雫石町地域コミュニティ形成推進事業について

行政視察資料
雫石町地域コミュニティ形成推進事業について
1.事業の趣旨
少子高齢化、核家族化、就労形態や生活様式の変化、価値観の多様化などの社会情勢の変化に加え、
近年各地で地震その他の災害において、地域住民の安否確認、救護・救助、相互支援等における地域
コミュニティの重要性が見直されてきています。
この事業は、地域の潜在的な連帯力、地域力を発揮できる体制を整備し、地域住民の安全、安心、
生命と財産の保持に直結する自主防災組織活動を核としながら、社会情勢の変化に適応した地域コミ
ュニティの形成推進を図るため、平成18年度から実施しています。また、事業実績や地域へのアン
ケートなどを参考に、平成27年度から事業の一部見直しを行っています。
2.事業の概要
(1)事業実施主体
地域コミュニティ組織 =自治会・公民館・町内会など= 自主防災組織
(要件)
①地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とした組織
②自主防災組織としての活動を実施すること
③自治会等の区域が住民にとって客観的に明らかであること
④その区域に住所を有するすべての個人は構成員になることができる、また、大半の世帯が構成
員になっていること
⑤自治会等の規約を定めていること
⑥営利を目的としないこと
〇町は、すべての要件を満たした自治会等を本事業の地域コミュニティ団体として登録。
交付金交付及び書類の作成支援、活動へのアドバイスなどを行っています。
(2)助成内容
①交付金の交付 … 表1参照
・自治会等の活動に要する経費として、年度ごとに交付金を交付。
・
「自主防災活動事業」と「地域福祉活動事業」を基本事業としている。
※この交付金は、コミュニティの組織活動に係る費用であれば使い方は自由。
②防災資機材交付 … 表2参照
・活動初年度に限り、交付金とは別に、防災活動に必要な防災資機材を、組織の世帯数に応じて現物
支給する。
≪表1≫ 活動事業の内容と交付金単価
区分
活動の例
交付金単価
-
1 団体当たり 60,000円
均等割交付金
世帯割交付金
①自主防災活動事業
AEDの使用方法と心肺蘇生、
・防災訓練の実施(年 1 回以上) 消火器訓練、被害想定地の点検、
・自主防災活動体制づくり
避難路点検、炊き出し訓練、街路
・防災意識啓発
灯点検、発電機や灯光器の購入、
煙体験、火災警報器点検など
②地域福祉活動事業
1 世帯当たり 900円
高齢者や障がいのある方など
・お互いさま情報交換会の実施
の要支援者の避難経路確認、コミ
・見守り、声掛け、除雪など
ュニティと民生委員・役場との情
報交換等の懇談会など
(その他の自主的な活動)
高齢者・児童の見守り、除雪、みずきだんご作りやもちつき大会、スポーツ交流会、盆踊り大会、老
人クラブ交流会、敬老会、厄病まつり、ゴミ集積所立番、資源回収、草刈清掃など環境整備、花木植栽
≪表2≫ 防災資機材の支給相当額と種類
【防災資機材の種類】
世帯数
支給相当額
1~99 世帯
~200,000 円
自主防災組織のぼり旗、油圧ジャッキ
100~199 世帯
~250,000 円
●支給相当額内で自由に選んで備えるもの
200 世帯~
~300,000 円
●必ず備えるもの
消火器、発電機、担架、救急セット、給水タンクなど
(3)主な手続きの流れ】
①自治会などの届け出と登録(取り組み初年度)
事業の取組団体(自治会、町内会、地域公民館など)の組織の名称、代表者、規約、自主防災会組
織細則、活動の内容などを決め、町役場に届け出する。町役場では、提出された書類の内容を確認し、
地域コミュニティ団体として登録する。
②交付金の交付申請・請求(4~6月)
活動計画、会員数などを確認し、年度ごとに交付申請書及び交付請求書を提出する。
③活動事業の実施(4~3月)
自治会等は、活動事業の実施活動計画に従って活動事業を実施する。活動内容は日誌や写真により、
活動の様子を記録する。
④実績の報告(取り組み次年度の3~4月)
年度の活動事業終了後、活動内容を町役場へ報告する。
3.活動実績について
平成26年度末までに町内74行政区のうち64団体が地域コミュニティ組織として登録されていま
す。(全体の86%)。また、町内全6,214世帯(平成26年3月末現在、住民基本台帳登録数)の
うち、5,164世帯が加入し、地域活動に励んでいます。
また、東日本大震災や平成25年8月の大雨洪水災害などの際には、一人暮らしの人や要援護者宅を
訪問して安否確認や、地域公民館を開放して地域の避難所を設置するなど自発的な活動が行われ、住民
相互の助け合いによる地域づくりが根付いてきています。
また、交付金交付とは別に、平成24年度から地域点検(まちあるきやワークショップにより、地域
