松ヶ崎学生館での新時代学生生活の構築

■ 大学だより
松ヶ崎学生館での新時代学生生活の構築
京都工芸繊維大学
理事・副学長 森
迫
(建築工芸学科
昨年7月に松ヶ崎キャンパスの西隣、旧「か
んぽーる」のプール、テニスコートの跡地を本
学が確保し、そこに男子学生、女子学生、留学
生のための全299室の松ヶ崎学生館が竣工しま
した。松ヶ崎学生館は、土地を本学が所有し、
建物の建設と運営を民間会社のジェー・エス・
ビーが行う事業で、25年後に本学に寄贈される
予定です。
大将軍の洛西寮は、1960(昭和35)年の完成
以来、これまで多くの男子学生に愛され、京都
工芸繊維大学という伝統ある大学での学びを支
えてきました。毎年寮祭も開催され、近年も学
生と教員の共同プロジェクトでウッドデッキが
造られるなど、大学生コミュニティも充実して
いました。彼の地は、本学の前身校である京都
蚕業講習所、そして繊維学部(衣笠学舎)の敷
地に隣接しており、嵯峨野の農場(現 生物資
源フィールド科学教育センター)とともに本学
で最も歴史を刻んだ場所でもあります。しかし
ながら、1949(昭和24)年の大学設立時に大将
軍(繊維学部)、北野神社前(本部)、松ヶ崎(工
芸学部)と分かれていたものが、1968(昭和43)
年の松ヶ崎への統合により、洛西寮は大学から
はかなり離れた寮となってしまいました。6番
の市電が通学の足であったと思います。建物は
既に50年余を経過し、設備等の老朽化もあり、
耐震改修を行う必要性もありました。また近年、
本学では女子学生の比率が高まり(現在、約
1/4)、女子寮の要望や留学生宿舎の充実の必
要もありました。
松ヶ崎学生館の敷地は、「かんぽーる」を保
有していた郵政から、南側を京都市が、北側を
京都ノートルダム女子大学が入手され、京都市
はそこに左京区役所を建設し、京大近くの東一
条から移転してきました。京都ノートルダム女
子大学も新館の建設を考えられていたようです
が、しばらくグラウンドとして利用されていま
した。本学と京都ノートルダム女子大学は2009
年に包括協定を結んでおり、その縁で今回の敷
地と大将軍の土地との等価交換が実現し、敷地
確保が可能となりました。最近、松ヶ崎に来ら
れた方はご存じかと思いますが、東キャンパス
の中央門横に「ノートルダム館」が建設されて
います。京都ノートルダム女子大学は、野々神
町の大学建物の耐震改修、新築工事が行われて
清
貴
昭和51年卒)
いる間、そこで授業の一部を行っています。こ
の建物は、今秋には本学に寄贈されることに
なっています。なお、大将軍の土地は現在立命
館が保有しています。
松ヶ崎学生館に入居できる学生は本学学生の
ほか、京都ノートルダム女子大学や京都府立大
学などの連携校の留学生です。他学の学生はご
く一部に限定されています。竣工が7月であっ
たため、今年度の入居者は160名程度ですが、
2014年度の申し込みは既にかなりの数にのぼっ
ています。特に、女子学生からの申し込みが多
く、当初の予想を上回っています。
先に述べたように、学生館の運営は民間会社
が行っていますが、入居者のほとんどが本学学
生であり、本学では当然のこととして、この学
生館を教育の一環として捉え、学生の社会性の
涵養や留学生との交流による異文化理解などを
通して次世代の理工系人材育成に活かすべく、
その運営にかかわっています。例えば、現在、
月に1回イブニングアワーを設け、学生サービ
ス課の職員と小職が入居者との懇談を行ってい
ます。学生生活の様々な問題や、進路のことな
どを話しています。通常の民間学生マンション
とは異なり、門限を設け、館内での禁酒・禁煙
など、気儘な自由さは制限しています。その趣
旨や学生館の役割なども話し合うようにしてい
ます。社会の変化や学生個々の変化から、古き
よき時代の学生生活イメージの変革が求められ
ています。松ヶ崎学生館がその役割を担えるよ
う取り組んで参りたいと思っております。
松ヶ崎学生館の詳細につきましては、次の
ホームページをご参照下さい。
http : //unilife.co.jp/area/area_keiji/
matugasakigakuseikan/
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