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(一社)兵庫県自然保護協会
月 報
あしおと
2015 年 10 月 15 日発行
No.371
INDEX
巻 頭
1 巻頭 茂見 節子
「何がご専門ですか?」
3 明石海峡支部例会報告
理事・姫路支部 茂見 節子
4 姫路支部例会報告
6 研修会報告
8 兵庫いきもの語り 22
Information
■イラスト図鑑 19
タワヤモリ
Gekko tawaensis
ニホンヤモリに似るが、背面
と四肢の鱗の大きさが均一
なことで区別できる。近年、
近畿地方でミナミヤモリが見
つかっており、同定には注意
が必要。兵庫県内では淡路
島で多く見られ、山林内の露
出した小規模な岩盤などに
も生息する。兵庫県RDB:A
ランク
イラスト/松下紫(神戸支部)
2015.10
タワヤモリ
自然観察系の人たちに出会う度に、よくされる質問です。その都度「自然
全てが大好き。しいて言えば動物かな。それも興味があるだけ」と絞り出す
ように答えています。すると、「そうかぁ…」という言葉が、まとまりのな
い空気と共に流れ、私は心の中で「それではダメですか? 半人前です
か?」とつぶやく。何かで話にオチをつけようと「でも、蛇を捕まえるのは
平気です!」と締めくくる。すると、いつの間にか「蛇大好き人間」に変身
させられ、私が口笛を吹くと「蛇が寄ってくる」とまで噂されたこともあっ
たのには苦笑いしました。
最近、さまざまなグループで野山に出かけることが多くなり、足を運ぶに
連れ、聞こえてくる鳥の鳴き声や虫の音、漂ってくる草花や木々の香り、数
え切れない程の彩りに囲まれる豊かさ、天空に近くなるに連れ感じる、冴え
たひんやり感、足の裏に心地よい枯れ草の柔らかさ、そしてアケビの優しい
甘さ。それぞれが私のからだに入り、身体の一部になる。
10 年ほど前に朗読の先生から「センス・オブ・ワンダー」を紹介され
た。その中で ”It is not half as important to know as to feel.”「知
る」ことは「感じる」ことの半分も重要でない。という文に出会い、強い衝
茂見 節子
momi setsuko
こどもの頃の夢は、動物園
飼育員。大学は英語科を卒
業したが、時代の流れに乗り
哲学ゼミから「善と悪」を卒論
にした。町教委、自宅で学童
保育の運営を経て、現在は
英会話教室を開いている。カ
マドウマとジャズが好きな夜
型人間。
Photography by Setsuko Momi
2
撃を受けました。子供の頃に読んだ本の著者、椋鳩十さんが「感動
が人間を変える」と言われたことに通じています。感動の幅が広い
と心が大きく動き、他のものを受け入れ易い「空気」ができるので
はないでしょうか。
私がとても感動したことのひとつとして、三木山森林公園内の
「64(むし)クラブ」で、まるでゴミのように見えた小さな虫を顕
微鏡でのぞいていたら、キラキラと光輝き「この世で一番美しい宝
石!」と驚いたことがあり、それは私が虫にのめり込む大きなター
ニングポイントとなりました。
感動は一人より二人、二人より三人と比例して大きく広がってい
くのは「群れたい」習性があるからなのでしょうか。「先祖を敬い
なさい」という教えをよく耳にします。それを考えるなら、私たち
の祖先はアメーバ、それを生んだ宇宙、果てしない流れの中で私が
いる。結局、自然全てを敬うことに辿り着きます。自然界のあらゆ
るものが時々刻々、共存して生きていると想像を巡らせていくこと
ができれば、「私は孤独ではない、無数の草や虫、そして遠い星も
一緒に生きている」という安堵感も湧いてくるでしょう。
もう一つ伝えたいことがあります。「私達は水と空気と土ででき
ている」という想い。例えば「豚肉を食べたとすると、私の体の一
部は豚であり、その豚は土が産んでくれた物を食べている」という
循環があります。だから時々、小学校で子供達に「この指はゴキブ
リでできているかも知れない」などと冗談を言いながら話します。
こうした自然についてのさまざまな思いを身近な人達と共有した
い。長い間、多くの方々から教えていただいた事を少しでも生かし
たいという夢が、昨年叶い、三つのグループの仲間ができました。
