行動科学特殊講義 単位数:2 (スクーリングあり) 選択 担当教員名: 坪井康次・矢吹弘子 開講時期:1・2 年次 後期 ●テーマ 行動科学の理論を心身健康科学に応用する方法についての理解を深める。 ①一般目標 達成目標 行動科学の知識を元に、人間の行動を科学的に理解し、心 身健康科学的視点に基づく健康の維持、増進のための新たな 視点、論点を創出できることを目標とする。 ②行動目標 ① 健康と個人の行動特性(価値観、態度、認知、学習)と の関係について述べることができる。 ② 健康と感情や情動、パーソナリティーと感情との関係に ついて述べることができる。 ③ 動機付け理論と健康との関係について述べることができ る。 ④ 健康の維持や増進に必要な行動変容の方法について述べ ることができる。 ⑤ 健康に関係する意志決定の方法と倫理性について述べる ことができる。 「行動科学」(behavioral science)とは、人間の行動を科学的に研究し、そ の法則性を解明しようとする学問領域をさしています。人間は何によって動く のか、あるいは動かされるのか、どのようにしたらその行動をかえることがで きるのか考える科学であるともいえます。心理学、社会学、人類学などとも関 連が深く、社会内の個体間コミュニケーションや意思決定メカニズム、社会の 中の集団の行動などに焦点を当てます。 一方、健康と疾病の領域では、健康と疾病に関して、心理・行動科学的およ び医学・生物学的知見とその技術を集積、統合し、病因の解明や疾病の予防、 診断、治療およびリハビリテーションに応用していくことを目的とする学際的 学問領域が発展してきており、 「行動医学 (behavioral medicine) 」 (国際行 動医学会憲章、1990)と呼ばれ、大きな成果をあげています。 概要 日本行動医学会では、2014 年に行動科学・行動医学のコア・カリキュラム として学習モジュールを発表している。そこに示されている健康行動や疾病行 動理解に必要な概念、キーワードとして以下の項目が挙げられている。授業、 講義を通じて、これらの項目についても理解が深まるようにする。 ●刷り込み、古典的(レスポンデント)条件づけ、オペラント(道具的)条 件づけ、認知学習、社会的学習(観察学習、模倣学習)、自己効力感、動機づ け(内発的、外発的)、欲求、フラストレーション、葛藤、適応機制、防衛機 制、ストレッサー、ストレス反応、認知的評価、コーピング、ライフイベント、 職場のストレス、その他のストレス(子供のストレス、育児ストレスなど)、 ストレス対策、ソーシャルサポート ●こころの発達、ライフサイクル、遺伝-環境相互作用、ライフタスク(人 キーワード 生課題) 、パーソナリティ、知能、役割論、ジェンダー、対人認知、集団心理、 対人コミュニケーション、文化的差違、 ●動機づけ、行動療法、認知行動療法、刺激統制、リラクセーション、セル フ・エフィカシー、多理論統合モデル、エンパワーメント、生活習慣指導、保 健指導(禁煙指導/服薬指導) 、ティーチングとコーチング、保健医療情報の普 及(ガイドライン、健診受診率)、ソーシャルキャピタル、健康の社会的決定 要因、文化能力(Cultural competence) 行動科学(behavior science)、行動医学(behavioral medicine)、条件付け ( conditioning )、 社 会 的 学 習 ( social learning )、 自 己 効 力 感 (self-efficacy)、防衛機制(defense mechanism)、ストレス(stress)、ス トレス・コーピング(stress coping)、ライフサイクル(life cycle)、動機 づけ(motivation) 、コミュニケーション(communication) 、発達(development)、 行動変容(behavioral modification) 学修内容 1 時限 行動の成り立ち キーワード(重要語句) ・レスポンデント条件づけ ・オペラント条件づけ ・認知学習 ・社会的学習(観察学習、模倣学 習) ・自己効力感 ・脳内情報伝達物質 2 時限 動機づけ ・動機づけ(内発的、外発的) ・欲求 ・フラストレーション ・葛藤 ・適応機制 スクーリング の授業内容 ・防衛機制 3 時限 ストレス(心理) ・ストレッサー ・ストレス反応 ・心理学的ストレスモデル ・認知的評価 ・コーピング ・ライフイベント ・リラクセーション法 4 時限 ストレス(環境)と健康 ・職場のストレス ・その他のストレス(子供のスト レス、育児ストレスなど) ・ストレス対策 ・ソーシャルサポート 5 時限 生涯発達 ・こころの発達 ・ライフサイクル ・遺伝-環境相互作用 ・ライフタスク(人生課題) 6 時限 個人差 ・パーソナリティ ・類型論 ・特性論 ・ビッグファイブ ・知能 ・役割論 ・ジェンダー 7 時限 対人関係とヘルス・コミュニ ・対人認知 ケーション ・欲求と葛藤 ・集団心理 ・社会適応 ・対人コミュニケーション ・医師患者コミュニケーション ・医療者間コミュニケーション 8 時限 行動変容における理論 ・動機づけ ・行動療法 ・認知行動療法 ・刺激統制 ・セルフ・エフィカシー ・多理論統合モデル ・エンパワーメント 9 時限 行動変容の技法 ・生活習慣指導 ・保健指導(禁煙指導/服薬指導) ・ティーチングとコーチング ≪予習≫ 各時限にあげたキーワードを中心にその概念を理解しておく。 スクーリング における準備 ≪復習≫ 学修 各時限のWorkingで、印象に残ったところ、学習できたところ、学習できな (予習・復習) かったところ、不明なところ、今後の課題について考察し、レポートとしてま の内容 とめる。 ①教科書 使用教材 ●スクーリングおよびテキスト履修 共通テキスト 久住真理監修:行動科学概論.人間総合科学大学,2007. ●スクーリング用テキスト テキストには別途配布する資料を使用する。 ●テキスト履修用テキスト 心身症臨床のまなざし(矢吹弘子著、筒井末春監修)新興 医学出版社、2014 ②参考図書 ●スクーリングおよびテキスト履修 共通テキスト 実践行動医学-実地医療のための基本的スキル(林野泰明 監訳、Behabioral Medicine - A Guide for Clinical Practice. Feldman M.D. & Chiristensen J.F.)メディカ ル・サイエンス・インターナショナル 2010. ●テキスト履修用 ヒューマンモチベーション -動機づけの心理学- (林保他監訳、バーナード・ワイヤー著)金子書房、1989 ③関連学会誌 等 ・日本心身健康科学会:心身健康科学 ・日本行動医学会:行動医学研究 ・日本健康心理学会:健康心理学研究 ・日本社会精神医学会:日本社会精神医学会雑誌 ・日本心身医学会:心身医学 ・日本心理臨床学会:心理臨床学研究 ・日本ストレス学会:ストレス科学 ・American Psychological Association: American Psychologist ・ The American Psychosomatic Society: Psychosomatic Medicine ・ Positive Psychological Center: http://www.positivepsychology.org/, University of Pennsylvania. ④リーディン グリスト 久住真理監修:行動科学概論.人間総合科学大学,2007. 久住真理監修:心身健康科学概論.人間総合科学大学,2007. 久住真理監修:ストレスと健康.人間総合科学大学,2007. 授業方法 印刷教材及びインターネットによる在宅学修、スクーリングではスモール・グ ループ学習を行う予定である。 スクーリングの参加状況および、計2回のレポート、他学生のレポートに対 成績評価 する意見書き込み、科目修了試験結果等の総合評価 備考
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