成功する判断の仕方、失敗した時の立ち直り方 第1章 はじめに 第2章

成功する判断の仕方、失敗した時の立ち直り方
所属:心理・教育系
2年3組18番 澤幡 元輝
第1章
はじめに
第1節 テーマ設定の理由
「やって後悔する」
、
「やらないで後悔する」
、このようなことが、今の高校生は部活や
勉強、人間関係などで起きたことはないか。勿論、これは高校生だけではなく、この世界
で生きている全ての人間にもあてはまることだと思う。生きていく中で、人間は多くの選
択をしていかなければならない。それは、前述の通り、
「やる」、
「やらない」の2択だけ
ではなく、一度に多くの選択肢が与えられることもある。そして、その中から正しいもの
を選んでいかなくては、自分が思うように物事が進まなくなってしまう。つまり、成功、
失敗の原因には、取捨選択できる力、「判断力」が関わっていると思い、その力はどのよ
うにしてつけることができるのか興味を持ち、今回の研究のきっかけとなった。
第2節 研究のねらい
今回の研究でこれから全て正しい判断ができるわけではない。しかし、少しでも正しい判断
力を身につけて、自分の人生のビジョンの実現に近づけるように、また、社会に出て、冷静な
判断、思い切った判断を使い分け貢献できるようになりたい。
第3節 研究の方法
主に、本やインターネットを用いて研究に取り組んだ。
第2章 研究の展開
第1節 正しい決断をするための要素
「スパッと決める技術」著者の谷原誠さんは、
「正しい決断をするための要素」を定義
している。その要素の1つに挙げられているものに「決断のタイミング」というものがあ
る。谷原さんは、このタイミングを以下のように挙げている。
決断を下すための元となる情報を7~8割手に入れた時
私たちは、何か決断または判断する時に、より正しい答えを出せるようにする。しかし、
正しい答えに近づければ何でも良いというわけではない。大人社会に出ていけば、やらな
くてはいけないことも増えるうえに、「期日」というものも守らなくてはいけなくなる。
つまり、大事なのは、答えの質と答えを出す早さ、この2つということである。仮に、情
報を9割以上も手に入れた時と、6割以下しか手に入れていない時のパターンを考えてみ
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ると以下のようになる。
・9割以上・・・決断、判断が遅れて実行に移す前に事が終わっている
・6割以下・・・決断、判断は早いが、正確さに欠け失敗しやすい
このように考えると、谷原さんが7~8割の情報を重視する理由は、答えの質と答え
を出す早さのバランスが丁度良いから、ということにならないだろうか。勿論、時間に
余裕のある時や、切羽詰まっているときにはやむを得ないが、極力この7~8割という
基準を自分の中に入れておくと役に立つだろう。しかし、先ほど挙げた「6割以下の情
報」のときでも決断、判断すべき時もある。それは、次の節で説明する。
第2節 考えてばかりいないで実践してみる
一見すると前節と矛盾するようであるが、このように、すぐ決断、判断をして人生の成
功の活路を見出したのが、イギリスの医学者エドワード=ジェンナーである。ジェンナ
ーは、世界中で不治の病と恐れられていた、天然痘と呼ばれていた感染症の予防法を発
見し撲滅に大きく貢献した。しかし、この発見に至るまでに、ジェンナーはとても辛い
道をたどってきた。下の話はS・スマイルさん著書の「よく考える人 よく動く人」に
書かれているエピソードだ。
エドワード=ジェンナー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%
83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC#mediaviewer/File:Edward_Jen
ner.jpg より引用
彼が生まれたイギリスのグロスターシャー地方の乳絞り女たちの間では「牛痘にかか
った者は天然痘にかからない」という噂が広く流布していた。しかし、医学界では、そ
れはくだらない噂だとして、真偽を確かめようとしなかった。ある日、医者の助手をし
ていたジェンナーの病院に診察を受けに来た村の娘に、医者は天然痘と診断すると、そ
の娘は、
「かつて牛痘にかかったのに」と言った。何気ないこの言葉にジェンナーは疑問
