床材と安全性

床材と安全性
「どれだけ転倒しにくいか?」
「転倒時の衝撃は?」
床材に要求される安全性は、人が安心して過ごせる空間づくりにかかせない要素です。
床 材の耐久性を見る目安
床材が安全性に関与する3つの要因
1
2
転 倒 事 故−防 滑 性
床材が滑りやすい = 防滑性C.S.R値が小さい。
床材が滑りにくい = 防滑性C.S.R値が大きい。
転倒事故によるけが−衝撃吸収性
・転倒時に、床に体や頭
を打ちつける
床が硬い。
衝撃吸収性の加速度Gの数値が大きい。
壁が硬い。
床材の滑りやすさが変わる = 異なる床材が施工されている。
水や油などがついている。
砂などがついている。
ラグマットなどが敷いてある。
・転倒時に、壁面や家具
などに衝突する
壁面にガラスがある。
階段の下にガラスや鋭利なものがある。
大きなけがになる。
思っていたのと滑りやすさが違う。
3
体が対応できずに、判断違いで、転倒する。
■ 転倒の環境要因とその目安
滑りやすい
方向や危険物を見まちがう−視認性
・視線の低い高齢者
・床のデザイン貼りで誘導する。
・文字の読めない幼児
・床のデザイン貼りで危険を知らせる。
滑りにくい
履物
靴下
革靴
ゴム底靴
素足
・サイン部分が小さすぎて見えない。
・サインと周囲の色差がなく見えない。
床の状況
歩行者
凍っている
油が
ついている
焦って
走っている
水濡れ
急ぎ足
各要因の組み合わせにより、滑りやすさは変化します。
484
乾燥した
砂が
撒かれている 美しい床
平静心で
歩行している
・2色の明度差が小さいので照度が低いと見えない。
・サインの形や配色が誤解をよぶ。
意図する注意喚起・誘導効果が得られない。
1
床材を選ぶときに
床材の耐久性を見る目安
防滑性の見分け方と目安
床材表面の状態や履物の違いから、床材の滑りにくさの程度をあらわす<防滑性>。
東リでは「JIS A 1454(滑り性試験)」による「水+ダスト」の滑り性試験結果のC.
S.
R値を基に、
防滑性のある床材をマークで表示しています。
C.
S.
R値は、数字が大きいほど滑りにくく、小さいほど滑りやすい事を示しています。※一部製品については、素材・規格等その製品の特長から、他の要素も加味しています。
【 TOLI防滑性マーク 】
乾燥時に優れた結果を示し、湿潤時
にもそれほど結 果が低 下せず優れた
結果が得られた製品。マンションの開
放廊下やバルコニー、調理室、
トイレ、
プールサイドに適している。
【評価解説】
※試験方法の詳細は10∼13頁を参照して下さい。
ランク
防滑性
水など異物が床と靴底の間に介在した時に滑りやすくなる
床材は転倒の可能性が高くなります。
結果( C . S . R 値 )
用途の目安
A
水+ダストで0.45以上
マンション通路、調理室、
トイレなど水の介在する可能性の高い場所。
B
水+ダストで0.4以上
水の介在する可能性が低く、通常の歩行が行われる場所。
JIS A 1454 滑り性試験
※素足での滑り性はC.S.R・B値で評価します。0.3%石鹸水でC.S.R・B値が0.7以上あれば安心できるレベルであるといえます。
床材表面の状態の変化による影響
履物の違いによる影響
高分子系床材は、水や油が付くと、
その液体が床材表面に皮膜を張ったようになり、
同じ床材でも靴底の形状によって、滑りやすさは異なります。又、同じ床材、同じ靴底
滑りやすくなります。多くの防滑性床材のような、凹凸のある床材は、液体を凹部に逃
でも、乾燥した状態か水に濡れた状態かによって、滑りやすさが異なります。
がす事によって、滑りやすさを緩和しています。
また、弾力性のあるやわらかい床材で
床材を施工する場所で常用される靴の種類や、水を使用するか否かによって、安全な
は、砂粒がめり込んで滑りにくくなる場合もあります。但し、凹凸のある床材は汚れや
床材は変わります。
カーペットは、水や油のような液状の汚れが付着しても、比較的滑りの程度が変わら
■ 参考データ《複層ビニル床シート−フロアリューム プレーン》
(C.S.R値)
ず、転倒事故の発生しにくい床材です。
床 材
水+ダスト
乾燥した状態
水+ダスト
合成ゴム底
0.84
0.46
リハビリ靴
0.80
0.43
ビニル底スリッパ
0.45
0.41
0.24☆
0.45
靴下
NSタイル
(防滑性ビニル床タイル)
0.62
NS800
(NS800番台)
(防滑性ビニル床シート)
0.57
マチコV
(一般ビニル床タイル)
0.43
フロアリューム プレーン
(一般ビニル床シート)
0.46
表面形状により、水などが
床材と安全性
■ 参考データ
(C.S.R値)
靴 底
Manua l
すい欠点を持ち合わせていますので、
メンテナンスに注意が必要です。
☆靴下は乾燥した状態での数値が非常に小さく、
この状態では滑りによる転倒事故が発生しやすいと
考えられます。
※上記C.
