決済を起点とした新しいマーケティング

2015/3
42
vol.
決済を起点とした新しいマーケティング
…
37.5pt
2011/7 …
18pt
電子決済の一方式であるプリペイドカードに、MasterCard や VISA
などの国際ブランドの加盟店で利用できる機能を追加したもの。与
12
月には具体
国際ブランドプリペイド
2014年6月に閣議決定された「日本再興計画」
… 12.25pt
31
の改訂版において、
「2020年オリンピック・パ
vol.
ラ リ ン ピ ッ ク 東 京 大 会 等 の 開 催 等 を 踏 ま え、 キ ャ
Century Expanded LT Std Roman
ッ シ ュ レ ス 決 済 の 普 及 に よ る 決 済 の 利 便 性・ 効 率
http://www.dnp.co.jp/works/
性 の 向 上 を 図 る 」 と 掲 げ ら れ、 同 年
DNP のソリューションの情報は
下記ホームページでもご覧いただけます。
的 な 方 策 が 発 表 さ れ る な ど、 キ ャ ッ シ ュ レ ス 化 は
政府の成長戦略のひとつとして認知されている。
Vol.42 2015 March
キャッシュレス化に
関する政府方針
Keywords
信不要で即時発行でき、若年層や高齢者にも使いやすいという手軽
さはそのままに、従来型のプリペイド(ハウスプリペイド)にはな
かった幅広い利用店舗を実現している。国内における外国人旅行者、
海外に渡航する日本人などの需要も期待できる。
Card Linked Offer
CLO
クレジットカード利用情報をもとに消費者の購買傾向を
分析し、購買可能性の高い消費者にピンポイントで特典
万以
広告を配信し、加盟店に送客する、広告・マーケティン
グサービス。米国では、すでに数千の金融機関と
上の小売店舗が利用している。日本においては大手カー
ドブランドの一部が対応しているほか、流通・メーカー
企業の新しいアプローチとしても注目を集めている。
40
Payment Card Industry Data Security Standard
PCI DSS
MasterCard、VISA などの国際ブランドが共同で設立した団体が策定す
る、カード会員情報や取引情報に関するセキュリティ基準。以前は各社
が独自設定していた基準を一本化することで、加盟店の導入負荷軽減と
セキュリティレベルの向上を目的に設けられた。DNP は国内企業に先駆
け、2008年に PCI DSS 認定を取得している。
Bluetooth Low Energy Beacon
BLE Beacon
iPhone の iOS 7にも採用された BLE(Bluetooth Low Energy)を使った無線
位置検出方式で、発信機となるビーコンにスマートフォンが近づくと、その場所
に関連する情報を受けることができる。従来のナビゲーションシステムが利用す
る GPS が苦手とする屋内・地下等でも安定して稼働するほか、特定店舗の情報を
プッシュ送信するなどのサービスにも応用可能。“ IoT(Internet of Things)”の
すそ野を広げる技術としても注目を集めている。
※ iPhone は、Apple Inc. の商標です。iOS は、Apple Inc. の OS 名称です。
About the Cover
(左)エドゥアール・マネ
「テオドール・デュレの肖像」
プティ・パレ美術館
デジタルアーカイブ・ソリューション
(右)ジェームズ・ティソ
「舞踏会」
オルセー美術館
を活用した今回の表紙は、DNP の文
化活動の拠点のひとつである銀座の
Photo©RMN - Grand Palais /
Agence Bulloz / distributed by
AMF - DNPartcom
Photo©RMN - Grand Palais
(musée d'Orsay) / Thierry Le Mage /
distributed by AMF - DNPartcom
MMM が舞台です。19世紀フランス絵
画から出てきた男女が、世界の美術館
グッズを買いに来たシーンを表現しま
した。店舗形態や決済方法など買い物
◎デジタルアーカイブ・ソリューションとは
DNP アートコミュニケーションズ(http://www.dnpartcom.jp/)では、
のカタチは大きな変化を遂げました
「東京国立博物館(TNM)
」や「RMN(フランス国立美術館連合)
」など
が、商品を品定めするワクワク感は、今
多くのコンテンツホルダーとの連携により、多様な画像コンテンツを集
も昔も変わらないようですね。
2 Solutions Dispatch
積。デジタルデータのレンタル、ミュージアムグッズの企画制作など、
アートコンテンツを利用したビジネスの支援をいたします。
撮影:メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド(MMM)
東京・銀座にある MMM では、
「暮らしのなか
にアートを」をテーマに、世界の美術館や作
品の情報提供、世界のミュージアム・グッズ
の販売、
隣接する ggg(ギンザ・グラフィック・
ギャラリー)関連のアーティストの商品の展
示・販売などを行っており、広くアートやデ
ザインに親しんでいただける場所です。
http://www.mmm-ginza.org/
特集
決済を起点とした
新しいマーケティング
欧米各国に比べ、 いまだ現金決済の割合が多い国内市場。
その状況がいま、 大きく変わろうとしています。
決済を支える両輪、 現金取引と電子取引の融合は、
私たちのビジネスにどのような影響を与えるのか。
ICカード製造において国内トップシェアをもち
決済業務を俯瞰的に見つめてきた DNP が考える、
決済を起点とした新たな販促・マーケティングの姿をご紹介します。
Contents
p03
特集
決済を起点とした新しいマーケティング
p04 ・キャッシュレス化社会を支える
「決済連動マーケティング事業」が今秋始動
p06 ・クレジットカード加盟店で使えるプリペイドサービス導入をサポート
【国際ブランドプリペイド決済サービス】
p08 ・Case Study KDDI 株式会社 決済分野のプロたちの知恵とノウハウを結集
リアル店舗でのサービスを拡充し、新市場開拓へ
p09 ・複数の決済手段にワンストップで対応する次世代プラットフォーム
【DNPマルチペイメントサービス】
p10 ・購入商品まで把握可能な独自の CLO で
決済とマーケティングの連携を強化
【決済連動 O2O サービス CLO(カード・リンクド・オファー)
】
p12 ・家計簿アプリを活用し、生活者を動かすネイティブアドを展開
【DNPレシート読み取り家計簿アプリ レシーピ!】
p13 ・Case Study アサヒ飲料株式会社 広告閲覧者の 3.9%が実購買!
p14
BLE Beacon が示すナビアプリの可能性 「東京駅構内ナビ」体験レポート
p16
News & Topics
p19
Messages
2015 March Vol.42 3
Interview
キャッシュレス化社会を支える
「決済連動マーケティング事業」
が
今秋始動
いま、決済の分野では、クレジットカ
ードやデビットカードなどを利用した
キャッシュレス化が世界的な潮流です。
他国に比べて現金決済が多い日本にお
いても、利便性・効率性・安全性の観点
から、政府はキャッシュレス化を成長
戦略のひとつに掲げています。2020年
の東京五輪に向けて訪日外国人による
インバウンド市場も盛り上がるなか、
決済インフラの整備は加速していくで
しょう。また、
地域経済活性化を目指し、
地方銀行が中心となってデビットカー
ドの投入が検討される動きもあります。
電子決済は新たな収益源
異業種からの参入も活発化
ビジネスの面では、リアル店舗やオ
ンラインストアなどの販売チャネルに
流通、プロモーションなどを統合した
オムニチャネル化も電子決済の追い風
です。また、顧客の囲い込みはこれま
でのポイント中心から“電子決済+ポ
イント”にシフト。それをプリペイド
カードで展開することで、確度の高い
情報ソリューション事業部
デジタルセキュリティ本部 本部長
佐藤 邦光(さとう・くにみつ)
4 Solutions Dispatch
企業のパートナーとして
電子決済市場の普及に
取り組みます
世界の潮流はキャッシュレス
国内でも決済基盤の整備が加速
社会のキャッシュレス化が進むなか、
DNPは、決済を起点に高度なマーケティングを展開する
「決済連動マーケティング事業」を始動します。
その狙いと電子決済の可能性について、情報ソリューション事業部
デジタルセキュリティ本部長の佐藤邦光に話を聞きました。
特集 ● 決済を起点とした新しいマーケティング
決済連動マーケティングのしくみ
ットの変革に合わせ、企業とともに成
長していくパートナーとして、キャッ
来店行動
シュレス化社会の実現に注力していく
決意を新たにしています。
販促・送客
生活者
決済基盤
DNP
決済連動
マーケティング
ポイント・決済など
購買データ
販促コンテンツ
その人に合った
販促コンテンツの最適化
決済連動 O2O サービス
CLO
(カード・リンクド・オファー)
DNPレシート読み取り
家計簿アプリ レシーピ!
