Henri & Gilles Buisson

造り手の考え方や個性をまとめました
expression of individuality
Henri & Gilles Buisson
Franck Buisson / Frédérick Buisson
Beaune "Les Prevoles"
Saint Romain "Sous la Velle"
Saint Romain "La Perriere"
Saint Romain Blanc Absolu
Saint Romain "Sous Roche"
Saint Romain Rouge Absolu
Meursault Les "Chevalieres"
Bourgogne
Henri & Gilles Buisson
代表的ワイン
アンリ・エ・ジル・ビュイッソン
Saint Romain
Saint Romain "Sous la Velle"
Saint Romain Blanc Absolu
自然農法がもたらす「サン・ロマン」の個性
ムルソーの西側に位置する隠れた銘醸地サン・ロマン。40年以上に渡り自然農法により育った葡萄は、区画毎に
明確な個性を持つ。「アプソリュ」は醸造中に一切SO2を加えていない希少キュヴェ。
を持つ。販売を担当する兄のフレデリックと共に、今 リリースだった。「国内販売が殆どだった当時、はた
70年代から続ける自然農法
後も自然農法を家族で継承していく。
格付け畑に比類する区画
サン・ロマン村もブルゴーニュの他の村と同様に、相
続による所有畑の細分化が進んでいるが、ビュイッ
ソンは1ha以上の大きな区画を所有。アッサンブラ
ージュをしてAOCサン・ロマンを量産する造り手が
多い中で、ビュイッソンは全て区画名付きキュヴェと
してリリースしている。「広く一枚の区画は、ブルゴー
ニュでビオロジック農法を行う上で非常に有利。また
区画毎にその個性を表現したキュヴェを造る事が出
来る」ヴォルネイとムルソーの西部に位置するサン・
ロマン村は、コート・ド・ボーヌでも最も標高が高く35
0m~410m。非常に冷涼な地域。複数の谷が向
き合う地形により、個性豊かなワインに仕上がる。北
向きのラ・ペリエールはジュラ紀中期カロヴィアンの
粘土石灰質。直線的なミネラルと白い花が特徴の
冷涼なワイン。一方温暖な南向きの急斜面に位置
するスー・ラヴェルでは、ワインは熟した桃のネクター
の様な、濃厚な味わいを持つ。グラン・クリュ、プルミ
エ・クリュを持たないAOCだが、ビュイッソンのワイン
は格付けワイン以上の実力と個性を持つ。「テロワー
ル・葡萄樹・果実の要素を尊重した上で、各ワイン
の個性を更に磨いていきたい」
ムルソーやピュリニィー・モンラッシェの陰に隠れたコ
ート・ド・ボーヌの中でもマイナーな村のひとつサン・ロ
マン村。ビュイッソン家は12世紀からこの村で葡萄
栽培を行って来た老舗。改革者であった6代目のア
ンリ・ビュイッソンは、1950年代以前は殆どの農家
がワインをバルクで販売をしていた中で、他に先駆け
て元詰めを始めている。「祖父は独自の哲学を持ち、
農薬の使用が当然とされていた70年代から除草剤
は使用せず、自らの手で畑を耕していた」その意思
は現在の当主であるフレデリックとフランクの兄弟に
受けつがれ、彼らによりビオロジック及びビオディナミ ベタンヌが高評価SO2無添加キュヴェ
栽培へと追究されている。特に弟のフランクはドメー ビュイッソンは2011年にSO2無添加のサン・ロマン
ヌ・ルフレーヴで働きビオディナミ農法を学んだ経験 をリリース。2004年から実験的に醸造重ねた上で、
してSO2無添加キュヴェを古くからの顧客が必要と
しているのか、とても不安だった。しかしSO2の使用
を減らして行くことは、祖父の代から続く自然なワイ
ン醸造を進める上では当然のアプローチでもあった
んだ」彼等の心配をよそに初回にリリースした600本
は直ぐに完売。ジャーナリストからの評価も極めて高
いものだった。「アブソリュと名付けられたSO2無添
加キュヴェは非常に良くコントロールされ傑出した出
来 」 (Guide des vins Bettane et desseauve
2015)赤・白共にSO2無添加キュヴェは、通常のキ
ュヴェよりも全房の比率を高くし、発酵時の温度コン
トロールをより厳密に行っている。「若い内はやや固く
閉じた印象を与えるサン・ロマンだが、亜硫酸の使
用を抑える事で、リリース直後から香りが開き、落ち
ついた味わいのワインに仕上がる」
地球温暖化により注目を集めるAOC
サン・ロマンはヴォルネイとムルソーの西側、他のAOCから外れた
渓谷の奥に位置する。
コート・ド・ボーヌの中では、最も標高が高く350~410m。
土壌は活性化した石灰岩を多く含む粘土石灰質。
シャープなミネラルを持ち、長期熟成可能なワインを生みだす。
