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新店
ら
ぶ り旅
2015年10月
Vol.
2
葛飾区
新小岩 編
本日乗車は総武線。
夜のネオンについつい誘われる俺としては、
錦糸町の駅前周辺の誘惑に負けそうではあるが、
グっとこらえて総武線に乗り続け、向った先は新小岩。
そう、東京都は葛飾区、新小岩駅が本日のぶらり旅の目的地なのである。
新小岩
新がつく地名は、本家に劣る地名として知られる。新横浜、新大阪、新札幌。なにや
らニューウェーブを感じるが、新を取った本家の地名の賑わいには遥かに及ばないケース
が非常に多い。
しかしながら新小岩。本家を小岩とするならば、賑わいがあるのが珍しく“新”が付く
新小岩なのである。どれくらいの差があるのかといえば、乗降客数小岩 12 万 6 千人程度
に対して、新小岩 14 万 4 千人程度。まぁ、多少、新小岩のほうが賑わっているかな∼∼
程度の差だろうか。
その新小岩だが、南口の駅前に広がるのは葛飾区内で最初の設置となったアーケード
が存在する新小岩ルミエール商店街、それとイトーヨーカドー。北口にはマクドナルドや松
屋といった飲食店が目につき、人が集まる有名物販店や飲食店といったものは存在しない。
そう、繁華街といっても地元の人達が利用する程度の繁華街といった場所なのである。
しかし、地元の人以外が多く集まるものがある。
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ぱちんこ
以前より、何故に新小岩にこれほどまでにぱちんこ店舗が集まるのかと疑問を持っていた
人は自分だけではないはず。同じ都内に東武東上線大山といった、乗降客数 5 万人程度
の場所にマルハン、楽園といった店舗が集まることで有名な場所があるが、こちらは関東
の有力企業である安田屋の本社があり、安田店舗が 5 店舗存在し、ぱちんこ繁盛地域と
なっていたことに由来するが、この新小岩は不明である。出店している店舗も、このあたり
を本拠地としていない店舗ばかりである。新小岩駅の乗降客数は前述した通り 14 万 4 千
人程度。そこに南北入口付近に多くのぱちんこ店舗が立ち並ぶのである。
【ぱちんこの町新小岩に巨星出現】
また新小岩ぱちんこ事情に注目が集まったのは先
の 9 月 17 日にエスパス 1300 新小岩北口駅前店が
登 場したことによるもの。エスパス新 小 岩は、以 前
から存在した店舗だが、ぱちんこ 997 台、スロット
310 台と増床、増台となって再登場となったのである。
エスパス新小岩の宣伝文句を見ると、39 ヶ月ぶりの
3 店舗横並びの新小岩北口前
開店となったようであり、この文句を前面に推し出し
ているように見える。
これまで の 新 小 岩 最 大 店 舗 は 南 口 に あ る
D’station 新 小 岩 店 の 750 台。こ れ に 対 し て
175%近い台数での登場となったエスパスは地下に
310 台の 20 円スロット、1 階から 3 階に 997 台のぱ
ミエール商店街内の D'station 新小岩店
ちんこを保有する大型店。1 階には海シリーズとマックス話題機種を配備し、2 階には分煙
コーナーも含む禁煙フロア、3 階には 1 円パチンコ、4 階には駐輪場を完備する。台数も
圧倒し、駅からの距離も最短という立地状況。駅前繁華街での戦いを熟知するグループと
して圧勝を目指しての再出発と見える。
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No
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店舗名
エスパス1300新小岩北口駅前店
D'station新小岩店
マルハン新小岩店
マリオン新小岩店
ダイナム新小岩店
MAX1
サンパレス新小岩店
ジャンボ
アラジン
総台数 パチンコ台数 スロット台数 P営業形態 S営業形態
1,307
997
310
41
20
750
478
272
41
21.27 5
630
402
228
41
20 5
618
431
187
4 1 0.5
20 5 2
419
290
129
41
20
412
252
160
1
20 5
323
179
