河成データベース凡例

河成データベース凡例
《基本情報》
一、 本データベースは『相生市史』
(後述)に収載された史料をもとに主に現・兵庫県相生市に存在した東寺
(京都市南区)領の荘園、播磨国矢野庄の河成もしくは水損を悉皆的に集積したものである。
一、 本データベースは矢野庄の関連史料を悉皆的に収録した『相生市史』7 巻、8 巻上、8 巻下をもとに作成
した。なお、最初に古文書編からの採録分を載せ、
『学衆方引付』
『供僧方引付』からの採録分(7 巻所載)
は後に載せている。
一、 本データベースでは史料上に「河成」
「河」
「川」
「水損」などと表記される、水害の被災地域を収録して
いる。史料上にあらわれるこれらの項目は、荘園における租税の免除名目(除分)であることが多いが、
必ずしもそうといえないものも含まれる。環境史の観点から、本データベースでは、これらの被災地域に
ついても収録した。
《各項目について》
一、
「番号」の項目には、矢野庄において検出した河成を、刊本の順番に沿って通番を付した。
一、
「河成認定年」
「河成認定終年」の項目には、その河成が認定された年が史料からわかる場合、その年を記
した。その記載方式は以下の通りである。
①認定年が単年に限られる場合
例えば、
「応永卅四年川」の場合は、応永 34 年(1427 年)認定分の河成であり、認定年・認定終年と
もに「1427」とする。
②複数の認定年度が集合した河成の場合
例えば、算用状には「康応元年〈ヨリ〉応永十六川〈マテ〉」など、複数年度にわたる河成が統合され
ているものがある。この場合、認定年を「1389」
(康応元年)
、認定終年を「1409」
(応永 16)として表
現する。
③始年・終年がはっきりしない場合
例えば、
「検注以後、至徳年中川」などは算用状に散見するが、この場合、
「検注」は年次が不確定のた
め認定年を空欄とし、
「至徳年中」はほかの記述に至徳 2 年とあり、分米も一致するため、認定終年は
「1385」とする。
また、文字に欠損がある場合には括弧を付した。
一、
「国名」
「荘園名」の項目には、その荘園の所在する旧国名、その荘園名を記した。
一、
「名」の項目には史料からわかる名(荘園における収取単位。例えば、
「重藤」など)を記した。
一、
「地名」の項目には、その河成の所在する地名を、史料上の表記に従って記した。
一、「地名読み仮名」の項目には、検索の便宜の向上のため、地名の読み仮名を記した。なお、この読み仮名
は作成者の推測に基づくものであり、必ずしも正確な読みを反映したものではない。また、濁点は省いた。
一、「地目」の項目には史料でわかる限り、「田」「畠」などの地目を記した。また、作物などもわかる場合に
はあわせて(例えば、
「麦畠」など)記した。
一、「内容」の項目には、河成の史料上の表記を記した。前後に関係する記述が含まれる場合は、適宜そこま
で含めた。
一、
「総面積」の項目には、見作(耕作されている土地)
・除分(租税免除分。河成を含む)を合わせた面積を
記した。
「総面積」に出分は含まない。
一、「河成面積」の項目には、その河成の面積を記した。なお、河成が他の除分と複合する場合(例えば「不
川」「川荒」などは「不」「荒」という除分との複合であり、面積にはその合計分が記される場合が多い)
は史料にしたがって基本的に合計分を記し、備考欄にその旨及び河成分の面積がわかる場合には、あわせ
てそれも示した。
一、「その他除分」の項目には、同一の地名、あるいは名において河成以外の除分が確認できる場合にこれを
記した。ただし、対象が広範囲にわたる算用状などの場合にはこれを略した。
一、「分米」の項目には、史料からその河成分に対応する分米の量(収穫・貢納される米の量)が判明する場
合には、これを記した。
一、
「学衆方代官(1)」
「供僧方代官(1)」の項目には、河成認定年に対応する学衆・供僧両方の代官名を記し
た。
各時期の代官の比定については不明なところも多いが、『相生市史』
(2 巻 282・288 頁、応永 34 年以降
のものを整理)および富田正弘「中世東寺の寺官組織について-三綱層と中綱層-」
(
『資料館紀要』13、
1985、京都府立総合資料館)所収の表、伊藤俊一『室町期荘園制の研究』
(2010、塙書房)所収の論考を
参照しつつ、同じく『相生市史』所収の関連史料から、わかる範囲で行った。疑問が残る場合は「~カ」
を付した。
一、
「文書名」の項目には当該史料の『相生市史』における名称を記した。
一、
「年次」
「西暦」
「月」
「日」の項目には、当該史料の発給年月日を記した。
「年次」の項目には和暦を、
「西
暦」には対応する西暦を記した。
「月」の項目において、閏月については、
「.5」を付してこれを表す。例
えば、閏 4 月の場合は、
「4.5」などと記す。
一、
「学衆方代官(2)」
「供僧方代官(2)
」の項目には、その史料作成当時(文書なら発給年月日、引付なら当
該条)の学衆方・供層方双方の代官名を記した。
一、
「刊本」の項目には、その河成の収載された刊本を記した。
一、
「巻」の項目には、『相生市史』の当該巻数を記した。
一、
「文書番号」の項目には、
『相生市史』における当該史料の文書番号を記した。
一、
「刊本頁」の項目にはその河成を検出した、
『相生市史』の頁を記した。
一、その他必要な情報は適宜「備考」の項目に記した。
《全体を通じての記載方針》
一、異体字については、適宜常用漢字に改めた。例えば、
「无地」→「無地」のようにしてある。
一、割注・小文字については、
〈〉を付した。
一、単位は表記を統一した。例えば、面積を表す「反」という表記には「段」などもあるが、これらはすべて
「反」に統一した。他についても、最も一般的と思われる表記に統一する。
一、算用状において、河成や水損と明記されていない場合でも、前年の分米の数値との一致などにより、河成
と考えられるものは、これを採録した。
一、繰り返し記号については、刊本によった。
一、判読困難な文字については、文字数が推測できる場合にはその文字数分の□で表し、推測しがたい場合に
は[
]で表した。判読不能部分にあてる文字は()を付して記述し、その推測はおおむね刊本により、
一部データベース作成者の判断とした部分もある。
一、史料において、同じ内容を表す場合に「同」などと表記される場合があるが、これは適宜改めた。
《付記》
一、本データベース及び凡例の作成には勅使河原拓也があたった。
一、本データベースは平成 23~26 年度科学研究費補助金(研究課題番号:23520854)によって作成・公開さ
れた。