7/6 広島 - 原子力発電環境整備機構

質問1:高レベル放射性廃棄物の地層処分場への運搬は非常に危険な作業だと思うが、
安全性はどの程度か。(18歳女性)
回答1:輸送に関しては、既に、国内でもさまざまな廃棄物や使用済み燃料の輸送もされており、実績の
ある方法である。また、国際的に統一されたIAEAの輸送規則があり、それに則って安全性を確保し
ながら、ガラス固化体を輸送用のキャスクに入れて輸送する。キャスクも厳密な国際基準に則って
仕様が決められており、例えば、800度の中でも耐えられる、落下しても大丈夫、水深200mに落ちて
も大丈夫、というような形で安全は確保されている。
質問2:なぜ地層処分が進んでいかないのか。原因は何か。(51歳男性)
回答2:我々事業者の反省としては、こういうことをきちんと説明する取組が甘かったと思う。公募という枠組
みの中で受け身の姿勢になっていたことは反省しなければいけない。また、高知県東洋町の件以降、
国からも申し入れができるという枠組みに変わっているが、実際に国からまだ申し入れができていな
い。やはりそうしたアクションを起こすにあたっては、地元の自治体の方々ともある程度の合意も
当然必要になるが、それもなかなかできる状況が整っていないと思う。どちらにしても、これだという
特効薬はおそらくないと思うので、一つひとつ丁寧な対応をそれぞれの立場でしていくことに尽きる
と思う。
質問3:フィンランド、スウェーデンの決定地を見ると沿岸部であるが、日本は3.11の経験から沿岸部は非常
に嫌われると思う。輸送等のメリットから沿岸部なのか。(52歳男性)
回答3:沿岸部であっても一向に問題はないと考えている。当然、特定の地点が決まれば、津波の高さも
考慮して設計し、津波に関しては万全の対策をとる。輸送については、海から廃棄物を輸送する
場合は、沿岸部の方が当然輸送距離が短くなるが、必ずしも沿岸部でなければいけないと考えてい
るわけではなく、輸送リスクが少なく、地下の環境も安定しているような場所を探しているということ
である。
質問4:本当に日本のような火山・地震活動期にある国に良い地域はあるのか。(61歳男性)
回答4:私どもはあると考えている。なぜかというと、火山や活断層というのは偏在しているから。火山・活断
層のメカニズムを支えているのが日本のプレートシステムで、太平洋プレート、フィリピン海プレート、
北米プレート、ユーラシアプレートがあるが、このプレートの位置関係や相対運動の方向速度は今
後10万年にわたって大きく変わらない、また、10万年以降も急激に変わることはないというのが地質
学者の一般的な見解であることから、その前提に立てば、既存の火山や既存の活断層を避けること
によって好ましい地質環境適地が見つかると考えている。
質問5:国民の理解度を深めるため、今後どのような活動を行っていく予定なのか。(18歳男性)
回答5:パネルディスカッションでも話があったが、とにかく考えられること、できることは何でもやりたいと
思っている。このようなシンポジウムとともに、マスメディアの方にも協力いただいて広く知ってもらう
ための努力もしなければいけない。また、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も導入する
など、とにかく考えられることをやっていきたい。
質問6:埋立処分後の管理はどうなるのか。(45歳男性)
回答6:まず操業中、埋めている最中は、いわゆる原子炉等規制法に基づいて規制機関が定期的に操業の
安全性を確認する。そして、最終的にすべて埋め立ててしまった後は、処分場を閉鎖する前に本当
にこれで閉鎖して長期に安全が確保できるかどうかについて、国の規制機関が再びチェックを行う。
そういうチェックを経て、完全に埋め立てて、地上を更地に戻す。だから、操業中、閉鎖前、閉鎖が
きちんとできたかということも含めて、将来どういう規制機関になっているかはわからないが、
規制機関が定期的にチェック&レビューをしていく。
質問7:4万本以上埋設できる施設とは国内の1ヶ所で埋設できる施設を考えているのか。また、4万本埋設
できるスペースはどの程度の広さになるか。(61歳男性)
回答7:NUMOとしては1ヶ所に決めて、そこで4万本相当の埋設事業をやりたいと考えている。4万本という
規模は、インフラ部分の費用が大きいことから、4万本程度の規模になるとスケールメリットが出て
くるということがある。だから、4万本以上の処分場をつくる限りにおいては、ガラス固化体1体当たり
の埋設コストはほぼ一定になる。それと同時に、4万という数字の根拠は、NUMO設立当初に原子力
発電や六ヶ所村の再処理工場の操業をにらみながら、平成30年代の中頃までには4万本相当の
ガラス固化体が出るだろうと想定し、それをNUMOとして引き受けようということになっていた。
これを超えたものについてはその当時は議論されていなかったが、施設をつくる段階で発生するも
のがこれよりも超えている可能性があれば、それも1ヶ所で処理することが可能なのかどうかを議論
しなければいけないだろう。1ヶ所で覆いきれない量になっているとすれば、どこか他のところが
必要になると思うが、その際には、新たに国でしっかり議論する必要がある。
質問8:処分費用3.5兆円という数字があるが、発電原価にはどう反映されているか。(61歳男性)
回答8:この事業にかかる費用は電力会社から拠出金という形でいただいている。原子力は今動いていな
いが、3.11以前には発電量の3割を原子力が担っていたため、その時点で毎月の皆様の電気料金
から20円程度を、拠出金という形でいただいている。
質問9:関心の無い方へのアプローチはどのようにするのか。(19歳男性)
回答9:関心の無い方に関心を持ってもらうには頑張るしかないという精神論になってしまうが、こういう
シンポジウムなどでいろいろな意見をいただく中で、SNSなども積極的に使いながら、関心を持って
