旧 石器 捏 造 ・誰 も書 かな か った真 相 神 々 の汚 れ た手 文化庁 ・歴博関係学者 の責任を告発する ●プ ロローグ 文 化 庁 官 僚 学 者 の免 責 は 許 さ れ な い 本文註 1︶ の再 調査 結果 の発表 で 一つの幕 切れを迎 前期 旧石器遺 跡 の捏造事件 は、 日本 考古学協会 ︵ 学術的資 料 とし て え た。 二〇〇 二年 六月 二十 五 日、 同協 会 は、藤 村新 一氏 が係わ ったす べて の遺跡 を ﹁ 扱 う ことは 不可能﹂ とし、今後 、協 会 は前期 旧石器時 代 の研究 の再構 築を はか る活動 に重点 を移す と い う ︵ 以下、 フルネー ムの後 は敬 称を省略︶。 要す る に ″藤村関与遺跡 の再 調査 ″とは、捏造 犯人は藤村 一 人と いう結論 しか出 て こな い筋書き にはかな らな い のだ。 再調査 と いう 一年余 の冷却期 間 の中 で、 文化 庁 考古学 界は目さ れた被害 者 で 責 任は 間えな いと いう ″免責 ″ムートを作 って事 件を終 わらせた の 捏造は 民間団体 のした ことだ﹂ であ る。捏造遺 跡を も っとも多 く抱 え て いる宮城 県 の教育委 員会 では、 ﹁ と して協会 の再 調査 に協 力しな いと いう事態 ま で生 じた。再 調査 に参 加した協会指 導部 の大 半は、捏造 関係 学者﹂ であ 発覚 以前 に、捏 造遺跡 の宣 伝 に関わり、捏造遺 跡を資料 に使 って著書 や論文 を書 いた ﹁ る。文化庁 関係者 の免責 や 国会 論議 の回避 と引き替 えに多額 の再調査 予算 を つけ る取引 き に走 った協会 指導部 には、最初 から捏 造 の真 の原因を究 明しよ うとす る姿勢が 欠け て いた。 2 旧石器遺跡 の捏造 と いう歴史 の偽造 は、じ つに 二十余年 も の永 きにわた った。世紀 末 のこの 二十余年 は、 日本 の ″高 度経済成 長社会 ″の消 長と重 な って いた 。考 古学ブ ー ムを作 った発掘 の盛 況は、 ひと皮 剥けば ﹁ 日本 列島 改造﹂ で始 ま った大規模 開発 と文 化財破壊 の帳 尻を合 わせ るた め の行 政発掘 の盛 況 に はかな らな い。年間 調査費総額 一三〇〇億 円に のぼ る行 政発掘 の盛 況は、大 学 によ る発掘 調査 ︵ 予算︶を 無 くす る 一方、文 化庁 の理蔵文 化財行政 の民営化 下請け化を進行 さ せた。行 政研究者 ︵ 行政発掘 に従 事 す る公務 員 団体職 員︶が考古 学協 会 の会 員構成 の大 半を占 め ると いう学会組織 の新 し い状 況を生 み だし、 調査 ・研究費 をテ コにした考古 学界 に対す る文部 科学省 文 化庁官 僚 の介 入 学 問を行 政が リー トし て いく状 況が 日常 化した。 旧 石器遣跡 の捏 造 と いう歴史 の偽造 は、 そ のような理蔵文 化財 行政 のもと で起き、 文化庁が捏造遺 跡 を 国史跡 に指定 し、文 化庁 直 属 の国立 歴史 民俗博物 館が大 新 聞や出版企 業 と組ん で捏 造遺跡 を宣 伝 し、 報告書 も出 て いな い捏造遺 跡が歴史教 科書 にま で書 かれたと いう ﹁ 事件 ﹂ であ る。しか し これは法曹界 で事 件 にさえもならな か った。外 国 でこ のよ うな事 件が起 きたら文部科学大 臣 文化庁 長官 クラ ス の引 ′′ プロローグ 文化庁官僚学者の免責は諄されない 責辞職 は必至 であろう。