平成26年6月定例会一般質問 安倍政権が発足して1年6ヶ月が経過しますが、都市部ではアベノミクス効 果で景気の回復が見られ、大企業などにおける賃金の上昇に加え、一部外食産 業などでは深刻な人手不足が生じていると報じられています。 消費税増税による落ち込みも回復しているようですが、地方においては、依 然景気の低迷と人口の減少が続き、先行きの明るさが未だ感じられない状況で す。 嬬恋村においても、過去に第3セクターを組んだ「パルコール嬬恋(株)」が 民事再生法により再建を目指すなど、経済の柱の1つである観光産業は、バブ ル崩壊後長引く入込客の低迷に苦しんでいます。 一方で安倍政権は経済成長戦略と合わせて、憲法解釈の変更による集団的自 衛権の行使や戦後の教育を支えてきた教育委員会制度の改革を進めるなど、戦 後レジームからの脱却を目指そうとするかのようです。 私は安倍政権に期待する一方、今、一抹の不安を感じています。何故かと考 えてみると、政策が「強者の論理」に貫かれ、弱者への目線が欠けているので はないか、と感じることです。 そんな思いの中で、本定例会では次のことについて質問致します。 最初に「障害福祉サービス施設の拡充について」伺います。 「仕事をするところが欲しい やさしい光さえあればいい 愛の手がさしのべられさえすればいい お友だちがいてくれればいい 私に出来る仕事があればいい」 昨年11月「嬬恋村手をつなぐ育成会」の人たちと安中市の社会福祉法人「光 の里」を視察する機会がありました。この言葉は「光の里」が運営する「障害 福祉サービス事業所・エルピスあけぼの」における事業所設立へ至る想いです。 1 この想いには心を揺さぶられるものがあります。以前、保護者の1人から「自 分が年老いて面倒をみられなくなったら、この子はどうなるのかと考えると、 居たたまれなくなる」と聞いたことがあります。政治は日頃声高に「弱者に光 を」と語りますが、こうした想いに私たちがどれだけ応えているのか疑問です。 「エルピスあけぼの」は昭和52年、中学校の特殊学級に長年携わった教師 と親たち、そして地域の人々の努力により「あけぼの作業所」としてスタート し、平成23年、障害者自立支援法の事業に移行し、現在では障害福祉サービ スとして「生活介護」「就労移行支援」「就労継続支援」事業などに先進的に取 り組んでいます。 また、「光の里」では「居宅介護」のほか「児童デイサービス」「ショートス テイ」などの事業を実施し、保護者の人達からは「ここには障害を持つ人たち が必要とするすべてが整っている」という声があがりました。 振り返って嬬恋村の現状をみると、嬬恋村社会福祉協議会が運営する一部の事 業を除き、他町村にある「特別支援学校」や「にしあがつま福祉会」が運営す る「やまどり」などに依存せざるを得ない状況です。 4か町村で運営する「やまどり」は地域活動支援センターで、その活動には限 界があり、安中市の事例に比べれば、利用者や保護者の要望に充分応えきれな いことも事実です。 そこで、障害を持つ子供たちや保護者の要望に応えるためには、生活介護やシ ョートステイ、就労継続支援などの事業が可能な「多機能型の事業所」を開設 する必要があると考えます。 無論、安中市とは取り巻く状況は違いますが、これらの施策は私たちにとっ ても充分可能である筈です。障害を持つ人たちが生を受けた地域で、保護者や 地域の人たちに見守られながら生活し、可能であれば少しでも自立を目指せる 環境を作りだす施策が必要だ、と考えます。 先日の「にしあがつま福祉会」の評議員会の冒頭で「やまどり」の責任者から 利用者や保護者、職員が作成した「金魚のストラップ」を提供されましたが、 販売促進に協力して欲しいということでした。 2 障害福祉サービス事業は保護者の熱意だけでは進みません。地域の人々の理 解や行政の支援が必要です。そこで次のことについて伺います。 (1)西吾妻地域に「多機能型の福祉サービス事業所」を開設する必要がある と考えるがどうか。 (2)嬬恋村に障害者のための「事業所」の設置が必要と考えるがどうか。 (3)障害者優先調達推進法に基づき、障害者施設からの商品調達を積極的に 進めるべきと考えるがどうか。 次に「教育制度の改革と新たなステージに向けて」について伺います。 嬬恋村の最重要課題として進めてきた教育施設の再編が、一部の施設を除き 来年3月をもって完了しますが、教育施設再編は教育の環境を整備したという ことであり、これにより嬬恋の教育の新たなステージが始まると考えています。 折しも国では教育制度の改革が進められ、私たちの世代が育ってきた戦後教育 の転換が図られようとしています。 国の教育改革の動向ですが、5月20日教育委員会制度を見直す地方教育行 政法の改正案が衆議院を通過し、今国会での成立が見込まれています。教育委 員会は引き続き教育行政の執行機関と位置づけられますが、自治体の首長の権 限を強化することに主眼が置かれているようです。 改正案では教育長と教育委員長を一本化した「新教育長」を首長が直接任命 することが明文化されています。私は何度か本議会において教育問題を取り上 げてきましたが、国の教育制度改革及び嬬恋村における教育再編が終了する中 で、首長の関わりを含め嬬恋の教育がめざす方向性について考えたいと思いま す。 昨年11月文部科学省は今までの方針を転換し、全国学力テストの学校別の 成績公表を認めると発表しました。保護者や地域に説明責任を果たす必要があ るという理由ですが「テストの結果を意識しすぎた授業が、コミュニケーショ ン能力や社会性を高める内容になるかは疑問」という意見もあります。 今年も4月22日全国学力テストが実施されましたが、この夏に成績が公表 されるにあたり、市町村教育委員会の判断が注目されています。教育に対し首 長の権限が強化される流れの中で、首長の判断にも関心が集まっています。 3 昨年10月24日上毛新聞は全国学力テストの学校別公表につて首長を対象 に賛否を問う緊急アンケート調査を公表しました。賛成は知事と4市町村長、 反対は15市町村長、どちらともいえないが16市町村長であり、嬬恋村の回 答は「どちらとも言えない」ということになっています。 また、本年4月8日には、成績公表の賛否の調査に関して、嬬恋村教育委員 会は公表しない、と報道されました。 無論、教育が学力だけで評価されるものではなく、嬬恋村の教育理念は「豊 かな心、豊かな体力、豊かな学力」を身に付けた国際社会に生きる日本人とし ての自覚を持った村民を育成していくこととしています。 来年度からは新しい教育環境の中で、更に幼、小、中、高の連携を進め、こ の教育理念を達成する取り組みが求められます。その意味では、本年度からス タートする「英語教育強化地域拠点事業」の成果には小、中、高の連携が欠か せず、嬬恋高校の存続にも影響を与えるものと、大きな期待を持っています。 教育は奥が深く幅の広いテーマですが、今回は次のことについて伺います。 (1)地方教育行政法が改正されれば首長の権限が強化されその意向が反映し やすい体制となるが、このことについて村長はどう考えるか。 (2)教育委員会では学力テストの結果は公表しないと方針を決定したが、村 長はこの決定についてどう考えるか。 (3)嬬恋村の教育理念「豊かな心 豊かな体力 豊かな学力」の内、 「豊かな 心」を育成するためには弱者を思いやる教えが必要だと思うが、どのよ うに取り組んでいるか。 以上について、村長の明確な答弁を求めて私の一般質問を終わります。 4
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