2. 状態方程式 | 制御系CAD

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投稿日時: 2015/10/14
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2. 状態方程式
(PPT2) (resume2)
2.1 制御対象のモデリング
何らかの対象を制御しようとするとき、次の3要素を明確にする必要があります。
まず制御対象のダイナミクスを明らかにするために、力学系の場合は運動方程式を導出する必要があ
ります。そしてその運動に影響を及ぼすアクチュエータがなければ制御はできません。また運動を観
測するために適当なセンサを配置する必要があります。そして、次のような状態方程式と出力方程式
を求めます。この作業を制御対象のモデリングと言います。
(1)
(2)
http://cacsd2.sakura.ne.jp/2015/10/14/運動方程式から状態方程式を導く-2/[2015/10/15 8:43:01]
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ここで、
力(
は時刻 における状態( 個の状態変数からなるベクトル)、
個の入力変数からなるベクトル)、
トル)です。また
は時刻 における入
は時刻 における出力( 個の出力変数からなるベク
は適合するサイズをもつ実行列です。状態方程式と出力方程式の対を状
態空間表現と呼びます。また、各ベクトルの次元数を明示する場合は
現とも呼びます。これは次のように図示されます。
入力 出力 次元状態空間表
2.2 状態空間表現の例
ダンパのついたドアの運動を考えます。
ドアの運動は回転運動ですが、簡単のため直線運動として考えます。このときドアの運動方程式は次
式で与えられます。
ここで、
(3)
はドアの質量、 は基準位置からの変位です。また、右辺第1項 はドアを開ける時の
力、第2項はダンパによる力(速度に比例する摩擦力)、第3項はバネによる力を表しています。
状態変数として変位 と速度 の2つを取り、運動方程式を連立1階微分方程式で表現すると
となります。これから状態方程式
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(4)
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(5)
を得ます。いま、位置 を計測できるとすると、次の出力方程式を得ます。
(6)
この例では、外力が状態変数に線形に依存し、また基準位置で静止させることが想定されています。
ところが、実際には、外力が状態変数に非線形に依存したり、一定速度での移動や回転を考えたりし
ます。このような場合の状態方程式の導出法を以下で考えます。
2.3 平衡状態回りの線形化
一般には、制御対象の運動方程式から、非線形状態方程式を求め、これを平衡状態まわりで線形
化(1次近似)し、線形状態方程式(1)を求めます。
いま、
を状態変数、
を入力変数として、運動方程式から、次のような連立
1階微分方程式で表される非線形状態方程式を得ます。
(7)
これをベクトル表示します。 が状態変数ベクトル、 が入力変数ベクトルです。
平衡状態
(8)
と平衡入力
を
を満足するベクトルとして定義します。これらの周りで
(9)
を1次近似すると次式を得ます。
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(10)
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ただし
(11)
(12)
これから次の線形状態方程式を得ます。
(13)
したがって、線形状態方程式の「零状態
衡入力
」は平衡状態
によってもたらされるので「零入力
にあることを意味し、これは平
」を意味します。
2.4 振り子
●上の左図は、高校の物理で習った単振り子を表しています。この運動方程式は次式で表されます。
平衡状態
(14)
まわりで、次の線形状態方程式を得ます。
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(15)
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●上の右図は、剛体振り子を表しています。この運動方程式は次式で表されます。
平衡状態
(16)
まわりで、次の状態方程式を得ます。
(17)
これらの導出についてはここも参照してください。
2.5 モータ
●モータの回転数制御(速度制御)のためのモデルを考えます。
モータの運動方程式は次式で与えられます。
(18)
ここで、 はモータ軸の慣性モーメント、 は角速度です。また、右辺第1項は供給電流 のとき、
これに比例して働くトルク、第2項は角速度に比例する摩擦力を表しています。
このとき、次の状態方程式を得ます。
いま、モータの回転数が一定
(19)
のとき、これを保持する電流を とします。
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(20)
これから、次の状態方程式を得ます。
(21)
●モータの回転角制御(位置制御)のためのモデルを考えます。
この運動方程式は次式で与えられます。
(22)
ここで、 はモータ軸の慣性モーメント、 は回転角です。また、右辺第1項は供給電流 のとき、こ
れに比例して働くトルク、第2項は角速度に比例する摩擦力を表しています。
状態変数として回転角変位 と回転角速度 の2つを取り、運動方程式を連立1階微分方程式で表現
すると
(23)
となります。これから状態方程式
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(24)
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2.6 ドローン
ドローンについて、次のように諸変数を定義します。
このとき、ドローンの運動方程式は次式で表されます。
(25)
ここで、
は質量、 は重力加速度、 はプロペラまでの距離、
,
,
はそれぞれ 軸, 軸,
軸まわりの慣性モーメントです。第1式で表されるヒーブ方向の運動は4つのプロペラ推力の和
で、第2式で表されるロール方向の運動は 軸両端プロペラ推力によるモーメントの差で、第3式で
表されるピッチ方向の運動は 軸両端プロペラ推力によるモーメントの差で、第4式で表されるヨー
方向の運動の運動は 軸両端のプロペラと 軸両端のプロペラによる反動トルクの差で決まります。
重心から距離 の4隅に取り付けられたプロペラの駆動アンプへの入力電圧
て、上向き揚力
,
,
,
に比例し
(26)
が、またその周りに反動トルク
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が働くものとします。なお、重力補償のために
から決まる
(28)
をプロペラの駆動アンプへの入力電圧に前もって加えておきます。これらを用いて運
動方程式の右辺は
(29)
のように書き替えることができます。いま
(30)
のように入力変数を定義すると運動方程式は
(31)
となります。これからヒーブ、ロール、ピッチ、ヨーの各ダイナミックスの状態方程式と出力方程式
が次のように得られます。
(32)
(33)
(34)
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(35)
最後に、各プロペラへの操作入力は次式で決まることに注意します。
(36)
2.7 NOMOTOモデル
上図を参照して船舶の進路安定性を判定するモデルは次のように表されます。
(37)
ただし
(38)
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(39)
この導出はここを参照してください。
カテゴリー: 制御入門, 授業レジュメ 作成者: admin パーマリンク
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