を抱き、すぐに調査を始めた。しかし、この牛痘と天然痘に関連性があると言うのなら
医学界から追放すると同僚の医者たちに言われた。そして、ジェンナーは、ロンドンに
おもむいて、名医ジョン=ハンターのもとに弟子入りした。そこで、ハンターはジェン
ナーに「考えてばかりいないで実践してみなさい。ただし、忍耐強く正確にやってみる
ことだ。
」と言った。ジェンナーは、この忠告に勇気づけられ、20年間研究の末、遂に
研究の成果を公にし、初期は疑われていたが、しばらくして認められた。
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長くなってしまったが、何に注目していただきたいかと言うと、ジェンナーが実践に
移そうと決断、判断したタイミングである。第1節の言葉を使うと、ジェンナーが実践
に移す際に持っていた情報は、
「牛痘にかかった者は天然痘にかからない」ということと、
「村の娘がかつて牛痘にかかったことがあるのに天然痘と診断された」というくらいで、
この牛痘と天然痘の関連性についての情報は、せいぜい1~2割ほどしかなかったと推
測される。つまり、まだ実践に移す、言い換えれば決断、判断するタイミングではない、
ということになる。しかし、ジェンナーは成功した。何故か。
しかし私たちは、このように情報が少なくてもすぐに実践するという行為を日常でし
た経験があると思う。例えば、授業の時に、板書の事項をとりあえずノートにとり、時
間に余裕がある時に後で理解する、これも一見普通の事の様に見えるが、理解している
情報量と、すぐ実践するということは、ジェンナーと同じことである。逆に、授業中ノ
ートをとらずに、ある程度理解してから書くという人もいるかもしれないが、それだと
授業を早く進める先生や、切羽詰まった時に対応できない。つまり、第1節の谷原さん
の様に「7~8割の情報が手に入ってから決断、判断し、実行する」ことも大事だが、
時と場合によっては「6割以下の情報しか手に入らなかった場合でも決断、判断し、実
行する」ことも成功する秘訣なのである。勿論失敗する確率は上がるが、いずれにせよ
言えるのは、決断、判断し、実行に移さなければ、成功する確率は0である、というこ
とだ。つまり、情報が9割以上手に入るまで待機している人間や、情報を無駄にする人
間は、実践に移す前に事が終わっていたり、実践すらしなかったりするので、成功する
ことは極めて難しいということだ。
そして谷原さんも、続く文章に「今が決め時!と思った時には、迷いを振り払い、断
固として決断しなくてはならない。
」と記している。これが、先ほどのジェンナーの様な
人のことをしめしているのではないだろうか。
第3節 決断先延ばし症候群
ここで、先ほどから述べている、「9割以上情報が手に入るまで待機する」人間につい
てふれたい。これも、谷原さんが書いた、
「スパッと決める技術」に書かれていたことだ
が、
「何故人は、決断を先延ばしにするのか。
」という問いがある。これについて、谷原
さんは、
「決めることを先延ばしにすることによって、一時的に何もしなくて済むから。」
と書いている。このように実行に移さずに後悔する人間の事を「決断先延ばし症候群」
と書いている。確かに、考えることをしなくて済むことは、とても楽なことである。し
かし、何か変化が起きた時に、決断を避けて現状維持を続けようとしていては、自ずと
淘汰してしまうものである。だから、谷原さんは、必要な情報が与えられたら、即座に
決断すべきとしているのである。たとえそれが失敗する可能性が高かったとしてもだ。
つまり簡単に述べると、こういうことではないだろうか。
やらないで後悔するくらいならやって後悔しろ
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失敗を前提としている訳ではないが、十分に考え出した答えでも、失敗する確率が明
らかに高いという場合もある。しかしそういった場合でも、ほんの僅かでも成功につな
がりそうな答えを見つけたなら、事が過ぎてしまう前に実践に移すことが大事である。
実践に移さなければ、成功はつかめない。これは例えば、学校のテストで、わからない
問題が出たとする。そこで答えの案が出たにも関わらず、自信がないといって白紙にす
るのではなく、思いついたことを何でも書いてみることによって、合っているかもしれ
ない、というようなことである。自分で成功する道を開いていながら、その道を渡らな
