Turkiyenine 提唱構造の全合成 Total synthesis of the proposed

第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨
Turkiyenine 提唱構造の全合成
Total synthesis of the proposed structure of turkiyenine
小林久剛、西田佳祐、笹野裕介、叶直樹、岩渕好治(東北大院薬)
Turkiyenine (1) は、1984 年にケシ科の薬用植物 Hypecoum procumbens L.
より単離・構造決定されたイソキノリンアルカロイド誘導体である 1)。1 は、
含窒素不斉四置換炭素を含むスピロ環構造を特徴としているが、その絶対立体
配置は明らかにされていない。また、単離植物には利尿作用及び睡眠導入作用
があることが知られているものの、活性本体となる化合物は明らかになっておらず、1 が有用な生
物活性を担っていることが期待された。以上のような背景のもと、我々は turkiyenine の絶対立体
配置の決定と生物活性評価を目的に全合成研究に取り組んだ。
はじめに、ベンゾフラン 2 に対し、当研究室で開発されたアザスピロ環化反応 2)を利用し、スピ
ロ環化体 3 を良好な収率で得た。続く 3 工程の操作で、メチルアセタールの還元的除去を行い 4 と
した後、9 工程の操作で鍵反応基質 5 員環ラクタム 5 へと導いた。Turkiyenine の 7 員環部は 5 と 6
由来のベンザインとの付加環化による環拡大反応により構築した。本反応は、ベンザインを用いた
β -ケ ト アミド への 炭素-炭 素 挿 入反応 の初 めての 例で あり、 有用 な生物 活性 が期待 され る
3-benzazepine-1-one 骨格の新規構築法と位置付けられる。最後に、シラン還元を行い、1 の初の全
合成を達成した。しかし、天然物と合成品の NMR スペクトルは一致せず、提唱構造に誤りが示唆
された。現在、真の構造の確定に向けて検討を進めている。本発表ではこの詳細についても述べる。
<参考文献>
1) Shamma, M. et al. J. Am. Chem. Soc. 1984, 106, 6101.
2) Iwabuchi, Y. et al. Heterocycles 2014, 89, 631.
発表者紹介
氏名
小林
久剛(小林
久剛)
所属
東北大学大学院薬学研究科
学年
博士課程後期 3 年
研究室
合成制御化学分野(岩渕研究室)