宇宙太陽光発電システムの無線送電技術の地上実証試験に成功 新しい

2015 年 3 月 12 日 発行 第 5626 号
宇宙太陽光発電システムの無線送電技術の地上実証試験に成功
新しい産業応用の可能性を広げる
三菱重工業は、神戸造船所(兵庫県神戸市)内において、将来の発電システムである宇宙太陽
光発電システム(Space Solar Power System:SSPS)の中核技術として開発が進んでいる無
線送電技術の地上実証試験を実施し、長距離の無線送電に成功しました。
具体的には、送電ユニットから 10kW の電力をマイクロ波で無線送電し、500m 離れた受電ユ
ニット側に設置した LED ライトをその電力の一部を使って点灯させることに成功しました。無線送
電距離としては 500m は国内最長で、10kW も国内最大電力です。また、ビームが受電ユニット
以外の方向へ放射することのないように制御する先進の制御システムの適用試験も実施し、問題
のないことを確認しました。
今回の地上実証試験は、経済産業省から一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構
(J-spacesystems)が委託を受けた「平成 24 年度太陽光発電無線送受電技術の研究開発事
業」の一環として、一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構との契約に基づき実施したも
のです。
無線電力伝送技術は、これまでケーブルをつないで電気を送っていたものを、無線化する技術
です。
宇宙太陽光発電システム向けに開発が進んでいるこの無線送電技術は電波放射型といわれる
もので、今回の地上実証試験の成功は、地上のさまざまな場面で従来にない長距離の無線送電
に道を拓くものといえます。これまで送電線の敷設が困難であった場所への送電や、洋上風力発
電から陸上への送電、また身近な応用例としては、電動車両への無線充電といったものが期待さ
れます。
SSPS は、太陽光パネルを地上から 3 万 6,000km の宇宙空間に打ち上げ、静止軌道上の太
陽電池で発電した電力をマイクロ波/レーザーにより地上に無線伝送して、地上において再び電
気エネルギーに変換して利用するシステムです。クリーンかつ安全で枯渇しないエネルギーであ
ることから、エネルギー問題と地球温暖化問題を解決する将来の基幹エネルギーとして期待を集
めています。
当社は今後も、この宇宙開発の先進技術の適用範囲を広げることで社会に貢献していくととも
に、将来の宇宙太陽光発電システムの実現へ向けて日本の技術をさらに前進させていきます。
送電装置
受電装置
担当窓口:防衛・宇宙ドメイン 宇宙事業部
以
上