適 正 使 用 ガ イド

日本標準商品分類番号
87429
適 正 使 用 ガ イド
抗悪性腫瘍剤
薬価基準収載
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
毒薬
処方箋医薬品:注意ー医師等の処方箋により使用すること
本ガイドは、ハラヴェンを適正に使用いただくため、投与患者の選択、投与方法、投与にあたっての注意
事項、発現する可能性のある重大な副作用とその対策について解説しています。
ご熟読いただき、ハラヴェンを適正に使用するためのガイドとしてご活用ください。
ハラヴェンの重大な副作用として、以下が報告されています。
●骨髄抑制
●感染症
●末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)
●肝機能障害
●間質性肺炎
HAL1008ESG
適正使用のお願い
本ガイドでは、
「 手術不能又は再発乳癌」の治療において、ハラヴェンを適正に使用いただくため、投与
患者の選択、投与方法、投与にあたっての注意事項、発現する可能性のある重大な副作用とその対策に
ついて解説しています。
ハラヴェンのご使用にあたっては、本ガイドのほか、最新の添付文書を熟読いただきますようお願い
いたします。
ハラヴェンの適正使用情報は、下記サイトでも提供します。
http://www.eisai.co.jp/
監修(五十音順)
伊藤 良則
岩瀬 弘敬
岩田 広治
2
がん研有明病院 乳腺センター 化学療法科 乳腺化学療法担当部長
熊本大学大学院生命科学研究部 乳腺・内分泌外科学分野 教授
愛知県がんセンター中央病院 乳腺科 部長
目次
Ⅰ 適正使用のためのフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅱ 重大な副作用とその対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1.骨髄抑制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2.感染症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3.末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4.肝機能障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
5.間質性肺炎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
Ⅲ 投与患者の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
1.効能・効果(投与対象)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
2.禁忌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
3.慎重投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
4.インフォームドコンセント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
Ⅳ 投与にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
1.用法・用量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
2.投与スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
3.調製時の注意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
4.投与時の注意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
Ⅴ Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
1.投与開始時 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
2.投与継続時 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
ハラヴェンの主な臨床試験
国内臨床試験
◎105試験:国内第Ⅰ相試験(固形がん)
◎221試験:国内第Ⅱ相試験(乳癌)
外国臨床試験
◎108試験:外国第Ⅰ相試験(肝機能障害患者での薬物動態)
◎201試験:外国第Ⅱ相試験(乳癌)
◎211試験:外国第Ⅱ相試験(乳癌)
301試験:外国第Ⅲ相試験(乳癌)
◎305試験:外国第Ⅲ相試験(乳癌)
◎国内申請の評価資料
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
3
Ⅰ 適正使用のためのフロー
投与前の確認事項
「効能・効果、用法・用量、重要な基本的注
意、警告・禁忌を含む使用上の注意」など、
ハラヴェン投与を検討する際には添付文書
情報を必ずご確認ください。
投与患者の選択
効能・効果(投与対象) P16
インフォームドコンセント
患者またはその家族に有効性および危険性
を十 分に説 明し、同 意を得てから投 与を
開始してください。
投与の準備
ハラヴェンの投与
投与中、特に第1サイクルは、骨髄抑制など
を確認するため、血算などを毎週測定し、
異常が認められた場合は必要に応じて適切
な対処を行ってください。
経過観察
4
用法・用量 P18、26
調製時の注意事項 P22
投与スケジュール P21
投与時の注意事項 P23
重大な副作用とその対策
・骨髄抑制 P6
