「最近の米国の消費者の選ぶ業態とその理由」 業態 主な選択動機 チ ェ ー ン ド ラ ッ グ ・調剤薬 ・OTC(大衆薬) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト ・日常の食品 デ ィ ス カ ウ ン ト ス ト ア ・ジェネラルマーチャンダイズ商品 コンビネーションストア ・日常の食品 ス ー パ ー セ ン タ ー ・日常の食品 ・ジェネラルマーチャンダイズ商品 ・食品 ホ ー ル セ ー ル ク ラ ブ ・オフィス用品 ・季節商品 ・家庭用品 ダ ラ ー ス ト ア ・パーソナルケア商品 イ ン タ ー ネ ッ ト ・色々な商品 買い物 頻度 買い物 時間 買い物 金額 計画 購買率 2 回/月 20 分 $ 40~ 50 55% 1 回/週 30 分 $ 76~ 95 58% 1 回/週 40 分 $ 70~ 85 63% 1 回/週 45 分 $ 95~120 54% 1.5 回/週 50 分 $ 90~110 63% ・お買い得感 2 回/月 75 分 $120~145 35% ・低い価格 1 回/週 20 分 $ 18 34% ・便利性 ・幅広い品揃え 3 回/週 100 分 $ 90~160 25% 重要な機能 ・便利性 ・ヘルスケア ・ビューテイーケア ・便利性 ・幅広い品揃え ・低価格 ・幅広い品揃え ・幅広い品揃え ・低価格 ・低価格 ・幅広い価格 ・ワンストップショッピングの便利性 米国の消費者は色々な業態を使い分けている。ラッチャー・プレスリサーチの調査によると、 2006 年度の「米国の消費者の選ぶ業態とその理由」が上記の表のように報告されている。米国 では大衆薬は自由販売でどの業態も販売できるし、調剤薬も多くの業態が手がけている。日本 では 2009 年から大衆薬の規制緩和がスタートし、調剤薬も多くの業態が扱うようになるだろ う。まさに米国と同じ状況になっていくのだ。この調査の結果は日本のドラッグストアが他の 業態とどのように戦ったらよいかを示唆している。 1. チェーンドラッグ チェーンドラッグを選択する一番の理由は調剤薬や OTC を求めることだ。そしてこの業態 に求める機能は、便利性とヘルスケア及びビューティーケアの専門性だ。買い物頻度は月 2 回とここ数年変わっていないが、他の業態と比較すると低く、来店頻度の向上がチェー ンドラッグの更なる飛躍のためのカギとなっている。 1 回当りの買い物時間は 20 分である。 一回当りの買い物金額は 40~50 ドルで 2005 年より 10 ドル上昇した。しかし計画購買率 が 55%と前年の 47%より高くなっている。衝動購買は売上げ利益を店に運ぶので、衝動購 買が計画購買を上回るようにしなければならない。 2. スーパーマーケット 主な目的は何といっても毎日の食材の購買だ。求める機能としては、便利性と幅広い品揃 えだ。買い物頻度は週に一回である。問題は、2005 年度と比較して買い物に使う時間が 5 ... 分短縮化され 30 分になったことだ。滞店時間が長くなるほど衝動買いやついで買いが増加 するので、売上げや利益が向上する。滞店時間を延長するために、楽しい快適な店作りが 求められている。 07 年 4 月号 1 3. ディカウントストア ディスカウントストアにおける買い物頻度は週に 1 回だが、人々は低価格と幅広い品揃え に魅力を感じて利用している。買い物時間は 2 年前の 45 分から 5 分短縮されてしまった。 4. コンビネーションストア スーパーマーケットと同じで、毎日の食事の材料を購入することが業態選択の最大の理由 だ。そして消費者は低価格と幅広い品揃えを重要視している。週に一回の買い物頻度で、 買い物時間は 45 分だ。 5. スーパーセンター ここ数年間スーパーセンターは恐れを知らないほどの順調振りであった。しかしその業態 に強敵が出現した。それはインターネットショッピングだ。スーパーセンターの強い武器 である「低価格」「幅広い品揃え」そして「ワンストップショッピングの便利性」のどの機 能も持つからだ。スーパーセンターで購入する商品は食品とジェネラルマーチャンダイズ 商品だ。