1.未修者教育の充実 これまでの主な取組 京都大学法科大学院では、法曹養成における多様性確保という理念にしたがい、平成 22 年度以降の未修者枠の入学者選抜では、実質的に他学部出身者・社会人経験者のみを受け入 れることとしています。すなわち、本法科大学院では、未修者の大多数がいわゆる純粋未修 者ということになります(平成 22 年度入学者選抜以降の未修者枠合格者総数 242 人のうち 189 人(78.1%)が他学部出身者です) 。 本法科大学院では、このように純粋未修者が多数を占める未修者の学習支援のため、これ まで様々な取組をしてきました。主なものは、次のとおりです。 ① 入学者選抜の合格通知の際に、基礎科目(1年次配当の必修科目のことです)の担当 教員が選定した入学準備のための参考図書一覧表を送付し、入学までの学習準備の手助 けをしています。 ② 基礎科目において、授業で学んだ知識が定着しているかどうかを学生自身に確認し てもらうため、教育補助スタッフ(法科大学院を修了して博士後期課程に進学した大学院 生等です)らの協力を得て、授業時間前等に定期的に小テストを実施しています。 ③ 未修者1年次生・2年次生を対象として、学生十数人につき1人の法科大学院教員を 担任として配置し、グループ面談・個人面談の形で学習相談に応じています。 さらに、平成 27 年 4 月から、本法科大学院が厚生労働省の運営する教育訓練給付制度の 専門実践教育訓練講座の指定を受けたことにより、所定の要件を満たす社会人経験者は専 門実践教育訓練給付の支給を受けられることとなりました。この制度により、授業料の 40% に相当する額の教育訓練給付金を支給されるほか、雇用保険の基本手当の日額の半額に相 当する額が教育訓練支援給付金として支給されますので、職を離れて本法科大学院に入学 した方々には大きな就学支援となります(詳しくはこちらをご覧ください) 。受給要件を満 たす方にはこの制度を大いに活用していただきたいと思います(平成 27 年 4 月に入学した 未修者のうち 5 名が現に支給を受けています。なお、既修者についても受給要件を満たせ ば支給を受けられます) 。 今後の取組 今年度(平成 27 年度)後期には、法文書作成能力の向上を図るための授業を新設するこ とを予定しています。法曹養成のための教育においては、知識を修得するだけではなく、修 得した知識を法的紛争の解決のために活用する方法を学ぶこと、より具体的にはそのよう な紛争解決のための文書(「法文書」といいます)を作成するトレーニングを繰り返し行う ことが重要となります。既修者は、このようなトレーニングを法学部での専門科目期末試験 や法科大学院入試を通じて十分に積んできているのに対し、未修者はこのようなトレーニ ングがどうしても不足しがちです。そこで、今年度後期に「法律基礎科目演習」という科目 を新たに設け、後期に開講される基礎科目(民法、刑法、商法、行政法の 4 科目)で学習し た範囲について当該基礎科目の担当教員が事例問題を出題し、受講者が起案した法文書を 添削・返却することによって、法文書作成のあり方を学んでもらう機会を提供することにし ました。今年度はこの授業を試行的に実施しますが、その成果をみながら、平成 28 年度か ら同様の授業を本格実施することを検討しています。これまで、1年次では前述②のように 知識の修得を重視して学習支援を行ってきましたが、新科目では修得した知識のアウトプ ットに焦点をあててトレーニングを行おうというわけです。期待してください。 このほか、法科大学院就職支援室(詳しくはこちらをご覧ください)と担任が連携して未 修者のための進路相談の機会を新たに設けることなども予定しています。
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