認知症カフェ 平成27年6月13日 絶対転ばない リハビリの方法! 医療法人アガペ会 通所リハビリテーションきたなかぐすく 理学療法士 宮里 朝康 高齢者の疾患の特徴 典型的な症状が ( ) 症状が( ) 個人差が ( ) 薬に対する反応が 若年者と( ) 精神症状を 伴うことが ( ) 完治しえない ことが( ) 多くの疾患を 合併することが ( ) 療養環境によって 予後が大きく ( )される 予備能力が( )、 急激に悪化することが( ) 高齢者の疾患の特徴 典型的な症状が 少ない 症状が出にくい 個人差がある 薬に対する反応が 若年者と異なる 精神症状を 伴うことが多い 完治しえない ことが多い 多くの疾患を 合併することが 多い 療養環境によって 予後が大きく左右 される 予備能力が乏しく、 急激に悪化することが多い 加齢による変化 ①予備力の低下 ②防衛反応の低下 ③回復力の低下 ④適応力の低下 ⑤健康の喪失 ⑥経済的基盤の喪失 ⑦社会的つながりの喪失 ⑧生きる目的の喪失 高齢者の疾患の特徴 *全身にわたって進行する加齢の影響 *それに伴う複数の老年疾患 *心理・精神面や社会的側面(家族、環境)の影響 ★高齢者をみる場合、「トータルな視点」 が必要 その為には、 ①高齢者の症状を知る ②リスクを予測する ③生活動作の選択等のアセスメントする QOL向上の為には、介護の役割は大きい 加齢 老年期 加齢変化 高齢者に多い疾患 その他の疾患 (合併症) 過去の疾患 慢性化 加齢に伴う 口:唾液の分泌減少 味覚の低下 歯:入れ歯、 咀嚼力低下 のど:渇きに鈍くなる 体温調整: 温度感覚が鈍る 骨:骨粗鬆症 骨折しやすい 感覚機能:全般に低下 体 の変化 脳:記憶力の低下 目:老人性白内障 耳:聞こえが悪くなる 胃と腸:消化不良、 便秘になりやすい 腎臓と泌尿器: 頻尿、尿漏れなど 関節・筋力低下 運動機能・平行感覚: 転びやすい 加齢に伴う 何度も同じ話 をする 短気・怒 りっぽい 物を捨て られない 心 の変化 疑い深い 頑固・わがま ま・保守的 不安・寂しさ 高齢者に多い疾患 1.呼吸器疾患:肺炎、不顕性誤嚥、肺結核など 2.循環器疾患:動脈硬化、虚血性、高血圧性など 3.脳神経疾患:脳梗塞、脳出血、パーキンソン病など 4.精神疾患:認知症、うつ病、せん妄など 5.消化器疾患:逆流性食道炎、萎縮性胃炎など 6.腎・泌尿器疾患:前立腺肥大、神経因性膀胱など 7.内分泌・代謝疾患:糖尿病、甲状腺機能低下症等 8.運動器疾患:骨折、変形性関節症、関節炎など 9.感覚器疾患:老人性皮膚掻痒症、白内症、難聴等 廃用症候群とは・・・ 人間の身体的・精神的機能は、健康人 であっても使わないと衰えてきます (廃用性萎縮)。 使わないこと(廃用)による様々な身体 的・精神的機能低下による一連の症状を 廃用症候群、又は生活不活動病 ともいいます。 寝たきり(廃用症候群)の症状① 1.運動器: 筋力低下(1日2%、4週間55%減少)、 骨密度の減少(4週間の安静で、 腰椎8.4%、大腿骨頚部13.3%減少) 関節拘縮、痛みの出現など 2.呼吸器:肺塞栓症、沈下性肺炎など 3.循環器:起立性低血圧、耐久性低下、 静脈血栓症、浮腫、褥瘡など 寝たきり(廃用症候群)の症状② 4.消化器:食欲低下、便秘、下痢など 5.尿 路:尿路感染症、尿失禁、排尿困難、 頻尿など 6.調整・代謝:自律神経障害、ホルモン・ 電解質のバランス障害など 7.認知・精神:脳血管性認知症、 アルツハイマー型認知症など 生活空間から見た閉じこもり (その予防) 地域・屋外 敷地内 生活全般の活性化 家の中 健康づくり 社会における役割 自室 自己効力感の向上 体力増加 家庭内の役割 身だしなみも気を配る ようになる ベッド 布団 その可能性見落としていませんか? 要介護高齢者の能力を最大限に生かしたケアを提供するために は、動作能力を把握することが重要です。 どのような動作を見れば良いのか・・・そのポイントがあります。 3つのポイント 1 起き上がりは、寝たきりにさせないための重要な動作。 