アセットクラスとしてのアジア債券市場

アセットクラスとしてのアジア債券市場
新興市場のなかでリスクが低く、グローバル債券運用を補完
新興国債券チーム
2015年6月
新興国債券に配分される資金の約90%が、グローバル・ディバーシファイド・イン
デックスをベンチマークとしています。投資家が個別運用先としてある地域を開拓
する場合、どのような根拠や理由で判断するのでしょうか?グローバル・ベンチ
マークのなかではまだ認知度が低いものの、固有のリスク特性と分散の観点から、
アジア債券は有力な投資機会として関心を集めることが考えられます。
アジア市場は18の国と35億人以上の人口で構成され、約15兆米ドルのGDPを
創出しています。この数字の伸びは他のどの地域よりも速く、今後10年間に
およそ年6%のペースで成長すると考えられています。アジア開発銀行は、20
50年までに、この市場が世界経済の半分を占めると予測しています―300年前、
産業革命によって富がヨーロッパに流れる前の時代を彷彿とさせます。
グローバル債券のインデックスからは、この潮流を読み取ることができないで
しょう。日本を除くアジアは世界で4番目に大きな債券市場ですが、バークレイ
ズ・グローバル総合インデックスでは4.7%、シティ世界国債インデックスでは
2%しか組み入れられていません。新興市場のベンチマークでさえも、アジアは、
JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド・インデックス(外貨建てエマ
ージング債券)の20%、JPモルガンGBI-EMインデックス(現地通貨建てエマー
ジング債券)の27% しか占めていません。
「エマージング債券全体をカバー
するインデックス以外の選択肢を
考慮すると、アジア債券への投資は
魅力的なリターンが期待できます」
JPモルガン・アジア・クレジット・インデックスには16カ国が組み入れられて
いるのに対し、外貨建てのグローバル・ベンチマークにはアジア10カ国(イン
ド、フィリピン、インドネシア、中国、マレーシア、タイ、パキスタン、ベト
ナム、モンゴル、スリランカ)しか組み入れられていません。また、HSBC現地
通貨建てアジア債券インデックスには10カ国が組み入れられているのに対し、
現地通貨建てのグローバル・ベンチマークについては、3カ国(インドネシア、
タイ、マレーシア)しか組み入れられていません。さらに、現地通貨建ての
グローバル・インデックスには、世界で最も重要な新興国通貨である中国人民
元が除外されています。
投資家はアジア債券への個別投資を検討し、いくつかのオフベンチマーク投資
を追加することで、中国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フィリ
ピン、シンガポール、韓国、台湾、タイ、バングラデシュ、カンボジア、モン
ゴル、ミャンマー、パキスタン、スリランカ、ベトナムに投資することが可能
となります。世界新興市場のインデックス以外の選択肢を考慮し、アジアへの
投資割合を増やすことでどういった付加価値が期待できるのでしょうか?
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アセットクラスとしてのアジア債券市場
「過去10年間、現地通貨建て債券
市場でグローバル投資からアジア
投資に移行した場合には、シャープ
レシオは0.5から0.8に改善していた
でしょう」
リスクが低く、質が高いアジア債券市場への投資
この地域の特徴は相対的な質の高さにあります。HSBC現地通貨建てアジア
債券インデックスに対するスタンダード&プアーズの平均格付けはAであり、
BBB+のJPモルガンGBI-EMインデックスと外国通貨建てJPモルガン・アジ
ア・クレジット・インデックスよりも2段階高く評価されています。また、
JPモルガンEMBI GDインデックスの平均格付けよりも2段階高く、社債を中
心としたJPモルガンCEMBIディバーシファイド・インデックスの平均格付
けよりも1段階高く評価されています。
アジア債券市場は、質の高さを背景に、先進国市場よりも高い利回り水準
ではあるものの、他の新興国債券市場と比較すると、デュレーションが1年
程度長くかつ低い利回り水準となっています。過去10年間のリターンをみ
ると、アジア債券は他の新興債券市場を下回っていますが、同時にボラテ
ィリティも著しく低い水準となっていることが分かります。現地通貨建て
債券市場でグローバル投資からアジア投資に移行した場合には、シャープ
レシオは0.5から0.8に改善していたでしょう。
