自動運転を代表例とするクルマのスマート化の進展と ICT の役割・課題 フォトニックデバイス・応用技術研究会予稿 Abstract for Optoelectronics Industry and Technology Development Association 野辺 継男 (インテル<兼>名古屋大学) Tsuguo Nobe (Intel, Nagoya University <Adjunct>) E-mail: [email protected] 自動運転を代表例とするクルマのスマート化の進展と ICT の役割・課題 Roles and issues of ICT for the development of Smart Cars, aka Autonomous Cars. 自動運転車は、カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR1、 超音波等の多様なセンサー群(図 1)及び ECU2等 から得られるデータからクルマの周囲環境情 報や走行状態を常時認識し、3 次元地図とも対 比し、ぶつからない進路を決定し、その結果を CAN 等制御系システムに直接流し込み人間を 介在させずに走行する。 上記の様に不特定多数からの莫大なデータを 収集し、環境情報や走行情報を機械学習に掛け ソフトウエア的に生成する必要も生じる。 図 2:計画的(先読み)自動運転の重要性 また、データセンターで分析された環境情報 や走行状態等の集合知を API 化して第三者に 提供することにより、新たな事業機会を作る出 すことも可能となる。 (図 3) 図 1:周囲の状況を認識するセンサー群 一方、上記各種センサーの認識可能距離は 高々100m~200m であり、例えば時速 100Km で 走行した場合 200m は 7.2 秒に相当し、センサ ー群による状況認識のみでは近視眼的すぎる 運行となる。例えば、その先の「見えない世界」 に於ける白線の劣化や工事等による車線減の 情報等を加味しなければ自動運転は安全に対 処できない。 この為、先を走る不特定多数のクルマが認識 した環境の変化(与えられた地図との差分)を クラウド上の地図データベースに更新し、そう した集合知を後続のクルマが参照して自動運 転に利用することになる。(図 2) 更に、世界中の異なる国々のいかなる道路で も自動運転で走り抜けられる様、例えば一般道 路のいかなる交差点をも安全に右左折や通過 を行う走行アルゴリズムを国際的なレベルで 1 2 LiDAR: Light Detection and Ranging 或は Laser Imaging Detection and Ranging ECU: Engine Control Unit 或は Electronic Control Unit 図 3:クルマの知能化と新事業開拓の関係 こうしてクルマはどんどんスマート化する が、このために今後の ICT の指数関数的成長を 前提としたクラウドや IoT、更には人工知能等 の技術的実現や利用が急務であり、平行して、 自動運転時のシステムと人間の間の新しいヒ ューマンファクタの研究や、ネットワークセキ ュリティ、プライバシー問題等の課題抽出とそ の解決も緊急課題として重要となる。
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