中国の町と人々 水野和明 私が中国短期留学に参加した理由は、実際に

中国の町と人々
水野和明
私が中国短期留学に参加した理由は、実際に中国の雰囲気や空気を肌で感じること、中
国人と交流することであった。中国の経済はすごい勢いで発展しているし、私は同じアジ
ア人としても、中国人の生活や人間性に興味があった。
今回の短期留学の前半は、天津社会科学院で中国語や太極拳、中国の文化などについて
の授業、中国の学生たちとの交流であった。
そして、北京に移動して万里の長城などの観光、清華大学の見学と学生と交流をした。
南京に列車で移動して、揚子江などを観光した。そして蘇州、上海を観光し、帰国した。
天津では、天津社会科学学院の学生達と交流をした。彼らは私たちの行きたいところに
連れて行ってくれた。一緒にカラオケや卓球、バスケットボール、バドミントン、トラン
プゲームなどをして遊んだりもした。彼らの多くは社交的で気さくであり、服装や髪型な
どから、中国では比較的に裕福な人が多いように感じた。彼らは積極的に話しかけてくれ
たし、私も多くの学生と話そうとした。
私は中国語がほぼ初心者であったが、彼らは日本語を勉強していたので、日本語でコミ
ュニケーションをした。彼らの多くは来年日本の大学に留学するらしく、私たちの話す知
らない日本語をメモにとっていた。私は彼らの勉強熱心さに感心した。しかし、私たちの
伝えたいことや意図がうまく伝わらず悔しい思いをしたことも多々あった。やはり、彼ら
は日本人でないので、遠慮せずにしっかり伝えようとしないとなかなか伝わらないことを
知った。時には、NO と伝えられるようにならなければいけないと思った。
彼らとの交流はいい思い出になった。別れの日に、彼らが日本に来たときにまた会いま
しょう、と約束した。泣いてしまう中国の女の子もいて、悲しいけれど少しうれしい気持
ちになった。彼らも私たちとの出会いを喜んでくれてよかった。中国人は情熱的であると
感じた。過去この中国短期留学で日本人と中国人のカップルが出たことも不思議ではない
ことだと思った。
北京では、清華大学の学生達や東京工業大学から合同プログラムで清華大学に留学して
いる日本人の人たちと交流した。彼らに大学内を案内してもらった。大学内にはサッカー
場、バスケットコート、テニスコート、プール、ボウリング場などスポーツ施設がかなり
充実していていた。キャンパス内に多くの芝生があり、とても綺麗に保たれていて、多く
のお金がかかっている感じがした。彼らは全寮制になっていて、研究に集中できるいい環
境が整っていた。
また、材料化学や生命科学の研究室も案内し説明してもらった。私自身関心のある分野
であったので興味深かった。
彼らは英語がほぼ完璧に話せた。悲しいことに、私の英語力は彼らよりもかなり劣って
いて、説明で聞き取れない部分が多くあった。一対一の会話では、英語ですぐに仲良くな
れた。英語の便利さを実感したし、英語ができれば楽しい会話ができる。
できれば、彼らともっと話し交流したかったのだけれども、会える機会が少なくて非常
に残念であった。時間があれば、もっといい交流ができたと思う。多くの観光地にいくよ
りも、清華大学の学生との時間がもっとほしかったところであった。
この中国短期留学では天津、北京、南京、蘇州、上海と多くの町を見てまわった。どの
町も人が多く、栄えていた。私の中国のイメージはとにかく自転車が多いというものだっ
た。たしかに自転車は多いが、それより車が多かった。道路では大量の車が走っていて、
渋滞も多かった。タクシーやバスも多く走っていた。
中国の車の運転はとても荒い。人にぶつかりそうでも止まらない。ジェットコースター
のように激しく動くバスやタクシーもあった。
基本的に中国の人は自分勝手に行動しているように移った。ゆずりあいの心はまったく
ない。自分がはやく行くことだけしか考えていないようだ。電車でも降りる人たちを待た
ずに、電車に乗ろうとしたりする。このような場面がいたるところで見られた。日本人が
気にし過ぎなところもあるのだろうか。
そういう中国人をみていて、なぜこんなにわがままなのかと考えた。もしかしたら、そ
の性格は、中国人の多くが一人っ子であることによるものがあるのではないかと考えた。
日本で、私がいままで見てきた一人っ子はわがままでゆずらない人が多い。一人っ子は親
の愛を独占できる。兄弟がいると、育ってくるなかで、ゆずらなければならないところや
協調性がうまれやすい。このことが中国人にもあてはまるのではないか。
天津社会科学院の先生に聞いたところによると、中国の子供は親の月収以上のお年玉を
もらうらしい。その先生は、このことは子供にとってよくない文化ではないかと話してい
た。私も同感である。
上海以外の町では、道端のゴミが多かった。中国人はすぐゴミをポイ捨てしてしまうよ
うだ。食べ物の残ったものでも平気で捨てる。そのせいなのか、異臭を放っているところ
もあった。
私が町を歩いていて一番気になったことは中国のカップルのオープンさであった。肩や
腰に手を回し歩き、いたるところでくっついている。電車のなかでもだ。それに、カップ
ルの数も日本より多い気がした。日本人より恋愛に積極的なんだろう。とくに、夜の清華
大学はカップルだらけですごかった。
女の子同士でも手や腕をつないでいる子が多くいた。親友とは基本的に手をつなぐよう
だ。男同士のゲイのようなカップルも数回みた。
(実際にゲイなのかわからないが)そうい
うところもオープンであった。
中国人は自分の欲望に素直なところがあるんだと思う。私は日本の遠慮や気配り、ゆず
りあいの精神もすばらしいと思う。しかし、中国人のような欲求の素直さにあこがれる部
分もある。
そんなことも考えさせてくれる旅でもあった。本当に行ってよかったと思う。そしても
っといろいろな国にいって、そこの国のひとと交流したいと思った。是非また中国にもい
ってみたい。
ここでは詳しく書かなかったけれども、ともにこの留学に参加した12人の人たちと楽
しく和気藹々と過ごすことができた。よいメンバーに恵まれた。
最後になりましたが、今回の中国短期留学を計画、お世話してくださった東京工業大学
橋爪研究室の方々や天津社会科学院、清華大学の方々に感謝したいと思います。