ネット&リアル
店舗
顧客管理
データ集約・分析
キャッシュレス化社会を拓く
決済連動マーケティング事業
印刷技術を核に事業領域を広げてき
たDNPは、決済などの金融分野、ポイ
ントサービスなどの顧客管理の分野に
おいても多くの実績をあげてきました。
決済については、国際ブランドプリペ
DNPマルチ
ペイメントサービス
企業
マーケティング担当者
DNPハウスプリペイド
構築運用サービス
国際ブランドプリペイド
決済サービス
DNPの「決済連動マーケティング」は、
「決済基盤」
「販促・送客」
「顧客管理」の3つが有機的に連動したビジネスプラッ
トフォームです。顧客情報と決済情報
(ポイント・決済などの購買データ)
を組み合わせて分析した結果をもとに、顧客
に対して適切なタイミング× 方法×コンテンツで販促・送客することが可能となり、LTVの最大化につなげることがで
:顧客の生涯価値
(売上・利益)
きます。
※ LTV(ライフタイムバリュー)
イド(☞p.6)
、ハウスプリペイド、国際
ブランドデビット(※)を提供するなど、
多彩なアプローチでキャッシュレス化
社会の浸透に取り組んでいます。
2015年秋、その集大成ともいえる、決
済を起点に高度なマーケティングを展
開する「決済連動マーケティグ事業」を
開始します。新たに構築した「DNPマ
ルチペイメントサービス」
(☞p.9)を基
購買情報の収集が可能になり、電子決
(☞p.8)
。また、一部のネットサービス
盤として、これまで別々に管理されて
済時のポイント倍付け、といった差別
提供者は、自前のクレジットカードで
きた決済、販促・送客、顧客管理の3つ
化の施策も実施しやすくなりました。
多彩なポイントサービスを展開。EC
の基盤を統合管理し、CLOなどの店
とくにプリペイドカードについては、
サイトにおいて自社カードでの決済を
頭送客ソリューション(☞p.10)
、家計
キャッシュフローを健全化するその特
促進することで、加盟店手数料の発生
簿アプリ「レシーピ!」などで得られた
性も相まって、幅広い業種の企業に浸
を抑えると同時に、リアル店舗での自
購買データを活用した販促ソリューシ
社カード決済を促進し、その分の手数
ョン(☞p.12)などとの連携を強化する
料収益増を狙っています。
ことで、生活者と店舗をつなぐ新しい
透しつつあります。
もうひとつ、電子決済市
場に関する見逃せない動き
が、異業種からの参入が目
立 つ こ と で す。 例 え ば、
電子決済なしに成長なし
収益向上への攻めの施策
循環型マーケティングを実現します。
現在の電子決済市場の盛り上がりを
見ていると、約10年ほど前、それまで注
KDDI の「au WALLET」
これまで企業は決済というと、顧客
目はされているもののなかなか日の目
は、顧客接点を活用し、会員
サービスの一環として“守備的に”対応
を見なかったICカードが、爆発的に普
IDにリアル店舗での決済
するケースが多かった印象ですが、電
及し始めたことが思い出されます。電
機能を追加することで顧客
子決済の多彩なメリットが明らかにな
子決済にまつわる国の方針、市場の需
の 利 便 性 を 向 上 し て、
ってきたいま、
「収益を上げる攻めの施
要、技術の進歩などさまざまな要素が
KDDIに対するロイヤリテ
策」と捉えて積極的に展開していく姿
そろったいま、あの時と同じ大きな変
ィの向上を図っています。
勢が大切です。私たちDNPも、マーケ
革期が近い気がしてなりません。
※「国際ブランドプリペイド」は、対応するクレジットカード
端末であれば世界中どこでも使える事前チャージ式のプリ
ペイドカード。
「ハウスプリペイド」は、特定事業者の店舗の
みで利用できるもの。
「国際ブランドデビット」は、国際ブラ
ンドの端末をそのまま利用できるデビットカード。
2015 March Vol.42 5
【国際ブランドプリペイド決済サービス】
販促・送客
決済基盤
顧客管理
クレジットカード加盟店で使える
プリペイドサービス導入をサポート
世界の国際ブランド加盟店で使える国際ブランドプリペイドが、新しい決済手段および販売促進ツール
として存在感を増しています。国内トップクラスのカード発行・運用実績を誇るDNPは、決済システム
構築から、カード製造、業務委託、マーケティングまでのワンストップサービスを提供します。
最も身近な電子決済手段
企業の販促ツールとして活用
国際ブランドプリペイドの商品ポジショニング
保有対象者
電子マネー
国内でもキャッシュレス化への需要
済手段としてプリペイド(前払い)方式
・外部加盟店での利用時に
手数料収入を獲得
・内部利用で決済手数料を内製化
・一定の退蔵益収入を期待
・審査不要なので顧客層への
プロモーションが容易
国際ブランドプリペイド・
国際ブランドデビット
少
多
のハウスプリペイドや電子マネーが広
利用可能店舗
が高まるなか、生活者の身近な電子決
企業視点でのメリット
多
電子決済にはさまざまな支払・サービス形態
があるなかで、国際ブランドプリペイドカー
く浸透しています。原則として与信が
クレジットカード
不要で、年齢制限もないため、誰もが手
ドは、電子マネーとクレジットカードの特徴
を併せ持つ商品です。口座即時引落サービス
の国際ブランドデビットとともに、世界的に
少
軽に利用可能。また、事前にチャージ
は一般的な決済手段として定着。日本でも導
入する銀行・カード会社が増えています。
するため、使い過ぎる心配もありませ
ん。一方、導入企業は、お金を先に預か
生活者視点では、利用できる加盟店
ドプリペイドのカード製造および決済
る形となるため、
キャッシュフローの良
が多く、リアル店舗でもオンラインスト
システムのASPサービス、申込書入力
化と将来の売上確保が期待できます。
アでも安心して利用できるうえ、ポイ
業務等のBPOサービスなどを提供し、
国内 ICカードシェアNo.1のDNPは、
ントや割引等の特典が受けられるメリ
1,000万枚を超えるカード発行および運
早くからこのハウスプリペイドを多く
ットがあります。
用実績をあげています。
の企業に提供 しています。
一方、導入企業にとってのメリット
DNPの提供するサービスの特徴は、
そして世界的なキャッシュレス化が
は、与信が不要なため、自社が抱える顧
プラットフォーム型の共通機能に、導
進行するなか、MasterCard やVISA
客層全員に対してプロモーションや囲
入企業の要望に合わせた個別機能をカ
といった国際ブランドの全世界加盟店
い込みができるという点です。それに
スタマイズする形で提供する点です。
の決済端末で利用できる国際ブランド
ともない、広告宣伝費やポイント負担
カード製造・発行、申込書情報入力業務
プリペイドが登場。とくに日本では、
などの販売促進費は増加しますが、
に加え、3-Dセキュア認証サービス 、
諸外国より現金による少額決済が多い
CLOサービス(☞p.10)等との連携で
CLOサービス、販売促進プロモーショ
ため、カード発行会社や銀行は新しい
その負担は削減可能です。また、世界
ンといった周辺ビジネスもワンストッ
決済手段となる国際ブランドプリペイ
中に浸透した国際ブランドを付与する
プで提供。また、国内の印刷会社でい
ド需要を見越し、提携企業の開拓に注
ことによるステイタス・安心感も大きく、 ち早く2008年にPCI DSS認定を取得
力しています。
外部加盟店での利用による手数料収入、 した経験にもとづく、安全性の高い運
※1
電子マネー+クレカの特徴を活かし
顧客囲い込みと新たな収益源に
電子決済には多彩な商品があります
が、国際ブランドプリペイドカードは、
電子マネーとクレジットカードの特徴
を併せ持つ存在です(上図)
。
※2
内部利用における決済手数料の内製化
用・管理体制を構築しています。さら
による収益増強、チャージ額に対する
に今後は、ショッピング機能に加え、海
一定の退蔵益収入なども期待できます。
外送金機能にも対応予定。カード発行