そして「あなたと歩くと、まわりの景色が違って見えてくる」と
言ってくれた近所の友達の言葉に勇気づけられています。言い古さ
れては来ていますが、名言
”Think globally, act locally.” を
常に胸の内に灯し続け、夢を追いかけていけたらと。
私の専門は「ヘェ~、自然てすごいなあ!」と、共に驚き合う
「初めの一歩づくり」にしたいと思っています。
3
明石海峡支部例会報告
2015 年 9 月 13 日 参加者 12 人
網引湿原に学ぶ
明石海峡支部 田和 聡
関東、東北での豪雨被害が報道される中、明け方の小雨は通り
雨とのこと。天候の回復した東播磨は、秋の気配も感じられるよ
うになっていました。
マイカー参加者は、網引湿原保護のベースである、南網引公会
湿原を背景に記念撮影
堂に集合。JRでの参加者を迎えに、網引駅に向け県道 79 号を
北へ。駅前には立派なイチョウの木があります。
左上から順に
テーブルのような
シロオニタケ
カラスタケ
キクバナイグチ
ホコリタケ
ノウタケ
草丈の低いうるち米は、もうすぐ刈り取り。頭一つ背高の山田
錦は青々と。田んぼ道を通り、参加予定者全員が揃ったところ
で、万願寺川の土手から観察開始。
秋の七草も今回のテーマで、早速、出穂したばかりのススキ
と、香りがさわやかなクズに出会いました。橋の上から河原を眺
め、ちょっとだけ火成岩の話と、流れの方向が分かるインブリ
ケーション・瓦状に重なった礫の並びのことも。ヒガンバナもち
らほら咲き始めています。
サイクリング道の橋を渡ると、工業団地の緑化木の各種どんぐ
りとキノコがオンパレード。ミズナラ、アベマキ、カシワ、アラ
カシ、シラカシ、コナラ、マテバシイ、スダジイ、ツブラジイと
いったところで、シイの実を味わうのは久しぶりでした。
スズメバチを見かけ、道脇の草むらに、クロススメバチの巣
も。参加者が、近付かないように誘導。実際、この日の夕方の報
道 で ハイ カ ー12 人 が 襲わ れ たと か 。ポ イ ズンリ ム ーバ ー と
ファーストエイドキットをいつも携帯しています。ホコリタケを
つついて、胞子を噴出させて、しばらく行くと道路擁壁の上にノ
ウタケが…と言いながら、キキョウ、オミナエシを確認し、南網
引公会堂に到着。
昼食後、湿原へ。入口の道路脇にある石棺の前の切り株からナ
ラタケの仲間がごっそり。しばらく進むと、どうだと言わんばか
りのシロオニタケ、マンネンタケや小さなホウキタケなども。
枯葉を巻いたカヤネズミの巣
入口のせせらぎで靴底を洗浄し、湿原の中心部へ。キセルアザ
ミ、カヤネズミの巣等を観察しながら第 1 湿原を一周しました。
湿地の生態系を損ねるのでチガヤを駆除し、間伐材を小川と直角
キキョウ
に設け、穏やかで均一な流れを保っていること、上流部を皆伐す
る計画があること等、湿地の維持管理について説明しました。
参加者の半数が「ヤマトナデシコ」ということで、秋の七草も
フジバカマを除いて見ることができ、キノコ、ドングリがメイン
香りのよい良いクズの花
の例会になりました。
ハッチョウトンボ、ヒメヒカゲ、そしてサギソウの季節にも再
び湿原を訪れる事として、月例会を終えました。
写真/卜部 格
4
姫路支部例会報告
2015 年 9 月 13 日 参加者 5 人
県立国見の森公園を訪ねて
理事 茂見 節子
好天に恵まれ、午前 10 時に宍粟市山崎町の国見の森に参集。私
以外はそれぞれのフィールドでの自然観察や自然保護活動のリー
ダー達。ワクワクしながらのスタートでした。
国見山頂から
の眺め
モノレールで山頂近くまで上がり、そこから徒歩で展望台~北
側斜面~谷~山麓がこの日のコース。乗るまでの数分前から観察
が始まり、乗車口前の植え込みにはペラペラヨメナ、ロウバイ、
ミソハギ、ハナイカダがありました。公園事業としては、四季
アブラギリの
木々の間を
上るミニ モノ
レール
折々に目を楽しましてくれる花木を植え、一般の方々を一人でも
多く迎え入れたいとの願いがあるのでしょうが、「この山で普通に
見られるものをさりげなく紹介するようなエントランスだったら
いいのに」と思いました。「私たちが大切しているのは、この子た
ちよ!」って胸を張って言えるような。山に庭の植物はイラナイ
と思います!!
