2015 年 9 月 14 日リリース 高感度な検知性能を実現 『 79GHz 帯レーダ/センサ用ドップラーモジュール 』を開発 株式会社 ヨ コ オ 東京都北区滝野川 7-5-11 TEL:03-3916-3111(代表) ■要 旨 (株)ヨコオはこのほど、速度測定レーダやセキュリティ用途の移動体検知センサ(セン シング機器)に適した高性能な『79GHz 帯レーダ/センサ用ドップラーモジュール(以下、 「本モジュール」) 』を開発しました。 本モジュールは、ディスクリートデバイス(※1)のみで構成した低コストで、回路を簡素化 して送受信性能を高め、より高感度な検知を可能にした RF モジュールです。 尚、本モジュールに使用した「Gunn 発振器(※2)」 (特許出願済み)については、本年 9 月 にパリで開催された欧州マイクロ波会議(EuMC2015)にて、技術論文の発表を行いました。 (EuMC:European Microwave Conference) ■市場動向と当社の取り組み 一般的に電波を使った近距離~中距離物体検知には、24GHz 帯レーダ、UWB (※3) レーダ、 移動体検知センサが用いられています。しかし、これらの機器は、他の通信機器との干渉 問題があるうえ、UWB に関しては利用上の制限もあるなどの理由で、より精度の高い検知が 可能な 79GHz 帯(77.0~81.0GHz)が注目され、普及に向けた規格化が進められています。 79GHz 帯は、小電力無線装置で使われる最も高い周波数帯であり、将来的には 24GHz 帯に代 わり急速に普及するものと見込まれていますが、RF モジュールに 79GHz 帯対応の送受信 IC を使用することはコスト高になるという課題を抱えています。 この課題を解決すべく、当社では独自に開発したダイオードを使い、ディスクリートデバ イスのみの構成で、本モジュールの開発に成功しました。 ■『 79GHz 帯レーダ/センサ用ドップラーモジュール 』の概要 今回、当社が開発した本モジュールの特長は、以下の通りです。 《 特長 》 ①「Gunn 発振器」には、新規開発した発振回路と、独自開発の Gunn ダイオード(※4)を 搭載し、世界トップクラスの発振効率と低位相雑音特性を実現 ② 受信器には、当社製「ショットキーバリアダイオード[型格:YSD080SLBD01](※5)」 を使用し、高感度受信を実現 ③ ディスクリートデバイスのみの構成により、低コスト化を実現 本モジュールは、アンテナを取り付けるだけで、簡単にドップラー信号が得られ、移動体 の速度、動体の存在有無を計測することが可能です。このため、本モジュールは、移動体 の速度測定だけでなく、エリア内侵入者検知などのセキュリティ対策等のセンサなど、様々 な用途に使うことができます。また、ミリ波を使用しているため、雨・雪・霧などの天候 や、センシング機器に付着する汚れ等の影響を受けにくく、安定した計測・検知が可能で す。 1 《 主な仕様 》 項 目 送信周波数 送信電力 発振効率 位相雑音 受信感度 電源電圧 消費電流 外形寸法 出力接栓 仕 様 79GHz±2GHz +10dBm Max. 2.5% Max. (発振器出力において) -100dBc/Hz Min. (@1MHz オフセット) リターンロス 75dBc Min. DC+3V 500mA Max. 24mm×20mm×10.5mm 導波管 WR10、フランジ UG387/U (※製品化に際しては、仕様が変更される場合があります) 【写真】 『 79GHz 帯レーダ/センサ用ドップラーモジュール 』の外形 ■今後の計画 今後は、移動体の動き(近づく/遠ざかる)を識別できるデュアルチャンネルモジュール や、アンテナ付きモジュールなど、市場の要望を見ながら開発・製品化していく計画です。 《 用語について 》 ※1 ディスクリートデバイス:ダイオードやトランジスタなど、単独の機能を持つ半導体 ※2 Gunn 発振器:Gunn ダイオード(※4)を使用した発振器 ※3 UWB:Ultra Wide Band 超広帯域無線 データを極めて広い周波数帯に拡散して送受信を行う無線通信方式 ※4 Gunn ダイオード:砒化ガリウム(GaAs)などの半導体中を流れる電流が振動することを 利用した高周波発振用デバイス ※5 ショットキーバリアダイオード [型格:YSD080SLBD01] :スイッチ/検波器等用途のダイオードで、本製品は GaAs をベースとし、電極 パッドを大きくし、容易なフリップチップボンディング性能を実現 ★本件に関するお問い合わせ先 経営企画本部 研究開発部 TEL:03-3916-3173 2
© Copyright 2024 ExpyDoc