安全性の高い運用・管理体制を
構築し、周辺ビジネスまで
ワンストップで支援
からバリュー管理まで、国際ブランド
DNPでは、2013年から国際ブラン
プリペイドのライフサイクルを一貫し
て管理するシステムとなっています
(右上図)
。
※1「DNPハウスプリペイド構築運用サービス」=自社の店舗、特定の店舗のみで利用できるハウスプリペイドの発行に必要な要素をワンストップで構築運用できるサービスを展開。
6 Solutions Dispatch
特集 ● 決済を起点とした新しいマーケティング
国際ブランドプリペイド発行に必要となる主な機能
会員
加盟店
・入会
・チャージ
・利用
・照会
DNP
決済端末
BPO
インターネット
申込情報入力
各種発送
カード製造・発行
バックエンド
システム
カード情報生成
入会
会員ポータル
バックオフィス機能
プロセシング
システム
ブランド接続
オーソリ・売上処理
残高管理
カード発行会社
国際ブランド
・バリュー発行管理
・会員管理
・法令対応
・各種精算
・カード番号帯提供
・決済ネットワーク
提供
一般にカード発行会社は、国際ブランドよりカード発行ライセ
ンスを受けて、業務およびシステムを運営、あるいは、業務委託
します。それに対して、DNP 国際ブランドプリペイド決済サー
ビスは、サービス導入・運用に必要なカード番号管理、会員管理、
売上・残高管理などの基本機能と、店舗接続、チャージ方式、ポイ
ント連携などの独自機能をカスタマイズして組み合わせ、ワン
ストップのクラウドサービスとして提供します。
導入実績としては、携帯上の買い物
さらに多彩なキャッシュレス決済を
が見直され始めています。また、顧客
や送金ができるサービスにインターネ
実現するため、DNPはカード発行・決
囲い込みやリアルの世界での導線を追
ット専用のVISAプリペイド機能を追
済管理のプラットフォームの構築・運
いかけるための新しいチャネルとして、
加したカード、企業のポイントカードと
用を日本ユニシスと連携。クラウド基
カード発行会社や銀行以外にも幅広い
一体化したVISAプリペイドカードな
盤を活用した汎用型決済サービスの提
企業の参入が期待されています。政府
どがあります。
供を、2015年4月から販売開始します。
がキャッシュレス決済を成長戦略のひ
また、国際ブランドプリペイドはオ
クラウドでの提供により、導入企業は、
とつに掲げるなか、少額決済の現金比
ンライン専用カードが先行していまし
独自開発によるシステム導入と比べ、
率が高い日本市場と親和性がある点も、
たが、その認知・普及を見越して、今後
初期コストを抑えられ、短期間でサー
プリペイドカードにとっての追い風と
はリアル店舗(オフライン)での汎用プ
ビスが開始ができるようになります。
いえるでしょう。今後は、国際ブラン
リペイドへの展開も期待されています。
その代表的事例としては、KDDIとウ
ェブマネー、クレディセゾン、DNPが
ドデビット等の決済サービスやCLOと
カードの価値を見直し
多様なキャッシュレス決済促進へ
の連携によるサービスの充実も期待さ
れ、官民一体となって展開されるキャ
連携したau WALLETがあります(☞
国際ブランドプリペイドの登場で、
ッシュレス化社会の実現はさらに加速
p.8 Case Study)
。
電子決済市場においてもカードの価値
していくものと見られています。
au WALLET カード とは?
au WALLET カードは、Master
Card 加盟店および WebMoney 加
戦略である 3M 戦略
盟店で利用可能な国際ブランドプ
してスタートしました。約 3,400
リペイド式カードです。利用金額
万人の au 顧客基盤を活用し、会員
に応じて WALLET ポイントが貯ま
ID である「au ID」に、新市場と
り、 貯 ま っ た ポ イ ン ト は、au
なるリアル店舗での決済機能を追加。
WALLET カードにチャージして次
回の買い物や au 携帯電話の機種変
既存市場と新市場をつなぐ新たな
日足らずで300万枚を突破。約5カ月後には660万枚を突
O2O 事業を展開しています(次項
スマホアプリも提供。さらなる利用拡大を目指します。
更時の割引などに利用できます。
に関連記事)。
また、残高確認、チャージ、ポイ
ント交換ができるスマホアプリも
提供しています。
au WALLET は、KDDI の 国 内
の第三弾と
(※)
※3M 戦略とは:さまざまなコンテンツやサービスを、
いつでもどこでも、最適なネットワークで、好みのデ
バイスを使ってユーザーが利用できる通信環境を提供
する戦略。
2014年5月21日に開始したau WALLETの申込数は、50
破しました。残高確認・チャージ、ポイント交換ができる
*すんごい貯まる すんごい使える
au WALLET
http://www.au.kddi.com/au-id/
au-wallet/pr/
※2「3-Dセキュア認証サービス」= Visaが開発したインターネット上のカード決済における本人認証技術。
*3-D Secure
(セキュア)
は Visa, Inc. の登録商標です。
2015 March Vol.42 7
Case Study
KDDI×【国際ブランドプリペイド決済サービス】
決済分野のプロたちの知恵とノウハウを結集
リアル店舗でのサービスを拡充し、新市場開拓へ
2014年5月、KDDIは、新しいプリペイド型の決済サービスとして、会員ID(auID)と紐づけされた「au WALLET」を導入しました。
本プロジェクトを推進するKDDI新規事業統括本部、KDDIのグループ会社でプリペイド型電子マネーを発行するウェブマネー、
MasterCardのメンバーシップを提供するクレディセゾン、それぞれの担当者に、その狙いと手応え、成功に至ったポイント等を伺いました。
Q
au WALLET 導入の
経緯・狙いは?
Q
導入時の留意点、ご苦労は?
各社の役割
KDDI
サービス主体、会員管理
ウェブマネー・橋野氏(以下、H)
:プ
N:立ち上がりから実施まで時間が短
ウェブマネー
カード発行、バリュー管理
リペイド型電子マネーをWeb上のゲ
かったため、
時間との勝負でした。また、
クレディセゾン
国際ブランド・加盟店関連業務
ーム等で展開していましたが、なかな
商品をお客様にとってわかりやすいも
DNP
カード製造、システム開発
か浸透しませんでした。コンビニ等で
のにするよう、カードの機能はできる
KDDIが管理する会員 ID
(auID)
情報とポイントを紐づけ、ウ
匿名の人に配りたいという思惑もあり、 だけシンプルにし、店頭(auショップ)
ェブマネーがバリュー
(残高)
管理システムを運用。クレディ
リアル店舗でも使え、利用者拡大が期
で取り扱いやすいようにしました。
カード製造及び、国際ブランドネットワーク接続を担当。
待できる、国際ブランドプリペイドを
H:ブランドプリペイドはオーソリに
選択しました。
よるバリュー管理等の特殊な電文処理
Y:リアル店舗で使われる国際ブラン
クレディセゾン・吉中氏(以下、Y)
:
が必要になるので、クレディセゾンさ
ドプリペイドとして広く受け入れられ
当社はクレジット(後払式)カードを中
んやDNPさんの知恵をお借りしなが
た、画期的な存在だと思います。
心に展開してきましたが、前払方式の
ら、短期間で多くの課題をクリアしま
N:当初から想定を上回る申し込みが
可能性にも早くから注目し、チャンス
した。
あり、DNPさんには短期間で大量の
を狙っていました。これまで培った決
Y:店頭インフラなどは既存のものを
カード製造に対応いただきました。お
済分野のノウハウとインフラを活かせ
活用できるのですが、取引データ処理
かげさまで多くのお客様にご利用いた
ると考えました。
等にはノウハウが必要でした。
だいているため、ポイントアップ提携
KDDI・中井氏(以下、N)
:ネットで弊
Q
社サービスをご利用いただいている会員
導入後の手応えは?
