脂質異常症に関する患者の意識・行動調査(T-CARE

2015 年 1 月 27 日
報道関係各位
「脂質異常症に関する患者の意識・行動調査(T-CARE Survey Plus)」結果発表
-糖尿病や高血圧を合併している脂質異常症患者の意識と実態-
合併症を有する脂質異常症患者の 4 割以上が「自身の脂質異常症の状態を理解していない」
「コレステロール値」の管理目標値を知らない人が 3 割近くも
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)
は、2014 年 6 月に、糖尿病患者、高血圧患者、脂質異常症患者を対象にした、治療実態、治療状況や生活満足
度などを把握することを目的とした調査『T-CARE Survey Plus(ティーケア・サーベイ プラス)』を実施しました。
当社はかねてより、生活習慣病の 3 大疾患である糖尿病・高血圧・脂質異常症の患者さんの意識と実態を中心と
した情報提供に取り組んでおり、2014 年 2 月に糖尿病患者の意識と行動調査を、2014 年 7 月に糖尿病患者と高血
圧患者の比較を通して、高血圧患者の意識と行動に関する調査結果を発表してきました。そして、このたび、3 つ目
の疾患となる脂質異常症患者の意識と行動に関する調査結果を発表することとなりました。
脂質異常症は、そのままにしておくと血管の動脈硬化が少しずつ進んでいき、やがて心筋梗塞や脳卒中などの
合併症が起こりやすくなり、加えて脂質異常症に糖尿病や高血圧が重なると、冠動脈疾患・脳卒中といった心血管
イベントの発症率がさらに高くなります。また、30 歳以上の日本人の約 3 割が「脂質異常症患者あるいは予備軍」で
あるにもかかわらず、その半数が現在治療を受けていないという実態があります1。
今回は、2014 年 6 月に実施した調査『T-CARE Survey Plus』より、心血管イベント発症リスクの高い“糖尿病や高
血圧を合併している脂質異常症患者”(以下合併症を有する脂質異常症患者)にフォーカスし、意識や実態につい
ての分析を行いましたのでお知らせいたします。
<合併症を有する脂質異常症患者の特徴>
1.糖尿病、高血圧に比べて、脂質異常症に関する理解の低さ
合併症を有する脂質異常症患者は、自身の病態について、「糖尿病の状態について理解している」が 77.6%、
「高血圧の状態について理解している」が 77.2%でしたが、「脂質異常症の状態について理解している」と答えたの
は 58.4%に留まり、4 割以上が「自身の脂質異常症の病状」について理解していないという結果になりました。
2.コレステロール値の管理目標値を知らない人が3割近くも
自身の治療目標値について、「血糖値」「血圧値」を知らない人はそれぞれ約 1 割であったのに対し、「コレステロ
ール値」の管理目標値を知らない人は3割近くにものぼりました。
3.心血管イベント発症リスクの高い合併症を有する脂質異常症患者の 2 人に 1 人は、治療に必要なことをきちんと
やっていない。また、若い人ほど治療に前向きな意識が低下。
自身のかかえている生活習慣病について、「治療に必要なことはきっちりやっている」と答えたのは約半数に留ま
1 「平成 22 年国民健康・栄養調査」
りました。また、年代別にみると、若い人ほど治療に必要なことにきっちり取り組む人が少ない結果となりました。
埼玉医科大学 かわごえクリニック 院長の片山 茂裕 先生は、今回の調査結果を受けて、以下のように述べら
れています。「脂質異常症の患者さんは脂質異常症に対する治療意識が希薄で、自身のコレステロール値も把握
していない方が多いのが現状です。脂質異常症に糖尿病や高血圧を合併した患者さんでは、心疾患の発症リスク
がさらに高まるので、医療関係者は個々の患者さんの状態をトータルに管理することが重要ですが、患者さんにもト
ータル管理の重要性をしっかり伝えて診療することが大切です。」
また、帝京大学臨床研究センター センター長の寺本 民生 先生は、「患者さんの病状や疾患への理解・意識は
様々であるため、医療関係者は日常診療を通じて患者さんの個々の状況を把握し、患者さんだけではなく家族の
方にも、継続治療の必要性・中断リスクを理解していただくことで、より積極的に治療に取り組んでいただくことが可