2 立ち上がりは、生活圏を広げるための重要な動作。 3 10m屋内歩行は、生きがい作りに繋がる重要な動作。 起き上がり、立ち上がり、10m屋内歩行の可否は、要介護度や 痴呆性の程度を強く反映しています。 動作をチェックして、可能性を見つけ出そう! (起き上がりができなくても) 寝返りができれば・・・起き上がりが出来る可能性は25% (立ち上がりができなくても) 端座位が1分保持できれば・・・立ち上がりが出来る可能性は28% 車椅子屋内移動ができれば・・・立ち上がりが出来る可能性は31% 移乗動作ができれば・・・立ち上がりが出来る可能性は43% (10m屋内歩行ができなくても) 立位1分保持ができれば・・・10m歩行の出来る可能性は24% 移乗動作ができれば・・・ 10m歩行の出来る可能性は21% 車椅子屋内移動ができれば・・・ 10m歩行の出来る可能性は21% (10m屋内歩行ができて) さらに屋外10m歩行ができれば・・・自立となる可能性は29% 具体的にどうしたらよいか? ・立位・移動能力 ADLの排泄と入浴は、立位・移動能力が影響します。 ・立位・移動能力を向上させるためには まずは座位で起きている時間を長くすることが基本となります。 動く範囲内で、自分で運動することも重要です。 ・両足で立つことができれば その動作を練習することでうまくなります。 ・歩くことができれば その能力を維持できるように、歩く距離や時間を長くする工夫が必 要です。 日常の様々な動作の中で、「自分で動ける部分、自分で できる部分」を明確にして、自分で行うことが重要です。 介護は、能力に応じた介護、自立を促すような介護が重要です。 手の機能 両足が弱くても上肢の力があれば、 たくさんできることがあります。 ・握力をつけることも大切です。 ・立位の補助としても重要な役割があります。 「お世話ケア」から 「リハビリテーション視点のケア」へ ・「起き上がり」「立ち上がり」「10m屋内歩行」のシン プルな動作に注目し、それらの動作より簡単な「寝返り」 「座位保持」「立位保持」「移乗動作」などができれば、 全ての領域で動作の自立の可能性が高くなります。 ・起き上がりができないから安易に介護サービスを導入する のではなく、寝返りが出来るかどうか確認し、起き上がり ができる可能性を見落とさず、励まし、支援していくこと を、ケアに関わる全ての方に期待したい。 転倒と骨折 ①高齢者の特徴: 四肢・体幹筋力低下、バランス低下、 瞬発力低下、柔軟性・関節可動域低下 機敏性低下、状況判断(視力・聴力)低下 ◎これらがいろいろ組み合わさって、高齢者のらしさになる。 ②高齢者に多い疾患:脳卒中片麻痺、パーキンソン病、痴呆、 リウマチ、変形性関節症、大腿骨頚部骨折 廃用症候群等 ①+②で更に個性的な高齢者となり転倒しやすくなる ◎更に転倒しやすくなる条件 ・眠剤の内服 ・生活環境の変化による不安等 入所・入院時 介護者が変わる ③転倒の時刻と場所 (いつ) 7:00~19:00――63% 日中の活動期に多い 4:00~22:00――81% (どこで)居室――57% 食堂――13% 廊下――13% トイレ― 10% (だれが)虚弱老人―座り込み 片麻痺―麻痺側前・後方 パーキンソン病―前後外側 (どのように) ○車椅子からの転倒 ・体幹が不安定で、レッグレストがなく前のめりになり前方に転倒 ・足で壁をけり、車椅子ごと後方に転倒 ・フットレストに足を置いたまま立ち上がり転倒 ・フットレストに足を引っ掛けて転倒 ○椅子、車椅子から立ち上がる時の転倒 ・下肢筋力低下があり勢いを付けて立ち上がろうとするが、重心の移動 が不十分で,のけぞるように立ち、後ろや斜め後ろに転倒する ・足がすべって、しりもちをつく ・下肢筋力低下により、そのまま座り込む ○ベッドサイドでの転倒 滑ったり、つまずいたり、 いろいろな転倒のケースがある場所 ・車椅子、P―トイレへの移乗時 ・車椅子使用者の単独歩行 ・転落 ・障害物につまずき転倒 ○歩行時の転倒 ・立ち、歩き始めて16秒間の転倒が多い 重心の移動がうまく行かず第一歩が出ない 