セゾンが国際ブランドのメンバーシップを提供し、DNPは
店舗様への送客には手応えを感じてい
ます。
様に対するリアル店舗での接点が薄か
H:当社のカードと2タイプ発行しまし
ったため、決済を含め、解決策を日々模
たが、au WALLET の反響が凄い。
索していました。そんなタイミングで出
きちんと育てていけば、我々にとって
Y:タイミング。1年前なら経験が足り
合ったのが、今回のプロジェクトでした。
も主力商品になる手応えがあります。
ず、1年後ならこれ程の話題にならなか
Q
プロジェクト成功の
キーワードは?
ったかもしれません。今後も本分野の
ビジネスを加速・進化させていきます。
H:連携とスピード感。当社だけでは
国際ブランドとの連携は無理でした。
今後は、課題のチャージ拠点強化にも
注力していきます。
N:キャッシュレス。銀行、クレジット
KDDI 株式会社
新規事業統括本部
新規ビジネス推進本部
事業開発部長
な か
い
た け
し
中井 武志氏
8 Solutions Dispatch
株式会社ウェブマネー
取締役
ソリューション営業部長
は し
の
た
ろ う
橋野 太郎氏
株式会社クレディセゾン
カード事業部
アライアンス開発部
担当部長
よ し な か
まこと
吉中 慎氏
なども手がける当社にとり、お客様と
のリアルな接点として国際ブランドプ
リペイドが有力な選択肢であることを
実感しました。
特集 ● 決済を起点とした新しいマーケティング
【DNPマルチペイメントサービス】
販促・送客
決済基盤
顧客管理
複数の決済手段にワンストップで対応する
次世代プラットフォーム
巻頭記事(p.4 〜 5)
でご紹介した「決済連動マーケティング」
を支える基盤として
開発中の「マルチペイメントサービス」
。
国際ブランドプリペイド、CLO など先端のサービスにも対応する
次世代プラットフォームの概要をご紹介します。
3つの基盤を連携した
決済連動販促ソリューション
2つのサービスを提供します。
販促計画が策定できます。
「マルチ決済ゲートウェイサービス」
本サービスの導入により、これま
は、クレジット、プリペイド、デビ
でコストやシステム面で導入が難し
国内でもさまざまな決済サービス
ットといった決済を束ねて効率的に
かった中堅の流通店舗なども、各サ
が登場するなか、複数の決済手段を
導入し、POS 情報の管理もできるゲ
ービス事業者と契約するだけで本サ
導入するには、個々のネットワーク
ートウェイとしての機能を担ってい
ービスを利用できます。また、サー
およびサービス事業者への接続が必
ます。対面・非対面の決済中継に加え、
バー側にデータを集約できるため、
要でした。また、これまで流通企業
購買履歴の一元管理、売上集計・デ
将来的な拡張も低コストで実現。さ
が展開する販促活動は、ポイントカ
ータ還元、ヘルプデスクなどを備え
ード等で情報を吸い上げ、自社管理
ています。
している顧客のみの展開しかできな
一方、「決済情報を活用した販促サ
ら に、VALUE TACTiX、OrderLine、
POINT TACTiX 、 PASSMART 、
CLO といった DNP の多彩なサービ
かったうえ、各サービス事業者が独
ービス」は、従来中心だったハウス
スメニューと組み合わせての提供も
自の特典を提供しており、トータル
ポイントカードによる販促から一歩
可能です。
で効率的な販促施策を実現していく
踏み込み、さまざまな決済情報を活
国内でもカード決済の裾野拡大が
ことが大きな課題となっていました。
用した販促基盤を提供するものです。
予想されるなか、この DNP マルチペ
こうした課題をうけ、DNP では、
集計・分析、販促管理、効果測定な
イメントサービスは、流通に関わる
決済と販促を連動させた総合的な事
どを備えるほか、スマートフォンア
さまざまな規模・職種の企業を支援
業「決済連動マーケティング」をス
プリなど、新たな販促システムにも
する貴重な戦力となることを目指し
タート。その運用を支える次世代の
柔軟に対応し、決済手段を横断した
ています。
プラットフォームとして、「DNP マ
ルチペイメントサービス」の開発に
着手しました。
開発にあたっては、決済などの金
マルチペイメントサービスの概要
融 分 野、 ポ イ ン ト サ ー ビ ス な ど の
マルチ決済
ゲートウェイサービス
CRM の領域においてもカード業界を
リードする DNP の総合力を結集し、
適化された販促活動の実現を目指し
ています。
DNP のマルチペイメントサービス
クーポン
カード会社
プリペイド事業者
ハウスポイント
共通ポイント事業者
……
複数の決済情報を横断し
多彩な販促施策をサポート
・クレジット
・プリペイド
・ハウス
ポイント
・共通
ポイント
ゲートウェイセンター
来るべきキャッシュレス化社会に最
決済情報を活用した
販促サービス
+
メール
E-mail
スマホ
会員 ID 販促
サービスセンター
・クレジット
・プリペイド
・ハウス
ポイント
・共通ポイント
集計・分析
効果測定
販促システム
連携
は、多様化する決済サービスに対応
したクラウド型サービスで、「マルチ
サービス開始時点でのラインナップは、クレジットカード、ハウスプリペイド、ハウスポイント、共通ポイント、国際
決済ゲートウェイサービス」と「決
ブランドプリペイドを想定し、国際ブランドプリペイドではチャージ機能も提供が可能。また、電子マネー、カード
済情報を活用した販促サービス」の
予定です。
会社のポイント決済、ギフトカードモール事業者、スマートフォン決済事業者など、順次サービスを拡張させていく
2015 March Vol.42 9
【決済連動 O2O サービス CLO
(カード・リンクド・オファー)
】
販促・送客
決済基盤
顧客管理
購入商品まで指定可能な独自の CLO で
決済とマーケティングの連携を強化
クレジットカードの決済データを活用し、会員を店舗へ送客し、購入へ導くCLOが、決済と
マーケティングをつなぐサービスして注目を集めています。DNPと日本ユニシスは、店舗だけでなく、
購入商品までを指定できる独自のCLOサービスを協業し、事業を展開しています。
米国では日常的に利用
日本でも注目が集まる CLO
カード会社)を中心にCLOの導入や実
た効果分析はすぐに施策等に反映でき
証実験が始まっています。
ます。
こうした特長ゆえ、CLOサービスは、
生活者・提供企業・カード会社
3者それぞれにメリットを提供
電子決済が浸透するなか、流通・小
売サービスではオムニチャネルやO2O
生活者、サービス提供企業、カード会社
それぞれに多くのメリットをもたらす
の取り組みが活発化しています。しか
CLOサービスがこれまでの特典提
ことが期待されています。
し、決済ビジネスは利用手数料で成り
供サービスと大きく異なる点は、カー
生活者は、セグメントされた特典情
立つ薄利多売の収益構造ゆえ、販促原
ド決済情報と紐づけることで、カード
報が届き、事前にクーポン利用を宣言
資の確保が常に課題となっています。
利用傾向から配信対象者を絞り込んで
すれば、店舗で普段通りにカード決済
そうしたなか、米国では、クレジット
特典情報の配信が可能となり、高い確
するだけでキャッシュバックなどの特
カードの決済データをもとに購買傾向
率で会員を店舗に送客できることにあ
典が受けられます(下図)
。サービス提
を分析し、購買可能性の高い会員にピ
ります。例えば、自社決済履歴なしな
供側の流通・小売・サービス業は、ピン
ンポイントで特典広告を配信して店舗
ら“新規顧客”
、同業種店舗決済履歴あ
ポイントでターゲットの店舗送客が可
に送客するCLOサービスが急速に普
りなら“自社見込み顧客”
、ジュエリー
能。限られた予算で効果の高い販促施
及。すでに数千の金融機関と40万以上
等の決済履歴ありなら高額商品嗜好客
策が実現できます。また、店舗では通
の小売店舗がCLOサービスを提供し、
といったように分類し、より効果的に
常のクレジット決済処理以外に新たな
多くの会員が日常的に活用しています。 アプローチ。また、誰に、どんなクーポ
業務は発生しないため、店頭オペレー
現金決済が主流の日本においても、数
ンを配信した結果、売上成果がどうな
ションの負荷もありません。そしてカ
年前からクレジットカード会社(以下、
ったのかを可視化できるので、得られ
ード会社も、会員サービスの充実によ
生活者からみた CLO サービス利用の流れ
STEP1
アプリ
ダウンロード
STEP2
おトクな
クーポンが届く
STEP3
事前に利用を
宣言する
STEP4
店頭にて
クレジット決済
S T E P5
引き落とし時に
クーポン適用
店舗
○○カード ご利用明細
アプリ
選択
エントリー
キャッシュ
バック!