図1から、アジア債券市場への投資における最も顕著なリスク特性は、質
の高い社債とボラティリティの低い通貨だということが分かります。リス
ク/リターン分布をみると、アジア債券市場全体のインデックスは効率的
フロンティア上にある一方で、世界新興市場の現地通貨と社債のインデッ
クスはフロンティアとは離れたところに位置しています。
アジア債券市場は、新興国債券市場のなかで最も取引量が多く最も流動的
です。その一因として、1990年代後半の金融危機を繰り返さないように関
連当局が努力したことが挙げられます。国債の売買高とビッド・アスク・
スプレッド(取引コスト)はこの10年間に着実に改善され、時価総額調整
済み数値でみると先進国よりも優れているケースもあります。アジアでは
30年国債は今や一般的であり、タイでは2011年に50年国債も発行されて
おり、インフレ連動債や債券先物や金利デリバティブなどの商品も根付い
ています。
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図1: アジア債券は先進国債券または他エマージング債券と比較して
魅力的なリスク調整後リターンを提供
アジア債券とその他新興国および先進国資産との比較
出所: ブルームバーグ。2005年9月から2015年5月までのデータ。
現地通貨建てエマージング債券市場におけるアジアと他地域の比較
出所: JPMorgan DataQuery、ブルームバーグ。2003年12月から2015年1月までのデータ。
エマージング社債市場におけるアジアと他地域の比較
出所: JPMorgan DataQuery、ブルームバーグ。2003年12月から2015年1月までのデータ。
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国債市場では取引量が増え、ソブリン債の発行年限も多様化し、社債ユニバース
が発展する土台が形成されています。2008年以降、社債市場は国債市場のほぼ
3倍のペースで成長しており、当社では、当面は現地通貨建て社債はアジア債券
の中でも最も急成長を遂げると予測しています。すでに社債はアジアの外国通貨
建て市場の3分の2を占めており、中国の国有企業がその成長を牽引しています。
「投資家基盤は、その種類と地域という
観点から急速に多様化しています…
投資家基盤も、その種類と地域の点で急速に多様化しています。年金基金や保険
会社など中・長期的に保有する投資家は、現地通貨建て市場の20∼50%を占めて
おり、特に韓国とタイで強い需要を生み出しています。外貨建て市場では、資産
運用会社(ローカル運用とグローバル運用の両方)がシェアの大半を占めています。
図2: オンショア・アジア国債の保有比率(%)
…ただし中国とインドでは、最近まで
市場参入に対する制約がありました」
出所:アジア開発銀行、ニューバーガー・バーマン
投資家基盤の国際的な多様化が軌道に乗っていない主な2つの市場として、中国
とインドが挙げられます。両国では、外国人投資家の市場参入を制約しているた
め国内の銀行が主導権を握っています。
ところが、この地域でも急速な進展がみられるようになり、たとえばインドでは、
外国人投資家が海外ポートフォリオ投資家(FPI)に登録し、債券投資枠(この
枠は、2014年に大幅に引き上げられました)に申請した場合、オンショアでの
債券取引を行うことができます。
また中国では、適格外国機関投資家(QFII)制度と人民元適格外国機関投資家
(RQFII)制度を通して、外国人投資家はオンショア債券市場での投資が可能に
なります。
QFIIに基づく投資枠はこの数年間に着実に拡大されており、適格投資家は流動性
の高い銀行間債券市場での取引が許可されるようになりました。人民元国際化
計画の一環として2011年12月に導入されたRQFII制度では、当初は、中国系の資
産運用会社と証券会社が香港に持つ子会社だけが、債券と株式の投資としてオフ
ショアの人民元決済とオンショアでの送金が認められていました。のちに、香港
を拠点とするすべての金融機関にも認められるようになり、2013∼2015年には、
シンガポール、ロンドン、ソウル、シドニー、フランクフルト、パリ、ドーハ、
トロント、チューリッヒの金融機関にもこの対象が拡大されました。
当社では、中国のオンショア市場の急速な開放は今後も続き、次のステップとし
て、投資枠が拡大して銀行間取引の承認時間が短縮され、RQFIIの利用がさらに
拡大し、QFIIとRQFIIの規制が均一化されるものと予測しています。