もらうようにしっかりやっていかなければならないと思っている。
質問10:使用済み燃料とガラス固化体との違いは何か。日本はなぜ、固化体にするのか。(60歳男性)
回答10:各国の処分方法の資料に書かれている使用済み燃料とは、再処理をしないでそのまま処分する
方法。ガラス固化体は再処理してガラス固化体にして処分する方法で、フランスや日本で採用して
いる。この違いは、それぞれの国のエネルギー政策による。原子力発電を進める国では、それぞ
れエネルギーを自分の国で賄うために原子力発電を一定の割合で導入しているわけだが、その
中でも、1回使ったものはそのまま処分するワンススルー方式でエネルギーが賄えると考える国は
再処理という方策はとっていない。日本は、原子力発電をして、なおかつ、それを再処理してもう
1回使わないとエネルギーセキュリティが確保できないと考えているため、サイクルの政策をとって
いる。最終的に出てくるものが使用済み燃料の形か、ガラス固化体かということはそれぞれの政策
の結果である。
・日本には資源がなく、現在のように火力発電に頼り続けることは難しいと思う。そういった状況で、自分た
ちが使っている電力及び原子力発電について、高レベル放射性廃棄物をどうするのか責任を持って考え
なければならないと気付けたこと、そして地層処分について理解が深まったことがよかった。(女性10代)
・今まで原発は使用済み燃料について深く考えたことはなかったが、NUMOの方による細かな説明やパネ
リストのディスカッションを聞いて、この問題をとても身近なものに感じられたことがよかった。(女性10代)
・地層処分に厳しい意見の人や学生がメンバーに入っていたことにより、一般市民が思っていることを
直接聞く(問う)事が出来てよかった。(女性30代)
・地層処分について一つも知識がなかったが、1から分かりやすく専門的な部分まで聞くことが出来て
よかった。(女性20代)
・時間軸の長い現象を化石やガラス工芸品、鉄斧といった事例を示すことで、絵やグラフ以外の方法で
説明され、観念的に理解しやすかった。(男性50代)
・技術的な安全性や諸外国での進捗状況が理解できた。(男性60代以上)
・安全対策を、考える限りのリスクに対してきちんと行おうとしていることが理解できた。(女性10代)
・パネリストの質問内容が時々討議の柱とずれている気がした。もう少し多方面からパネリストを選出して
もらいたかった。(男性60代以上)
・女性二人の質問は素直で良い質問であったと思うが、回答が明確でないものが多く、不信感を持った。
(男性50代)
・リスナーの意見を言う場がない。パネルディスカッションがつまらなかった。(女性20代)
・地方自治体の賛同を得るためどのようにアプローチしていくつもりなのか。具体的にどのあたりが適地と
考えているのかが理解出来なかった。(女性40代)
・専門的な事項を専門的に説明するので理解出来ないことが多々あった。(男性30代)
・科学物質の名前だけを言われても、いまいちピンとこなかった。“漏れることはない” その根拠となる
数値・基準があいまいに感じられた。専門家のみが理解できても意味がないと思う。地域決定について
は、説明よりも国民全体が共通の意識をもってこその地域決定ではないのかと思う。(女性10代)
・地層処分場の建設の具体的なプロセスについて理解出来なかった。(女性20代)
・これからの活動について、あまりイメージがわかなかった。(女性10代)
・資料の「地下の環境が持っている 閉じ込める力」というのが漠然としていてよく分からなかった。
(女性20代)
大学生・A
原子力発電所の利用如何に関わらず、エネルギー資源を他国から頼り、それでもなお不足して
いると嘆いているだけで、そのエネルギーの活用後を考えていないと痛感しました。シンポジウム
を通して私達がいかに関心を持っていないかが分かりました。
大学生・B
近づいたら数十秒で死ぬと聞き、想像以上に危険だと衝撃を受けました。同時にそのようなものが
存在することを恐ろしいと感じ、排出しているのが私たち人間なのだと再認識させられました。
ただ単に原子力発電反対!と言うのではなく、地層処分などの処分方法に対する知識を深めたい
と思いました。
大学生・C
専門家の方々が地層処分の安全性を話してくださり、納得する部分が多くありましたが、それでも
万が一の場合を仮定したときに、恐怖は拭えません。一般の人々のそういった感情をどう埋めてい
くかが課題だと思いました。
大学生・D
問題意識はあるものの馴染みが無い問題で、理解を深める良い機会となりました。またディスカッ
ション形式で質疑応答がなされており、疑問を解消することができて良かったです。パネラーに
大学生がいたことも、情報発信をしていくうえで若者の興味をひけると思うので良いと思いました。
大学生・E
一般参加者に対しての配慮をすべきだと思います。学生含む一般参加者にとって専門用語は
理解しづらく馴染みがありません。また議論の中で生まれた疑問点などはほぼすべて資料の内容
に基づいての回答だったため、物足りなく感じることがありました。
大学生・F
自分の意見を述べる以前に、原発や放射性廃棄物に関してもっと知識をつけないといけないなと
思った。反対や賛成の前に、まずは知識がないといけないので、多くの知識を身につけたいと
思った。放射性廃棄物に関しては国全体の問題なので自分も含め、国民がもっと関心を持ち、
国全体でこの問題に取り組む必要があると思いました。
まとめ
過去に原爆を被爆した地域としてどのような傾向があるのかと気になっておりましたが、特に他の
地域と変わった点は見られませんでした。また既に5道県で開催してきましたが、今のところ地域と
意見形成に目立った関係は見られません。将来的には、広島や長崎であれば原爆に絡めて放射
性廃棄物の問題を教え議論するなど、地域に根付いた教育も求められていくのではないかと
思いました。
NUMOキャラバンシンポジウム
タダコピインターン編集局
(大学生・G)