スマートフォンアプリを使ったCLOサービスを通して、ふだんは現金で支払うことが多い生活者に対し、
「クレジットカード決済の方が便利でお得!」というメリットを実感させます。
10 Solutions Dispatch
特集 ● 決済を起点とした新しいマーケティング
DNP と日本ユニシスの決済連動 O2O サービス CLO の概要
カード会員
加盟店
広告主
カード会社/金融事業者
DNP× 日本ユニシス
1
2
販売行動を分析して
ターゲッティング
3
企業・店舗単位/
商品単位クーポンを付与
事前に利用する
クーポンを宣言
4
店頭で
クレジット決済
・事前宣言データ
・決済データ
・POS データ
6-2
5
広告主へ送客
取引成果報酬を
受領
6-1
特典利用
精算用データ生成
特典の提供
DNP×日本ユニシスのCLOサービス最大の特徴は、クレジットカードの決済データに、流通が保有するPOSデータを連携し、企業・店舗単位だけでなく、商品単位のクーポン配信が可能なこと。
限られた販促原資を集中投下できるため、店舗単独、広告主のメーカーと店舗の共同といった、さまざまな形態のキャンペーンに活用できます。
て試験的にCLOサービスを展開する
り、会員のカード利用頻度や利用額の
ーンのほか、流通の棚を確保したいメ
アップが期待できます。
ーカーとの共同キャンペーンといった、 カード会社が増加しています。法人単
さまざまな形態のキャンペーンに活用
位のクーポン配信、自社カード限定の
できます(上図)
。
サービス提供など、サービスの内容や
また、本サービスのビジネススキー
運用の仕組みは各社それぞれのアプロ
日本でもCLOへの期待度が高まる
ムは、導入企業のパートナーとしてレ
ーチを検討している段階ですが、CLO
なか、DNPは独自のCLOサービスを
ベニューシェア型事業としての展開も
サービスの有用性自体は多くの企業に
日本ユニシス株式会社と協業。2014年
可能。データ&サービス運用は、サー
認知され、本格運用の段階が近づいて
夏から本格導入に向けた実証実験を行
ビス主体となるカード会社からDNP
います。
いました。
とユニシスが受託します。また、提携
今後、DNPとユニシスは、クレジッ
その大きな特徴は、クレジットカー
店開拓や広告獲得等は、DNPとユニ
トカード以外のプリペイドカードやデ
ドの決済データと店舗などが保有する
シスが主体的に活動。会員の特典利用
ビットカード、さらには流通・小売業の
POSデータの連携により、購入する店
に応じた成功報酬型の送客手数料を流
ポイントカードなど、さまざまな会員
舗だけでなく商品までを指定できるこ
通・小売・サービス業から受領し、カー
サービスと連携した来店・販売促進キ
とです(特許出願中)
。カード決済デー
ド会社と分配します。そのため、カー
ャンペーンに対応する展開を検討して
タでは、
“誰が”
“いつ”
“どのお店で”
“い
ド会社や加盟店における本サービスの
います。メーカーキャンペーンなどに
くらで”購入したかまでは判別できま
システム構築費や運用費は原則不要
特化した、決済サービス連動施策を支
すが、
“どの商品を”購入したかの判別
(独自のカスタマイズ、システム連携に
援するサービスへと、CLOを進化させ
決済データと POS を連携し
商品単位のクーポン配信を実現
はできません。それに対して本サービ
スは、
「ある商品を購入した場合に限り
キャッシュバック」といったクーポン
配信ができるため、限られた販促原資
の集中投下が可能。店舗単独キャンペ
おける改修は別途)で、導入が可能です。
ていきます。
カードの価値を見直し
多様なキャッシュレス決済促進へ
2014年頃から、複数の企業と連携し
2015 March Vol.42 11
【DNP レシート読み取り家計簿アプリ レシーピ!®】
販促・送客
家計簿アプリを活用し、
生活者を動かすネイティブアドを展開
決済基盤
顧客管理
スマートフォンでレシートを読み取るだけで簡単に支出管理ができるDNPの家計簿アプリ「レシーピ!」が、
主婦層を中心に高い人気を集めています。DNPは、そこで集積した購買データを活用し、
購入商品に連動してオススメ商品をレコメンドする「レシーピ! ウレCM」を展開しています。
150万ダウンロード突破!
楽しく継続できる家計簿アプリ
「レシーピ!」は、スマートフォンのカメラ機
能でレシートを読み取るだけで、日付・店舗・
スマートフォンの普及によって、生
品名・価格・合計金額などの費目を自動的に
活者のライフスタイルや情報接触、購
表示の管理機能、レシートの食材情報から料
記録する家計簿アプリ。わかりやすいグラフ
理レシピを提案する機能、親しみあるキャラ
買行動が変化している現在。多くの企
クターのコメント表示などで、楽しみながら
家計管理を継続できます。
業はプロモーション手法の検討・展開
に際し、ターゲット像をいかに描き、購
入に至るストーリーを組み立て、チャ
Play 2014年ベストアプリ」にも選出さ
ブDBは生活者を軸にしたヨコ串参照
ネルをどう選定し、施策効果をどれだ
れています。
ができるため、例えば、性別・年代別・
け定量測定できるかという課題に直面
しています。DNPは、そうしたニーズ
に応え、生活者と企業をつなぐサービ
店舗別購買データを“ヒトでヨコ串”
広告から実購買までを効果測定
住居エリア別に抽出した特定の生活者
が、それぞれの流通店舗でどんなもの
を購入しているかまでを分析すること
スを多数提供してきました。
レシーピ!の活用状況は、平均で1
ができます(下図)
。
2013年7月に登場した「レシーピ!」
人月9回起動し、月間スクリーンビュ
DNPは、レシーピ!を通じて生活者
は、レシートをスマートフォンで読み
ー(=PV)は約5,000万を記録。毎日、
向けに価値あるサービスを提供すると
取ることで簡単に支出管理ができるだ
約15〜20万枚分のレシート登録があり、 同時に、メーカーや流通企業に対して
けでなく、レシートから食材使い切り
1億5,000品目を超える購買データがア
販売・来店促進、マーケティングに活用
レシピなども提案してくれる家計簿ア
クティブDBとして蓄積されています。
できるサービスメニューを順次開発し
プリ。20 ~ 30代の女性を中心に評価
これまでPOSデータでは個々の流通
ています。そうしたなか、2014年にリ
され、これまで累計150万ダウンロード
企業内での購買データしか把握できま
リースされたのが、レシートから読み
( 2015年3月時点)を突破し、
「Google
せんでしたが、レシーピ!のアクティ
取った購入商品や購入傾向をもとに、
生活者が興味を持ちそうなオススメ商
品をレコメンドするアドメニュー「レ
「レシーピ!」が集積するアクティブデータの強み
流通A
流通B
流通C
シーピ!ウレCM」です。 2つの広告メニューを軸に
POS データ
アクティブ DB
流通 A の
POS データ
流通 B の
POS データ
流通 C の
POS データ
流通 A の
購買データ
流通 B の
購買データ
流通 C の
購買データ
性別・年代・居住エリア
流通店におけるPOSデータは、特定の流通企業内での購買データしかわかりませんでした。それに対し、レシーピ!のア
クティブDBは、生活者を軸にしたヨコ串参照を行えるため、複数の流通企業を横断して「何を」
「どんなお店で」
「いつ」
「い
くらで」といった詳細なマーケティングデータを集積することができます。
12 Solutions Dispatch
“うれしい提案”を自然な形で
レシーピ!ウレCMは、購入商品に
応じたオススメ商品を提案する「レシ
ート連動アド」
、トップ画面上で関連商
品やブランドを刷り込む「背景ジャッ
クアド」
、そして、施策の効果測定と分
析ができる「基本レポート」の3つのメ
特集 ● 決済を起点とした新しいマーケティング
レコメンド広告「レシーピ! ウレCM」の概要
®
背景ジャックアド
レシート連動アド
広告掲載
アプリ起動時に表示され
るトップ画面に登場する
見込み客に
届く!