文化庁 関係者 の誰 の責 任も 問わな い結末 は 予算 を握 る文化庁 の顔色 ばか りを ″ うかが ってきた者古 学界 の体質 と自浄能 力 のな い協会 の現状 をさらけ出 したと言う ほかな い。 旧石器遺跡 の捏 造 と いう歴史 の偽造史 を顧 みると それは考古 学史 上 の ″失 われた 四半世紀 ″と でも 言う べき、 学問 の暗黒時代 であ った 。捏 造され た遺 跡が ひと つの既成事実 とし て宣伝 され社 会的 な認知 を受け て いく過程 で、文 化庁 国立歴史 民俗博物館 埋文 セ ンター ・県立博 物館な ど の国 地方 の組織 と著名考古 学者が 深く関与し て いること に驚 かぎ るを 得な い。 この事件 に直接 関わ った考古学者 の姿勢 精 神的な共犯関係﹂﹁文藝春秋 ﹄二〇〇 二年 八月号︶だ と指摘 し ている。 日 を人類学者 の馬場悠男氏が ﹁ 本 の考古学界が こ の事件 から謙 虚 に学び 本 当 に信 頼を 回復 し、 研究 の再構築 をは か るため には、 まず 関係学者 が自 ら の行為 を自省 し、事件 の真相 を公開し て国民 の納 得を得 なく てはな らな い。 3 考古学界には初期 の座散乱木、馬場壇遺跡 の ″大発見 ″の時すでに、若 い研究者から ︽なぜ宮城県だ け で発見 される のか︾︽火砕 流 の中か ら石器が出 る のはおかし い︾などま っとうな批判があ った。 これに 、 た いし考 古学協会 の指 導部 は全 く聞 く耳をもたぬ態度 を と った。 こ の批判論文 は 考古 学 の雑誌 には載 らず 人類学 の雑誌 に載 った 。また考古学 界唯 一の専 門研究誌 ﹃旧 石器考古 学﹂を出 し ていた 旧石器文 会長 ・松 藤和 人同志社 大学助教授 ︶は、竹 岡俊樹氏 が出した批判論 文を藤村 に対す る ″個 人 化 談話会 ︵ 的中傷 ″とし て そ の部分 を削 除 しなければ掲載 しな いと要求 し、書 き直 さ せて いる。 一方、藤村 を ﹁ 石器 発見 の神 様 ﹂などと煽 て て座 散 乱木 、馬場壇 A遺跡 の発掘 ・監 督を した岡村道雄 ″宮城 県 で の前期 旧石器 の存在を 予測 した ﹁ 氏 ︵ 仮 説﹂が藤村 の発 当時 宮城 県歴史博 物館 職 員︶は、 ﹁ 座 散乱木遺跡 発掘 調査報 告きじ と いう ″神 の奇 蹟 ″でも実 現 しな い 見 によ って完 全 に立 証された ″ ︵ よ うな ″考古 学的事実 ″を自 分 の業績 にし て文化庁 に移り、 同庁 の主任遺跡 調査官 とし て座散 乱木遺跡 の国史跡指 定 に関 わ った。また文 化庁官僚 ・国立歴史 民俗博物館 の館 長、教授 らが研究者 の批判を押 さ え、報告書 未刊 の新資料 を自 由 に使 って大手出版社 から著書を出版 し、前期 旧石器支持 の論陣 を張 った。 捏造遺跡 を教科書 にも書 いた. 上高森 ﹂や 文化庁主催 の ﹁ 発掘 された 日本 列島 ﹂全 国巡 回展 示は、 各地 の博物館 を会場 にし て毎年 ﹁ ﹁ ひ ようたん穴﹂など掘 り立 て の捏造遺物 を目玉 に、捏造遺跡 の信 憑性 と権威付 け のた め の国家規模 の大 宣 伝 を繰 り返した。 岡村 は 捏造実行者 の藤村 を ﹁ 旧石器発見 の神様﹂ と褒 めたたえ、 マス コミも同 調し て藤村を ″ゴ ッ ト ハンド ″など とおだ て上げ た。また、岡村 は自著 の中 で 座散乱木遣跡 で、自 ら藤村 と 一緒 にそ の ﹁ 旧 考古 学史 上 画期 的な偉大 な成果﹂ 人 の石器﹂を掘 った ことを強 調し ﹁ 第 二の岩宿 の発見︺に匹敵す る ﹁ などと自 画自賛 した。 