モノレールの座席から目に入ってきたのは、鹿の食害を免れて
いるものばかりでしたが、アブラギリの実のつき方やコナラの葉
の変異などを話したり、眼下にひろがる建物や山並みなどを確か
めあったりの 18 分間。一気に標高 300mも上がっていました。
ウツギの実。小さなリンゴのよう
尾根上に、中世に築かれた柏原城があり、当時は山頂より武士
が様子を伺っていたのでしょうか。広さは甲子園球場の 90 倍、電
気は太陽光発電、トイレの水は雨水や微生物分解浄化槽での循環
で賄っているとのこと。山頂駅隣には学習棟があり、きれいなト
イレも完備。そこから標高 465mの展望台までの 700mの坂道、左
が山で右が崖、植物を観察しながら歩を進めて行きました。
先ず目についたのが、葉は細かく切れ込んでいるのに、こざっ
まだ青いサルトリイバラの実
ぱりしたシダ、コバノイシカグマ(「カグマ」は、リョウメンシダの
別名)、それからシカの嫌いなイワヒメワラビが続き、その後は
実、実、実の連続でした。
鈴がたくさん吊下がっているようなエゴノキの実、小さなリン
ゴのようなウツギの実、どう見てもクルミとは思えないイガイガ
のノグルミ、まだ青くコロコロしたサルトリイバラの実、少し黄
色く色づいた遠慮がちの小さなソヨゴの実、遠くからでもよく目
ガマズミの実。真っ赤に熟し、霜がおりる頃に
食べられる
立つ真っ赤なガマズミの実、ふさふさと広がっているカラスザン
ショウの実、ユニークな多角形のシキミの実…このとき誰かが、
なんでも口にする私に「どうぞ、どうぞ!」とけしかける。私は
「『悪しき実』が名前の由来で猛毒なんですよね」と返す。
展望台からは、揖保川の流れや高速道路の位置を教えあったり
して鳥瞰を楽しみました。夏には花火大会、秋には最上山の紅
葉、春にはあちこちの桜も見えるらしい。何故か山頂付近では虫
「悪しき実」が由来のシキミの実
がよく集まって来るのが不思議ですが、ツマグロヒョウモン、ア
5
キアカネが飛び交い、ツクツクボウシやミンミンゼミがまだ鳴い
ていました。
山の北斜面の道から降り始めると、それまで白いドレスのよう
にフワフワ広がったタラの花は消え、ヒガンバナとは対照的な地
味なシュウブンソウが群生。そしてダンドボロギクが山を覆う。
その中にベニバナボロギクもチラホラ。違いは前者の花は上向き
で、後者は下向きだそうです。どちらも筒状花でしぼんだ感じだ
が、空気に漂う種の威力はすさまじい。そこから、大きなかんざ
アキアカネ。もうすぐ里に下りてきます
しを下げているようなウリハダカエデの実や、白くペラペラした
房状の実がよく目を引くニワウルシの実が続く。時々小豆大の梨
がついたアズキナシやミツバアケビの実、どちらも食べるには早
すぎで残念。聞いて面白かったのが、イタドリは「痛みをと
る」、アブラチャンのアブラ(油)は日本語、チャンは中国語で油
の意で、昔は灯明に使われたそう。
お昼ごはんはイワカガミの花がある渓流のそばで、差し入れの
ケーキと共にいただきました。その辺りから湿っている所が増
薄暗い杉林の中のアサギマダラ
え、植物好きには「うれしい」斜面があり、ハリガネワラビ、ジュ
ウモンジシダ、ヤワラシダ、チゴザサ、ミツデウラボシ、イワガ
ネソウ、オニタビラコ、ホソバオキナゴケ、カテンソウ、カニク
サ、タニギキョウ、ホラシノブ、コミカンソウ、ザクロソウなど
がありました。
突然、大蛇が山肌を這っているような木、それは多年草とは思
えない程のクズの大木(?)。食用に採取するのは、それ位の大き