好印象が残る!
キャラクターのコメント
や背景画像に関連イラス
トを挿入し、
「レシーピ!」
レシート読み込みに反
応して、特定の商品や
の世界観に溶け込ませる
形で商品を訴求。
分析
次回
プロモーション
施策が
策定できる!
サービスの広告パネル
購入に
繋がったか
わかる!
を配信。家計簿データ
と連動するため、店舗
効果測定
で実際に購入したかも
測定できる。
「レシーピ!ウレCM」は、レシート連動アド、背景ジャックアド、基本レポート
基本レポート
の3つのメニューで構成。事前に「自社商品の買い増し」
「新発売商品の告知」
「自
背景ジャックアド・レシート連動
社商品のトライアル購入」
「併売/ブランドスイッチの提案」といった目標と、
「キ
アドの数値効果や、レシート登録
ャンペーン告知」
「商品機能特性の訴求」
「ついで買いの提案」といった訴求軸
実績、利用者属性などを掲載。
を提案し、最適な施策設計をサポートします。
ニューで構成されています(上図)
。
きな特長です。
てきます。そのために必要な購買デー
レシート連動アドでは、自社商品の
一方の背景ジャックアドでは、生活
タを集積するアプローチは、さまざま
購入者に対するキャンペーン実施を告
者が日々閲覧するトップ画面内で、レ
な企業がそれぞれの立場から検討を進
知したり、競合ブランドや親和性の高
シーピ!の世界観のなかに商品を登場
めていますが、DNPがもっとも大切
い商品購入者に対してトライアル購買
させることで、自然かつ効果的に商品
にしているのは「生活者がどう感じて、
などのブランドスイッチを狙った広告
を訴求します。レシート連動アドとの
何をしたいか」をつき詰めるというこ
を訴求します。例えば、ベビーフード
併用で、印象や購買動機づけを効果的
と。家計簿アプリ「レシーピ!」のヒッ
を購入した生活者は子育て中の母親で
に向上させることが可能です。
ト、
ひいてはウレCMの高い訴求効果も、
あると推測されることから、
「安心なカ
フェインゼロのお茶」などの商品を提
案。単なる商品広告ではなく、自分に
生活者目線を追求し、効果的な
ビジネス向けメニューに展開
理論や仕組みだけでなく、その部分に
注力したからこそ実現したものと捉え
ています。
今後もDNPは、効果的なビジネス向
合った“うれしい提案”として好意的に
生活者が日々多くの情報に接し、自
受け取ってもらうことができます。ま
らも情報を発信するようになったいま、 けメニュー開発と、その前提となるレ
た、家計簿という特性ゆえ、インプレッ
企業は本当に欲しい情報を生活者ごと
シーピ!自体の機能拡張を両輪として、
ション数やクリック率に加え、広告閲
にカスタマイズし、最適なタイミング
生活者と企業の両者に価値を生む新た
覧後の実購買効果が測定できる点も大
で発信するマーケティングが求められ
な循環づくりに挑戦していきます。
Case Study
アサヒ飲料 ×【レシーピ!® ウレ CM】
広告閲覧者の 3.9 %が実購買!
「三ツ矢サイダー」「十六茶」などを
手がけるアサヒ飲料が、2014年4∼5
月にウレCMを活用して行った施策で
は、最高で 7.2 %、平均 3.9 %が広告
閲覧後に商品を実際に購入しました。
また、施策後のアンケートでは約4割
が広告内容を覚えており、8割を超え
るユーザーが「今後も欲しい/あって
もよい」と、ウレCMでの商品提案を
ポジティブに受け入れていました。
ウレCMでの効果や同時に分析でき
る購買データについて、同社マーケテ
ィング部マーケティング第一グループ
の鈴木氏は「ブランドトライアルやス
イッチを継続的に確認でき、その際の
購入価格(=購入要因)も分析できる
のがレシーピ!の良さ。ある程度定量
的な評価ができるのもいいですね」と
評価しました。
約1カ月にわたり行われたテストマーケティング
では、3種類の「背景ジャックアド」と、6種類の
「レシート連動アド」広告を作成。キャンペーン告
知、レギュラー/トクホ商品の機能性訴求、クロ
ス購買提案など、購買者によって広告内容を変え
ることで効果の違いも確認できました。
※画面は施策実施時の広告イメージです。
2015 March Vol.42 13
「東京駅
START!
1
丸の内中央口の改札前
体験レポート
行ってきます!
広大なコンコースと多数のショップを擁する東京駅は、もはやひと
つの街。迷わずに目的地にたどり着くなら、
「東京駅構内ナビ」の出
番です。まずは待ち合わせの定番「銀の鈴」に向かいます!
2
BLE Beacon が示す
改札内の案内板
スマートフォンのガイド機能といえば
GPS が一般的ですが、駅のような多重構造
建築物の中では電波が届きにくく、位置情
報の精度が低下します。そこで DNP が注
目したのが「BLE Beacon」。ビーコンの
発する電波をスマホが受信して正確な現在
地を割り出す技術で、より汎用的かつ多彩
なサービスを提供できるナビアプリの開発
に役立てています。本記事では、この BLE
Beacon を活用し、東日本旅客鉄道(JR
東日本)と共同で開発した東京駅のスマホ
用アプリ「東京駅構内ナビ」を、本誌スタ
ッフが実際に体験してみました。
さっそくアプリを
起動っと
改札を通ったら、まずは案内板をチェック。……でも、
「銀の鈴」へ
のルートがすぐにはわかりません。そこでアプリを起動して現在
地を確認し、
「銀の鈴」を目的地に設定します。
3
コンコースの下りエスカレーター
4
銀の鈴
あれ、銀の鈴って
地下だったっけ?
ナビのおかげで
すんなり
着きました!
アプリはエスカレーターで B1階に降りるよう示して
います。
「サインナビ」を呼び出すと、ポイントごとに
目印や具体的なガイドを表示してくれるので便利!
レポーター:株式会社 DNPメディアクリエイト 八重樫温代
14 Solutions Dispatch
駅ナカの商業施設「グランスタ」にある「銀の鈴」に無事到着!
丸の内中央口から、最短距離で約2分というスムーズさ。
ナビ
構内 」
8
体験
レポート
グランスタダイニング
ランチに
行ってきます!
GOAL!
多彩なジャンルの飲食店が並ぶ「グランスタダイニング」が、今
回のゴール! 「東京駅構内ナビ」を使えば、充実したエキナカ
を満喫することができます。
ナビアプリの可能性
7
京葉線のりば
東日本旅客鉄道
フロンティアサービス
研究所
林 寛子氏
「世界 有 数 の 乗 降 客 数
を誇る東京駅において、
緻密なナビサービスは
ニーズがあります。そ
こで、ビーコンの知見
が豊富な DNP さんにご
協力いただきました」
迷わなかった
とはいえ
遠かった∼!
「BLE Beacon の 本 体 は、直
径わずか5㎝程度。東京駅に
は160個設置されています」
5
「京葉線のりば」はひと駅分はあろうかという離れた場所にあ
るので、初めての人は戸惑ってしまうかも? 「東京駅構内ナビ」
を使えば、心配することなくたどり着けます。
銀の鈴から京葉線のりばへ
6
コンコース内の案内板
銀の鈴を
出発点に
設定
「東京駅構内ナビ」の実力が明らかになっ
たところで、次なる目的地は「京葉線の
りば」です。他の路線からかなり離れた
場所にのりばがある京葉線ですが、ナビ
があれば心配なし!