の良いところや課題を探し改善していく活動)の実施を推奨しており、これまでに5つの組織と1地区
で取り組みが行われました。
【平成26年度の活動実績】
・自主防災活動事業
64団体(100%)
・地域福祉活動事業
48団体(75%)
・環境保全活動事業
52団体(81.3%)
・花と緑のまちづくり活動事業
40団体(62.5%)
【交付金の交付額】※交付額の単位(円)
年度
18
19
20
21
22
取組団体数
18
31
42
50
61
交付額
2,232,000
4,339,000
7,192,500
8,434,000
年度
23
24
25
26
取組団体数
63
64
64
64
交付額
11,627,500
10,946,300
11,075,200
11,223,800
11,121,500
地域点検とは…住民などが地域内を歩き、様々な視点や感想を通じて「まちを知る」ための手法。
●目的:住民が防災、防犯、交通安全、環境保全、景観などの視点から地域内を歩き、地域の良いと
ころや課題などを再発見・再認識する。
●内容
・まちあるき(住民などが数グループに分かれ、地域内をチェックしながら歩く。
・課題等の共有(まちあるきで気づいた事をみんなで出し合い地域の良いところや課題を共有する。
)
・まとめ作業(地域の良いところや課題を記載した「まちづくりマップ」などを作成する。
)
・未来デザイン(
「まちづくりマップ」などを基に、地域の良いところや課題をどのようにしていく
か住民などで話し合う。
)
4.地域コミュニティ組織連絡協議会について
地域の自治能力の向上や地域コミュニティ組織相互の連携を図ることを目的とし、平成20年11月
に「町地域コミュニティ組織連絡協議会」を設立。
事務局は役場企画財政課が担当し、年度ごとに各組織の取り組み事例の発表、地域づくりや協働など
をテーマとした講演会、先進地視察などを実施しています。
また、地域コミュニティ組織の加入率は100%です。
平成27年度
コミュニティ事業見直しの概要
◆事業の課題
・
「見守り対象となる児童生徒や高齢者や地域内にいない」、
「交付金が余って毎年繰り越している」とい
う声もあり、また交付事務が繁雑で代表者等の負担が大きいこと、地域内の高齢化や人口減少により
役員等が不足していることなどの課題も挙げられた。
・高齢者等見守り活動については民生委員の活動と、児童生徒の見守り活動についてはスクールガード
や PTA、老人クラブの活動とそれぞれ連携していく必要がある。また、環境保全活動事業や花と緑のま
ちづくり活動事業については、町の道路愛護事業や景観形成推進事業などと目的や内容が重複してい
るなどの課題が挙げられた。
◆事業見直しの基本的な考え方
①地域における事務処理や役職の負担を軽減するため、事業メニューや交付申請に係る提出書類等を簡
素化。
②地域コミュニティ形成推進事業の選択事業と町で実施している類似事業を整理
③東日本大震災や平成 25 年度の大雨洪水災害の経験から、地域住民がお互いに助け合って地域を守る
「共
助」の取り組みを特に強化するため、自主防災と地域福祉を重点化
◆主な変更点
【変更のポイント】
均等割基本額
平成24年度 ~ 平成26年度
平成27年度 ~
60,000円
60,000円
・自主防災活動事業
①自主防災活動事業
(防災訓練、防災資機材点検管理など) (防災訓練、防災資機材点検管理など)
必須事業
②地域福祉活動事業
(お互いさま情報交換会の実施など)
◎世帯割単価…500円
◎世帯割単価…900円(どちらも実施)
・地域福祉活動事業
(高齢者や児童生徒の声掛け、見守り、除雪)
・環境保全活動事業
選択事業
(草刈、ゴミ拾い、集積所立番)
・花と緑のまちづくり活動事業
(花木の植栽管理)
◎世帯割単価…400円
廃止
☛これからの地域コミュニティのあり方
地域は交付金等を活用して実状に応じた活動を行い、町は各課事業によりコミュニティ活動を支援!
スクールガード(登下校時児童見守り)
集団資源回収事業
地域コミュニティ
ごみ集積所整備事業
形成推進事業
資源ごみストックヤード整備事業
景観形成推進事業(景観住民協定の締結)
||
生命を守る共助の取り組みを強化
道路愛護事業
緑化推進事業(緑の募金による苗木配布等)
↑地域力・自治力の向上↑
地域コミュニティのさまざまな活動のようす(~平成26年度)
↑自主防災活動(防災訓練)↑
↑自主防災活動(防災訓練)↑
↑世代間交流事業(ミズキ団子作り)↑
↑世代間交流事業(虫祭り・厄病まつり)↑
↑花と緑のまちづくり事業(花苗植栽)↑
↑地域福祉活動事業(消火器設置・見守り)↑
↑環境保全活動事業(資源回収)↑
↑環境保全活動事業(道路草刈)↑