星ヶ塔遺跡パンフレット(PDF : 3499キロバイト)

星ヶ塔遺跡
星ヶ塔遺跡
●星ヶ塔の由来
星ヶ塔遺跡を発見した鳥居龍蔵によれば、星ヶ塔はもともと「ホシノトウゲ」と呼ばれていたようです。星ヶ塔遺跡の
東側は、鷲ヶ峰の山裾と星ヶ塔山の山裾の間のへこんだ部分であり、山道の峠になっています(写真中央の山の間のへこ
んだ場所)
。この峠に「ホシ」があることからホシノトウゲと呼ばれていたのですが、昔の人々は黒曜石のことを夜空に
輝く星のかけらと考え「ホシクソ」と呼んでおり、そのホシクソが峠道にたくさんあることから「ホシノトウゲ」という
地名がつけられました。のちにそれがホシノトウ、そして「ホシガトウ」と呼ばれるようになり、その後漢字が当てられ
国指定史跡
星ヶ塔黒曜石原産地遺跡
現在の「星ヶ塔」と表記されるようになりました。
新
ル
ネ
ン
ト
田
和
●星ヶ塔遺跡の見学について
下 諏 訪 町
星ヶ塔遺跡は下諏訪町の北東部に広がる東俣国有林内にありま
星ヶ塔遺跡
す。現在は自由に行くことができませんので、見学希望の方は下
諏訪町教育委員会が開催する見学会にご参加ください。
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平成27年星ヶ塔黒曜石原産地遺跡見学会(いずれも諏訪湖博物館集合)
⃝10月31日
(土)午前の部 9:00~11:30 午後の部 13:30~16:00
⃝11月1日
(日)午前の部 9:00~11:30 午後の部 13:00~15:30
⃝11月13日
(金)午前の部 9:00~11:30
※各回定員25名 諏訪湖博物館へ事前申し込みが必要です
下諏訪駅
星ヶ塔黒曜石原産地遺跡国史跡指定記念シンポジウムを開催します
日時:平成27年11月7日
(土)
13:30~17:00
20
場所:下諏訪総合文化センター 小ホール
諏訪湖
0
1,000
2,000
3,000m
■問い合わせ
下諏訪町教育委員会 下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館
〒393-0033 長野県下諏訪町10616-111 電話 0266(27)1627 FAX 0266(27)9755
E-mail [email protected]
下諏訪町教育委員会
●星ヶ塔黒曜石原産地遺跡の概要
N
星ヶ塔黒曜石原産地遺跡(以下星ヶ塔遺跡)は、
霧ヶ峰山塊の北西部にある星ヶ塔山の東斜面に広
がる、縄文時代の黒曜石採掘遺跡です。大正9年
の鳥居龍蔵の調査により、黒曜石原産地遺跡であ
ることが明らかにされ、昭和34年から36年にかけ
TPO1
て行われた藤森栄一らによる調査により、縄文時
代の黒曜石採掘遺跡であることが明らかになりま
した。平成9年から25年にかけて下諏訪町教育委
員会が調査を行い、約3万5千㎡の範囲に縄文時
●3号採掘跡
代の黒曜石採掘跡が193か所分布していることが
明らかになりました。そして、発掘調査により縄
文時代前期と晩期の黒曜石採掘坑が発見され、長
たたきいし
● 敲 石(縄文時代晩期 左上8.08㎝)
この石器でコツコツと黒曜石岩脈を掘り割っていた
と推定しています。
期間にわたる黒曜石採掘遺跡であることがわかり
ました。星ヶ塔遺跡の黒曜石は、理化学的産地分
析により東北から東海地方までの極めて広い範囲
TPO4
に供給されていることが明らかにされています。
このように星ヶ塔遺跡は、縄文時代の資源開発と
流通を考える上で極めて重要な遺跡として、平成
27年3月に国史跡に指定されました。
●敲石による採掘を示す原石(縄文時代晩期 左上5.45㎝)
敲石による採掘の衝撃で一端がクサビ状に割れた黒曜石原石。
採掘の痕跡
黒曜石岩脈
流紋岩
採掘ピット
1
●縄文時代前期(約5700年前)の黒曜石採掘坑
火砕流に含まれる黒曜石を採掘しています。人一人がちょうど入るくらいの
大きさ。上は出土した土器です。
●採掘の痕跡と採掘道具(縄文時代前期)
採掘坑の壁面には細長い溝状の採掘の痕跡が残っていました。溝
のサイズや形状から鹿角ピックによって黒曜石を掘り出した痕跡
と推定しています。
●採掘坑出土土器(縄文時代晩期)
●縄文時代晩期(約3000年前)の黒曜石採掘坑
縄文時代晩期の採掘坑は前期とは異なり、星ヶ塔山の基盤である流紋岩の周縁部に生成し
た黒曜石の岩脈を採掘しています。調査で確認した黒曜石岩脈の面積は5㎡程度ですが、
そこには円形や船底状を呈する大小の採掘ピットが12基確認され、いずれのピットも1m
以上黒曜石岩脈を掘り込んでいたことがわかりました。