企業再編取引に係る企業所得税関連規定 に大きな改善

News Flash
China Tax and Business Advisory
企業再編取引に係る企業所得税関連規定
に大きな改善
January 2015
Issue 1
概要
2014 年 3 月、国務院は国発 [2014] 14 号(以下、「14 号通達」) 1 を公表し、中国における企業の合併買収
(M&A)活動を促進するために、政策の改善を各政府部門に促しました。14 号通達に呼応し、財政部及び国家
税務総局は最近、新しい二つの通達、財税 [2014] 109 号(以下、「109 号通達」)及び財税 [2014] 116 号(以
下、「116 号」通達)を公表し、企業再編取引に係る企業所得税の関連規定を大幅に改定しました。
今回の企業再編取引に係る企業所得税の関連規定の緩和は、中国における M&A やグループ内再編に取り
組む企業に有利に働くことになるでしょう。今回の改定を吟味し、現在実行中の再編取引、若しくは今後実行予
定の再編取引に対する影響を評価することをお勧め致します。また、再編手法の再検討も、今回の大幅な改定
を活用する上で検討に値するでしょう。
詳細
背景
中国企業所得税法では、企業再
編 2 を行う会社は資産又は持分
の譲渡による損益を取引発生時
の公正価値に基づいて認識しな
ければならないとされています
(一般性税務処理)。取引が財税
[2009] 59 号(以下、「59 号通達」)
に定める下記の企業再編にかか
る条件を満たす場合、譲渡人と譲
受人は、所定の届出を行うことに
よって、実質的に課税の繰延措置
となる特殊性税務処理の適用を
選択することができます。
1.
税務目的ではない、合理的な
事業目的を有すること。
2. 買収対象の持分又は資産が、
特殊性税務処理の目的にお
いて企業にとって十分な重要
性を有するものと税務当局に
判断される一定の比率に達し
ていること。特に、持分取引
の場合は、買収対象持分が
対象企業の持分全体の 75%
を下回らないこと。資産取引
の場合は、買収対象資産が
譲渡企業の資産全体の 75%
を下回らないこと。
3. 企業再編後、一定期間にわ
たり当初の事業活動に変更
がないこと。
4. 持分による対価支払が対価
総額の 85%を下回らないこ
と。即ち、非持分による対価
支払が対価総額の 15%を超
えないこと。
5. 持分による対価の取得後、一
定期間にわたりこれを譲渡し
ないこと。
買収対象持分又は資産の比率の
下限(特殊性税務処理の条件 2)
を 75%から 50%に引き下げ
109 号通達は特殊性税務処理の
条件 2 にある比率の下限を、持
分取引、資産取引ともに、75%か
ら 50%へと大幅に引き下げました。
この新しい改定により企業は特殊
性税務処理の適用が受けやすく
なります。
中国国内のグループ内再編取引
の課税繰延措置
109 号通達は、また、下記の全て
の条件を満たす場合に中国居住
者企業間での中国国内における
グループ内の持分・資産の「移転
(中国語:划转)」に対する新しい
課税繰延措置を規定しています。





当該「移転」の払出側と受入
側の資本関係が、以下のい
ずれかに該当すること。
− 払出側と受入側が直接
完全支配関係にあること。
− 払出側と受入側が同一
の居住者企業又は同一
の居住者企業グループ
に完全支配されているこ
と。
正味帳簿価額により「移転」
を行うこと。
払出側も受入側も会計上の
損益を認識しないこと。
取引が、税務目的ではなく合
理的な事業目的を有すること
(59 号通達の特殊性税務処
理の条件 1 に同じ)。
取引後 12 ヶ月にわたり当初
の事業活動に変更がないこ
と(59 号通達の特殊性税務
処理の条件 3 に類似)。
国内におけるグループ内の持分・
資産の「移転」が以上の条件を全
て満たす場合、払出側も受入側も
当該取引による所得を認識する
必要はありません。受入側が取
得した資産・持分の税務上の簿価
は、払出側での当初の(税務上の
簿価ではなく)正味帳簿価額によ
り確定します。
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上記のグループ内再編の課税繰延措置
は 2008 年 1 月 1 日に企業所得税制度
が施行されて以降、かつてない措置です。
事実上、上記条件の全てを満たす国内
グループ内再編は今後、課税繰延措置
の適用を受ける上で、特殊性税務処理
の条件 2 及び条件 4、即ち 59 号通達に
おける譲渡対象の持分又は資産、及び
持分による対価支払についてそれぞれ
の比率の下限条件を満たす必要がなくな
ります。
非貨幣性資産投資の課税繰延措置
残念なことに、この新しい課税繰延措置
はクロスボーダーのグループ内再編取引
には適用されません。財務部と国家税務
総局は、非居住者企業に対する課税の
緩和にはまだ消極的なようです。
重要点
興味深い点としては 109 号通達が原文
中国語で “划转” (本稿日本語版ではカッ
コ付きで「移転」と訳出した)という語を使
用していることが挙げられます。この用語
は国有企業グループの再編において一
般的に使用されるものであり、財務部と
国家税務総局がこの用語を採用したこと
に特別な理由があるのか、及びこれに係
る課税繰延措置の申請に際して一般の
居住者企業に対して何らかの制限があ
るのかについては、当局による今後の説
明が待たれます。
2
116 号通達によって、居住者企業が他の
居住者企業の持分への非貨幣性資産に
よる投資で得た資産評価益を、5 年以内
で償却し、これに係る企業所得税を分割
して納付することができるとされました。
上海自由貿易試験区で同様の課税繰延
措置が試行されており、116 号通達はこ
れを全国レベルで再現しようとするもの
です。
109 号通達と 116 号通達は、企業再編に
係る企業所得税の処理規定を緩和して
おり、これにより、中国における企業の
M&A 及びグループ内再編活動の税負
担が大幅に軽減されるようになります。
経営者におかれましては、企業再編取引
に係る企業所得税の取扱いが大幅に改
定されたことを受けて、これを活用すべく、
今後の再編手法を最適化する方法を検
討することをお勧め致します。
一方、注目すべき点としては、中国税務
当局が再編取引における「合理的な事業
目的」に大きな関心を払っていることが挙
げられます。再編手法を適切に構築して
税効率を上げるには、まず事業上の正
当な理由が十分に備わっていることが前
提となります。
特殊性税務処理の条件 2 にある買収対
象持分・資産の比率について、その下限
が 75%から 50%に引き下げられる点は、
国内取引とクロスボーダー取引の双方に
適用されますが、クロスボーダーの再編
取引については、特殊性税務処理の適
用される取引の種類は未だに 59 号通達
の第 7 条に記載される幾つかの場合に
限られている点に留意する必要がありま
す。
なお、国家税務総局は、国家税務総局