いのはとてももったいない。
第4節 失敗する決断、判断をしてしまった場合
誰にでも失敗することはある。これは当然のことだ。しかし、いつまでもその時の決断、
判断を後悔していては、先の人生に支障が出て、前へ進むことはできないと私は考える。
つまり、立ち直るために欠かせないことは、後悔を取り払うことだと考えた。そこで鍵
となる言葉が、
「プラス思考」である。
幸福の重大な要素であるプラス思考は、自分にとって否定的なものに対して無感覚に
なることではなく、自身の中で物事を健全な見方で捉える思考法のことであり、認識と
行動の修正を行うことで、誰でもプラス思考になることが可能。そしてそのためには決
断と一貫性が必要。・
(http://gigazine.net/news/20130609-how-to-become-positive-thinker/より引用)
バージニア州大学心理学者ロヤ・ロハニ・ラドさんはこう述べている。そして、プラ
ス思考になるために重要な、以下の8つのポイントを挙げている。
1、自分を見る際の視点を変える
2、自己評価を上げる
3、自分を励ます
4、根拠を備えた結論を引き出す
5、事態を勝手に解釈しない
6、どちらかという考え方をしない
7、感情的な理由付けを行わない
8、
「もしも~」の考え方に挑戦する。
(http://gigazine.net/news/20130609-how-to-become-positive-thinker/より引用)
1と類似している点で、自分を見る際の視点を変える方法として、自分を客観的に見
てみるということが、齋藤孝さん著書の「前向き思考法」に書いてあった。齋藤さんは
これを「川で溺れている自分を川岸から眺める」というようなことで例えた。方丈記の
冒頭で、
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という言葉がある。こ
れは、川の流れは絶えない上に、その水は刻々と変わっていつも同じ水ではないという
意味である。大人社会に置き換えると、社会は絶えず進んで行き、様々に変化していく
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ということだ。この流れに対応できなくて、川に溺れてしまう、つまり、どうしていい
かわからなくなってしまった時には、川の中で溺れているのではなく、岸で眺めている
気分になればいい、そうすれば一時の気分に支配されなくなると書いていた。一時の気
分とは、マイナス思考と類似していると思った。後悔している人間は、その時マイナス
思考に陥っている。その時に、自分の状況を少し距離を置いて見ることによって、冷静
な判断をすることができるようになる。
能で有名な世阿弥は、「離見の見」という言葉を残した。役者として演じている自分は
そこにいるが、それを観客の側から見ている自分もいるという。そうすることで冷静に
なれるという。
プラス思考になり、冷静になって自分を見つめ直すことによって、安定した判断力が
戻り、新たな一歩を踏み出すことに近づけるのではないだろうか。
第3章 まとめ
社会は様々に変化するので、全ての状況においてある特定の判断の仕方がいつも正し
いとは限らない。しかし、はっきりと言えることは、自分を信じて、自分の出した答え
に自信を持って行動できる人間が、判断力のよい人間に近づくことができる、というこ
とだ。これからも、様々な問題にぶつかる場面が出てくると思うので、今回得たことを
十分に活用して生活していきたい。
<参考文献>
・谷原誠著「スパッと決める技術」
・S・スマイル著「よく考える人 よく動く人」
・齋藤孝著「前向き思考法」
<写真>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%
83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC#mediaviewer/File:Edward_Jen
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<参考サイト>
・http://gigazine.net/news/20130609-how-to-become-positive-thinker/
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