・感染症 P9
・末梢神経障害 P10
(末梢性ニューロパチー)
・肝機能障害 P12
・間質性肺炎 P14
Ⅱ 重大な副作用とその対策
Ⅰ 適正使用のためのフロー
国内および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験において、下記の重大な副作用が報告されています。
それぞれの発現状況などについては、各ページをご参照ください。
1.骨髄抑制
P6
2.感染症
P9
3.末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)
P10
4.肝機能障害
P12
5.間質性肺炎
P14
Ⅱ 重大な副作用とその対策
Ⅲ 投与患者の選択
Ⅳ 投与にあたって
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
5
Ⅱ 重大な副作用とその対策
1.骨髄抑制
●発熱性好中球減少を含む好中球減少、白血球減少などの骨髄抑制があらわれることがあります。
●外国臨床試験において、発熱性好中球減少症による死亡が1例報告されています。
●投与中は頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、感染症の発現に注意してください。
●異常が認められた場合には、減量や休薬を行い、必要に応じてG-CSF製剤や抗生剤を使用するなど、
適切な処置を行ってください。
発現状況
国内臨床試験(221試験)、外国臨床試験(201、211、305試験)
において、骨髄抑制が下表の通り認められ、
発現頻度は国内臨床試験で高い傾向がみられました。なお、発熱性好中球減少症を発現した1例が死亡しました
(外国305試験)。
国内臨床試験において、好中球減少、白血球減少およびリンパ球減少の発現頻度が外国臨床試験よりも高い背景
には、臨床検査値異常を有害事象として取り上げる基準に違いがあること、
またGrade 3、4の好中球減少、白血
球減少が高い背景には、国内臨床試験の投与前値が外国臨床試験に比べて低かったことが関係していると考えら
れます
(下記の参考を参照)。
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験での骨髄抑制の発現頻度
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
国内第Ⅱ相試験※1(n=81)
全Grade
Grade 3+4
Grade 5
好中球減少
98.8%(80)
95.1%(77)
0%(0)
56.0%(463) 49.2%(407)
0%(0)
22.9%(189) 14.3%(118)
0%(0)
全Grade
Grade 3+4
白血球減少
98.8%(80)
74.1%(60)
0%(0)
リンパ球減少
54.3%(44)
12.3%(10)
0%(0)
2.3% (19)
発熱性好中球減少症
13.6%(11)
13.6%(11)
0%(0)
血小板減少
11.1% (9)
0% (0)
0%(0)
Grade 5
0.8% (7)
0%(0)
4.7% (39)
4.6% (38)
0.1%(1)
3.0% (25)
1.1%
(9)
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
0%(0)
( )例数
参考:国内臨床試験および外国臨床試験の白血球数、好中球数の投与前値
好中球数(109/L)
白血球数(109/L)
平均値±SD
中央値
(最小値~最大値)
国内第Ⅱ相試験※1
(n=81)
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2
(n=827)
国内第Ⅱ相試験※1
(n=81)
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2
(n=827)
5.919±2.194
6.601±2.633
4.123±1.980
4.583±3.002
5.600
(2.70~14.23)
6.150
(2.20~28.90)
3.740
(1.60~12.74)
4.020
(1.10~58.00)
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
6
Ⅰ 適正使用のためのフロー
また、国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)
において、投与前の肝機能検査値
で層別してGrade 4の好中球減少の発現状況を解析した結果、Grade 4の好中球減少の発現は肝機能低下に
伴って高くなる傾向がみられました。
肝機能検査値別のGrade 4の好中球減少の発現状況
国内第Ⅱ相試験※1(n=81)
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
70.4%(57/81例)
28.3%(234/827例)
<ULNの1.0倍
68.8%(53/77例)
27.3%(211/774例)
ULNの1.0~1.5倍
100% (4/4例)
41.0% (16/39例)
TOTAL
総ビリルビン
投与前値
ALT
投与前値
―
<ULNの2.5倍
66.7%(48/72例)
25.7%(193/751例)
ULNの2.5~5.0倍
100% (9/9例)
54.7% (35/64例)
57.1%
(4/7例)
>ULNの5.0倍
―
<ULNの2.5倍
68.4%(52/76例)
27.2%(215/790例)
ULNの2.5~5.0倍
100% (5/5例)
56.7% (17/30例)
>ULNの5.0倍
80.0%
―
33.3%
Ⅱ 重大な副作用とその対策
AST
投与前値
>ULNの1.5倍
