第10 回 住まいのまちなみ コンクール 住まいの まちなみ 賞 特定非営利活動法人 新屋参画屋 ■地区名 (所在地) ・面積・戸数:新屋表町通り (秋田県秋田市新屋表町ほか) 、 約1.0ha、 125戸 1. 団体の概要 ①団体の種別:NPO 法人 ②団体全体の予算:年間約80 万円 施設費 72万円、活動費8 万円 ③外部委託:なし ④共有地・共有施設:なし ⑤まちなみのルール:新屋表町通り景観まちづくりガイド ライン(2007年策定) 2. 維持管理活動の概要 特定非営利活動法人 新屋参画屋。左から渡邉浩昭、高橋伸、冨野昭雄 新屋地区は秋田市西南、雄物川河口の左岸に位置す 3)現在の活動状況 1)まちなみ形成の時期 る。江戸時代には川湊が築かれ、秋田─酒田間の宿場町 として栄えた。西側の丘陵沿いを南北に通る羽州浜街道 (酒田街道)と、その東側を平行に通る新屋表町通りがま ちの骨格を構成し、通り沿いには切妻屋根、妻入、小羽 葺、2 階建てを特徴とした町屋や酒蔵が建ち並んでいた。 こうしたまちなみは、1814(文化 11 )年と 1886(明治 19 )年の大火で多くが失われたが、現在 3 つの国登録有 形文化財の建物、町屋 7 棟(周辺も含め 15 棟) 、蔵 17 棟 (同 20 棟) 、社寺、歴史的な雰囲気の古い建物が点在す る。湧き水が流れ出る場所もあり、往時の雰囲気が漂う。 2)活動の開始時期と活動の経緯 景観まちづくり活動は、2005 年度に「大学コンソーシ アムあきた」と市による調査・提案がきっかけである。 以後、住民、秋田公立美術工芸短期大学、事業者、市が 協働し活動が展開され、景観まちづくりガイドラインを 策定。2007 年度には新屋表町通り活性化推進委員会を設 参画屋は 1 階に店舗、2 階に設計事務所が入居し、ま ちづくり活動の拠点の一つとなっている。ものとまちの 魅力を楽しむイベント「もの × まち さんぽ」や、酒造 跡地の活用促進を目的とする「鹿島祭 PR イベント」 「新 屋水祭り」など、他団体とのコラボにも取り組んでいる。 まちづくり基本構想の策定にあたっては、会員が活動 経験をもとに提案しているほか、会員が補助金を活用 し、国登録有形文化財の自邸を改修した。これは景観向 上に寄与し、ノウハウの蓄積にも繋がると考えている。 4)今後の活動方針 ①新屋参画屋の維持・管理、②新政酒造跡地の施設整 備への積極的な関与、③愛宕下地蔵湧水広場整備計画の 実現に向けた取り組み、④渡邊幸四郎邸の保存・活用、 ⑤アーティストの移住・定住をめざした研究、⑥酒造跡 地のオープンにあわせた国際的アートイベントの企画、 古地図など歴史文書の復刻・頒布、などを検討している。 立し、愛宕下地蔵湧水広場整備計画の策定などを行った。 65 2008 年 10 月、羽州浜街道の三叉路に位置する建物を改 島 牛 後 羽 修。その形状が三角屋を想起させると同時に、多世代が 楽しみながらまちづくり活動をという願いを込めて「新屋 談会も設立し、まちづくりの提言をまとめて提出した。 これを受け、市は新屋まちづくり基本構想を策定した。 38 家とまちなみ 72〈2015.9〉 新屋 りの核としての活用要望書を提出。あらやまちづくり懇 7 秋田 南バ イパ ス 2012 年 6 月、NPO を含む地元団体は市に対し、表町通 りの中心に位置する新政酒造跡地の買取りと、まちづく 日新小学校 酒田 街道 まちづくりイベント事業などを行うために設立された。 新屋海浜公園 参画屋」と命名した。NPO 法人はその維持管理を行い、 56 新屋表町通り 日吉神社 65 大森山公園 56 線 本 越 羽 秋田公立 美術大学 雄物川 秋田南高校 13 ■第10回住まいのまちなみコンクール 1 4 2 5 3 ①改修され、まちづくりの拠点の一つとなっている新屋参画屋 ②まちづくりイベント 「参画屋ケイカン」のチラシ ③まちづくりのエリアの考え方 (新屋まちづくり基本構想より) ④国萬歳酒造 (国登録文化財) ⑤ひろ建築工房 (国登録文化財) ⑥味噌・醤油を扱う森九商店 (国登録文化財) 6 7 8 9 10 11 ⑦新屋鹿嶋祭の鹿島船大集合 ⑧まちには湧き水が流れ出ている ⑨ 「もの×まち さんぽ」のチラシ ⑩あらや水祭りでのまちなかコン サート ⑪鍋を囲むイベント 「なべっこ」 ⑫まち歩きイベントの様子 12 (提出図書より一部を抜粋) 家とまちなみ 72〈2015.9〉 39
© Copyright 2025 ExpyDoc