買い物頻度は週に 1.5 回で店舗形態を保有する小売業では一番高い。買い物時間 は 2005 年度と比較すると 5 分短縮し 50 分になった。 6. ホールセールクラブ 女性客、男性客とも支持率が年々高まっている。購入する商品は食品、オフィス用品、季 節商品だが、掘り出し物が必ず出るのでそれを楽しみにしている顧客が多い。月 2 回のシ ョッピングだが、2005 年度の 100 分の買い物時間から 75 分に落ちた。 7. ダラーストア 買い物の目的は家庭用品やパーソナルケア商品だ。週一回の買い物頻度で 20 分の買い物時 間だが、低価格が一番の魅力だ。 8. インターネット オンラインショッピングで使われている金額は機関によって違いがあるが、共通している のは急速に成長しているということだ。それは消費者がインターネットに慣れ、抵抗感が なくなったからだ。 年齢別そして収入別に見てみよう。 チェーンドラッグは圧倒的に女性客が多く 80%近くを占めるが、その中でも 55~70 歳の人が 一番利用する。男性も同じだ。収入別に見ると 7 万ドル以上の人々が一番利用している。25 千ドル以下の人々の利用率が多いのはメディケイドという貧困者用の公的保険が調剤薬に適用 されるからだ。ドラッグストアの強敵であるコンビネーションストアとスーパーセンターを見 てみると、コンビネーションストアを一番利用する客層は 35 歳以下又は 35~54 歳の中年で、 年収は 7 万ドル以上と高額所得者だ。スーパーセンターは 35 歳以下で所得は中間所得者だ。 興味深いのは、インターネットの利用者はまだ男女とも低いが、利用しているのは 35 歳以下 07 年 4 月号 2 の若い人たちで、所得が上るにつれ利用率が高まり 7 万ドル以上の高額所得者が一番の利用者 であることだ。 「年齢別業態利用度」 業態 チェーンドラッグ スーパーマーケット ディスカウントストア コンビネーションストア スーパーセンター ホールセールクラブ ダラーストア インターネット 全体 73% 84% 87% 73% 60% 54% 75% 13% 女性 35 歳以下 35~54 歳 70% 77% 83% 84% 91% 89% 83% 79% 65% 59% 49% 60% 74% 77% 29% 23% 55~70 歳 81% 83% 92% 73% 55% 54% 67% 5% 35 歳以下 60% 90% 87% 90% 56% 38% 60% 40% 全体 68% 83% 86% 84% 54% 44% 53% 38% 男性 35~54 歳 67% 83% 85% 91% 55% 40% 56% 29% 55~70 歳 75% 91% 88% 78% 52% 62% 46% 10% 「収入別業態利用度」 業態 チェーンドラッグ スーパーマーケット ディスカウントストア コンビネーションストア スーパーセンター ホールセールクラブ ダラーストア インターネット $25 千 未満 70% 75% 91% 70% 63% 32% 80% 6% 女性 $25 千~ $45 千~ $45 千 $70 千 71% 74% 80% 84% 88% 92% 76% 80% 61% 64% 46% 59% 62% 54% 16% 29% 男性 $70 千 以上 78% 83% 90% 90% 62% 70% 44% 36% $25 千 未満 79% 88% 75% 73% 53% 30% 51% 9% $25 千~ $45 千 51% 73% 83% 77% 66% 35% 53% 19% $45 千~ $70 千 64% 85% 87% 81% 45% 51% 52% 34% $70 千 以上 80% 90% 85% 86% 57% 52% 35% 44% このように見ていくと、日本のドラッグストアも他の業態と戦うためには、中・高年の人々を 第一のターゲット客という位置付けをして、「ヘルスケアとビューティーケアの専門性」と「便 利性」にさらに磨きをかける必要があることが分かる。 Excell-K ドラッグストア研究会 会長 07 年 4 月号 松村 清 3
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