2/30 今日の講義で学ぶこと • 基礎概念と用語 – 多重グラフ(multi-graph)と単純グラフ (simple graph) – 部分グラフ(subgraph) – 補グラフ(complement graph) – 平面グラフ(planar graph) – パス(path)と閉路(cycle, circuit) – 連結性(第3回に詳しくやります) – 点と辺の除去 グラフとネットワーク(2) ~基礎概念と用語、グラフの分類~ • 特殊なグラフ – – – – 多重グラフと単純グラフ(復習) 3/30 【定義】一般のグラフ(多重辺や自己ループ を持つグラフ)を多重グラフ(multigraph)、 多重辺や自己ループを含まないグラフを、 単純グラフ(simple graph)と呼ぶ。 A 町 完全グラフ(complete graph) 正規グラフ(regular graph) 2部グラフ(bipartite graph) 木グラフ(tree graph) ← 次週にやります 部分グラフ(subgraph) 【定義】 G = (V,E) とする。V と E の部分集合 X ⊆V, F ⊆E によって定まる G = (X,F) がグラフである とき G は G の部分グラフであるという。 B B 町 G の部分グラフの例 モデル化 C 町 地図情報 4/30 G A C グラフ 5/30 【注】G = (X,F) がグラフ ⇔ e = (u,v)∈F ならば u,v∈X 【練習問題】次の H と S は、グラフである かどうか答えなさい。 6/30 【定義】G = (V,E) をグラフとする。 V の部分集合 X が与えられ、 u,v ∈ X かつ e = (u,v) ∈ E ⇒ e = (u,v) ∈ F ならば、G = (X,F) を G の X による誘導部分 グラフ(induced subgraph)と呼び G = G[X] と記す。 【注】生成部分グラフと記すこともある H=(A,B) S=(C,D) A={p,q,r,s} C={p,q,r,s} B={{q,p},{r,q},{s,s}} D={{p,r},{r,w},{q,s}} v1 e3 e1 v 2 e4 e5 G v3 e v4 6 e2 X = {v1,v3,v4} v1 e4 e3 v3 e6 v4 誘導部分グラフ G[X] 7/30 【練習問題】次のグラフ G において、X={v1,v3,v4,v5} の誘導部分グラフ G[X] を求めなさい 8/30 補グラフ(complement graph) 【定義】単純グラフ G=(V,E) に対して、 同じ点集合 V を持ち、辺の存在と非存在を 逆転して得られるグラフ v6 G = (V , E ), E = {(u , v ) ∈ V 2 | (u , v ) ∉ E } v4 v1 を G の補グラフという。 v5 v2 v3 G の補グラフ G G 9/30 平面グラフ(planar graph) 10/30 【練習問題】次のグラフは平面グラフであ るかどうか答えよ。 【定義】グラフを図に描いたとき、辺の間に交わり が無いグラフを平面描画という。 また、平面描画可能なグラフを平面グラフと呼ぶ このグラフは平面グラフか? a b しかし d c 辺に交わりがあるので 平面描画ではない オイラーの公式 a c d b 平面描画可能なので 平面グラフである 資料 11/30 【定理】連結な平面グラフ G=(V,E) において、 |V | + 面数 = |m| + 2 が成り立つ。 【注】ただし、面とは平面描画したとき辺で囲まれ た領域のことである。無限遠点を含むグラフの外側 も1つの面と数える。 パス(路、道、経路、path) 【定義】グラフ G 上のパスとは、始点と呼ば れる頂点から始まり、終点と呼ばれる頂点で 終わる頂点と辺が交互に現れる列であり、列 中で隣り合った辺と頂点が接続しているもの である。 パスの例としては、 a p1=aqbrc p c q |V | = 4 |m| = 5 面数 = 3 |V | = 5 |m| = 6 面数 = 3 12/30 r b s p2=apcrbrc などがある。 どちらも、a を始点、c を d 終点にもつパスである。 p1 = a,q,b,r,c abc (a,b,c) などと記すこと もある パスの長さ(length) 13/30 【定義】無向グラフ G = (V,E) の各辺 e∈E に d(e) の重みが与えられているネットワークを考 える。