2015 年 9 月 新聞配達網を使って野菜を販売 全く新しいものを持ち込んで、地域、農業に活力を生み出そうとする取り組みは非常に多 い。一方で、既にあるものに目を向けることで、新しい取り組みにつながる場合もある。今 回は新聞配達網という既存のインフラを活用して野菜を売るというユニークな事例を紹介し たい。農家、新聞販売店、顧客ともにメリットある上手な連携となっている。 |地元野菜の魅力を伝える連携で、地産地消を促す 神奈川県藤沢市の JA さがみが運営する直売所「わ いわい市 藤沢店」は、地元の新聞配達店の販売網を 活用して野菜や加工品を販売している。新聞の折り込 みチラシで購入希望者を募集して、新聞配達員が商品 を届けるシステム。 利用者は家にいながら、地元の野菜や加工品を受け取れるということで人気も高い。高齢 者や交通弱者でも手軽に利用できるうえに、直売所としては新しい顧客を開拓できる利点が ある。新聞販売店もこれまでの顧客との結びつきがより深まるという三者三様のメリットが 生まれる。 折り込みチラシの発行部数は公称 2 万部。わいわい市藤沢店は「地元野菜の素晴らしさや 加工品を多くの人に知ってもらう良い機会になる」と期待する。 |インフラとしての新聞配達網 今回の取り組みが画期的なのは、「新聞を届ける」 以外に使われていなかった新聞配達網というインフ ラを有効に活用している点。私たちの身の回りを見渡 せば、ここ数年でタクシーやコンビニなどの地域イン フラは、多様なサービスを展開するようになってきて いる。 1 例えばタクシーが買い物代行、墓参りの代行サービスを始めたり、コンビニが防犯や災害 時の安全対策への取り組みに力を入れたり、他にも数多くの例がある。新しいものを持ち込 むのではなく、既にあるものを活用する JA さがみの取り組みは、地域と密接に結びついた農 業を行う上で非常に参考になるかもしれない。 【発行元】 株式会社コネクト・アグリフード・ラインズ (メディア事業部 AgriFood 編集チーム) 2
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