さが普通らしいと聞き、「じゃあ、その辺に生えてるのは、タダ
ツマグロヒョウモン
の屑なんですか?!」。
ヤマコウバシ、コバノガマズミ、ヤブムラサキと続き、珍し
かったのはササゲ状の実をブラブラさせているキササゲ。食用に
はならないが民間療法では利尿に使われる。麓まで辿り着き、シ
カ防止柵を開ける時、今日初めて、シカから身を潜めているかの
ようなエンレイソウの仲間を見つけました。シカも人間のそばに
は来たくないのかなと。人間がどんどん山へ入るようにしたら、
シカも山奥へ戻るのでしょうか。
交流館でしばしのティータイムの後、サワガニやトカゲ達と遊
びながら 300mの滝見道を歩き、落差 12mの絶景地「比地の滝」に向
かう。今年は雨が多いせいか、さまざまなシダやコケがみずみず
大きなかんざしを下げたようウリハダカエデ
しく「小さな別世界」の様でした。林内で恐竜の卵を連想させる
スッポンダケの幼菌を発見。食用になるそうですが、みんなが「置
いとき!」って言うのでそっと返しました。この森で、播磨では3
カ所にしかない珍しい植物を見かけたのも、貴重な体験でした。
ここへは何度も足を運んでいるのに、一緒に歩くメンバーによっ
て教えて頂くことが違い、豊かになっていくのが嬉しいです。
午後3時頃の解散時、お馴染みのヤマガラが「ピーチク、ピーチ
ク」と見送ってくれ、「実り」多い1日の締めくくりとなりました。
熟すると風によって飛び散るニワウルシの実
6
自然保護指導者研修会報告
2015 年 9 月 26~27 日 参加者 42 人
淡路・成ヶ島の魅力にふれた2日間
副理事長 三木 進
6 月の理事会で「淡路でやろう」と誰かが言い、「淡路なら成ヶ島」「成ヶ
島なら講師は花野晃一さん」「植物は小林禧樹さん」と、初の淡路開催が
一気に決まった。肝心の宿も目と鼻の先に洲本市の研修施設エトワール
花野さんが熱く語り
生石があるではないか。谷口誠司理事長に相談し、すぐに契約した。
だが、募集段階になって苦戦した。明石海峡大橋の通行料が安くなっ
ていることのPRが足りなかったのと、日程が他の行事と重なっていた。施
設を貸し切るのに必要な 40 人を何とかクリアした。
小林さんは
内容豊かに
初日、心配していた舞子での高速バスは、やはり積み残しが出た。しか
し、参加者が機転を効かして「10 分遅れ」の連絡を下さり、迎えのマイクロ
バスに待ってもらって事なきを得た。定刻の午後 1 時前には、チェックイン
も終わり、研修室に集合。県自然環境課の中谷康彦課長が、研修会の 42
塚本事務局長が
楽しく聞かせる
年の歴史を紐解きながら、その意義を話された。
兵庫県植物誌研究会幹事の小林さんの講演は、淡路全島を車やバイク
で走り回り、ほとんどの山野に分け入ったとあって、貴重な種類を多く含む
内容だった。そして、「なぜそこに分布しているのか」という疑問に、植物地
史の知識を駆使し、謎を解いていった。昆虫、陸産巻貝などにも共通し、
目が覚めるような興奮を覚えた。
海洋生物の研究者、塚本博一事務局長は、自身の研究史を軸に、幅
広いテーマで海の魅力を紹介。専門のフジツボでは、動画でフジツボが
無数の手のような蔓脚を伸ばしエサを採る貴重な映像や、柔らか頭で閃い
インドアでもアウトドアでも、充実した講義に
熱心に耳を傾けた
た研究手法をユーモアたっぷりに披露した。
私は、「温暖化」が一歩進んで「乾燥化」という側面が強くなっていること
を、湿度を好む昆虫の衰退や、乾燥に適した種類の台頭などから推察。