このとき、パス P = v1v2 … vk (P = v1e1v2e2 … ek-1vk) において ej = {vj,vj+1} とするとパス P の長さを 閉路(cycle, circuit, closed path) 【定義】始点と終点が等しいパスを閉路という 【注】単純グラフにおいて、1 つの点は長さ 0 の閉路、自己ループは長さ 1 の閉路と見なす ことがある a k −1 d (e ) 【閉路の例】 j c j =1 と定める。 d 15/30 【定義】パス[閉路] P が同じ辺を 2 度以上 用いていないとき初等路[res. 初等閉路]、 2 度以上同じ点を通っていなければ単純路 [res. 単純閉路]という。ただし、単純閉路の 場合、始点と終点は例外とする。 a b p1=abca 閉路 p1 の長さは 3 b 【注】辺に重みがない場合は、k-1 と定める 初等路(elementary path)と 単純路(simple path) 14/30 16/30 【練習問題】下記の図を使って単純閉路で はない初等閉路の例をひとつ挙げよ a d 解答例 e b c c【初等閉路かつ単純閉路の例】 p1=abca d 17/30 【注】グラフ G が有向グラフの場合も、 パスと閉路の定義を自然に拡張すること ができる。 ただし、有効グラフのパスは全て有向 辺の方向に進むので、有向路(directed path)、有向閉路(directed circuit)と呼 ぶこともある。 初等路[閉路]、単純路[閉路]についても 同様である。 参考 18/30 【注】パスや閉路に関する用語の定義は、 全体として定まっておらず混沌としている。 文献を読む際は、定義を確認すること 【例】 「パス」はウォーク(walk)と呼ばれることもある。 このときは、「パス」は単純路を意味する。また、 初等路はトレイル(小道、Trail)などと呼ばれる この講義では、このような定義は使いません! 19/30 連結性(connected) 20/30 辺の除去 【定義】グラフ G の任意の 2 つの頂点の間 にパスが存在するときグラフ G は連結であ るという。 a b c a a c G1 q c G2 r G1 は連結だが、 b b d d d G2 は連結でない 辺 {a,d}を除去する 21/30 点の除去 a 22/30 【練習問題】次のグラフについて答えなさい a b c b c d d e e (1)辺 {a,c} を除いた グラフを描きなさい (2)頂点 c を除いた グラフを描きなさい e 点 a を除去する 完全グラフ(complete graph) 23/30 【定義】すべての点対 {u,v} を辺とする 無向グラフ G = (V,E) を、完全グラフと いい、Knと記す。 K3 K4 【練習問題】 24/30 (1) 頂点数 5 の完全グラフ K5 を描きなさい (2) K5 の補グラフ K5 を描きなさい (3) K5 の辺の数を答えなさい 25/30 レギュラーグラフ(regular graph) 【定義】各頂点の次数が等しいグラフを、 正則グラフ、またはレギュラーグラフという。 また、この次数が k の正則グラフは、k-正則 グラフ(k-regular graph)という。 26/30 2部グラフ(bipartite graph) 【定義】グラフ G = (V , E ) の点集合 V が空で ない 2 つの集合 V 1 と V 2 に分割され、全ての 辺 e ∈ E において、端点の一方が V 1、他方が V 2 に属しているとき、G を 2 部グラフと呼び、 G = (V 1 , V 2 , E ) と記す。 全ての u ∈ V 1 と v ∈ V 2 の間に辺が存在する とき、G を完全 2 部グラフ(complete bipartite (K3) graph ) と呼び、| V 1 |= m , | V 2 |= n のとき、 3-正則グラフ 2-正則グラフ 【注】完全グラフは、正則グラフ 27/30 2部グラフの例 V1 2 部グラフ V2 完全 2 部グラフK3,2 【練習問題】次のグラフは、2部グラフか どうかを判定しなさい。 b a 2部グラフの具体例 29/30 A データ集計 B ワープロ C 窓口業務 D 簿記 E 受付 誰にどの仕事を割り 当てたら良いか? マッチング問題 (組合せの問題) スターグラフ(star graph) 30/30 【定義】K1,n なる完全 2 部グラフは、 スターグラフと呼ばれる 【注】 スターグラフは、特殊な完全 2 部グラフ c e 28/30 人にはそれぞれ適性がある。適性のある仕事 に線を引くと2部グラフが出来る。 V1 V2 Km ,n と記す。 d スターグラフ K1,5
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