公告[2010]4 号の『企業再編業務企業
所得税管理弁法』の改正弁法を現在起
草中であるとのことです。今回の 109 号
通達及び 116 号通達の公表に伴い、間
もなくこの改正弁法も公表されるものと予
想されます。本件につきましては今後とも
その進展をお伝えして参ります。
注記
1、
詳細は、 News Flash [2014] Issue 7 を
ご参照下さい。
2、 持分買収、資産買収、債務再編、合併、
分割がこれに含まれます。
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*These results are based on the year-ending Q4 2013 figures, with a sample size of 130 primary buyers of tax advice in China.
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China Tax and Business Advisory
Significant improvement on the
corporate income tax treatments
for restructuring transactions
January 2015
Issue 1
In brief
In March 2014, the State Council issued a circular, Guofa [2014] No.14 (Circular 14 ) 1 , urging various
government bodies to improve their policies so as to encourage mergers and acquisitions (M&A) in
China. In response to Circular 14, the Ministry of Finance (MoF) and the State Administration of
Taxation (SAT) recently released two new circulars 財税 [2014] No.109 (Circular 109) and 財税 [2014]
No.116 (Circular 116) to substantially improve the corporate income tax (CIT) restructuring rules.
These relaxed CIT restructuring rules will definitely benefit companies conducting M&A transactions or
undergoing intra-group restructuring in China. We recommend that management study the changes
and assess the relevant impact on their ongoing and future restructuring transactions. Where relevant,
it is worth considering restructuring the transaction patterns in order to leverage on this significant
policy improvement.
In detail
Background
Under China’s CIT Law,
companies undergoing
corporate restructuring2 have to
recognise the gain/loss from
the transfer of relevant assets or
equity at fair value when the
transaction takes place (i.e. the
general tax treatment or GTT).
If the transaction satisfies the
following criteria under the
corporate restructuring rules
stipulated under circular 財税
[2009] No.59 (Circular 59), the
transferor and transferee may
elect to opt for special tax
treatment (STT), which is
effectively a tax deferral
treatment upon the completion
of the necessary record-filing
procedures:
6. The transaction is
conducted for reasonable
commercial reasons, not for
tax purposes;
7.
The equity or assets being
acquired must reach a
certain prescribed ratio for
the tax authorities to
consider the corporate
restructuring as sufficiently
material for STT purposes.
In particular, in an equity
deal, the equity acquired
should be at least 75% of
the total equity of the target
company; whereas in an
assets deal, the assets
acquired should be at least
75% of the total assets of
the transferor company;
8. There is no change in the
original operating activities
within a prescribed period
of time after the
restructuring;
9. Equity has to comprise at
least 85% of the total
consideration. In other
words, non-equity
consideration should not
exceed 15% of the total
consideration; and
10. The equity consideration
received shall not be
transferred within a
prescribed period of time.