能です。」と述べられています。
塩野義製薬は、『トータルケア』という新たな切り口で、糖尿病患者さんの QOL 向上に貢献できるように、“Risk
Care(リスクケア)”、QOL の維持・向上をめざす “Lifelong Care(ライフロングケ
ア)”、“Team Support(チームサポート)”、“Community Support(コミュニティサポ
ート)”の 4 つをキーワードとして、これまでも様々な情報提供活動に取り組んでま
いりましたが、本調査結果を踏まえ、今後もさらに活動を充実してまいります。
≪調査結果概要≫
※T-CARE とは,「塩野義製薬が考える“糖尿病患者さんのトータルケア”」を意味する名称です。
○調査概要
【調査対象】 20~60 代 男女
【有効回答数】 糖尿病・高血圧・脂質異常症患者(単独、合併疾患者、計 7 分類)各 400 名
【調査手法】 インターネット調査
【調査時期】 2014 年 6 月
【調査地域】 全国
※本資料中の数値は、全て少数点第 2 位以下を四捨五入しています。
1. 各疾患とも治療の必要性は理解しているが、脂質異常症の中断リスクに対する理解度は低い
合併症を有する脂質異常症患者は、糖尿病・高血圧・脂質異常症について、各疾患とも 8 割以上の人が「きちん
と治療をしないといけない」と考えているが、「脂質異常症は治療を中断してはいけない」のみが 8 割未満に留まりま
した。
Q.「糖尿病・高血圧・脂質異常症」という病気について,あなたはどのようなイメージを持っていますか。
100%
97.8
97.5
97.3
94.5
93.8
92.5
93.6 93.8
92.1
90.0
89.3
88.3
91.5
88.3
85.3
79.3
80%
74.0
70.0
中断してはいけない
脂質異常症は治療を
治療しないといけない
脂質異常症はきちんと
⾼⾎圧・脂質異常症併発(n=400)
⾼⾎圧は治療を
中断してはいけない
⾼⾎圧はきちんと
治療しないといけない
糖尿病・脂質異常症併発(n=400)
糖尿病は治療を
中断してはいけない
糖尿病はきちんと
治療しないといけない
60%
⾼⾎圧・糖尿病・脂質異常症併発(n=400)
2. 合併症を有する脂質異常症患者の4割以上が、自身の脂質異常症の状態を理解していない
合併症を有する脂質異常症患者の自身の病態について、「糖尿病の状態について理解している」が 77.6%、「高
血圧の状態について理解している」が 77.2%でしたが、「脂質異常症の状態について理解している」と答えたのは
58.4%に留まりました。
Q.自身の疾患の状態について知っていますか。
80%
77.6
よく知っている+やや知っている
77.2
58.4
60%
※1:脂質異常症・糖尿病併発(n=400)
2:脂質異常症・⾼⾎圧併発(n=400)
今の⾃分の
いて
(n=800)※2+3
︻脂質異常症︼の状態につ
(n=800)※1+3
今の⾃分の
︻⾼⾎圧︼の状態について
今の⾃分の
︻糖尿病︼の状態について
40%
(n=1200)※1+2+3
3:脂質異常症・糖尿病・⾼⾎圧併発(n=400)
3. コレステロール値の管理目標値を知らない人が 3 割近くも
自身の治療目標値について、「血糖値」「血圧値」を知らない人は約 1 割であるのに対し、「コレステロール値」の
管理目標値を知らない人は 3 割近くにものぼりました。
Q.自身の治療目標値を知っていますか。
0%
20%
︻⾎糖値︼
︻⾎圧値︼
︻コレステロール値︼
⾼⾎圧・糖尿病・脂質異常症併発(n=400)
24.0
15.5
24.3
8.3
5.3
42.8
41.8
脂質異常症・糖尿病・⾼⾎圧併発(n=400)
100%
54.3
46.3
脂質異常症・糖尿病併発(n=400)
80%
57.0
40.5
脂質異常症・糖尿病・⾼⾎圧併発(n=400)
⾼⾎圧・脂質異常症併発(n=400)
60%
34.8
脂質異常症・⾼⾎圧併発(n=400)
糖尿病・脂質異常症併発n=400)
40%
11.0
48.0
10.3
52.8
56.0
23.3
28.5
49.0
正確に知っている
26.8
おおよそ知っている
知らない
4. 合併症を有する脂質異常症患者の約半数は、治療にきっちり取り組めていない
