自主調査 「電気・ガスの小売自由化に関する消費者調査

自主調査
「電気・ガスの小売自由化に関する消費者調査」
サマリー
2015年11月
楽天リサーチ株式会社
http://research.rakuten.co.jp/
※今回ご提供させていただいております調査結果データは抜粋版となります。
その他様々な調査結果を保有しておりますので、詳細部分までご興味のある方は弊社担当営業までご連絡いただければと思います。
背景・調査目的
背景
 電力・ガスのシステム改革は、第一段階として、2015年4月に広域系統運営機関が設立され、第二段階として
は、2016年4月の電力小売完全自由化、1年後の2017年4月のガス小売完全自由化が控えており、いよいよ
目に見える段階となっている。
 改革は、小売完全自由化から動き出し、続いて2020年4月の電力における送配電部門の別会社化、2022年
4月のガス大手3社のガス導管部門の別会社化を経て完全自由化を実現する流れである。
 電力及びガスの小売自由化にむけて様々な企業が参入し、家庭部門の電力及びガスの小売市場においても
価格やサービスの競争が起こることが予想される。
調査目的
 この調査の主な目的は、一般消費者の電力・ガスの小売自由化に対する認識や評価などを把握し、参入企業
がコミュニケーションや価格を考えるにあたり役立つ情報を収集することにある。
 具体的な調査領域として、以下を設定する。
• 電力・ガス自由化の認知、必要性
• 自由化後の切り替え意向
• 期待事項/不安点
• 変更意向供給会社、選択理由
1
調査設計
調査手法
インターネット定量調査: スクリーニング調査(SC調査、事前調査) 及び 本調査
設問数
スクリーニング調査:5問以内、本調査:20問以内
サンプル定義
性別
男女
年齢
30歳~69歳
地域
日本全国
対象者条件
詳細
下記の全ての条件にあてはまる方
 30歳以上の男女
 持ち家(マンション、戸建て)居住者 (除く賃貸居住者)
 本人または同居家族に「電気、ガス、熱供給、水道」関係の業種に従事している人がいる
場合は対象外
●合計 800名
●均等割付とし、スクリ-ニングの結果を元にウェイト集計を行う
サンプル数
サンプリング方法
30~39歳
40~49歳
50~59歳
60~69歳
合計
男性
100
100
100
100
400
女性
100
100
100
100
400
合計
200
200
200
200
800
対象者条件を満たす範囲において、ランダムサンプリング(単純無作為抽出法)
2
調査結果要約 (1)
Ⅰ 【電力・ガス自由化】に対する評価
◆電力自由化については7割が、ガス自由化については3割が認知している。
◆電力に対しては7割弱、ガスに対しては5割強が必要性を感じている。いずれに対しても、不要という人は非常に少ない。
◆「料金が下がる」ことが最大の期待事項であるが、「顧客サービスの向上」「新たな技術サービスの向上」なども期待として大きい。
◆心配点としては、「どの会社を選ぶか迷う」「悪徳な会社が参入してくる」といった、業者選択に関わる事項である。
電力・ガス自由化の認知
◇全対象者(n=800)
単一回答
電力・ガス自由化に対する期待事項
単位:%
◇全対象者(n=800)
100 %
80%
電力自由化は知っ ガスの自由化は
両方自由化される ていたが、ガスの 知っていたが、電
両方知らなかった
ことを知っていた 自由化は知らな 力の自由化は知ら
かった
なかった
電力
自由化
認知計
ガス
自由化
認知計
電力
27.6
0%
44.7
20%
0.5
40%
60%
27.2
80%
72.3
28.1
100%
32.3
20.3
10.1
料
金
が
下
が
る
す顧
る客
サ
ー
ビ
ス
が
向
上
れ原
る子
力
発
電
が
抑
制
さ
電力・ガス自由化の必要性
◇全対象者(n=800)
単一回答
ガス
45.6
40%
20%
全 体
単位:%
66.6
60%
0%
複数回答
84.1
24.2
15.7
のク
利 リ
用ー
をン
促エ
すネ
ル
ギ
ー
29.0
20.4
ス新
がた
開な
発技
さ術
れ ・
るサ
ー
ビ
14.1
23.019.0
9.5
供
給
が
安
定
す
る
る優
良
な
会
社
が
参
入
す
18.316.8
が セ他 ガ
提ッ の ス
