欧州の電気事業が新たな局面へ!!

VGB--Congress 2015 参加
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参加速報(
速報(1/2
1/2))
欧州の電気事業が新たな局面へ!!
欧州
電気事業 新 な局面
変化の激しい欧州電気事業の現状を知るために、今年も9月9日~11日の間ウィーンで開催されたVGB大会に参加
した。昨年は、e‐onが発電事業を切り離す直前の大会で刺激的な講演もあったが、今年は冷静さを取り戻した大会
となっていた。大会のテーマは
“Energy Transition – Opportunity for Power Generation”
欧州の電気事業は再生可能エネルギーの拡大を受け
欧州の電気事業は再生可能エネルギ
の拡大を受け、新たな局面を迎えつつある。
新たな局面を迎えつつある
大会に先立ち行ったVGB‐TENPES情報交換では、原子力の次のターゲットとしてドイツでは石炭たたきが始まったと
報告され、水銀等の環境規制と併せて対応に追われている。また、ドイツでは今年上半期の風況が良く、最大80%
を再生可能エネルギーでまかなった日が出現するなど、再エネ拡大はさらに進んでいる。その結果、ドイツは確かに
電力輸出国となったが、溢れた電力を隣国に流し、受けた隣国もそのまた隣国に流すなど、まるでバトンをリレーし
ているような状況だ。
るような状況だ
9月9日に開催されたプレナリーセッションでは、今年も昨年同様 ep energy post のSonja van Renssen女史をモデレー
ターにパネルが開催された。パネルには自然エネルギー推進派やグリーンピースメンバー、発電事業者、火力プラ
ントメーカーなど多彩なパネラーが参加した。VGBのChristensen 専務理事によれば、モデレーターについては“彼女
は女性だし若い、会場を見てみろ!年寄りばかりだろう。”そして多様なパネラーについては、“意見がぶつかる所が
いいんだ”と言って両手のこぶしをぶつけて見せた。このような人選は、日本ではTVメディアでも実現するのが困難
だろう。討論自体は各自の持論を展開するも相手を批判する場面はなく、会場の空気が凍りつくことはなかった。
VGB Liaison officer Meetinggで講演する火原協・岩元次長
講演する火原協 岩元次長
大会冒頭で挨拶に立った
大会冒頭
挨拶
Fischer VGB 会長
司会のSonja van Renssen
Mr. Egit Dr. Wiebking Mr. Küster Mr. Zeller Pf. Kakaras Dr. Fouquet
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参加速報(
速報(2/2
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9月10日の技術発表では、・コンバインド・インテグレート・インテリジェントと言った言葉が印象に残った。自由化市
場の下で多様な電源がそれぞれ短所を改善し長所を伸ばす取り組みと、これらをネットワークの中で最適化する
システムづくりに焦点が当てられ 再エネと従来型電源との競合から協調へ向けて踏み出した感がある。
システムづくりに焦点が当てられ、再エネと従来型電源との競合から協調へ向けて踏み出した感がある。
今年の印象に残った講演を簡単のお伝えする。
・電気事業者はどうやったら分散電源に適用できるのか?(Photo‐1)
このプレナリーでの講演と翌日の講演の中で、SIEMENS社はITを用いて市場の変化に適用しながら多様な電源
を運用することで、柔軟な需給を可能とするとしている。
風力タ ビンと電池による系統慣性力代替の技術的可能性(Photo 2)
・風力タービンと電池による系統慣性力代替の技術的可能性(Photo‐2)
ここでは、”Utilizing the Inertia of Wind Energy Converters for Stabilizing the German Power System “と題した Dr. Straussの講演で風力を用いた系統慣性力強化のシステム開発について、続くPf. Dr. Sauerが”Technical Potential of Batteries to replace rotating masses in the electricity System”と題した講演で低コスト電力貯蔵システムによる需
給調整機能に関する研究報告を行った。火力が自分しかできない価値と思っているうちに、対向技術が芽生え始
めている。火力も自らの柔軟性をさらに向上させる取り組みを行わなければ、存在そのものも否定されかねないと
危機感を持ったのは私だけだろうか。
機
・プラズマ誘起点火を用いた乾燥褐炭燃焼システムの順調な建設と試運転(Photo‐3)
Vattenfall社の発表は、昨年に続き起動を含め全てを褐炭で運用するシステム開発の試験状況を続報として伝
えた。今年は、プラズマによる褐炭点火の試験結果を動画を用いて発表した。石油を必要としないことで褐炭火力
の経済性をさらに高めようとした試みだ。
大会最終日は、ウィーンエナジー社の木質バイオマス専燃発電設備(Photo‐4)の見学会が行われた。
なお、大会発表の詳細は後日、改めて報告書にまとめ報告いたします。
Photo‐1. Dr. Wiebking SIEMENS
Photo‐3. Mr. Heimann VATTENFALL
(火原協 船橋)
Photo‐2. Dr.‐Ing Philipp Strauss
Photo‐4. Forrest Biomass Power Plant Wien Energie