大谷洋子理事は、これまで何度も成ヶ島で調査しているだけに、海岸の貝
類から、ギュリキマイマイに代表される陸産巻貝まで、翌日の観察会を念
頭に置いて話した。
長く延びた砂州が「淡路橋立」と呼ばれる絶景
成ヶ島へは渡船で、3分ほどの船旅
7
最後に、成ヶ島を美しくする会代表の花野さん。地元、由良に生まれ、
大手企業に勤めたが、かつて泳いで渡った島の豊かな自然が、押し寄せ
る大量のゴミに埋もれ、破壊されるのを目の当たりにし、帰郷。行政と交渉
しながら、島の自然を守り続けている“生き様”を語った。
全員揃っての夕食で淡路の幸を味わった後は、交流会。誰もが一人一
人の話をよく聞き、自然に携わるもの同士の、理解と思いやりがあふれた。
二日目も好天であった。前日、暖帯林が茂る背後の生石公園に仕掛け
た、野生動物用のトラップカメラの映像を谷口理事長が解説。「何が写って
いるのやら、シカばかりでは」の予想に反し、サプライズの連続。大きく鮮
明に映っているのに、犬のようでも、カンガルーのようでもある奇怪な画像
を前に、議論百出。さしもの谷口理事長も、しばし冷や汗。しかし、次のコ
マを見ると「なんやタヌキかいな」と全員、大笑いするやら、安堵するやら。
成山で小林さんが植生を解説
ハマナタマメ
テン、ネコ、人間…。極めつけは山の主のような巨大なイノシシがクロー
ズアップ。「イノブタの可能性が高い」と理事長。一コマごとに大いに盛り上
がった。不思議なことに、昼間でも車道にいたシカが一頭も姿を見せな
い。大いなるミステリーに、それぞれが自論を主張したが、地元、花野さん
は「夜は海岸に行ってるんや」とあっさり謎を解いた。
午前9時、渡船で成ヶ島に上陸し、標高 50mの成山を目指した。道中、
小林さんが林内の高木層から林床植生までを解説。大谷さんはギュリキマ
イマイの殻を採集され、花野さんは山上で砲台跡などの昔語りをひとくさ
苞葉に毛がある
ケツユクサ
り。神戸支部の松下紫さんは、ジョロウグモの巣にいる小さな白い粒を見
つけて、「シロカネイソウロウグモです。居候生活をしています」と紹介。
皆、奇妙な生態に興味津々。
友ヶ島水道側の海岸に出ると、ハマゴウの群落。「地元では葉がお香の
臭いがするから浜香と呼んでいる」と、花野さんが名前の由来を話した。大
ギュリキマイマイ
パワーストーンと聞い
て、お土産に持ち帰っ
た「さざれ石」
小の石が敷き詰められた海岸は、ほとんどが「さざれ石」。水中に溜まった
砂や小石が固まった堆積岩だ。国歌の「さざれ石のいわおとなりて」の意
味が、より具体的なものとなって浮かび上がった。誰もが貝を拾ったり、素
敵なさざれ石を見つけたり。
さらに進んでハマボウのタコの足のような群落内で、枝の伸び方を観察
した。ここでも花野節は絶好調。
塩沼湿地では、ハママツナが赤く染まりかけていた。小林さんが植物群
落を解説し、ハマユウが自生ではなく、持ち込まれたものに由来する話
は、花をめでる行為が、時に植生攪乱に繋がるという教訓に満ちていた。
ハマボウの増え方を花野さんが話す
皆で潮溜まりの生物を探したが、さすが調査で鍛えぬいた大沼弘一神
戸支部長ら。フトヘナタリなどの貝に交じって、ヨウジウオなどを見つけてく
れた。参加者の中にはテッポウエビを発見した人も。普段目にすることのな
い生きた実物に、皆の目が輝いた。
渡船で届いたお弁当がとても美味しく、まだまだ島で観察したかった
が、再びエトワール生石へ。別れを惜しむ、それぞれの表情が二日間の研