アプリの中にも
同じ案内板が!
もし迷ったら、
「サインナビ」を呼び出して案内板を確認。
駅の中の案内板と同じものが表示されるので、一致す
る案内板を探せば現在位置が一目瞭然です!
2015 March Vol.42 15
DNPプロジェクションマッピング(パッケージ版)
店舗 で 利用 できるプロジェクション
マッピング の 基本 パックを発売
プ
ロジェクターで凹凸のある壁面や立体物などに映像を
投射する「プロジェクションマッピング」は、映像による
新しい表現方法として近年利用が拡大しています。DNPは、企
壁面タイプの投影前イメージ(写真左)と投影後(写真右)のイメージ。額縁と壁面に映像を投射
して、生き物が飛び出すような演出も。
業と商品のブランディングや販売促進の新たな手法としてこれ
に注目し、店舗で手軽に利用することができる「DNPプロジェ
ーディネートの提案や、ショーウインドウへの設置による興味喚
クションマッピング(パッケージ版)
」の販売を開始しました。こ
起・集客促進に活用できます。壁面タイプは、壁に掛けたパネル
れにより、
「価格が高い」
「制作に時間がかかる」といった従来の
など立体的な形状をしたレリーフや壁面に映像を投射すること
課題の解決を図り、ゼロからの開発に比べ、時間の短縮とコスト
が可能です。例えば、企業の受付に飾られた額縁に映像を映し
削減を実現しています。
出して華やかさを演出したり、展示会で立体的な製品の表面に
今回開発したのは屋
内部構造を投射して、その仕組みまで紹介することが可能とな
内向け商品で、マネキ
ります。
ンタイプと壁面タイプ
今後は、基本パッケージの販売に加え、屋外でのプロジェクシ
の2種類です。マネキ
ョンマッピングへの個別対応も行います。プロジェクションマ
ンタイプは、洋服など
ッピングを導入するスペースデザインや全体設計、施工、各種商
の映像をマネキンに投
材の提供も併せて行い、CGを組み合わせることによって実現
射することで、アパレ
ルショップにおけるコ
マネキン全身タイプの投影イメージ。柄モノから無地
まで、さまざまな洋服を次々と映し出すことができる。
する、従来の映像や印刷物の表現を超えた付加価値を提供して
いきます。
News & Topics
DNP多メディアを認識する配信サービス QUEMA®
印刷物 に 加えて 音 やビーコンからも
コンテンツ へ 誘導 できるア プリ
電
子透かしが埋め込まれた印刷物を
スマートフォンのカメラで撮影す
DNP営業支援タブレットソリューション Tap Style® Inbound
タブレット端末画面 の
“指さし”で
訪日外国人 の 接客を支援
訪
日外国人旅行者が2014年
に1,300万人を超えて過
ることで、関連コンテンツを配信できる
去最高となり、今後も増加が見込
「QUEMA(キューマ)
」
。本サービスの汎
まれています。そのなかで、DNP
用的なアプリとして配信されている
メディアクリエイトは、旅行会話コ
「QUEMA for Smartphone」のiOS版アップデートを行いまし
ンテンツ分野で高いシェアを持つ
た。音のデータに埋め込まれた電子透
「旅の指さし会話帳」シリーズの出
かしを読み取る機能と、ビーコンの発
版を手がける情報センター出版局
信する電波を受信する機能が追加され、
と共同で、タブレット端末を活用し
TV、ラジオ、店内放送などで流す電子
た外国人向け接客支援クラウドサ
透かしが埋め込まれた音源データや、
」
ービス「Tap Style Inbound(タップスタイル・インバウンド)
施設内に設置されたビーコンの電波を
の提供を開始しました。販売員のタブレット端末画面に表示さ
感知してコンテンツを受信します。こ
れる会話フレーズを外国人客にタップしてもらうことで、誰でも
れにより、企業はさらに高度なマーケ
手軽にサービスや商品を案内することができます。フレーズの
ティング施策の展開が可能となります。
表示と同時に、
ネイティブな音声の再生も可能です。
今後は流通・
なお、Android版も今年中に順次アッ
小売店、飲食店、旅館・ホテル、病院、公共施設、アミューズメン
プデート予定です。
ト施設などへ本サービスを提供していきます。
コンテンツは自動的にダウン
ロードされるので、かざすなど
の動作は不要。
16 Solutions Dispatch
英語や中国語、韓国語、タイ語のほ
か、要望に応じて他言語にも対応可
能。
「honto」で本などの中古買取サービス
honto ポイントも貯まる
お 得 な 中古買取 サ ービス
ト
ゥ・ディファクトが運営するハイブリッド書店サービス
「honto(ホント)」は、会員向けの中古買取サービスを
※
開始しました。ECサイトを運営しているブックオフオンライン
が展開する宅配買取サービス「宅本便」と連携しており、集荷や
買取作業はブックオフオンラインが行います。買取の対象は、紙
の中古本、CD、DVD、ゲームです。査定は1週間ほどで完了し、
支払いは現金かhontoポイントのいずれかを選ぶことができ、方
法に応じたhontoポイントが還元されます。今回、honto会員
向けのサービス拡充の一環として、買取サービスを開始しました。
会員であれば新規にサービス利用の登録をする必要はなく、
自宅
にいながら手軽に中古品の売り買いを始めることができます。
今後もhonto会員をはじめとした生活者のニーズを取り込み、
よ
り高付加価値のサービスを提供していきます。
※ honto は、リアル書店・ネット通販・電子書籍販売の3つの販売形態を連動させ、紙とデジ
タルの両方の強みをいかしたハイブリッド書店サービスです。丸善・ジュンク堂・文教堂な
どのリアル書店およびネット通販サイト、電子書籍販売サイトのどこで購入しても共通の
honto ポイントが貯まります。2014年11月時点で、会員は250万人を超え、ポイントサー
ビスも全国約130店で利用できます。
Web 会議方式での外国人向け多言語案内サービス
遠隔地 の 通訳オペレーター による
多言語間 の 対面型情報案内を実現
在
日外国人の増加や、東京五輪が開催される2020年に向
けて、多言語で円滑にコミュニケーションすることの重
宅配買取 宅本便
http://honto.jp/netstore/bookoff
サービスは4ステップで簡単に利用可能。サイト上で申し込みを完了し、中
古品を段ボールに整理しておけば、指定した日時に運送会社が集荷に来てく
れる。あとは査定が完了次第、支払いが行われる。
DNPポイント会員管理システム POINT TACTiX®
POINT TACTiX パッケ ージ版 に
「会員 マイペ ージ」機能を追加
ポ
イント会員管
理システム
会員情報の
変更
ポイント
残高・獲得
ポイント
利用履歴
要性がますます高まっています。DNPはこのようなニーズに対
「POINT TACTiX
応するため、DNPオリジナルのタブレット端末を活用した外国
(ポイントタクティク
人向けの情報案内サービスを開始しました。公共施設や銀行な
ス)
」パッケージ版の
どの受付窓口担当者が外国人客の接客をするとき、タブレット
機能を拡充し、要望の
端末で遠隔地の通訳オペレーターを呼び出し、三者が対面でき
多かった「会員マイペ
るWeb会議方式で話を進めることが可能になります。前述の施
ージ」を追加しました。
設のほか、観光施設や流通、メーカーショールームなどへ本サー
従来よりフルサポート版では、顧客情報やポイント利用のデ
ビスを提供していきます。
ータ収集・蓄積・管理から、分析・活用までをASPでサポートす
®
会員
ページ
お知らせ
機能
会員マイページでは、ポイント利用に関する各種履歴
を確認できるほか、
運営からのお知らせも配信される。
るポイント会員システムとして、ショッピングセンターやプロス
ポーツのファンクラブ、アパレル専門店、流通小売業など、幅広
い業種で採用されています。今回の機能拡充で、各会員が会員
日本語
英語通訳
オペレーター
英語
英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ロシア語、筆談・手話
(日本語のみ)
に対応。DNP オリジナルタブレット端末以外のタブレット端末やパソコンでも利用可能。
情報の変更やポイント残高・獲得および利用履歴などのポイン
ト情報を確認できるようになり、利便性が向上しました。今後は
BIツールを活用したポイントデータ分析の導入を予定しており、
サービスのさらなる充実を図ります。