供 ト サ、
さ にー 電
れ し ビ気
る た ス、
サや通
ー商信
ビ品な
ス と ど
15.0
18.6
7.6
無
駄
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工
事
が
減
る
9.2 6.8
て支
楽払
にい
なが
る一
本
化
さ
れ
0.4 0.2
6.1
そ
の
他
:
特
に
な
い
電力
ガス
電力・ガス自由化に対する心配点
単位:%
◇全対象者(n=800)
複数回答
単位:%
100 %
絶対必要
どちらとも
いえない
まあ必要
あまり必要性を 全く必要性を
感じない
感じない
必要
計
不要
計
80%
60%
40%
電気
自由化
30.4
36.3
26.2
4.7 2.3 66.7
7.1
21.3
0%
33.1
20%
40%
33.5
60%
7.5 4.6
80%
100%
54.4
12.1
39.034.9
21.222.8
41.7
36.6
28.323.9
43.2
33.3
20%
0%
ガス
自由化
28.727.1
な大
いし
て
料
金
は
下
が
ら
や様
す々
く な
な事
る故
が
発
生
し
旧事
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時が
間発
が生
か し
かた
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復
具自
合然
が災
生害
じ発
る生
時
に
不
て悪
く 徳
るな
会
社
が
参
入
し
等ど
、の
混会
乱社
すを
る選
ぶ
か
12.614.6
17.6
11.6
使今
い使
にっ
く て
く い
なる
る機
器
が
無
駄
な
工
事
が
増
え
る
14.0
7.3
に支
な払
るい
手
続
き
が
面
倒
5.9 4.4
顧
客
対
応
が
悪
く
な
る
21.6
12.9
0.5 0.2
そ
の
他
:
特
に
な
い
3
調査結果要約 (2)
Ⅱ 電力・ガスの購入意向企業
◆電力の場合は「電力会社」、ガスは「ガス会社」を選択する割合が最も高い。電力に対しては、「ガス会社」の選択割合が無視し得ない大きさ
となっている。ガスの場合も、「電力会社」を選びたいという割合が他の業種よりは高いが、電力における「ガス会社」の選択率には及ばない。
◆電力における「電力会社」の選択理由として大きいものは「発電・送電に関する知見がある」である。ガス会社については「クリーンエネルギー
の取り組み」となっている。ガスにおける「ガス会社」に対しては、他を凌駕する強みは見られない。
電力の購入意向企業
◇全対象者(n=800)
電力供給会社の選択理由
複数・単一回答
◇各選択者
単位:%
MA(複数回答)
60%
複数回答
単位:%
80%
80%
SA(単一回答)
60%
55.0
46.6
40%
40%
20%
25.1
20%
6.6
0%
電
力
会
社
都
市
ガ
ス
会
社
12.3
3.3
12.4
3.0
通
信
会
社
総
合
商
社
4.3
0.4
製
鉄
会
社
6.8
1.1
鉄
道
会
社
4.5
0.9
流
通
会
社
4.4
0.6
自
動
車
会
社
10.9
1.3
3.1
0.1
会情
社報
シ
ス
テ
ム
電電
メ機
ー会
カ社
ー、
家
6.9
0.8
住
宅
メ
ー
カ
ー
0%
1.3
1.3
そ
の
他
:
(WB後 n= )
向購電
別企入力
業意の
電力会社
都市ガス会社
通信会社
総合商社
(373)
( 52)
( 26)
( 24)
力
が
あ
る
て経
い営
るが
・ 安
資定
金 し
78.7
75.8
42.1
55.3
ガスの購入意向企業
◇全対象者(n=800)
て経
い営
る者
が
優
れ
4.4
11.7
12.3
26.9
て脱
い原
る発
を
掲
げ
2.1
13.2
10.2
22.6
みル ク あ参他
にギ リ る 入分
熱ーー
の野
心の ン
実で
取エ
績新
組ネ
が規
8.7
1.5
27.8
6.5
16.0
10.1
23.0
28.6
が国
強 と
固の
関
係
性
14.9
1.9
2.9
30.6
が全
あ国
る に
事
業
所
22.9
22.8
35.6
28.4
あ研
る究
開
発
力
が
8.8
9.6
15.9
27.6
