Ⅰ. 平成 26 年度事業報告 事業概況 当博物館の平成 26 年度における主な活動状況は、以下のとおりである。 来館状況 平成 26 年度の当初入館者目標は、過去 2 番目の記録となった平成 25 年度 (211,497 人)を上回る 22 万人とした。しかしながら、4 月からの消費税の税 率アップ、天候不順等の影響により特に上半期は厳しい状況となり、対前年同 期比 9%減の 110,092 人であった。このため、下半期では入館者増対策として、 開館以来の累計入館者 500 万人達成等各種キャンペーンを実施した結果、対前 年同期比 2%減の 88,904 人まで回復した。 この結果、平成 26 年度は 198,996 人(対前年度比-12,501 人、6%減)とな り、残念ながら 20 万人を超えることができなかった。 なお、個人、団体別及び大人、子供別の入館者比率は、それぞれ概ね 8:2 、 7:3 の割合となっており、ここ数年来変動していない。 事業運営の状況 当博物館では、事業運営を効率的に進めるため、土日・祝日等繁忙期には常 勤職員のほか、レストラン・売店でのアルバイトの採用や館内展示物の解説等 にボランティアによる支援を積極的に受けるなどして費用の抑制に努めてい る。 また、展示物を維持管理するため、軽度のメンテナンス作業などはボランテ ィアの協力を得て自ら行っている。 さらに、企画展示におけるパネル製作やイベントPRポスター作成は、外注 せず職員の能力を生かして自前で行うことにより経費削減を徹底している。 この結果、人件費・光熱費等の経常経費は概ね賄うことができる状況にある。 しかしながら、経年劣化に伴う展示物の維持補修費の増加及び施設改修・設 備更新、さらには中長期の観点からの入館者確保に不可欠な展示物・企画展示 の充実等に必要な資金を自力で賄える状況にはなく、これまで当博物館では、 成田国際空港株式会社・芝山町をはじめとする関係者からの強力なご支援(寄 付金、出捐金)により、展示物・企画展示及び施設の充実が図られてきたとこ ろである。 -1- 1. 公益事業 (1)展示物の整備 平成 26 年度における展示物の整備は、以下のとおりである。 ① 747 主翼構造の展示 平成 23 年度 機首部分の実物【747 セクション 41】、平成 24 年度 【747 胴体断面構造展示】に続き、平成 25 年度から主翼断面構造の展示整備に 着手、平成 26 年 7 月に設置工事が完了し、一般公開することができた。 ボーイング 747 機の実物展示に関しては、このほかに大型エンジン、タイ ヤ等が既に展示されており、本館西棟ではボーイング 747 機で統一された 雰囲気が味わえる。 これにより、平成 13 年度に策定した【展示整備計画】における目標が ほぼ達成できたと考える。 ② DC-8 シミュレーターの改修 成田国際空港を離着陸する 3 つのコースを設定し、最新の情報に更新す るため、平成 25 年度に映像の撮影及び編集作業を実施した。 平成 26 年度においては、撮影した素材をシミュレーターのコースに編集 し、制御装置及び動揺装置の更新工事を実施し、平成 27 年 2 月に一般公開 した。 (2)本館・設備の改修 ① 空調機器等の更新工事 平成元年の開館以来、設備更新を実施していなかった 4 階展望レストラ ンの空調施設機器については、配管不良による水漏れ等の不具合が頻発し、 その都度修理対応をしてきたが、メーカーの部品保有期間も過ぎ、今後の 修理に対応することが困難になってきたこと、さらに製造後 25 年以上経過 し、運転能力の低下などの症状が顕著に現れてきていることなどから、節 電能力の高い機器への更新工事を実施した。 平成 27 年度は、引き続き空調設備の更新や老朽化した埋設管の改修等 を効率よく進めるための中期的な改修計画を策定することとしている。 ② 3 階軒天の改修工事 当館 3 階の軒天は、中央道笹子トンネルと同様の吊り天井構造となって おり、平成 25 年度に実施した安全点検において、経年劣化によると思われ る支柱の折損などの不具合箇所が発見されたので、大きな事故を未然に防 ぐ目的により、天井及び支柱の交換を行う改修工事を実施した。 -2- ③ 本館の構造検査 開館以来、本館の構造検査は実施していなかったことから、上記の軒天 改修工事において使用する足場を利用するなどして費用軽減を図りつつ、 耐震性などの確認検査を実施した。その結果、大きな不具合はなかったも のの、外壁タイルなどに若干の欠落がみられることから、今後は、定期的 に点検・補修を行うこととしている。 (3)行事関係 ① 企画展示 【子供のための航空科学】(8~10 月)は、平成 26 年度企画展示の中心 事業であり、青少年が航空科学の基礎を理解できるように風速体験装置 をはじめとする体験型実験装置を新たに製作し、体験を通じて航空科学 に親しんでいただく内容は、好評であった。 そのほか【成田空港飛来機展】(4・5 月)、【ミュージアムコレクショ ン】(収蔵資料紹介 6・7 月)、【空から見た成田空港】(空撮写真の紹介 1・3 月)を実施した。 ② 教室・セミナーの開催 【やさしい航空の話】は、一般の方々が幅広く航空知識を得ることがで きるよう、パイロット、客室乗務員、ランプコントローラーなど航空関 係業務に従事している方を講師に招き、講演会を 7 回開催した。 また、【航空無線通信士セミナー】、【航空無線通信士認定講習会】、 【折紙飛行機教室】(毎週日曜日開催)、【模型工作教室】(ゴム動力飛 行機の製作)、【親子プラモファクトリー】、【オープンハウス】(ボラ ンティアの協力により毎週土曜日開催している航空科学教室)、【メカ ニックルーム】(整備技術の基本をボランティアの協力で習得)等を開催 した。 ③ 航空会社、空港内企業とのコラボレーション 平成 25 年度に好評を得た、航空機支援車両(GSE)の展示である【空 港車両展】を成田国際空港株式会社、日本航空株式会社、全日本空輸株 式会社、及び空港関連事業会社の協力のもと、3 回開催した。 また、併せて【グランドハンドリング教室】も開催し、参加者に大変好 評を得た。 ④各種イベント ア) 9 月の空の日関連行事として、成田航空地方気象台の協力による【お 天気教室】、子供に人気の高い【キャラクターショー】、【航空ジャ ンク市】、【地元物産販売】等数々の行事を実施した。 -3- イ) 例年開催している【航空寄席】は、一部の席に地元の敬老会の方々 を招待し、喜んでいただいたほか、ゴールデンウィーク、クリスマス には、各種の催し物を開催し、多くの来館者に好評を得ることができ た。 (4)成田国際空港における展示 【成田空港から結ばれる国内空港展】は、国内空港とのネットワーク強 化を図る成田国際空港株式会社からの要請もあり実施し、各方面で好評 であった。例年実施している【航空カレンダー展】は、空港利用者だけ でなく空港関係者にも好評をいただいた。 そのほかに、博物館内で開催する企画展示の空港向けアレンジも含め 合計 8 回の展示を第 1・第 2 旅客ターミナルビルで行った。 (5)来館者増への取り組み ① 団体客の誘致 団体のお客様を誘致するため、旅行会社、バス会社等観光関係企業を訪問 し、営業活動を行った。また、はとバス・JTBの日帰りツアーへ当博物館 を組み入れた設定をしていただいた。 ② 個人客の誘致 ア)JRバス関東・千葉交通による東京駅からの高速バス利用者の増加を 促進するため、平成 26 年 4 月から企画乗車券(往復乗車券+入館券+ その他サービス)を発売した。さらに、平成 27 年 3 月 26 日からJRバ ス関東の一般路線【JR成田駅~三里塚】の一部を【JR成田駅~さく らの山~三里塚~航空科学博物館】へと延伸していただくことができた ことにより、お客様へのアクセス向上を図ることができた。 