144
41
20
306
209
97
41
20
231
110
121
1
20
同じ北口、エスパスの隣には愛知を本拠地とする株式会社 TRY&TRUST の店舗。
東京には他にも激戦区立川にて店舗を展開しており、多層階店舗にての他レート運営を得
意としているように映る企業だ。2013 年に火災があり、こちらも再出発となった店舗である
が、今回は流石に真隣に 1,300 台の店舗が登場し、客数に影響は見える。しかしリニュー
アル等の対抗策を行っており、激戦区での戦いを知っているだけに、このままでは終わらな
いことは容易に想像がつく。
新小岩におけるメイン入口と目されるのは南口。自動改札の個数を見ても、明らかに南
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口の乗降客数が多いことがわかる。
南口を降りて最初に目に付くのがダイナム新小岩店。1 円等の低貸し玉、郊外型運営が
目立つダイナムだが、新小岩店は 4 円 20 円を中心とした駅前店舗。よって新機種も比較
的積極的に導入しているダイナムである。ただ、近隣競合の出店があっても、我関せずの
立場を取ることが多いダイナムとしてのスタンスは今回も同様で、エスパス登場による近隣
競合のリニューアル合戦にも動じていない。
南口を降りて改札を背に右手に向かい、一つビルを抜けた場所にあるのがマルハン新小
岩店。上り下りのエスカレーターを完備はしているが、
激戦区内にて地下で高稼働を保つ店舗として名を馳
せたのがマルハン新小岩である。
エスパスの出店に合わせた形でリニューアルを行い、
パチンコの配置と賞品陳列場所を変更させて新小岩に
ての老舗高稼働店舗として対抗策を取ってきた。
地下店舗マルハン新小岩店
過去に新小岩が注目されたのは 2010 年。D’station 新小岩店の出店があった際である。
マルハンのある場所に出店する D’station、それに対抗してリニューアルを行うマルハンと
いった図式が各所で繰り広げられていた時期であり、この新小岩でも同様の状況となった。
南口駅前から続くアーケード型商店街、新小岩ルミエール商店街の中にあり、駅からの
距離を有する。これを補うために新小岩最大 750 台での出店となった。
開店当初こそ若干客数獲得に苦戦をしているように映ったが、以降は新小岩にて最も客
数を集める店舗へと変貌していったのである。
エスパスは出店に際し意識をしたのは D’station のように映る。39 ヶ月ぶりの開店という
文句は、あたかも D’station のキャッチコピーである感謝の言葉サンキューに対抗してい
るのでは?と勘繰ってしまうのは筆者だけではないだろう。
【今後の新小岩と新形態出現の期待】
駅前 1,300 台店舗の出現は、近隣競合の対抗策にもつながり、市場全体を活性化させ
る。新小岩周辺は近隣住民も数多く存在するが、駅前商圏のために電車客も多く集まる。
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しかしながら、これだけの激戦にての競争だが、以前に比べたらおとなしい。これは業
界の盛り上がりに欠ける状況に起因しているのか。
よって、各店舗とも対抗策は打っているものの、客数を十分に集めきれておらず、稼働
率は然程高くない。客数が分散してしまったように映るのである。
そもそも新小岩駅周辺は居住人口こそ存在はするが、駅前商圏の商圏人口の基準とな
る乗降客数は 14 万 4 千人程度。現状設置台数は 5,000 台弱であり、台当り人口は乗降
客数に対して 28 人程度。東京都における台当り人口と比較すると少ない状況であり、繁
華街といえども供給過多の状況となっている。
エスパス、D’station、マルハン、ダイナムといった資本力のある企業がぶつかっている
だけに、おそらくこのまま収まることはない。プライドをかけた躍起になった競争が繰り広げ
られることだろう。
この影響をまともにうけるのは近隣中小店舗である。いつの時代も高資本のぶつかりの
煽りを中小は受ける。この煽りを逃れる術は個性しかない。激戦区の中で生き抜く個性が
新たにこの新小岩で生まれるかが注目といえる。
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