≪解説≫ “ ‘Very likely. And yet if it were on the lawn, I wonder that you did not hear it also.’ “ 重 く ‘Ah, but I sleep more heavily than you.’ 結 果 “ ‘Well, it is of no great consequence, at any rate.’ 時 間 She smiled back at me, closed my door, and a few moments later I カ ギ を 掛ける heard her key turn i n the lock.” 実 に “Indeed,” said Holmes. 習 慣 “Was it your custom always to lock yourselves in at night?” “Always.” “And why?” “I think that I mentioned to you that the doctor kept a cheetah and 感 じ 安 全 、 安 心 a baboon. We had no feeling of security unless our doors were locked.” “ ‘Very likely. “ “とても、その様だ“ 。 おそらくジプシーの連中が夜中に何かしているんだろう、というのですね。 でも、 And yet if it were on the lawn, I wonder that you did not hear it also.’ “ “and yet” は、”それだとしても“。 “if it were on the lawn,” 『間違ってる。 ”it” なのに、”was” じゃなくて “were” だ。』 と思った方、その通りです。 が、ここは、仮定法過去という特殊な言い方(現在の事実に反する)なので、 主語が何であれ、”be 動詞” は “were” になります。 “on the lawn” は “芝生の上”。 “I wonder” は、”~かしら“、”~なのかなぁ” という定形表現。 “that you did not hear it also.’ “ “あなたにも聞こえないのは”。 『もしも、口笛の主が芝生の上にいるのだとしたら、どうして(隣室にいる)あなた には聞こえないのかしら?』、 というのですね。 “もしも、それ(口笛)が芝生から聞こえてくるのであれば”、 重 く ‘Ah, but I sleep more heavily than you.’ “でも、私の眠りは貴方よりも深いから。” 結 果 “ ‘Well, it is of no great consequence, at any rate.’ “えぇ、ともかく大きなことではないわね” “She smiled back at me, closed my door, and a few moments later I heard her key turn in the lock.” “彼女は、微笑を返して、私に、閉めた、私のドアを、そして、数秒後に、私 は聞いた、彼女の鍵が錠を閉めるのを” と、姉のJuliaは、笑顔を私に向けるとドアを閉めて出て行きました。その後す ぐに、彼女が部屋に鍵をかけた音がしました。 “a few moments later” は決まり文句で、”~の後すぐに”。”a few seconds later” と同じ意味です。 “I heard her key turn in the lock.” の意味は単純で、『彼女が鍵を 閉めた音が聞こえた』です。 “hear” や “see”を代表とする “知覚動詞” は、目的語の後に、動詞 の原型、動名詞、過去分詞をつけて使用されます。動詞の形によって意味 が変わって、 “I saw her kiss the boy.” “彼女がキスするのを見た” “I saw her kissing the boy.” “彼女がキスしているのを見た” “I saw her kissed by the boy.” “彼女がキスされるのを見た” ですから “I heard her key turn in the lock.” という文章では、”I heard” の目的語の “her key” が “turn in the lock” という文章 ですので、直訳すると、『彼女の鍵が(回って)錠を閉めたのを聞いた。』 と いう言い方になっています。 実 に 実 に “Indeed,” said Holmes. “ “実に” とホームズが言った。 “Indeed,” は、”実に”とか、“実際” といった意味です。 ここでは、ホームズは、さも意外であるかのように声を発しています。 習 慣 習 慣 習 慣 “Was it your custom always to lock yourselves in at night?” “Was it your custom” で、”それはあなた達の習慣でしたか?” “to” をつけて、 “Was it your custom to” で、”~するのはあなた達の習慣でしたか?” 習 慣 “custom” は ”習慣”。 似たような単語に、“customs”、”customer”、 “costume” があります が、同じ語源の言葉です。 “customs” は 今日で言う “税関”。 “習慣” → “いつもの事” → “例年の事” → “税金” → “関税” → “税関” という連想からなのでしょうね。 “customer” は “お客様”。 “習慣” → “よく来る人” → “お客様”。 一説には、税吏(税額を交渉するから)から、ということです。 “costume” は、”custom” の “o” と “u” が入れ替わっていますが、” いつも着ている” ということから、”ある時期、またはある地域で着られる服 装” のこと。 “custom” には、もう一つ、おそらくは、上記の”税金” から転じたものと思 われますが、”注文” の意味もあります。 “custom made” や “customize” は自分好みに製品を製造、改造す るように ”注文” したもののことです。 “lock yourselves in” は、”あなた方自身を閉じ込める”。単純に言え ば、”ドアに鍵をかける” ということですが、家族しか住んでいない家で部屋に 鍵をかけるのは変なのではないか、というホームズの感覚に基づいた質問です ね。 逆に “lock out” されることは旅行中によくある話。 最近のホテルはオートロックなので、うっかり鍵を持たずに外に出ると部屋に入 れなくなります。 こんな時は、”I was locked out.” と言います。 “at night” は、”夜間は”。 “Always.” “And why?” “いつもです。” “どうして?” 言 及 す る “I think that I mentioned to you that the doctor kept a 安 全 もし~でなければ cheetah and a baboon. We had no feeling of security u n l e s s our doors were locked.” “I think that I mentioned to you that” “お伝えしたと思うのですが”。 “mention” は “口に出す” という意味です。 伝えた内容は “that” 以下で、 “that the doctor kept a cheetah and a baboon.” “医師はチーターとヒ ヒを飼っているということ”。 “keep” は、”保つ” “維持する” ですが、この場合は、”飼っている” (といって も放し飼いですが)ということで、”have” と置き換えても良いでしょう。 安 全 もし~でなければ “We had no feeling of security u n l e s s our doors were locked.” “私たちは安全な感じがしない、もしもドアに施錠されていないと。” “security(セキュリティー)” は、最近はそのまま日本語で使われています ね。 “unless” は、”もし~でなければ”。 チーターがドアを開けて入ってくることはないでしょうけど、サルの類ですとドアノブを 回すようなこともできるかもしれません。 ≪要約すると≫ 『そうかも知れないわね。でも窓の外の音だったら貴方も気づきそうなものだけど。』 『うーん、でも私は熟睡するタイプだから。』 『そういうことかしら。まぁ、どうでもいいことかもしれないわね。』 と姉は私に笑いかけるとドアを閉めて私の部屋から出て行き、程なく姉が自分の部 屋を施錠する音が聞こえてきました。 『ほぉ、お休みなる時は鍵をかけるのが習慣なのですか?』 『ええ。』 『なぜです?』 『先ほどお話したと思いますが、家にはチーターとヒヒがおりますので、鍵を掛けていな いと安心していられないのです。』
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