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アセットクラスとしてのアジア債券市場
こういった改革と並行して、中国は、計画経済の色合いが濃い輸出主導型の経済
から市場決定型で内需と外需のバランスがとれた経済へと移行しているため、預
金利率と為替レートの自由化、国際収支勘定の段階的な開放、自由貿易地域の拡
大などの変化も生じています。
その結果、地域の資本市場の取引量と流動性はさらに改善されると考えられます。
同様に重要なことですが、中国の改革はまだ初期の段階であり、台湾や韓国など
の近隣諸国との生産性の収斂を達成するために、政府当局が資本市場の自由化を
積極的に推し進めていることから、アジア新興市場のGDPの約60%を占めている
中国の経済的な潜在性が非常に高いことが指摘されます。
良好な経済収支と経済多様化
債券市場が好調になるというテクニカル面での兆候は、同時にアジア経済のファ
ンダメンタルズが良好であることを示しています(図3)。1997∼1998年の金
融危機および経済収支危機はアジア経済に大きな打撃を与えましたが、その経験
から重要なことを学び、注目すべき行動をとってきました。
「現在、アジア各国の財政バランスと
ソブリン債水準は、先進国はもちろん
他の新興国よりもはるかに高い健全性
を有しており、この10年間で、アジア地
域は世界他国への純債権者とみなさ
れるようになりました」
現在、アジア各国の財政バランスとソブリン債水準は、先進国はもちろん他の新
興国よりもはるかに高い健全性を誇っており、この10年間で、アジア新興市場
は世界他国への純債権者とみなされるようになりました(図4)。銀行システム
はますます堅牢になり、預貸率と不良債権率は、つい最近でこそ上昇しましたが、
1990年代後半以降でみると大幅に低下しています。
図3:
アジア各国の財政および経済状況
名目
GDP
人口 一人あたり
GDP
外貨
準備高
経常収支 貿易総額
貿易構造
出所:ニューバーガー・バーマン、CEIC
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図4: 多くのアジア諸国が純債権国
他地域と比較してアジア地域は低負債比率
2003年以降にアジアは純債権地域へ
出所: 国際通貨基金
「南アフリカ、ブラジル、メキシコなどの
他の主要新興国とは対照的に、アジア
地域の大半は経常収支の黒字を維持
しています」
アジア新興市場における対外的な脆弱性が改善したことは、最も重要な進展であ
るといえます。また、外貨借り入れへの依存は、1990年代後半から2000年代初
めにかけて世界の新興国経済に大きな損失をもたらす原因になりましたが、その
依存度は急激に低下しています。14兆5,000億ドルの新興国債券市場ユニバース
のうち86%は現地通貨が占めており、アジア新興市場についてはこの数字はそれ
ぞれ8兆5,000億ドルと92%となっています(図5)。
これらの通貨を取引している投資家は、外部金融環境が厳しくなった場合に、特
に、米国債の利回りが上昇して米ドルが強くなった場合に、リスクに見合う期待
リターンまたは良好なファンダメンタルズを求めることになるでしょう。南アフ
リカ、ブラジル、メキシコなどのほかの主要新興国とは対照的に、アジア地域の
大半は経常収支の黒字というファンダメンタルズの強さがあります(図5)。ま
た、インドやインドネシアなど経常収支が赤字のアジア諸国でも、2013年夏の
いわゆる「バーナンキ・ショック」以降大幅な改善がみられ、ほかの外為リスク
を補うほど高い利回りを提供しています。
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経常収支が改善したことで外貨準備高も大幅に増やすことが可能となり、アジア
市場は、1997年時点で6,570億ドルであった外貨準備高を5兆8,000億ドルにまで
蓄積しました。これは、世界の外貨準備高の約半分に相当します。外国為替制度
は以前よりもはるかに柔軟になり、外部金融環境への衝撃を吸収する役割を果た
しています。そのため、当社では米ドル高になる可能が高い性と予測しています
が、アジア通貨が急激に下落する可能性は低いと考えています。
図5: アジア地域は外的ショックへの耐性を強化
2000年以降に発行された債券の多くが現地通貨建て
出所: BIS Quarterly Review。2015年3月時点。
プラスの経常収支が下支え
出所: 国際通貨基金、ニューバーガー・バーマン。2015年2月27日時点。