プロローグ 文化庁官僚学者の免責は許されない 4 考古学協会 の再 調査 ・検 証が 発表 された後 は 藤村 単独 の捏造行 為だけが表 面に出 て いる。関係学者 の責任問題 は、藤村 の精神病 院 への監 禁 口封 じ の陰 で 闇 に葬 られようと して いる. こ の事件 の中 心 に、 前期 旧 石器が存在す ると いう ﹁ 仮説﹂を発表 した岡村道雄 と、 そ の ﹁ 仮説﹂ に符 合す る偽 の石器 を次 々と ﹁ 発見 ﹂し続け た石器蒐 集 マニア の藤村新 一と いう、 二人 の人物 が いる ことは 隠 しよう のな い事実 であ る。 二十 数年続 いた ″仮説 の立 証 ″と いう考古 学 上 の物 語が、実 は遺 跡 の発掘 現場 で仕 組ま れた自 作自演 の作 為 であ り 一片 の学 問的真実 もなか った ことも明白 とな った。 にもかか 本 文註 2﹀ ら関係者が藤 村を 口封 じ のた め精神病院 に閉じ こめ、戸 沢充 則委 わらず ︰鎌 田俊 昭理事長 ︵ 員長が黒塗 りした ﹁ 藤村告自 ﹂を関係自 治体 に発表 す るな どと いう人権 蹂躙行 為ま でし て、藤村単 独犯 学 問研究 上 の 行 を演出 した結 果 であ ったとは いえ︰検 証結果 の発表後 は、 関係学者 のす べて の行為 が ﹁ 問題﹂と いう美名 の下に いかな る咎も受けな い 事実 上 の免責とな った。関係学者 の捏造 加担 にた いし、 時効 を自前 にし て私 は 藤村を偽 計業 務妨害 罪 て仙台 地検 に告発 したが、 不起訴 にな った。 マス コミは これ です べてが終 わ ったと いう報 道をし て いる。 私 は いま、次 な る行政 訴訟 の準備 をすす めなが ら、改 め てこ の事件 の本 質 に目を向 け る ことが必要だ と痛感 し ている。 こ の事件 の本 質とは何 か。宮城 県 の地 下には数十 万年前 の旧石器が埋ま っていると いう、 まだ発掘 で 証明され て いな い岡村 の予言が 藤村 と いう 石器蒐集 マニアによ って、何十 万年 も前 の地層 から、 予言 通り の ﹁ 前期 旧石器﹂が次 々に発見された 。岡村 の予言が学問的真実 とし て立 証された と いう話が事件 の本質 であ る。 これ はも のの道 理を こえたオ カルト話 にはかな らな い。 こ の物語が醸 し出す うさん臭 さ は、考古 学協会 の検 証部会 や再 調査 の場 で協会 幹部 がよ ってたか つて藤村 関与遺 跡 のシ ロかク ロかだ け を論 議した点 にも良 く現れ ていた。協会幹部 は大会 で ﹁ 検 証 に参加 すれば説 明責 任を果た したと認 め て よ い﹂と公言し、宮城 ・埼 玉県など藤村 の作為を黙 認した行政研究 者 ︵ 地方 公務員︶の免責 も約束 した。 藤村 一人を犯人 にま つりあげ 断 罪す る協会幹部 の指導 は 関係学者 の ﹁ 藤村 に開された﹂ と いう大 合 唱 とな り、 そ の後 の検 証 でも関係学者 の責任をだ れも 口にしよう としな い、学会 ・研究 団体 の倫 理的退廃 を生 みだ した。 こ のような学会 の実態 は 国民 の考古 学 不信 を大き くす るば か りであ る。 捏 造事件 の真 因は、考古学協 会が ﹁ 捏 造は藤村 の単独行為 ﹂と いう結論 をだす ことによ って、 ほとん ど追 及され ることなく間 に葬 られた。 