今後、この 6 月 20 日からは、当博物館が前述 2 路線(高速バス東京 駅、一般路線JR成田駅)の始点・終点又は経由地となる予定で、当博 物館だけでなく周辺エリア全体の利便性がより一層向上するとともに、 当館がこれまで以上に幅広く周知されることが期待される。 イ) 成田国際空港株式会社のご配慮で、酒々井アウトレットで定期的な企 画展示等の開催や千葉県による国内線新規就航都市・大型商業施設での プロモーション活動において当博物館の紹介をしていただいた。 -4- ウ) 平成 27 年 1 月には、開館以来の来館者累計 500 万人達成を記念した キャンペーン(入館料割引)を航空会社や周辺ホテルの協力のもとで実 施した。また、来館者の少ない時期を中心に、JAF等会員数の多い組 織との連携により、所属会員の来館誘致を進めた。 ③友の会事業 会員数は横ばいではあるものの、成田国際空港株式会社、日本航空株式会 社、全日本空輸株式会社及び空港関連会社のご協力により、普段入ること のできない格納庫、空港の施設等の見学会を実施し、会員の皆様に喜んで いただいた。 ④ 青少年教育支援活動 近隣中学校の職業体験実習及び学芸員実習の受け入れを積極的に行い、 航空に関する教育普及活動に努めた。 ⑤ 関連団体との連携 千葉県観光物産協会、成田空港活用協議会主催の観光客誘致説明会等に 参加し、旅行会社を中心に当館の利用について説明、営業活動を行った。 2.収益事業 当博物館は、収益事業として博物館内のミュージアムショップ及びレスト ラン【バルーン】、成田空港第 1 旅客ターミナルビル内の物販店【バイプレ ーン】を運営するほか、航空ジャンク市などにより収益確保に努めている。 (1)館内ミュージアムショップ 館内ミュージアムショップの売上は、バーコード対応の販売管理システム の導入により商品発注及び在庫管理の効率化に努めているが、平成 26 年度 は入館者数の減少により、対前年度比▲3 百万円、7%減の 42 百万円であっ た。 (2)レストラン【バルーン】 本館 4 階のレストラン【バルーン】の売上は、入館者数は減少したもの の、団体客の利用増加等により、前年度と同水準の 27 百万円となった。 -5- (3)【バイプレーン】 成田空港第 1 旅客ターミナルビル中央棟 5 階の【バイプレーン】の売上は、 日本人旅行者の減少などの影響やターミナルビル内のリニューアルに伴い、 直近にあったエスカレーターが撤去され、店舗へのアクセスが不便になった ことも影響したのか、対前年度比 9%減の 45 百万円となった。 (4)航空ジャンク市 ジャンク市については、特に人気の高い商品や、マニア以外の参加者にも 購入しやすい商品の充実により、目標としていた 8 百万円の 20%増の 10 百 万円に迫る売上を達成することができた。 3.広報、営業活動等 (1)広報活動 ①地方自治体等に対する広報活動 ア)【ちば県民だより】をはじめ、千葉、茨城両県の空港周辺市町村、広 報誌担当者に対して当博物館企画展示及び行事、新規展示物等の掲載 依頼を毎月実施した。 イ)【道の駅 風和里】、【空の駅 風和里 しばやま】をはじめとする 成田空港周辺の道の駅、ホテル、交通機関等へのオリジナルカレンダ ーやパンフレットの配布により、当博物館の PR につなげることがで きた。 また、【酒々井アウトレット】をはじめとする周辺施設でも同様の 協力を得てパンフレットの配布を実施した。 ②マスメディアに対する広報活動 マスメディアの影響力には非常に大きいものがあることから、テレビ、 新聞、ラジオ専門誌、各社に情報提供を積極的に行った結果、イベント 情報スペースに取り上げていただくなど、数多くの協力を得ることがで きた。 -6-
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