S.
R値は、代表的な靴底にて測定しましたが、靴底の形状及び材質等により数値が異なります。
介在しても影響を受けにくい。
■ 参考データ《コンポジションビニル床タイル−マチコV》
(C.S.R値)
水などが介在すると
影響を受けやすい。
靴 底
乾燥した状態
水+ダスト
合成ゴム底
0.7
0.43
革 底
0.45
0.41
485
床撃吸収性の見分け方と目安
材の耐久性を見る目安
衝
転倒時の衝撃を床がどれだけやわらげるかを示す<衝撃吸収性>。
東リでは「JIS A 6519(床の硬さ試験)」を基に全製品を評価し、ランク付けしています。
【評価解説】
※試験方法の詳細は10∼13頁を参照して下さい。
衝撃吸収性
ランク
衝撃吸収性に優れた床材ほど、衝撃を緩和する力に優れ安全
結果
用途の目安
A
100G以下
体育館など激しく転倒する可能性が高いと予想される場所。
性にも優れています。学校や病院、福祉施設など弱者の利用
B
100超∼115G以下
福祉施設・学校など利用者の転倒の可能性の比較的高い場所。
する場所で、大切な要素となります。参考までにコンクリート床
C
115超∼130G以下
通常歩行だが、転倒時の安全を望む場所。
の衝撃吸収性は150Gです。
D
130G超
通常の歩行が行われる場所。
JIS A 6519 床の硬さ試験
床材の衝撃吸収性
下地構造材の衝撃吸収性
転倒によって床に激突した時の衝撃をどれだけ緩和できるかは、床材の硬さ試験
転倒時の安全性は、内装材である床材の衝撃吸収性よりも、下地と構造材の衝撃
(JIS A 6519 体育館用鋼製床下地構成材)
のデータG値
(転倒衝突時の衝撃加速度)
吸収性が大きく寄与します。例えば同じ床材でも、
コンクリート下地よりも木造組床下
によって比較できます。G値は、数値が小さいほうが衝撃吸収性に優れています。衝
地のほうが、はるかに衝撃吸収性に優れています。逆に、衝撃吸収性の良い床材で
撃吸収性を求められる体育館の床は、JISで100G以下と規定されています。
この数
も、
コンクリート下地では得られる性能に限界があります。
値は、単なる床材表面のやわらかさや弾力性の評価とは異なります。
■ 参考データ 下地構造の違い
■ 参考データ 床材の違い
(コンクリート下地)
下地構造材
床 材
コンクリート
150
150
複層ビニル床シート
(フロアリューム)
2.0
143
発泡複層ビニル床シート
(SFフロアNW)
2.8
126
タイルカーペット
(GA-100)
6.5
125
加速度G
クッションフロア
(CF-H)
1.8
116
カーペット
(グレース)
6.0
116
発泡複層ビニル床シート
(SFフロアNW)
+アンダーレイシート
7.3
91
カーペット+フェルトグリッパー
(10㎜)
16.0
85
たたみ
55.0
55
1
2
ジュートバック+フェルト
(グリッパー工法)
ジュートバック
塩ビバック
良くない
■ 高分子系床材など硬質の床材と衝撃吸収性の目安
衝撃吸収性
良い
床材
クッションフロア
防音木質フロア
発泡ビニル床シート
ビニル床シート
ビニル床タイル
良くない
コンクリートスラブ
+
ころばし根太
+
12㎜厚合板
1
中心部
44
2
根太の上
117
バッキング
衝撃吸収性
良い
150
コンクリートスラブ
■ カーペットのバッキングと衝撃吸収性の目安
486
測定位置
全厚
(㎜) 加速度G
1
2
3
コンクリートスラブ
+
ころばし大引き
+
根太
+
12㎜厚合板
1
中心部
2
根太の上
44
66
3
根太ところばし
大引きの上
102