この冷涼な気候は、温暖化による葡萄樹への影響が指摘される中で、
今後の葡萄栽培の好適地としても、注目を集めている。
『以前は大量にシャルドネを植え、凡庸なワインを量産していた地域。
現在は若手を中心に量から質へシフトしたワインを造るようになった』
その流れを牽引しているのが、アンリ・エ・ジル・ビュイッソンの8代目、
フレデリックとフランク・ビュイッソン兄弟。
「新世代の兄弟による畑での厳格な仕事と、グラヴィティシステムによ
る醸造によりワインは深みと上品さを増し、長期熟成が可能になった。
確実にお勧め出来る生産者」
(Le guide des meilleurs vins de France 2015)
70年代以前より続けるビオロジック栽培
ビュィッソン兄弟の祖父アンリは、サン・ロマン村の改革者だった。
1950年以前は村の殆どの造り手が仕上げたワインは、
ネゴシアンへバルクで販売し生計を立てていた。
1948年にアンリは他の造り手に先駆けてワインの元詰めを開始した。
さらに農薬の使用が当然とされていた70年代でも、自らの区画では
除草剤・除虫剤等農薬の使用を禁止。
畑の耕作を続け冬の間は根元に土寄せをして、寒さから
葡萄樹を守った。
南向き
泥灰粘土
北向き
粘土石灰
北向き区画“ペリエール”と南向き区画“スー・ラ・ヴェル”
北向き
粘土石灰
『目指すのは、テロワール・葡萄樹・果実の要素を尊重しながら、
各ワインの個性を磨いていく事』
ポマールやムルソー等、コート・ド・ボーヌの表に並ぶAOCと異なり、
サン・ロマンは複数の石灰岩の丘に葡萄畑が広がっている。
畑の向きや土壌もバリエーションに富んでいる。
『長年ビオロジック栽培を行って来た私達の畑は、区画毎の個性が
ストレートにワインに表現される』
Saint Romain "La Perriere"
AOCを二分する川の右岸に位置する区画が“ラ・ペリエール”。
北向きの丘の上部に位置する冷涼な区画。
ジュラ紀カロヴィアンの粘土石灰質土壌。樹齢20年。
冷たく直線的なミネラルを持ち、白い花と僅かなグリエ香を持つ
やや固いワインに仕上がる。
一方“スー・ラ・ヴェル”は、川の反対側の斜面に位置する区画。
南向きの急斜面で葡萄は非常に良く熟す。
祖父のアンリが植えた葡萄樹は樹齢50年を超すヴィエイ・ヴィーニュ。
ジュラ紀オックスフォーディアンの泥灰粘土が主体。
ワインは桃のネクターの様な熟したアロマが特徴的で、
重く厚みのある味わいに。
南向き
泥灰粘土
『サン・ロマンはムルソーやヴォルネイ等比べて、
気候や地質年代の異なる土壌なと多彩なテロワールがある。
造り手はもっとテロワールの個性を尊重したワインを造るべき。
区画により、もっと良質のピノ・ノワールを造る事も出来る』
現在AOCサン・ロマンには、特級畑・1級畑の存在しないが、
ビュイッソンの造るワインは他の1級畑を超える品質のものばかりだ。
Saint Romain "Sous la Velle"
「新世代の兄弟による畑での厳格な仕事と、グラヴィティシステムの導入う
で、ワインはより深みと上品さを増し、長期熟成が可能になった。
確実にお勧め出来る生産者」
(Le Guide des Meilleurs vins de France 2015)
無農薬で造れば、バトナージュは必要無い
『醸造中のバトナージュはワインに無理な化粧をする様なもの。
一見ワインに厚みと凝縮感を与えるが、口中ではその要素が
長続きせず、ストンと余韻が切れてしまう』
ビュイッソンでは、白の醸造中に無理なバトナージュはしない。
代わりに収穫後の葡萄を軽く破砕してから、圧搾する事で、
凝縮し複雑な要素を含んだ果汁を得る事が出来る。
『無農薬栽培で仕上げた葡萄だからこそ、破砕をして、
皮からの要素をワインに十分に抽出できる』
『白でマセラシオンを試したが気に入らなかった。
ブルゴーニュらしい繊細さが損なわれてしまうんだ』
彼等の自然農法による葡萄栽培の先は、より自然な醸造へと
繋がっている。
SO2無添加キュヴェ”アプソリュ“
2011年にビュイッソン兄弟はSO2無添加キュヴェをリリースした。
『僕達兄弟の個人的な興味として、2004年からSO2無添加
キュヴェを造り始めたけど、最初は一般に販売するつもりは無かった』
当時のブルゴーニュでは、SO2無添加のワインはまだ異質なもの。
古くからのブルゴーニュ愛好家達からは倦厭されがちだった。
しかし、彼らは実験的醸造を重ねる間に、SO2無添加キュヴェこそ
より本来ブルゴーニュワインが持つ味わいを表現出来るのでは
無いかと考える様になった。
最初にリリースした600本のワインは瞬く間に完売。
国内外から高い評価を受け、彼等を代表するキュヴェになった。
「アブソリュと名付けられたSO2無添加キュヴェは素晴らしい出来。
非常に良くコントロールされている」
(Guide des vins Bettane et desseauve 2015)