2015 年 7 月発行 第 25 号 (7) 5.感情残像の特徴 体験したことをすぐに忘れてしまっても、感情の営みは健常な人と同じ。目に 入った光景が残像として残るように、そのときに抱いた感情は相当時間続き、 認知症の人の心理や行動に影響を与える。つまり、記憶を失っても、感情は残 る。そのため、以下の3つの対応が推奨される。一つは、ほめること。「すご いわ」「さすがだね」など。嬉しい感情をもたらす言葉をかけ続けると、しだ いに本人が落ち着いてくることがある。二つ目は、共感すること。「大変ね」 「よかったね」など。また、あれこれ尋ねるより、ただ相づちを打つほうが良 いということも多い。 6.こだわりの特徴 状況に関係なく、ひとつのことにこだわり、そこから抜け出せないことがある。 収集癖などがその例。周囲の人が無理に辞めさせようとすると、ますますこだ わる。その場合の対応のポイントは、そのままにする、気をそらす、第三者に 登場してもらう、地域の人に協力を求める、生活歴を知る、こだわりがおさま るまで待つなど。 7.作用・反作用の特徴 認知症の人の反応は、介護者の対応の「鏡」である。介護者が優しく穏やかに 接すると、認知症の人は優しく穏やかに反応してくれることが多い(重症の人 は必ずしもそうとは限らない)。本人にとって望ましいと思うことでも、無理 強いは禁物。押して駄目なら引いてみる。相手のいやな感情や表情は、すべて 自分を映した物である場合が多い(これも重症の場合は例外である)。 8.認知症の理解可能性に関する特徴 一見、わかりにくい認知症の人の行動も、本人の立場に立って考えれば、ほと んど全てを理解できる。そのためには、認知症についてや、本人の生活歴など を知ることが重要である。要するに、不安な気持ちや落ち着かない感情を取り 除くようにする。 9.衰弱の進行に関する特徴 認知症の人の老化は非常に速く、健常の人の2~3倍のスピードで進行すると 言われている。現在、元気で活動的に過ごしている人も、数年後には状況が異 なり、介護の仕方も変わってくるであろう(ただし、進行の速度には個人差が ある)。つまり、老化も認知症も、確実に進んでいくため、今の本人といっし ょにいられる時を大切にする必要がある。 <参考文献> 「健康ライブラリースペシャル、認知症の人の不可解な行動がわかる本、杉山孝博著、2014」 2015 年 7 月発行 第 25 号 (8) 平成 27 年度 春の交流会 主催:高知県精神保健福祉協会 精神科デイケア室 看護師 川本 恵 5月14日、同仁病院体育館にて春の交流会が開催されました。 8 施設が出店に参加し、飲食店やフリーマーケット等を行い、多 同仁病院 H27.5.14(木) くの方で賑わいました。当院ではアイスクリンを販売し、当日は 天候に恵まれたくさんのアイスクリンを販売する事ができまし た。会場内イベントでは、毎年恒例のカラオケ大会が行われ、各 施設の代表者が美声を響かせました。当院からもメンバーさん 1 名が素晴らしい歌声を披露しました。さらに、前半後半に分かれ てメンバーさん 2 名がカラオケ大会の司会を行い、スムーズに進 行する事もできました。毎年参加していますが、出店や会場内の イベントを楽しみにしている方も多くおり、今後も是非参加して いきたいと思います。 第 67 回 高知市展 (アンデパンダン) 主催:高知市展代表委員会・高知市文化振興事業団・高知市教育委員会 高知市文化プラザ かるぽーと 7F市民ギャラリー H27.5.23(土)~H27.6.7(日) 精神科デイケア室 精神保健福祉士 竹村 哲也 メンバー 3 月にデイ展が終わったばかりだったが、5 月に市展が迫ってい 『純夫さん』 たためメンバーと早々に話し合った。結果、昨年に続き出展するこ 私達はバベル とになる。今年は、立体アートの先端美術(立体)に出展することに の塔を作った。 なった。昨年同様に、素材はダンボールに決定。当初は定番通りテ 最初、ダンボールの作品は見栄えがしないか ーマを決め、具体的な製作過程も大方決めはするが、その通り仕上 もと思ったが、ダンボールに絵の具を塗りた がることは稀であり、今回も同様であった。ダンボール置き場から くって一つの作品となると存在感があってす 大小のダンボールを集め、それに新聞や雑誌等の切抜きを貼ってい ばらしい作品となった。ダンボールのくずが、 く。そこは各メンバーの個性が現れるので、計算された感じにはな アートの作品となって良かった。 らない。それをどのように積み上げるのか試行錯誤し、何か物足り ないと意見を交わし、ペンキを塗ってみたり、竜の絵を貼り付けて 『順 さ ん』 みたりと製作しながら仕上げていく過程は、まるで走りながら完成 南国病院ではスピリットアート、デイ展、か させていくイタリア車製作過程みたいに感じた。 かし祭り、市展等々に共同作品を出展してい 会場に持ち込んでみると先端美術の中では一際目立ち、関係者の ます。一昨年はスピリットアートで褒状を取 評価も高かった。アンデパンダン(公募・無審査)の市展に、今後も りました。今回の市展作品もダンボールで作 自由で素朴な作品を出していきたいと思います。 ったおもしろい作品に仕上がっています。
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