高齢者取引実務 3 級 最新情報 平成 27 年以降の贈与税・相続税 改正 2015/10 掲載 第 40 回金融検定試験時にもお知らせしたが、以下の点につき本年より改正されているので、確認しておきたい。 1.贈与税関係 (1)教育資金の一括贈与に対する非課税措置の期限延長 平成 27 年度税制改正により、1,500 万円を上限とする孫の教育資金の一括贈与に対する非課税制度の利用が、平成 27 年 12 月 31 日までに期限を区切られていたのが、平成 31 年 12 月 31 日まで延長された。 贈与者 曾祖父母・祖父母・父母等の直系尊属 受贈者 30 歳未満の孫・子等 金額 適用期限 教育資金等の贈与を受ける者 1 人当たり総額 1,500 万円(学校等の教育機関以外への支払 いは 500 万円)まで 平成 31 年3月 31 日 (2)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の概要 非課税となる結婚・子 育て資金の範囲と金額 ①結婚に伴う婚礼、住居及び引越に要する費用のうち一定のもの 、②妊娠、出産に要す る費用、子の医療費及び子の保育料のうち一定のもの ⇒最大 1,000 万円(①と②の合算) ※①については、上記 1,000 万円の範囲内で最大 300 万円となる。 贈与者 受贈者の直系尊属(曾祖父母、祖父母、父母等) 受贈者の年齢 20 歳以上 50 歳未満 専用口座について ・ 開設可能な専用口座は、受贈者 1 人につき 1 つ。専用口座を 1 つ開設した受贈者は、 他の取扱金融機関や口座開設した金融機関における他の店舗も含め、他に専用口座は 開設できない。 ・ 受贈者が 50 歳に達した日などに専用口座は終了となる。 適用期間 平成 27 年 4 月 1 日~平成 31 年 3 月 31 日 その他 途中で贈与者が亡くなった場合は、亡くなった日における残高について、受贈者が贈与者 から相続または遺贈によって取得されたものとみなして相続税の課税価格に加算となる。 -1- 高齢者取引実務 3 級 最新情報 (3)相続時精算課税制度の範囲の拡大 相続時精算課税制度についても、税制改正により以下の点が変更された。(太字下線が変更点) 平成 26 年 12 月 31 日以前 贈与者 平成 27 年1月1日以後 贈与をした年の1月1日において65歳以上の 贈与をした年の1月1日において 60 歳以上 受贈者 親 の親又は祖父母 贈与者の推定相続人である贈与を受けた年の 贈与者の推定相続人である贈与を受けた年の 1月1日において 20 歳以上の子(子が亡くな 1月1日において 20 歳以上の子又は贈与を っているときには贈与を受けた年の1月1日 受けた年の1月1日において 20 歳以上の孫 において 20 歳以上の孫を含む。) (4)贈与税率の改正 平成 27 年 1 月 1 日以降の贈与において、贈与税の税率構造が 6 段階から 8 段階へと細分化され、最高税率は 50% から 55%へ引き上げられた。また、改正後は、 「20 歳以上の子や孫等(直系卑属)が受贈者となる場合(特例贈与財産)」 と「一般の贈与の場合(一般贈与財産)」が区別された。 改正前 (平成26年12月31日以前) 贈与額 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 4500万円以下 4,500万円超 税率 控除額 10% 15% 20% 30% 40% - 10万円 25万円 65万円 125万円 50% 225万円 改正後 (平成27年1月1日以降) 20歳以上の者への直 系尊属からの贈与① 税率 10% 控除額 - 15% 10万円 20% 30% 40% 45% 50% 55% 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円 一般の贈与 (①以外の贈与) 税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 控除額 - 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 55% 400万円 ※「贈与額」は贈与税の基礎控除及び贈与税の配偶者控除後の課税価格となる。 -2- 高齢者取引実務 3 級 最新情報 2.相続税関係 (1)相続税における基礎控除の改正 相続税を計算するうえでの基礎控除が平成 27 年 1 月 1 日以降、下記の通り改正された。 (2)小規模宅地等の特例の改正 小規模宅地等の特例制度とは、死亡した者(被相続人)が所有し、かつ居住用又は事業用に供していた次の宅地等に ついては相続税の財産評価にあたり、その宅地等の原則評価額から一定の減額割合で減額する制度である。 小規模宅地等の区分 (1)特定事業用宅地等 特例対象の宅地等の範囲 特例適用上限面積と減額割合 改正前 改正後 ~平成 26 年 12 月 31 日 平成 27 年 1 月 1 日~ 被相続人又はその生計一 400 ㎡まで 400 ㎡まで の親族が相続等した事業 80%減額 80%減額 被相続人の配偶者又は一 240 ㎡まで 330 ㎡まで 定の親族が相続等した居 80%減額 80%減額 被相続人又はその生計一 200 ㎡まで 200 ㎡まで の親族が相続等した貸付 50%減額 50%減額 用(貸付用を除く)の一定 の宅地等 (2)特定居住用宅地等 住用の一定の宅地等 (3)貸付事業用宅地等 事業用の一定の宅地等 (4)上記(1)~(3)を 上記(1)、(2)、(3)の宅地 (注1)の調整計算を要す (注 2)のとおり(1)、 併用のケース 等が併存する場合 (2)の調整不要 (注 1)改正前の上表(4)に該当する場合、適用上限面積は次の算式により調整計算が必要 『(1)+(2)×400/240+(3)×400/200≦400 ㎡』 (注 2)改正後の上表(4)に該当する場合で、(3)がない(選択しない場合を含む)ケースでは、(1)及び(2)のそれぞれ上限 (400 ㎡+330 ㎡=730 ㎡)まで併用適用可(調整計算は不要) ただし、(3)を併用するケースでは、次の算式による調整計算が必要 『(1)×200/400+(2)×200/330+(3)≦200 ㎡』 -3- 高齢者取引実務 3 級 最新情報 (3)相続税率の改正 平成 27 年 1 月 1 日以降の相続または遺贈において、相続税の税率構造が 6 段階から 8 段階へと細分化され、最高 税率は 50%から 55%へ引き上げられた。 〔相続税額=取得金額A×税率-控除額〕 法定相続分に応じる 取得金額A 1,000万円以下 3,000万円以下 5,000万円以下 1億円以下 2億円以下 3億円以下 6億円以下 6億円超 改正前 (平成26年12月31日以前) 改正後 (平成27年1月1日以降) 税率 控除額 税率 控除額 10% 15% 20% 30% - 50万円 200万円 700万円 40% 1,700万円 50% 4,700万円 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% - 50万円 200万円 700万円 1,700万円 2,700万円 4,200万円 7,200万円 -4-
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