kgの例)と農業者により送料に幅がある。
(2) 同一生産者における精米5㎏の平均販売価格の推移(※ 11 月上旬同時期調査の数値)
年次
平成22年
区分
有機栽培米
¥3,979
特別栽培米
¥3,088
慣行栽培米
¥2,738
こしいぶき
¥2,150
特別栽培米(魚沼)
¥4,667
慣行栽培米(魚沼)
¥3,891
平成23年
¥3,969
¥3,088
¥2,858
¥2,150
¥4,667
¥3,891
平成24年
¥3,897
¥3,078
¥2,738
¥2,150
¥4,667
¥3,891
-1-
平成25年
¥3,883
¥3,022
¥2,738
¥2,117
¥4,667
¥3,863
平成26年
¥4,012
¥3,134
¥2,696
¥2,154
¥4,640
¥3,878
サンプル数
8
23
5
3
3
6
同一の農業者等におけるコメ販売価格の推移
(11月同時期における 精米 5kgの販売価格)
\4,500
有機コシヒカリ
\4,000
\3,500
価 \3,000
\2,500
格
\2,000
特栽コシヒカリ
慣行コシヒカリ
\1,500
こしいぶき
\1,000
\500
\0
平成22年
平成23年
平成24年
年 次
平成25年
平成26年
全体的に、どの栽培区分においても販売価格の年次変動は小さく、市況に左右されていません。
(3)県内における米の差別化の取組 (多様な消費者ニーズに応える取り組み事例)
生産者は、他者の米との差別化を図るために以下のような様々な取組を行っています。
顧客に安全をPRするため米の放射能検査や残留農薬の検査を行って証明書を公開。
ア
(残留放射能検査は調査103事例中16事例、残留農薬の検査は2事例で実施あり)
イ
棚田や生活雑排水の入らない田んぼである等、作付ほ場の自然環境をPR。
ウ
栽培履歴や玄米検査等級を公開
エ
様々な認証制度や表彰制度の受賞をウリにした差別化ならびにブランド力の向上。
(例) 特別栽培米(県認証)・JAS有機認証、朱鷺と暮らす郷認証、JGAP認証、
エコファーマー、食味コンテスト等の入賞歴や有名人の御用達などをアピール。
様々な商品形態の米で販売
オ
(ア)精米販売、玄米販売、発芽玄米、無洗米
(イ) 搗精(とうせい) 程度を選択できる〔標準・7分搗・5分搗など〕
カ
他であまり手に入らない品種を販売
「みずほの輝き」、「あきだわら」、「春陽」、「古代米・紫黒米」等の品揃え
キ
鮮度、品質を重視した販売
(ア)籾で貯蔵しておき注文後に籾摺りして販売(今摺り米)。
(イ)雪中貯蔵米、窒素ガスを充填した包装、真空パック包装
(ウ)はさがけ米、遠赤外線乾燥機を使って乾燥。
(エ)色彩選別機に2回通した厳選米を売る。選別篩い目1.95㎜で選別した米を売る。
【農業革新支援担当(経営) 高橋一裕】
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