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 欠損歯列のキーワード
⽋欠損様式 ⻭歯数・咬合⽀支持数・受圧条件・加圧因⼦子の4要素を⽋欠損様式と考えているが⽇日本⻭歯科補綴学会
「⻭歯の⽋欠損の補綴⻭歯科診療療ガイドライン2008」では遊離離端⽋欠損、中間⽋欠損,複合⽋欠損など受圧条
件の意味で使⽤用している。
⻭歯数(現存⻭歯数) 上下顎の合計で数え、0〜~28までの29段階で処理理する。智⻭歯は原則数えないが少数⻭歯残存症例例で
7の代わりに機能できる智⻭歯は数える。残根状態でも⻭歯冠補綴が可能な⻭歯も数に含める。抜⻭歯予
定の⻭歯、ブリッジのポンティックや義⻭歯の⼈人⼯工⻭歯は含めない。⻭歯数は⽋欠損進⾏行行の既往歴として利利
⽤用でき年年齢平均と⽐比較することで⻭歯列列の崩壊速度度予測もある程度度可能。
咬合⽀支持数
実際の咬合状態は考慮せず上下顎の同名⻭歯を数え、0〜~14までの15段階で処理理する。⻭歯数との関
連で把握しリスク評価として利利⽤用する。
受圧条件
咬合の回復復度度を表し、⽚片顎単位で遊離離端⽋欠損
の数を数える。良良好(中間⽋欠損)普通(⽚片顎
遊離離端⽋欠損)、不不良良(両側遊離離端⽋欠損)の3
段階に分類、受圧条件が良良好な場合は補綴物
や⽀支台⻭歯にトラブルが⽣生じ、悪い場合は顎堤
吸収や咬合⽋欠陥の再発が起こりやすくなるな
ど補綴治療療後のトラブルが予測できる。
加圧因⼦子
遊離離端⽋欠損部に対向する⻭歯数のことで局所的
にではなく、⻭歯列列全体の性質として強いか弱
いかを捉える。加圧因⼦子は義⻭歯を介して顎堤
を破壊し義⻭歯の安定を損ねるため、咬合回復復
後の不不安定さを表す。中間⽋欠損部に対向して
いる⻭歯は加圧因⼦子ではなく剪断加圧と呼ぶ。
咬合三⾓角
宮地が1981年年に発表した⽋欠損⻭歯列列の分類で、その形状から後に「咬合三⾓角」と名称を付けた。⽋欠
損⻭歯列列の悪化度度のスクリーニングに役⽴立立つ分類で、グラフの横軸に⻭歯数、縦軸に咬合⽀支持数をと
り、その多寡によって⽋欠損⻭歯列列のレベルを4つのエリアに分類する。
第1エリア(咬合⽋欠損レベル):咬合⽀支持数10以上、⻭歯と咬合⽀支持の⽋欠損があっても⽋欠損拡
⼤大のリスクになっていないと考えられるレベル。
第2エリア(咬合⽋欠陥レベル):咬合⽀支持数5〜~9。⻭歯の喪失が進⾏行行して咬合⽀支持も減少し⻭歯
列列が不不安定になった段階。特に現存⻭歯数に⽐比して咬合⽀支持数の減少が著しいケース(エリアの
左下)では⽋欠損が進⾏行行する傾向が強く、適切切な咬合回復復が必要。
第3エリア(咬合崩壊レベル):咬合⽀支持数4以下。現存⻭歯数10〜~18。多くは⻭歯列列条件が悪
く対応が困難なレベル。あらゆる条件を加味して⽋欠損の悪化度度合いを適切切に判断し、咀嚼機能
の回復復を図る必要がある。
第4エリア(咬合消失レベル):咬合⽀支持数4以下。現存⻭歯数10未満。現存⻭歯数・咬合⽀支持
数とも減少した少数⻭歯残存症例例の状態。急速に無⻭歯額になる場合もあるが⽋欠損の進⾏行行が落落ち着
いて機能的に安定した経過をたどるケースも多い。 Eichnerの分類 左右の⼤大⾅臼⻭歯群、⼩小⾅臼⻭歯群のの4つの咬合⽀支持域における咬合⽀支持の有無を基準とした⽋欠損⻭歯列列
の分類。上下顎の咬合⽀支持を重視しているため⽋欠損⻭歯列列の病態把握にむいている。
A群:4つの咬合⽀支持域すべてに咬合⽀支持をもつもの(A1〜~A3に分類)
B群:⾅臼⻭歯群の咬合⽀支持域が失われたもの。
B1 4つのうち1つが失われた群 B24つのうち2つが失われた群
B3 4つのうち3つが失われた群 B44つとも失われた群
C群:前⻭歯群にも咬合⽀支持域のないもの(C1〜~C3に分類)
⻭歯の⽣生涯図
宮地が1998年年に発表した⻭歯の⽣生涯図は、患者
の初診時年年齢を5歳刻みでグループ化し、そ
の現存⻭歯数と咬合⽀支持数の平均値をグラフ化
したもの。横軸に年年齢を縦軸に現存⻭歯数と咬
合⽀支持数をとる。上の曲線は現存⻭歯数の平均
値、下の曲線は咬合⽀支持数の平均値を⽰示す。
この図上に、実際の患者の年年齢と現存⻭歯数、
咬合⽀支持数をプロットすることにより、同年年
代との隔たりが⼀一⽬目で分かる。経時的にプロ
ットしてゆくと⽋欠損の進⾏行行スピードが把握で
き、将来リスクの予測に役⽴立立つ。
Cummerの分類
上下顎⻭歯列列を左右の⾅臼⻭歯部と前⻭歯部の合計6
つのブロックに分け、その有無の組み合わせ
で⽋欠損⻭歯列列を64パターンに分類したもの。こ
のパターンの推移を辿っていくと、⽋欠損⻭歯列列
の流流れ(コース)が把握できる。ブロックご
とに⻭歯の有無だけが判定されるので感度度が悪
いことが⽋欠点ではあるが、⽋欠損パターンをイ
メージしやすい。
パターン8や57の⽚片顎無⻭歯顎、パターン30や
44の前後的すれ違い咬合、15や35のような左
宮地により一部改変
右的すれ違い咬合へと⾄至るコースを辿らないよう、その前段階の⽋欠損パターンのときに「避けた
いコース」を⾒見見極めておきたい。逆にパターン46のような⽋欠損⻭歯列列への流流れは、現存⻭歯数が少な
くなっても前⻭歯部は天然⻭歯同⼠士での咬合⽀支持が確保でき、⾅臼⻭歯部は⼈人⼯工⻭歯同⼠士の咬合接触になる
ため義⻭歯は⽐比較的安定しやすくなり「許せるコース」といえる。
⻭歯のパーセンタイル曲線
⻭歯のパーセンタイル曲線とは、⾃自分の⻭歯の本数
と年年齢から、同年年齢での⾃自分の位置と今後の
⻭歯の本数がおおよそ予測できる指標である。そ
の他にも、「治療療やメインテナンスの評価がで
きる。集団と集団の⽐比較ができる。保健対策の
基礎資料料になる。」といった活⽤用⽅方法がある。
参考⽂文献
宮地建夫:⽤用語解説, 10⻭歯前後⽋欠損症例例の「読み」と「打つ⼿手」(鷹岡⻯竜⼀一ら編),
医⻭歯薬出版,東京 ,2013.
⿊黒⽥田昌彦ら:現在⻭歯数の推移から読む「治療療効果」「患者満⾜足」­−「⻭歯の⽣生涯図」の⻭歯科医院に おける活⽤用,⻭歯界展望,108(5),2006.