優秀賞:原田 あすか「同性婚について」

同性婚について
原田あすか
1.はじめに
近年、欧米諸国やディズニーなどの大きな会社で同性愛を認める動きが表われ、同性婚
を認める国まで出てきた。そういった報道が注目され、日本でも同性婚に対し関心が高ま
っている。世界の約 15 カ国では同性愛者に対する様々な法整備があるのに対し、日本では
同性愛者に対する法を整備する動きは見られない。本稿では、同性婚に関する世界と日本
における現状を述べ、日本でも同性愛を認めるべきかについて考察する。
2.同性婚
同性婚とは、簡単に言うと男性と男性、女性と女性といった同性同士で結婚することで
ある。また、法的な保障や権利が男女の夫婦と同じように与えられることである。普通の
結婚とは両人が同じ性別ということ以外には大きな違いはない。
同性婚が持つ問題点としては、少子化が進む、子どもが減り生産者人口も減るといった
子どもに関することが多い。結局、同性婚の問題は本人の問題ではなく社会全体として見
たときの問題であり、賛成と反対というよりは、個人的な事情と社会的な事情ということ
になる。
3.同性婚に関する世界と日本での現状
現在、同性婚を法律的に認め、男女の夫婦と同じような権利を認めている国はヨーロッ
パを始めとした約 15 ヵ国(オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、
ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、イギリス、ルクセンブルク、カナダ、
アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、メキシコ、南アフリカ共和国)である。また、「パ
ートナーシップ法 1)」等により結婚という形式とは別に、同性カップルに社会的保障を付与
している国も多い。2001 年にオランダで世界で初めて同性婚が法律的に認められてから世
界で同性婚を認める動きが活発化しているが、同性婚が認められていない国も多い。その
場合は、宗教が関係していることが多く、フランスでは同性婚が認められた今でもカトリ
ック教会などの宗教団体が反対している。そのため、キリスト教圏では特に宗教的な理由
から結婚法案を制定するまでに至らない場合も多い。
一方、日本ではまだまだ同性愛者に対する偏見は多く、社会的にも同性カップルの権利
は保障されていない。同性婚の合法化に向けた行政機関の動き、活動もほとんど見られな
い状況である。しかし、諸外国の同性婚を認める動きを受けて、わずかではあるが同性婚
に関する関心が高まりつつある。
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4.同性婚に対する賛否
日本で同性婚について議論されたときの賛成派として、
「同性愛者に結婚する権利(家族
を持つ権利)を与えるということは、人権保障の観点から言って、至極真っ当な考えだ」
「同
性愛や異性愛といった性的指向で“区別”をするということは、個人の『生まれ』によっ
て区別をすることになるので、差別に当たる」といった意見があり、反対派として「同性
を愛し、しかも結婚まですると言うのは正常な男女のあり方なのか?」「文化の違いと言っ
てしまえばそれだけだが、日本がこんな間違った結婚を認知したら日本が日本でなくなる」
「結婚には子供を産んで未来に命をつないでいくという前提があると思う。結婚をすれれ
ば、税金や手当の面で優遇される。私は逆に同姓婚のメリットについて聞きたい」といっ
た意見がある。
以上により、同性婚については人権や差別、倫理観など様々な視点から考えることがで
き、それ故に簡単には解決することのできない問題だということがわかる。
5.結論
私は日本で同性婚を認めることに賛成である。第一に、同じ人間であるのに同性愛者だ
という理由で結婚ができないというのは、日本国憲法 13 条に規定されている幸福追求権に
反すると考える。よって同性婚を認めないことは憲法違反である。第二に、異性カップル
は結婚という形で社会的保障を与えられているというのに、同性カップルに対して認めな
いというのは同性カップル、同性愛者に対する差別であり、人権侵害にあたる。第三に、
憲法 24 条にある「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」とあるが、ここでの「両性」は
戦前の「家」制度にあった「親による強制的な婚姻」等を否定するために定められたもの
で、同性婚を禁止しているわけではない。ここでいう「両性」とは単に男性と女性という
意味ではなく「それぞれの独立した性別」という解釈も可能であり、男性と男性・女性と
女性という意味だとすることができるのである。以上により、日本でも同性婚を認めるべ
きであると考える。
6.おわりに
同性婚について調べていく中で様々な意見に触れてきたが、日本では儒教的な背景から
同性愛者に対して差別的な考えが多い。同性愛が法律的に認められることで、そのような
差別を減らすことができるのではないだろうか。同性婚とまではいかなくても、事実婚に
対して与えられる権利を与えるまでは認めて良いと考える。また、そのような形で同性愛
者が認められ、差別的な考えが少しでも無くなることを願う。
注
1) 結婚という形式とは別に同性カップルに婚姻に近い法的権利と社会的保障を付与する制度。
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参考文献
1) 風間孝、河口和也(2010)『同性愛と異性愛』岩波新書
2) 杉浦郁子、野宮亜紀、大江千束(2007)『パートナーシップ・生活と制度―結婚、事実婚、
同性婚 (プロブレム Q&A)』緑風出版
3) パートナー法ネット http://partnershiplawjapan.org/japan/(2015/1/17)
4) BLOGOS
議論:日本でも同性婚を認めるべき?
http://blogos.com/discussion/2012-02-25/same_sex_marriage/
(2015/1/17)
5) 憲法は、同性婚を禁じてはいない!?
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/report/?id=20140627-00036682-r25(2015/1/18)
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