る顧
あ関発 あの他
客
るす電 る シサ
志
る ・
ナー
向
知送
ジビ
ー ス
で
見電
あ
がに
が と
2.9
39.6
2.6
14.8
7.8
12.6
14.9
10.3
38.8
22.6
3.6
14.2
そ
の
他
:
1.4
1.4
0.0
0.0
ガス供給会社の選択理由
複数・単一回答
単位:%
◇各選択者
複数回答
単位:%
80%
MA(複数回答)
SA(単一回答)
80%
60%
46.2
40.8
40%
20%
40%
13.1
4.5
0%
60%
電
力
会
社
都
市
ガ
ス
会
社
20%
6.1
2.1
9.8
4.2
2.3
0.5
通
信
会
社
総
合
商
社
製
鉄
会
社
2.3
0.0
鉄
道
会
社
3.2
1.3
流
通
会
社
2.5
0.7
自
動
車
会
社
1.6
0.1
会情
社報
シ
ス
テ
ム
3.7
0.3
電電
メ機
ー会
カ社
ー、
家
4.0
0.9
住
宅
メ
ー
カ
ー
0.9
0.7
そ
の
他
:
0%
(WB後 n= )
向購 ガ
別企入 ス
業意の
電力会社
都市ガス会社
通信会社
総合商社
( 36)
(326)
( 17)
( 34)
力
が
あ
る
て経
い営
るが
・ 安
資定
金 し
79.5
76.0
20.4
57.2
て経
い営
る者
が
優
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6.7
7.6
13.1
22.6
みル ク あ参他
にギ リ る 入分
熱ーー
の野
心の ン
実で
取エ
績新
組ネ
が規
6.7
2.6
12.0
2.3
32.3
25.0
30.3
40.2
が国
強 と
固の
関
係
性
20.8
8.3
4.5
12.0
が全
あ国
る に
事
業
所
21.6
22.6
24.2
26.1
あ研
る究
開
発
力
が
6.1
14.3
4.5
22.6
る顧
あ関発 あの他
客
るす電 る シサ
志
る ・
ナー
向
知送
ジビ
ー ス
で
見電
あ
がに
が と
4.6
2.0
5.5
7.8
19.4
5.4
4.5
0.0
29.5
17.1
3.7
10.2
そ
の
他
:
2.0
2.3
0.0
0.0
4
調査結果要約 (3)
Ⅲ 業者変更意向
◆電力、ガス共に現状より2割安くなると5割の人が、3割安くなると8割の人が契約会社を変更するとしている。
◆変更後の電力、ガスの各々の会社の組合せとしては、電力は「電力会社」、ガスは「ガス会社」とする割合が最も高いが、その割合は32.6%
に留まる。32.3%は両方未定としている。両方電力会社か両方ガス会社か、という比較では両方ガス会社とする割合の方が高い。
◆両方電力会社を選ぶ人は「国との関係性」、両方ガス会社を選ぶ人は「クリーンエネルギーへの取組み」が大きな理由となっている。
契約会社変更意向
◇全対象者(n=800)
100%
83.7
単一回答
40%
20%
0%
75.4
49.2
◇変更意向者
単位:%
96.9
97.3
89.6
89.7
79.6
ガス
47.9
16.6
8.2
1.4
12.9
1割程度
安く
なれば
替える
2割程度
安く
なれば
替える
3割程度
安く
なれば
替える
4割程度
安く
なれば
替える
・
資
金
力
が
あ
る
電力
91.8
5割程度
安く
なれば
替える
6割程度
安く
なれば
替える
7割程度
安く
なれば
替える
7割以上
安く
なっても
替えない
単一回答
経
営
が
安
定
し
て
い
る
電
力
は
→
ガ
ス
は
→
電力会社
ガス会社
電力会社
電力会社
18
ガス会社
ガス会社
38 70.6
(n=)
192 80.1
100.0
経
営
者
が
優
れ
て
い
る
脱
原
発
を
掲
げ
て
い
る
3.2
0.8
13.3
の ク
取 リ
組ー
み ン
に エ
熱 ネ
心 ル
ギ
ー
9.4
4.6 11.7
7.6 10.4 27.4
電力会社 その他未定
58 62.1 10.4
その他未定
ガス
26 39.2 11.4 12.0 18.9
その他
その他
単位:%
1.7
7.4
の
実
績
が
あ
る
他
分
野
で
新
規
参
入
国
と
の
関
係
性
が
強
固
全
国
に
事
業
所
が
あ
る
研
究
開
発
力
が
あ
