法改正後の構造計算適合性判定に関する 手続き方法等について

テーマ解説
法改正後の構造計算適合性判定に関する
手続き方法等について
構造判定センター 構造計算判定部
1. はじめに
2. 2 特定増改築構造計算基準の制定
平成27年6月1日に施行された「建築基準法の一部を
これまで、法第3条第2項と法第86条の7の規定により、
改正する法律(平成26年法律第54号)」によって構造計
法第20条の規定の適用を受けない既存不適格建築物に
算適合性判定制度(以下、“適判制度”)が大きく変更さ
対する増築等については、判定対象外でした。このよう
れました。ここでは、建築基準法(以下、“法”)改正の
な場合に当法人では、設計者および建築主事等からご要
概要、新適判制度の申請方法、構造判定センターの取組
望を受けて法定判定と同等の審査である任意判定を実施
みについて概説します。
してきました。今回の法改正により高度な構造計算を行
なお、法改正に関連した詳細な情報は国土交通省ホー
ムページより確認することができます。
(h t t p : / / w w w . m l i t . g o . j p / j u t a k u k e n t i k u / b u i l d /
jutakukentiku_house_fr_000071.html)
う場合は特定増改築構造計算基準に基づき判定が必要と
なりました。
2. 3 判定対象建築物の合理化
・構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有す
る建築主事・確認検査員が審査を行う場合、許容応
2. 法改正の概要
平成17年に発覚した構造計算書偽造問題を受け、平
力度等計算(ルート2)については、判定対象外と
なりました。
成18年に導入された適判制度が約8年ぶりに法改正され
ました。法改正に伴ってこれまでの適判制度から変更さ
れた大きな項目を紹介します。
2. 1 建築主による直接申請
構造計算適合性判定(以下、“判定”)は、これまでの
建築主事又は指定確認検査機関(以下、“建築主事等”)
の審査から独立し、建築主が建築確認申請とは別に判定
を直接申請することになりました。
図-2 判定対象の構造計算方法
・エキスパンションジョイント等で構造上分離されて
いる建築物の各部分は、それぞれ別の建築物とみな
され、分離されている部分ごとに判定対象の要否を
判断することになりました。
図-1 適判申請の流れ
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GBRC Vol.40 No.3 2015.7
3. 新適判制度の申請方法
表-1 判定申請図書リスト(GBRC)
新適判制度では、建築主(申請者)は、これまでのよ
事前相談
うに建築主事等を通じて判定図書を提出するのではな
①事前相談申込書
①判定申込票
く、直接、適判機関に対して正副2部の図書を提出する
②事前相談図書送付リスト
②判定図書送付リスト
ことになります。申請図書の詳細は、新たに規則第3条
③規則第3条の7に規定する申請書一式
の7に規定されました。
①②③→各1部
図-3 判定図書の流れ
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本申請
①②→各1部
③→正1部、副1部
GBRC Vol.40 No.3 2015.7
4. 構造判定センターの取組み
4. 4 事前相談の実施
構造判定センターは平成19年より判定業務を開始し、
判定申請に先立ち、事前に判定図書をご提出いただき
これまでに21府県から指定構造計算適合性判定機関の
詳細な事前相談を実施します。これにより構造判定セン
指定を受け判定業務を実施してまいりました。判定実績
ターでは、確認済証交付の円滑化にも貢献しております。
は15,000棟を超え、信頼される機関として今後も様々
な建築物の判定にお応えし、顧客満足の向上を図るため
以下の取組みを実施しております。
個別案件の具体的な手続きにつきましては、お気軽に
ご相談、お問合わせ下さい。
4. 1 様々な相談体制を準備
【お問合せ先】
(1)テクニカルサポート
設計者からの依頼を受けて、構造計算適合性判定員が
設計者との直接面談を実施しております。
(2)WEBヒアリング
インターネットを利用し、遠方の設計者とも打合せ可
(一財)日本建築総合試験所
構造判定センター 構造計算判定部
業務課 担当:中野、城ヶ原
TEL:06-6943-4680 E-mail:[email protected]
能な仕組みを準備しております。
4. 2 よくある質疑事項の解説の充実
これまでに、「構造設計図書の品質の向上」と「指摘
内容の違い防止」を図るため、大阪府と当法人を含む在
阪適判三機関が共同し、大阪府内建築行政連絡協議会及
び(一社)日本建築構造技術者協会関西支部の協力を得
て「よくある質疑事項の解説」を公表しています。今後
は更なる内容の充実に向けて取り組みます。
図-4 よくある質疑事項ダウンロードサイト
4. 3 業務区域の拡大
これまでの21府県の業務区域については、国による
指定および府県による委任を経て、引続き判定を行いま
す。今後は建築主(申込者)の更なる利便性向上を図る
ため西日本を中心に業務区域の拡大に取り組みます。
表-2 GBRCで判定可能な府県(H27.6.1現在)
富山県
奈良県
香川県
福井県
和歌山県
愛媛県
岐阜県
鳥取県
高知県
三重県
島根県
福岡県
滋賀県
岡山県
宮崎県
京都府
山口県
鹿児島県
大阪府
徳島県
沖縄県
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