また捏 造遺跡 の史跡指定、教 科書 への執 筆など に関係した文 化庁 官僚 ・歴博 関係 の学者 の責任 を問う声 も完全 に封 印され てしま った。再調査 の結果、犯人は藤村 一人、考 古 学者 は みな藤村 に編された被害 者 と いう赦 免状 をもら つた と同じ て、今後 関係者 の 口から真実 が語 られ ることはな くな った。 関係学者 の誰 ひと りとし て責 任 が問われな いで幕 が引 かれた いま、 国民 の前 に残 された のは 二十 余 年 間に書 かれたウ ソだ らけ の前期 旧石器 の著述 の山 であ る。 三〇〇種類を こえ る前期 旧石器 の ﹁ 大成 果﹂ プロローグ 文化庁官僚学者の免責は許 されない 偽書 ﹂が いまも 日本中 の書 店 に並 ん で いる.教 科書だ けは 回収 ・改 訂した文部 を記述 した考古 学者 の ﹁ 科学省 文 化庁 も この 二年あま リ ウ ツだ らけ の ﹁ 偽書 ﹂ の山 には我関 せず をき め こん できた。 これは 出版業 界が文化庁 ・歴博 関係者 の免責 と事 件 の沈静 化を おし計 りなが ら 捏造事件 で最初 に 回収 のや り 講談社︶ の改 訂版 の刊行 をき っかけ にし て 次 々に通史的 一般 玉に挙 が った同村 道雄 ﹃ 縄文 の生活誌﹄ ︵ き や個人著 書 の改 訂版 を出版 し始 め ている。 学術 論文﹂ を書き、捏造 追跡 を自 著 にとりあげ て同村 や藤村 に贅辞 を送 った 捏造 石器 を資料 にし て ﹁ 大 勢 の考古 学者 は、 いま幕 が下 り てホ ッとし て いるかもしれな い。し かし、捏造事 件 の本 当 の検証 は こ れ から始 ま る のであ る。 旧 石器捏 造 事件 オ ンブ ズ マン﹂ と 捏 造 発覚 直後 の 二O 〇 一年 春 か ら私 のホー ム ベージ に公 開 し た ﹁ ﹁ 神 々の汚れた手﹂は、関係学者が書 き残 した、偽 り に満 ちた前期 旧石器 の膨大な著述 や文言を証拠物件、 検 証材料 にし て、考古学者 が国 民を蝙した 二〇年 の軌跡 ・捏造劇 の真相 に追 ろうと試 みた レポ ート であ る。私が捏 造事 件 の真相 をホー ムペー ジ で追 及した のは、私な り の理由が あ る。 日本 の考古 学は この事 件 で大 きなダ メージを受け た。 これを真 に再建 でき る のは若 い人 々であ る。しかし若 い研究 者 のほとん とは各地 の大学 や教育委 員会 に籍を 置く公務員が多 く、文 化庁 批判な どをした ら この世界 では生 き て い けな い危機感 を誰 もが抱 え て いるから であ る。捏造 事件 の発覚後は、 関係した考古 学者 のす べてが免責 と引 き替 え に、事件 の真 相 に堅く 口を つぐ ん でしま った。考古学界 ていま 正面 から文 化庁 ・歴博 関係者 の批判 をす る人は完全 な少数 派 にな った かに見え る。 しかしイ ンターネ ット上 では これま で 口を開ざ し てきた考 古学関係者 が重 い口を開き始 め て いる。 明けな い夜 はな い。残 り少 なくな った私 の日 々の中 で、 このレポ ート を書 き続け、真 実 の声 を拾 い上げ た いと念し ている。 注 本文饉1 日本オ古学協会 ・中期旧石器問題調査研究特別委員会 ^ 戸沢充則委員長︶ . 本文〓2 石器文化観話会、のち東北旧石器文化研究所 鎌田俊昭理事長.
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