Reduction of the minimum
threshold from 75% to 50%
(i.e. the 2nd STT criterion)
Circular 109 has substantially
reduced the minimum
threshold in the 2nd STT
criterion for both equity and
assets deals from 75% to 50%.
It would be much easier for
companies to enjoy STT in light
of this new change.
Deferral tax treatment for
domestic intra-group
restructuring transactions
Circular 109 also sets out a new
type of tax deferral treatment
for domestic intra-group equity
and assets “assignment(划
转)”between Chinese TREs if
all of the following conditions
are satisfied:
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




The transferor and transferee
have one of the following
investment relationships:
− the transferor and the
transferee have a 100% direct
investment holding
relationship; or
− the transferor and the
transferee are 100% owned by
the same TRE shareholder or
the same group of TRE
shareholders.
The “assignment” is effected at net
book value (NBV);
Neither the transferor nor the
transferee has recognised
profit/loss for accounting
purpose;
The transaction is conducted for
reasonable commercial reasons,
not for tax purposes (same as the
1st STT criterion under Circular
59); and
There is no change in the original
operating activities within 12
months after the transaction
(similar to the 3rd STT criterion
under Circular 59).
If a domestic intra-group equity/assets
“assignment” satisfies all the above
conditions, neither the transferor nor
transferee need to recognise any
income derived from the transfer. The
tax basis of the assets/equity received
by the transferee shall be determined
based on the original NBV (instead of
the original tax basis) in the hands of
the transferor.
The above tax deferral treatment for
intra-group restructuring is
unprecedented in the CIT regime
which took effect from 1 January 2008.
Effectively, a domestic intra-group
restructuring satisfying all the above
conditions no longer needs to satisfy
the 2nd and 4th STT criteria, i.e., the
minimum threshold requirement for
equity or assets to be transferred and
5
equity consideration respectively,
under Circular 59 in order to apply the
tax deferral treatment.
significant improvement on the CIT
treatments for corporate restructuring
transactions.
Unfortunately, this new deferral
treatment is not applicable to crossborder intra-group restructuring
transactions. It appears that the MOF
and SAT are still reluctant to consider
granting more concessionary tax
treatment to Non-TREs.
In the meantime, it is imperative to
note that the Chinese tax authorities
are paying a lot of attention to the
“reasonable commercial purpose” of
restructuring transactions. A properly
structured transaction pattern may
achieve tax efficiency only if supported
by sufficient commercial justifications.
It is interesting to note that Circular
109 has used the special Chinese term
of “划转”. This term has been
commonly used for restructurings by
state-owned enterprise (SOE) groups.
It remains to be clarified whether
there is a special reason for the MoF
and SAT to use this term and whether
there would be any restrictions for
TREs in general to apply such deferral
tax treatment.
Deferral tax treatment for
equity investment with nonmonetary assets
According to Circular 116, gains
derived by a TRE from the asset
appreciation arising from the use of
non-monetary assets to invest in the
equity of another TRE may be
amortised over a period of up to five
years and consequently the relevant
CIT paid in instalments.
This indicates that the trial run of the
same deferral tax treatment in the
Shanghai Pilot Free Trade Zone has
been replicated all over the country.
The takeaway
The relaxation of the CIT restructuring
rules under Circular 109 and Circular
116 will significantly relieve the tax
burden of corporate M&A and intragroup restructuring activities in China.
We recommend management assess
how to optimise the transaction
pattern so as to leverage on this
The reduction of the minimum
threshold from 75% to 50% in respect
of the 2nd STT criterion on
equity/assets deals is applicable to
both domestic and cross-border
transactions. However, the types of
cross-border restructuring
transactions that may be eligible for
STT are still limited to those few
specific scenarios as set out under
Article 7 of Circular 59.
In addition, we understand that the
SAT is working on a circular to
improve the Administrative Measures
for the CIT Corporate Restructuring
Rules (the Administrative Measures)
under the SAT Public Notice [2010]
No.4. With the issuance of Circular
109 and Circular 116, it is likely that
the SAT will release the amended
Administrative Measures in the near
future. Please stay tuned for further
development in this area.
Endnote
1、 Please refer to our News Flash [2014]
Issue 7 for details.
2、 Including equity transfer, assets
transfer, debt restructuring, merger
and spin-off.
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application and impact of laws can vary widely based on the specific facts involved. Before taking any action, please ensure that you obtain advice
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assembled on 9 January 2015 and were based on the law enforceable and information available at that time.
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