る
顧
客
志
向
で
あ
る
7.6
4.0 40.0
3.3
0.0
0.0
1.5 13.7 22.7
0.0 22.6 11.7 10.9
8.8
知
見
が
あ
る
発 シ 他
電 ナ サ
・ ジー
送ー ビ
電 が ス
に あ と
関 る の
す
る
9.4
0.0 21.8 11.4 16.6 10.7 17.3
2.2 13.7 20.9 10.9
1.6 45.0
3.3
7.6 16.6 21.7 23.6 28.8 17.6 22.7
47 38.2 16.8 16.3 22.2 20.3 10.4 22.6 17.8 25.7
変更後の契約意向会社
◇変更意向者(n=590)
複数回答
電力の購入意向企業の選択理由
98.6
87.8
80%
60%
電力供給会社の選択理由
5.4 23.1
ガス供給会社の選択理由
単位:%
◇変更意向者
複数回答
単位:%
3割安くなった場合の利用意向会社
電力
ガス
電力会社
ガス会社
32.6
電力会社
電力会社
3.1
ガス会社
ガス会社
6.5
電力会社
その他未定
9.8
その他未定
ガス
4.4
その他
その他
8.0
未定
未定
*上記以外の組合せは非掲載
構成比
32.3
n=590
ガスの購入意向企業の選択理由
・
資
金
力
が
あ
る
経
営
が
安
定
し
て
い
る
経
営
者
が
優
れ
て
い
る
の ク
取 リ
組ー
み ン
に エ
熱 ネ
心 ル
ギ
ー
の
実
績
が
あ
る
他
分
野
で
新
規
参
入
国
と
の
関
係
性
が
強
固
全
国
に
事
業
所
が
あ
る
研
究
開
発
力
が
あ
る
顧
客
志
向
で
あ
る
関
す
る
知
見
が
あ
る
発 シ 他
電 ナ サ
・ ジー
送ー ビ
電 が ス
に あ と
る の
電
力
は
→
ガ
ス
は
→
電力会社
ガス会社
(n=)
192 80.5
電力会社
電力会社
18 89.9
ガス会社
ガス会社
38 77.5 10.4 21.9
9.8
0.0 19.8 21.5 16.7
2.1 11.6
0.0
6.1
7.7
9.2
0.7 10.9 23.4 11.5
5.2 21.6
3.9
7.8
3.9
0.0 25.7
0.0
5.5
9.0
7.8
0.0
7.7
5.5
3.9
電力会社 その他未定
58
8.0
3.2
1.6 11.8
その他未定
ガス
26 45.8
4.9 23.3
0.0
3.3 19.2 21.1 13.5 20.1 14.8
その他
その他
47 37.3
9.7 29.5 39.4
4.7 15.3 13.2 21.2
1.6
2.6 19.9
5
まとめ
■認知レベルは、電力自由化で7割、ガス自由化で3割
電力など、数ヵ月後に控えている状況を考えると、高いとはいえない。
■電力、ガス共に、多くが必要性を感じている。不要とする人は非常に少ない。
■電力、ガス共に、2割の値下げで契約会社の変更が一気に進行。
2割の値下げで5割の人が、3割の値下げで8割の人が、契約会社を変更すると回答。
■電力に対しては「ガス会社」、ガスに対しては「電力会社」と「総合商社」が新規参入の中心となる。
「電力会社」は「国との関係性」「災害発生時の対応力」、ガス会社は「クリーンエネルギー」、総合商社は「過去の実績」が評価ポイント。
■自由化された時の心配点としては、「どの業者を選ぶべきか」。
間違った選択をせず、より適した会社を選ぶことができるか、ということに対して不安を持っている。
自由化に対する期待は大きいが、参入業者が多く選択肢が多いと、結局変更に至らないケースも想定される。
逆に、電力における「ガス会社」、ガスにおける「総合商社」といった主軸が形成されると、大きな情勢変更が生じる可能性
がある。その場合、各主体は以下のような認識を形成することが重要と考えられる。
【電力市場】
・守る立場としての電力会社:「災害時に国と連携して速やかな復旧を遂げることができる」といった、非常時の対応力
・攻める立場としてのガス会社:「エコウィル」を旗印に、反原発も醸し出しつつ、クリーンエネルギー化の実現
【ガス市場】
・守る立場としてのガス会社:上記、電力市場を攻める場合同様、クリーンエネルギー化の実現
・攻める立場としての総合商社:「クリーンエネルギー」+「国内外での実績」による事象主体としての安心感
6