<連載>◇海外機械メーカーの 2014 年実績-⑭斗山インフラコア -旧・大宇重工業として 77 年に建機市場進出、年間8兆ウォン計画- 斗山インフラコアは韓国を代表する機械メー 斗山インフラコアの業績推移 (単位:10億ウォン) カー。1937 年に創業した同国初の大規模機械工 場である朝鮮機械製作所を源流とする。その後、 10,000 大宇重工業と名を変え、1977 年に建設機械市場 8,000 800 に進出。海外展開にも積極的で、1990 年にベル 6,000 600 4,000 400 2,000 200 ギー工場、1994 年には独資で中国に工場を建設 1,000 した。2005 年、大宇グループの解体に伴い斗山 グループに入った。 0 一方、斗山グループも 1990 年代半ばに国内市 0 10 11 場の縮小と競合激化に直面。以来ゼロベースで の「選択と集中」の実施と不採算事業の売却を 売上高 12 ■斗山インフラコアの業績 2014年 7,689 453 24 行った。21 世紀に入り斗山グループは大規模な 売上高 再編を行い、消費財メーカーから発電、海水淡 営業利益 水化、建設・エンジニアリング、重機械・建設 純利益 13 14年 営業利益 (単位:10億ウォン) 2013年 前年比 7,737 99.4 370 122.6 -100.9 - (事業別売上高) 機械、エネルギーインフラ支援事業を行うグロ 建設機械 ーバルカンパニーに転換した。2014 年末現在、 全世界に 19 工場 38 販売子会社、9つの R&D セ 5,706 1,324 658 7,689 工作機械 エンジン・他 合 計 5,752 1,345 632 7,737 99.2 98.5 104.2 99.4 (事業別EBIT) ンターを構え、従業員は1万 4,500 人。代理店網 建設機械 工作機械 は世界 140 ヵ国 1,200 社に拡げている。 2015年12月期は高品質の製品とサービスを顧 客に提供することでシェアを伸ばす。また米国 の景気回復も追い風になると期待し、売上高8 兆 2,000 億ウォン(前期比 6.2%増)、営業利益 5,140 億ウォン(13.5%増)を計画。2020 年に は取扱全製品でグローバルトップ3になる ことを目指している。 ■2014 年売上高は前期並みを確保 2014 年売上高は前期比 0.6%減の7兆 6,886 億ウォン。 グローバル経済が停滞する 251 230 109.1 157 146 108.0 エンジン・他 45 -6 - 合 計 453 370 122.6 (建設機械の地域別売上高) NAO 2,209 2,011 109.9 EMEA 1,034 969 106.8 China 712 898 79.3 APEM 1,370 1,447 94.7 Others 382 434 88.0 建機合計 斗山インフラコアの事業構成 5,706 5,757 99.1 (2014年) 注:1ウォンは約0.1円 NAO=北米・オセアニア、EMEA=欧州・中東・アフリカ China=中国、APEM=アジア太平洋・新興国 工作機械 17% エンジン 9% 建設機械 74% 中、子会社化したボブキャットが貢献した。営業利益も 22.6%増加したが、これもボブキャットの成長継続 に加えエンジン事業の業績回復と価格競争力強化の取り組みが業績に反映された。純利益は 240 億ウォン。 2014 年における最優先事項は競争力のさらなる強化。同社は研究開発力の強化で販売網の競争力を高め、 最新の市場トレンドを取り入れた新製品の投入で市場占有率を高める取り組みが効果を出した。 建設機械の地域別売上高 (2014年) ■4拠点区分けで効率管理 同社は全世界を北米・オセアニア、欧州 中東アフリカ、中国およびアジア太平洋・ 中南米の4つに区分けしてグローバルビジ ネスを効率的に管理。事業戦略の展開と適 APEM 24% Others 7% NAO 39% 用方法は市場と顧客に応じて変えている。 エンジン事業は、業界大手との合弁で最 新の排ガス規制に適合した業界をリードす China 12% EMEA 18% るガスエンジンを強化する。中国は米国の 消費回復で輸出が若干回復する。だが GDP への影響の大きい中国の不動産市場は引き 続き低水準で推移する。経済全般の成長は減速の見込み。環境対応エンジンと大出力エンジンが 2014 年の EURO6 導入に伴い伸びていることに対応、販売網の競争力強化と顧客の多様化で事業を伸ばしていく。 工作機械事業は主要市場でマーケティングを一段と強化。 北米は自動車業界の生産増に加え再生可能エネ ルギーの成長も続いた。中国工作機械市場は引き続き成長しており、現地工作機械子会社を通じて営業力を 強化している。欧州では代替エネルギー、大型機械および医療機器向け市場で需要が伸びる見込み。 ■中国は中長期的に成長ポテンシャルを強化 建設機械事業は、中国で続いたインフラ投資は中長期的に成長ポテンシャルを強化し、供給過剰の調整は 2015 年末には終わり 2013 年以前の成長パターンが徐々に戻ってくると同社は予測。2015 年も 2014 年同様 ボブキャットの貢献で伸びが期待される。 中国建設機械市場には現地仕様機を投入するとともに中古車市場への参入を新たな成長機会としていく。 欧州では英国とドイツで市況が回復すると見込んでおり、 小型機械から大型機械へと取扱製品群を拡げてい く計画。 北米・オセアニア:北米経済は住宅ローンの調整と実質所得の増加で回復が見込まれる。シェールガス開 発ブームの後、エネルギー産業は楽観見通しだが、製造業は回復の兆しを見せている。 欧州中東およびアフリカ:欧州は 2014 年と同様、2015 年も概ね低成長の見通し。ユーロ安が大きなファ クターとなっている。 アジア大洋州&新興国市場:アジア太陽や中南米および CIS のような新興国市場は中国の投資抑制と資 源価格の低下の影響を受けた。だが新興国市場は 2015 年初頭から年率平均6%成長を維持。建設機械市場 の回復はそれより遅れが見込まれる。 とはいえ、同社は韓国内の販売増と新興国市場のカバー率アップで域内のシェアを高めていく。また新興 国専用モデルの投入と製品技術を教えるトレーニングスクールの運営で、 ブランド価値を高めていくよう努 力する。 ■欧米の小型建機事業を統合 斗山インフラコアは 2014 年4月、小型建設機械の欧州事業と米州事業を統括する持株会社「斗山インフ ラコアボブキャットホールディングス」を資本金 5,000 万ウォンで設立した。海外事業統括会社「斗山イン フラコア・インターナショナル」と欧州統括会社「斗山ホールディングス・ヨーロッパ」から小型建機事業 の製造販売事業を分離統合。欧米の小型建機事業の戦略、財務、人事を一本化することで、事業効率を向上 させるのが目的。斗山グループは斗山インターナショナルが 2007 年 11 月にボブキャットを 49 億ドルで買 収後、信用収縮に苦しんでいた。
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