歩き始めの腰・膝等の痛み起立性のめまい ・急な立ち止まりや振り返り時の転倒 バランス・下肢筋力低下により加速や遠心力のコントロールが効かない ・廊下で障害物がないのに、つまずいて転倒してしまう すり足歩行、履物が合わない ・廊下で障害物にぶつかって転倒 ・杖が滑って転倒 ・目的物に近づき、気持ちが先行して、足がついて行かず、前のめりに転倒 ・職員とぶつかり転倒――居室から出るとき、車椅子を後ろに操作するとき ・歩行誘導時の転倒――両手介助、片手介助 ④転ばない方法 ◎転倒は事故で、絶対転倒させない方法はない! “ゼロにしよう”という意識と高齢者を思う気持ちが大切 ◎高齢者の状態を把握した上での 1.介護テクニック 2.環境の整備、工夫 3.日頃の機能訓練により、①の機能低下を遅らせること ①高齢者の特徴: 四肢・体幹筋力低下、バランス低下、 瞬発力低下、柔軟性・関節可動域低下 機敏性低下、状況判断(視力・聴力)低下 1.介護テクニック 高齢者の機能、能力に合わせた介護方法 ・最小介助と最大努力 ボディーメカニクスを理解していると楽で効果的 *住宅改修、福祉用具導入時にも役に立つ! 高齢者の心理 ・転倒に対する恐怖心は誰でも常に持っている ・転倒経験者はより恐怖心が強い ・身体の状況(痛み、麻痺、筋力低下) を把握していない介護者への恐怖心 2.環境の整備 居室内の工夫 ・杖や車椅子でうまく移動の出来ない人には、入り口からの動線と スペースを考える ・トイレに通じる廊下の照明 ベッドの高さ:座って安定は38㎝ 立ち上がりをスムーズにするには40~45㎝ 福祉用具の確認と工夫 ・ベッド柵:ワンタッチ式、差込式、移動用バー ・P―トイレの位置:起き上がり、座位になって、 歩くことなくP―トイレに座れる場所 ・車椅子のブレーキ:簡単にしっかり効くもの レバー式、タックル式、P-P式 空気圧、タイヤの磨耗、ブレーキのネジのゆるみと破損 ・フットレストの動き:スムーズでぐらつかない ・杖:高さ、ゴムの磨耗 ・歩行器:高さ、キャスターの動き *入所前の生活歴、ライフワーク・スタイルに配慮する 3.日頃の機能訓練 ・どの様な事を、やればいいのか “いつでも、どこでも、だれでも出来るもの” ・出来れば自主訓練に移行できるもの ・単純で出来るだけ簡単なものがいい 寝返り、起き上がり、端座位、立ち上がり、立位保持、歩行等 ・訓練として認識できる人のプランは簡単 ・痴呆者に対しては、歩行のレベルに合わせて、 トイレ誘導時の歩行距離を調節する等、 ADLに即した(生活リハ)ものが実施しやすい ダイナミックフラミンゴ療法の実例 スクワット(下肢全体の筋力強化) ラジオ体操第一は、老若男女を問わず 誰でもできることにポイントを置いた体操です。 軽快なリズムに合わせて、体全体の筋肉や 関節をバランスよく動かすことができます。 ①背伸びをする ②腕を振って脚を曲げ伸ばす ③腕を回す ④胸を反らす ⑤体を横に曲げる ⑥体を前後に曲げる ⑦体をねじる ⑧腕を上下に伸ばす ⑨体を斜め下に曲げる ⑩体を回す ⑪両脚で跳ぶ ⑫腕を振って脚を曲げ伸ばす ⑬深呼吸をする 風 先ず動くことだ 形なくも動けば形あるものを動かし 動かされている形あるものを見て 動いているものを 感ずるに到る 動きを感ずれば共感していよいよ動き 天地にある穴 みな声を発す 竹も戸板も水も 音を立てて動くことを後援する 土も舞い 木も飛ぶ 家もゆらぐ 電線まで音を出して共感する 天地一つの風に包まる 先ず動くことだ 隣のものを動かすことだ 隣が動かなければ先隣りを動かすことだ それが動かなければ 次々と 動くものを多くしてゆく 裡に動いてゆくものの消滅しない限り 動きは無限に大きくなってゆく これが風だ 誰の裡にも風を起す力はある 動かないものを見て 動かせないと思ってはいけない 裡に動くもの あれば 必ず外に現われ 現われたものは 必ず動きを発する 自分自身 動き出すことが その第一歩だ (「碧巌録」、野口 晴哉ハルチカ)
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