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図5(続き): アジア地域は外的ショックへの耐性を強化
2014年の米ドルが上昇した局面でのパフォーマンス相対比較(%)
出所: ブルームバーグ。2013年12月31日以降の米ドルに対するパフォーマンス。2015年6月10日
時点。
石油および対資源輸出への依存度は低下傾向
エマージング市場の実行為替レート。
出所:ブルームバーグ(バークレイズREER計算モデル、均等配分)。工業製品輸出はインド、韓国、
フィリピン、対、ポーランド、チェコ、ハンガリー、トルコ、イスラエル、メキシコの合計。資源輸出はブラ
ジル、チリ、コロンビア、南アフリカ、ロシア、インドネシア、マレーシアの合計
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「南米では2つの国だけで地域のGDP
のほぼ75%を占め、商品輸出に大きく
依存しています。これに対しして、アジ
ア経済は域内貿易と世界貿易に支え
られており、台湾や韓国では高級品製
造業、インドやフィリピンやシンガポー
ルではサービス業、ベトナムやタイでは
低価格製造業が行われています」
原材料よりも、製造に注力
図5の最後の表からもお分かりいただけるように、米ドルが驚異的に強く原油価
格が暴落していた2014年は、アジア市場の通貨は不釣り合いなほど好調でした。
ただし、アジア市場の特徴を決定づける要因はそれだけではなく、商品輸入業者
の通貨も影響しています。
ここ数年、中国の経済成長とインフラ投資のペースが弱まり、商品価格が下落し
ていることから、アジアにおける経常収支の黒字要因の一部は、他の新興地域と
比べて、原材料を多く輸入して輸出製品を製造する傾向がみられることによると
言えます。唯一、インドネシアとマレーシアは石油・ガスの輸出が多く、特にマ
レーシア・リンギットは、2014年のアジアで最も弱い通貨となりました。
こういった特徴は、中流階級が著しく成長し、経済の多様化が進んでいる地域に
よくみられます。たとえば、南米では2つの国だけで地域のGDPのほぼ75%を占
め、商品輸出に大きく依存しています。またヨーロッパの新興国では、西ヨーロ
ッパとの産業統合を推進しています。これに対しして、アジア経済は域内貿易と
世界貿易に支えられており、台湾や韓国では高級品製造業、インドやフィリピン
やシンガポールではサービス業、ベトナムやタイでは低価格製造業が行われてい
ます。これらの市場は、ほぼ開発された韓国からまったく未開拓のベトナムまで、
多岐にわたります。
現在の傾向が継続すると、このような経済的なバランスは明白な利点となる可能
性があります。国内需要が適度で商品価格が依然として低いため、先進諸国にお
ける需要の高まりから恩恵を受けていくことが重要になるでしょう。新興市場全
体の購買担当者景気指数(PMI)は2015年第1四半期には1.3ポイント下落して
50.3になりましたが、この傾向はあらゆる地域でみられ、アジアよりも南米で最
大の下落幅を記録しています。これに対して、米国とユーロ圏のPMIはそれぞれ
57.9と53.6であり、どちらも新規受注増に支えられています。こういった世界的
な動きを考慮すると、アジアで2011年から2012年にかけてGDP成長率が低下し
たのち、2013年以降に純輸出による利益貢献が持ち直しの傾向がみられる中で、
今後2年間は堅調に成長するものと予測しています。
このようなマクロ経済的な傾向は、明らかにアジアの企業の支えとなるでしょう。
新興市場の債務水準に関する懸念の多くは、社債に集中しているといえます。特に、
中国では8∼10%のGDP成長率を記録する中で、銀行や不動産やその他の分野で
米ドル負債額が急増してきました。
当社は、金属鉱業と石油・ガス部門については引き続き注視していますが、すで
に示唆しているように、アジアにおいてこれらは主要部門ではなく、中国ではセ
メント部門と鉄鉱部門が実質的な産業となっています。さらに、より広い視野で
みると、最近のJPモルガンの数値から、アジア企業の負債水準は上昇している
ものの、依然として低い水準にあることが分かります。EBITDA(金利・税金・
償却前利益、支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益)に基づくアジアのグ
ロスレバレッジ比率は1.8倍であり、南米の3倍と同様に安定しているように見え
ます。このことを反映して、モルガン・スタンレーが予測したハイイールド債の
デフォルト率は、アジアの企業部門はほかの新興市場よりもはるかに低いことを
示しています(図6)。
