岩手県久慈市の久慈層群玉川層から産出した水生爬虫類 白亜紀後期 アジア初のコリストデラ類の化石 コリストデラ類とは、ワニでもトカゲでもましてや恐竜でもなく、爬虫類に属しますが、詳 しい実態はいまだ明確に解っていません。 コリストデラ類は、約 1 億 7 千万年〜1500 万年にアジア・ヨーロッパ・北米を中心に生 息して来ました。6600 万年前に恐竜を含む多くの生物が絶滅した中でも生き残った貴重な 生物です。しかし約 1500 万年前を最後に化石記録が途絶えており、絶滅の原因を含め、い まだ謎の多い生物です。 「口先の長いコリストデラ類の復元画の一例 菊谷詩子氏制作」 発見されたコリストデラ類の化石 2012 年 3 月から本格調査の始まった当博物館付近にある久慈層群玉川層の地質調査で、 本年 2015 年 3 月に調査、採取した土塊資料の中に、白亜紀後期ではアジア初となる爬虫類 「コリストデラ類」の化石が発見されました。 調査は早稲田大学 国際教養学部 教授 平山 廉氏(理学博士)の調査団による調査で発 見され、平山廉教授とコリストデラ類の研究者である神奈川県立生命の星・地球博物館 本涼子 松 学芸員に鑑定をしていただき、今回の結果に至っています。 今回発見された化石は、頸椎と胴椎あるいは仙椎と考えられるもので、現在 2 点が確認さ れています。(下記画像) 発見された化石画像 (画像提供:早稲田大学 国際教養学部 平山 廉 教授) この同じ場所からは、2012 年に体長 20m級の大型草食恐竜(竜脚類)の歯化石も発見 されています。 また、同じ付近にある当館の琥珀採掘体験場からは 2009 年に草食恐竜(竜脚類)の坐骨 化石、2010 年に翼竜(爬虫類)の中手骨化石、2012 年には肉食恐竜(獣脚類)の後肢の趾 骨化石が発見されるなど、近年この場所からは恐竜化石を含む脊椎動物の化石が続々と発見 されています。 さらに、昨年より近くに移設した琥珀採掘体験場からもサメ類の歯やカメ類の化石などが 発見されているほか、今年に入り 2 名の体験者が採掘体験場から約1.5㎏の琥珀大原石を 採掘するなど、河川付近から採掘体験場にかけては琥珀と恐竜化石類が埋まっている貴重な 場所となっており、まさしく「琥珀と恐竜の大地・久慈」と言われる地域です。
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