修が、有意義で、目的を果たしたことを物語っていた。
輪になって干潟の生物を観察する
8
Information
兵 庫 い き も の語 り No.22
■合同例会■
● ゴイシシジミ ●
11/15 晩秋の「雪彦山」を歩こう
姫路・明石海峡・神戸の各支部と本部
小暑初霜の便りは晩秋にあります。鮮やかだっ
た山の木々の葉もだんだんと色あせ、冬の気配が
漂い始めるとなんだか寂しい気がしてきますが、
秋から冬にかけての森林は野鳥の観察には大変適
しています。落ち葉やドングリを拾い集めて分類
するなど、いろいろな楽しみ方があります。「山
ビル」がいる危険性があります。ズボンの裾を厚
手の靴下の中に入れる等、足回りの服装に注意し
てください。
日時/11 月 15 日(日) 小雨決行
集合/賀野神社 午前 10 時(公共交通機関はない)
参加費/一般 300 円(障害保険料含む)、会員 100 円
服装・持ち物/登山に適した服装、弁当、水筒、双
眼鏡、図鑑、雨合羽など
申込・問合/氏名、住所、年齢を記入の上、FAX ま
たは電話で山本弘姫路支部長へ。TEL&FAX079-3362173、携帯 090-1071-8310
葉裏のゴイシシジミ
小さなシジミチョウの仲間。国内で唯一、
成虫、幼虫ともに肉食性。ササに着くアブラ
ムシを食べる。名前の由来は、羽の裏の小
さな紋。
写真は芦屋市内。登山道の脇のネザサ
の葉裏にアブラムシが集まっており、その中
に居座っていた。まさに食事中。私にとって
は市内での初の遭遇。分布が確認できたの
で、観察を続けたいが、葉裏に静止している
と見つけるのは、なかなか大変。飛べば分
■西宮自然保護協会■
かるが、写真にならない。
(池内清)
11/14 元気な西宮っ子を育む自然保護への取り組み
事務局だより
甲子園ロータリークラブ主催
阪神間に残された御前浜、汚いと言われる尼崎
の海辺、そして甲山での取り組みなどをお話しい
ただき、山や海での問題点などを考えましょう。
日時/11 月 14 日(土)14~16 時 入場無料
場所/ノボテル甲子園(西宮市甲子園高潮町、阪
神甲子園駅から徒歩2分)TEL0798-48-1111
講演/「甲山周辺の自然と都市型里山の取り組
み」小川雅由氏 「御前浜・香櫨園浜での浜辺保全
の取り組み」粟野光一氏 「市民協働による海辺で
の栄養塩ジュンカンの取り組み」上月康則氏(徳
島大学大学院教授)
問合/大谷洋子さん(西宮自然保護協会・当協会
理事)TEL090-8525-9244
編集後記
●10 月号は、前号の2倍のボリューム。茂見さん
の巻頭、写真のアングルと色彩に圧倒されまし
た。知識ではなく感性でご覧ください。(蟲屋)
(蟲屋)
●第 7 回 Nature Salon
テーマ/電力屋が見た自然保護
講師/田和聡氏(明石海峡支部)
長年、 電力会社に籍を置き、 火力発電所の 運
転、保守、建設及び環境アセスメント業務に携
わってきた田和聡氏が、電力を取り巻く現状と問
題点、環境行政などについて話す。
日時/11 月 24 日(火)14~15 時
場所/兵庫県自然保護協会事務所
※詳しくはHPを参照下さい。
(一社)兵庫県自然保護協会
〒651-0087 神戸市中央区御幸通 2-1-18 ノベラ 704 号
TEL&FAX078-221-5102(火・金 13~17 時対応)
E メール
[email protected]
ホームページ http://www.hyogonacs.jp/