自身のかかえている生活習慣病について、「治療に必要なことはきっちりやっている」と答えた人は約半数に留ま
りました。
Q.自身のかかえている生活習慣病の治療について、どのように感じていますか。
糖尿病・脂質異常症併発(n=400)
⾼⾎圧・脂質異常症併発(n=400)
⾼⾎圧・糖尿病・脂質異常症併発(n=400)
80%
60.8 58.8
56.3
53.0 54.8 53.5
60%
70.5 65.3 69.1
40%
組んでいる
前向きに治療に取り
医師に指⽰されたこ
とは忠実にやってい
る
治療に必要なことは
きっちりやっている
20%
5. 若い人ほど前向きに治療に取り組んでいない
「前向きに治療に取り組んでいる」と答えた人を年代別にみると、60 代は 78.3%ですが、50 代が 65.0%、40 代が
61.4%、30 代が 42.9%と、若い人ほど前向きに治療に取り組んでいる人が少なくなりました。
Q.自身のかかえている生活習慣病の治療について、どのように感じていますか。
30代 (n=35)
40代 (n=257)
50代 (n=485)
78.3
80%
68.0
62.7
60%
40%
60代 (n=421)
40.0
47.1
50.7
47.9
65.0
42.9
前向きに治療に取り組んでいる
医師に指⽰されたことは忠実に
やっている
やっている
治療に必要なことはきっちり
20%
51.4
61.4
56.7
6. 「治療に前向き度」と「脂質異常症病状理解度」の 2 つの視点で、患者の特性を把握
患者さんの個々の状態に合わせた治療継続のアプローチを行うために、「治療に前向き度」と「脂質異常の症状
理解度」項目の回答結果を用いて、以下の 4 つのカテゴリーに分類しました。
①脂質異常症の状態も理解しているし、治療にも前向きに取り組んでいる。 →「優等生タイプ」
②脂質異常症のことはよく理解していないけれど、治療には前向きに取り組んでいる。 →「医師におまかせタイプ」
③脂質異常症のこともよく理解していないし、治療に前向きに取り組めていない。 →「無関心タイプ」
④脂質異常症のことは理解しているけれど、治療に前向きに取り組めていない。 →「治療にストレスタイプ」
7.タイプ別の意識の差①:
「優等生タイプ」に比べ、「医師におまかせタイプ」「無関心タイプ」は脂質異常症の疾患知識や治療理解に大き
な課題があることがわかりました。
Q. 「脂質異常症」という病気について,あなたはどのようなイメージを持っていますか。
優等⽣(n=549)
100%
82.7
74.8
80%
60%
61.1
56.1
医師におまかせ(n=270)
80.2
70.0
無関⼼(n=230)
90.9
72.9
82.8
77.4
64.8
治療にストレス(n=151)
88.7
83.4
81.8
68.7
48.3
40%
いる
⾎液がドロドロにな て
ている
⾎管が詰まりやすくな
脂質異常症は放 ておく
と︵治療をしないと︶進
⾏する
しやすくなる
脳梗塞や⼼筋梗塞を起こ
20%
8. タイプ別の意識の差②:コレステロール値の管理目標値について
自身のコレステロール値の管理目標値について、「優等生タイプ」は、「正確に知っている」と「おおよそ知ってい
る」と答えた人の合計が 87.6%であったのに対し、「無関心タイプ」は 52.6%とコレステロール値の管理意識に課題
がありました。
Q.自身の管理目標値を知っていますか。(コレステロール値)
正確に知っている
0%
20%
無関⼼(n=230)
治療にストレス(n=151)
40%
60%
33.0
優等⽣(n=549)
医師におまかせ(n=270)
おおよそ知っている
80%
54.6
13.7
4.3
知らない
45.2
47.4
64.9
なお、調査結果の詳細データについては(URL)でご確認ください。
http://www.shionogi.co.jp/static/tcare_survey_plus1501.pdf
【本件に関するお問い合わせ先】
塩野義製薬株式会社 広報部
大阪 TEL:06-6209-7885 FAX:06-6229-9596
東京 TEL:03-3406-8164 FAX:03-3406-8099
12.4
41.1
48.3
17.9
100%
17.2