見通しをもち、筋道を立てて考え、 表現する子どもの育成を目指して ~「なるほど!」を大切にした算数的活動を通して~ 名古屋市立菊住小学校 〒457-0007 校長 髙 山 厚 子 名古屋市南区駈上一丁目12番37号 TEL 052-822-4848 FAX 052-821-2615 URL http://www.kikuzumi-e.nagoya-c.ed.jp 本校では、今年度から算数科において、次のような子どもの育成を目指しています。 数学的に考えたこと(既習の知識や技能を活用し、思考・判断した過程や結果) を数、式、図、表、グラフなどとともに言葉を適切に用いて、分かりやすく表し たり、説明したりできる子ども 小学校学習指導要領の算数科の目標では、「見通しをもち筋道を立てて考え、表現す る能力を育てる」とあり、日常の事象に対して、様々な数学的見方や考え方を活用する ために、「言葉、数、式、図、表、グラフなどを用いたりして、自分の考えたことを表 現したり、友達に説明したりする活動を取り入れる」ことが強調されています。 その目標に到達するために、次の日常実践と3つの重点を置いた授業実践を行うこと で目指す子ども像に迫りたいと考えました。とりわけ今年度は、計算力向上に力を入れ て実践に取り組みました。 【日常実践】 ○ 該当学年の四則演算を正確に解くことができる力を身 に付けるために、日常的な取り組み、積み重ねの学習を 行いました。計算力定着用ソフトを活用し、授業開始後 5分間を中心に、個の能力に合った計算問題にくり返し 取り組みました。 【授業実践における重点】 【計算問題に取り組む子ども】 ① 計算問題を機械的に解くのではなく、算数的活動を通して「どうしてこのように解 くのか」を考え、「なるほど!」と自分なりに理解する場面を多く設定しました。 ② 「見通しをもち、筋道立てて考える力」を育てるために、算数の文章題、表、グラ フ等を用いて示された情報を正しく読み解き、「なるほど!」と納得した上で適切な 判断をすることができるように授業の流れを工夫しました。 ③ 「表現する力」を育てるために、具体物を用いたり、言葉、数、式、図、表、グラ フなどを用いたりして、「なるほど!」と自分が思ったことを伝える機会を多く設定 しました。 【算数実態調査より】 平成26年9月に、名古屋市数学研究会による「算数・数学実態調査」に取り組みま した。正答率について、本校と名古屋市平均を比較したところ、次のようになりました。 全 体 1年 2年 3年 4年 5年 6年 本 校 85% 75% 79% 91% 66% 68% 名古屋市 77% 73% 69% 68% 63% 52% 計 算 1年 2年 3年 4年 5年 6年 本 校 96% 88% 93% 81% 66% 84% 名古屋市 92% 86% 89% 78% 62% 70% 以上のように、どの学年においても、全体、計算において本市平均を上回る結果とな りました。特に、低学年はたし算、中学年はわり算の計算で向上が見られました。高学 年では、小数の除法に課題が見られました。 【授業実践より】 6年「分数のわり算」の学習では、「わる数の逆数を かける」といった機械的な計算方法の確認をするので はなく、面積図や直線図、式の変形をするなど子ども たちの一人一人の考えを 大切にしながら、「個→ グループ→学級全体」と その考えをホワイトボー ドを使って発表する機会 【ミニホワイトボードに書かれた考え】 をもちました。 「なるほど!こうやって考えればいいんだ」と友達の 【グループで話し合う子どもたち】 説明に納得する姿が多く見られました。 「見通しをもち筋道を立てて考え、表現する」ための基礎・基本となる計算力の向上 に取り組み、そして授業実践の中の様々な場面で算数的活動を行うことで、「どうして このように解くのか」を積極的に考える子どもの姿が見られました。 今後は、「見通しをもち筋道立てて考える力」を育てるために、計算力向上に加え、 問題で示された数値やグラフ、図などの情報を正しく読み解くための基礎的・基本的な 力の向上にも努めていきたいと考えます。
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