2015 March Vol.42 17
DNPモバイル Wallet
エンドユーザーの 購買活動を促進 する
アプリケーションと管理システム
決
済やポイントなどのサービスをスマートフォンで一元
管理するクラウド型の「モバイルWalletサービス」に、
ハウスプリペイドサービスとクレジットサービスを連携させ
る機能を追加します。
Walletサービスについて、すでに利用が進んでいる海外だけ
でなく、日本でもニーズが高まってきました。国内では、一部
のWalletサービスの利用が始まりましたが、Walletサービス
内の複数サービスの連携による利便性の向上や、利用履歴の分
析による効果的なマーケティングなど、Walletサービス本来
の強みを活かす事例はまだ少ない状況です。
DNPは2012年に「モバイルWalletサービス」の提供を開始
し、複数サービスの一元管理に加え、サービス間の連携や、各種
サービス利用履歴のマーケティングへの活用などを推進して
ハウスプリペイドにクレジットからのチャージや、ポイントからの変換が可能。
各種クーポンも利用できる。
きました。今回のハウスプリペイドとクレジットのサービス
ウスプリペイドに変換したり、他社のポイントと交換したり
間連携によって、企業は、クレジット決済によるハウスプリペ
するなど、追加のサービス間連携の機能もカスタマイズで提
イドへのチャージというキャッシュレスの利便性を、生活者に
供します。これにより企業は、顧客のロイヤルティ向上につ
容易に提供できるようになります。また、自社のポイントをハ
なげていくことができます。
DNP 小型モニター付きパンフレット
ID-POS 活用支援サービス
印刷物 の 一部 が モ ニター になった
販促 ツ ー ルを発売
コ
ンピュータ
食品 スー パ ー の
マ ー ケ ティングと販促活動を支援
食
ー周辺機器
品小売の販売促進活動を支援するアットテーブルは、流
通小売業向けシステムを開発するデータコム株式会社
などを製造・販売す
と共同で、食品スーパー向けの「ID ー POS活用支援サービス」を
る株式会社グリーン
開始します。多くの食品スーパーでは従来のPOSに顧客のID
ハウスとDNPは、ダ
情報が加わったID-POSシステムを導入しましたが、
データを分
イレクトメールなど
析する人材の不足やシステムの機能不足などにより、活用しき
の印刷物に小型モニ
れていない企業も多いようです。これら課題を踏まえたコンサ
ターを組み込んだ販
促ツール「DNP小型
ダイレクトメールやパンフレットをはじめ、グリーティ
ングカードやカタログ、絵本などでの活用を見込む。
ルティング業務を行い、業績向上に必要なマーケティングと販
促活動をサポートしていきます。
モニター付きパンフレット」を発売しました。DMを活用した
動画による販促は、Webサイトへ誘導して動画を視聴しても
らうやり方が一般的ですが、アクセス率の低さが課題となって
いました。本製品のようにモニターをDMに組み込むことで、
生活者は開くだけで動画にアクセスできるようになり、動画の
閲覧機会の向上と商品に対する理解促進を図ることができま
す。また、動画が閲覧できることを封筒に印刷することで、興
味を喚起し、開封率の向上も期待できます。
18 Solutions Dispatch
サービスのロードマップ
フェーズ 1
基本戦略を策定して社内の意思統一を促進。
フェーズ 2
ID-POS データと「52 週 MD 計画」を
連動させ、販売計画を立案。
フェーズ 3
各部門が自発的に活用するための仕組みを構築。
「戦略戦術策定」
「戦術施策実行」
「改善と発展活用」
の3つのフェーズで業績向上を支援する。
Messages
DNPは、得意先の皆さまとともに、世の中に新しいコミュニケーションを創り出すパートナーです。
今号では、
“決済を起点とした新しいマーケティング”
と題して、
キャッシュレス化社会に向けてさらに重要度を増す電子決済の最前線についてご紹介しました。
当コーナーでは、誌面で伝えきれなかった、それぞれの担当者から皆さまへの熱いメッセージをお届けします。
関連する課題をお持ちの方は、http://www.dnp.co.jp/dispatch/contact/を通じ、ぜひご連絡を!
▶課題解決の糸口は
ここで見つかる!
DNP製品サービス一覧
http://www.dnp.co.jp/works/
情報ソリューション事業部 デジタルセキュリティ本部 ペイメントサービス部
吾郷 浩司
「東京五輪は皆さんも楽しみにされていると思いますが、キャッシュレス決済も五輪を契機
に普及促進が期待されています。決済連動マーケティング事業を通じて、より安心、安全、
便利なサービスを提供していきますので、皆さんもぜひ体験してみてください」……特集/
決済連動マーケティング事業(p.4 ~ 5)
情報ソリューション事業部 デジタルセキュリティ本部 ペイメントサービス部
植松 奈緒子
「私が子どもの頃は、決済用カードといえばほぼクレジットカード一色。それは、お金のあ
る大人だけが手にできる特別なアイテムでした。一方、国際ブランドプリペイドは老若男女
問わず多くの方にご利用いただける新しい決済手段です。ぜひ、気軽に自由に使いこなして
いただきたいです」……特集/国際ブランドプリペイド決済サービス(p.6 ~ 8)
C&I事業部 e-CRM本部 ペイメントソリューション事業開発室
西田 真
「流通小売において、決済周りのサービスが複雑になってきています。クレジット、電子マ
ネー、プリペイド、ハウスポイントなど選択肢が増え、コストや運用負荷は大きくなる一方。
そこで DNP は、マルチペイメントサービスの提供で効率化を図るとともに、売上向上にまで
貢献していきたいと思っています」……特集/ DNPマルチペイメントサービス(p.9)
C&I事業部 ビジネスイノベーション本部 新規ビジネス開発室 CLO事業グループ
本藤 修吾
「スマホ決済、ビットコイン、iPhone6のアップルペイ……など、いままさに決済のあり方が変
わり始めています。CLO はそれらに連動し、生活者により“お得”や“楽しみ”を届けられるサ
ービスです。将来、
『オトク生活には CLO が欠かせない!』となるような、ライフスタイルに
溶け込むサービスを目指します」……特集/決済連動クーポン配信サービス CLO(p.10〜11)
from Editor
一人暮らしの息子(大学生)が、
「ク
レジットカードを持ちたい」と言い
C&I事業部 ビジネスイノベーション本部 CBメディア開発室 企画グループ
田ヶ原 絵里
「主婦を中心に150万 DL を突破した家計簿アプリ『レシーピ !』の企画開発&メーカー・流通
向けの販促支援や購買データ分析をしています。生活者にはうれしい ! 企業にはわかりや
すい ! をモットーに、DNP のオリジナルデータをどう活かすか、日々試行錯誤しています」
……特集/ DNPレシート読み取り家計簿アプリ レシーピ !(p.12〜13)
出しました。ネットショッピングや
ETC などで、クレジットカードが使
えない生活は不便極まりないので
しょう。しかしながら収入もないの
に、いきなりクレジットカードを与
えるのもどうかと、親として悩んで
います。しばらくは国際ブランドプ
リペイドを使わせてみて、様子をみ
てからにするか。
<C&I事業部マーケティング開発
室 山村義和>
株式会社DNPデジタルコム インタラクションデザイン室
宮下 勉
「BLE Beacon は屋内、地下街など GPS が届かない場所で近距離の位置測位技術として注目さ
れています。電池で稼動する小型デバイスなので設置も容易です。DNP デジタルコムでは
iOS と Android 向けの開発キット(SDK)を用意し、アプリ開発を支援します。何かありまし
たらお気軽にお声がけください」……「東京駅構内ナビ」体験レポート(p.14〜15)
ソリューションディスパッチへの
ご意見、ご感想、掲載サービスに
関するお問い合わせなどがござい
ましたら、ぜひ http://www.dnp.
co.jp/dispatch/contact/ にお寄
せください。
2015 March Vol.42 19
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© 大日本印刷株式会社 2015 Printed in Japan
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