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アセットクラスとしてのアジア債券市場
図6: エマージング・ハイイールド債券のデフォルト率は上昇傾向だが、
アジア地域については横ばい
米ドル建てエマージング・ハイイールド債券市場におけるデフォルト率
出所:モルガン・スタンレー。デフォルト率は額面の平均加重。2015年の予測はエマージング・
ハイイールド債券ハンドブック(2014年12月末時点)参照
当面は、中国に注目することが重要だと考えられます。近年、中国の投資家とメ
ディアの間では企業のレバレッジが最大の懸念となっています。
確かに、2014年には、中国の企業全体のEBITDAに基づくグロスレバレッジ比率
が3.9倍となって上昇傾向が続いています。
これに対して、モルガン・スタンレーの調査では、中国の企業の大半が2009∼
2010年以降初めてレバレッジ比率を下げており、工業、機械、設備、不動産な
ど大きな信用リスクを抱える分野の少数の低格付け企業が全体のレバレッジを引
き上げている、ということを示しています。
エネルギー、電気通信、テクノロジー、生活必需品など、その他の分野は信用問
題がほとんどなく、2年前の2013年初めから始まった金融分野における負債圧縮
の動きも継続しています。銀行のレバレッジ比率と資本水準が改善され、不良債
権が償却されると、企業は、債券市場に目を向けたり借り入れを縮小したりして
(両方の策を講じるケースが多くみられました)厳しい貸付条件に対応できるよ
うになりました。成長が低下している環境に対応できるようになったことは楽観
的な判断材料だと考えられます。
「アジアでは、ここ数年で急速にレバ
レッジ比率が高まっている地域があり
ます。それでも、アジア全体の負債
水準は、先進市場やその他の新興
市場と比較しても引き続き良好な
水準にあります」
アジアでは、急激な経済成長の中で負債比率が高まっている地域があります。た
とえば、中国、マレーシア、タイ、韓国では家計・企業の債務が問題になってい
ます。その対策としてレバレッジを縮小すると、長年にわたって成長を抑制して
しまう可能性があります。それでも、アジア全体の負債水準は、先進市場やその
他の新興市場と比較しても引き続き良好な水準にあります。
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アセットクラスとしてのアジア債券市場
結論
世界3地域の主な新興市場の中でも、アジア債券市場は単一のアセットクラスと
して投資可能な分散された市場となっています。ただし、アジア債券市場への投
資を検討する理由はこれだけではありません。広範囲にわたる世界新興債券市場
を運用していく中でも、アジア債券市場は魅力的なリターンが期待できる有力か
つ代表的な存在となっていくでしょう。特に、中産階級の消費が伸びているとい
う特徴から、アジア市場は(特に現地通貨を通して)重要な投資対象となってい
く可能性が高いと考えています。また、アジアは他の新興市場よりもリスクが低
く、特に中国とインドは資本市場の開放、拡大、取引量の増大を考慮すると今後
も投資対象としての市場拡大余地が大きいと考えています。
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アセットクラスとしてのアジア債券市場
投資リスクについて
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損失が生じ結果として元本を上回る損失を蒙る可能性があります。なお、デリバティブ取引等の証拠金に対す
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外国有価証券及び外貨建て有価証券への投資は、為替の変動や政治経済の情勢といったリスクを伴い、投資資
産の価値及び配当が影響を受けることがあり、投資元本を割り込む可能性もあります。また、新興国への投資
については、先進国への投資に比べて市場規模や流動性等の観点から価格変動が大きくなる傾向があるなど、
より大きな損失を被る場合があります。加えて、新興国における経済は一般的に規制が十分でなく、貿易障壁、
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い場合や信頼できる情報が利用できない場合には変動性が高くなるリスクがあります。
費用について
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