(4/5例)
(1/3例)
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
ULN:施設基準値上限
Ⅲ 投与患者の選択
発現時期
国内臨床試験(221試験)において、Grade 3、4の好中球数の最低値が発現するまでの期間の中央値は、
サイクル数にかかわらず投与開始14日後でした。
転帰
Ⅳ 投与にあたって
国内臨床試験(221試験)において、Grade 3、4の好中球減少は、サイクル数にかかわらず約80%に発現
しましたが、そのうちの90%以上が回復しました。回復までの期間の中央値は、サイクル数にかかわらず、最低値
発現日から7日後、投与開始21日後でした。
休薬は、
1サイクル目では発現例の40.3%に行われましたが、
それ以降は20%程度でした。
また、
G-CSF製剤は、
サイクル数にかかわらず発現例の約20%程度に投与されました。なお、G-CSF製剤の投与有無による回復期間
の差はみられませんでた。
Grade 3、4の好中球減少を発現した患者の処置と転帰:国内第Ⅱ相試験(221試験)
回復した割合※2
G-CSF製剤
投与割合※2
発現頻度※1
休薬した割合※2
1(n=81)
82.7%(67/81例)
100%(67/67例)
40.3%(27/67例)
16.4%(11/67例)
2(n=74)
89.2%(66/74例)
98.5%(65/66例)
21.2%(14/66例)
19.7%(13/66例)
3(n=59)
83.1%(49/59例)
95.9%(47/49例)
18.4% (9/49例)
18.4% (9/49例)
4(n=47)
87.2%(41/47例)
100%(41/41例)
14.6% (6/41例)
19.5% (8/41例)
5(n=41)
87.8%(36/41例)
100%(36/36例)
5.6% (2/36例)
13.9% (5/36例)
6(n=33)
81.8%(27/33例)
96.3%(26/27例)
18.5% (5/27例)
22.2% (6/27例)
7(n=27)
77.8%(21/27例)
100%(21/21例)
14.3% (3/21例)
19.0% (4/21例)
8(n=20)
85.0%(17/20例)
94.1%(16/17例)
11.8% (2/17例)
11.8% (2/17例)
Ⅴ Q&A
サイクル数
※1 対象例数に対する割合
※2 発現例数に対する割合
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
7
Ⅱ 重大な副作用とその対策
対処法
ハラヴェン投与中は、頻回に血液検査を行ってください。
好中球数減少または血小板数減少が認められた場合には、下図を参考に必要に応じて、投与を延期、減量または
休薬してください。
頻回に血液検査を行ってください
各サイクルの1週目※1
各サイクルの2週目
●好中球数<1,000/mm3 ●血小板数<75,000/mm3
注)国内臨床試験(221試験)
では、各サイクル1週目の投与開始基準を
「好中球数≧1,500/mm3」
「血小板数≧
3
100,000/mm 」としていました
投与を延期してください
好中球数減少の場合は、必要に応じて、G-CSF製剤や抗生剤の投与を考慮してください
以下の回復を待って再開
●好中球数≧1,000/mm3
●血小板数≧75,000/mm3
1週間以内に
●好中球数≧1,000/mm3
●血小板数≧75,000/mm3
回復 減量※2して再開
未回復 休薬
次サイクルは、投与後
2週間以降に再開
次サイクルにて再開※1
※1 減量基準
※2 減量の目安
前サイクルで以下が発現した場合、減量※2して投与してください
減量前の投与量 減量後の投与量
●7日間を超えて継続する好中球数減少(<500/mm3)
●発熱または感染を伴う好中球数減少(<1,000/mm3)
●血小板数減少(<25,000/mm3)
●輸血を要する血小板数減少(<50,000/mm3)
●副作用などにより2週目に休薬
1.4mg/m2 1.1mg/m2
1.1mg/m2 0.7mg/m2
0.7mg/m2 投与中止を考慮
●G-CSF製剤は、国内臨床試験(221試験)では25.9%(21/81例)、外国臨床試験(201、211、305
試験)では21.4%(177/827例)に投与されました。
8
Ⅰ 適正使用のためのフロー
2.感染症
●骨髄抑制に伴う敗血症、肺炎などの感染症があらわれることがあります。
●外国臨床試験において、気管支肺炎で1例、肺感染で1例、死亡が報告されています。
●投与中は、観察を十分に行ってください。
●異常が認められた場合には、減量や休薬を行い、必要に応じてG-CSF製剤や抗生剤を使用するなど
の適切な処置を行ってください。
Ⅱ 重大な副作用とその対策
発現状況
国内臨床試験(221試験)、外国臨床試験(201、211、305試験)において、骨髄抑制に伴うと考えられる
感染症が下表の通り認められました。なお、827例中、気管支肺炎による死亡および肺感染による死亡が各
1例みられました。
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験での骨髄抑制に伴うと考えられる感染症の発現頻度
国内第Ⅱ相試験※1(n=81)
Grade 3+4
Grade 5
全Grade
Grade 3+4
Ⅲ 投与患者の選択
全Grade
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
Grade 5
6.2%(5)
2.5%(2)
0%(0)
0.4%(3)
0.1%(1)
0%(0)
帯状疱疹
1.2%(1)
0%(0)
0%(0)
0.5%(4)
0%(0)
0%(0)
敗血症
0%(0)
0%(0)
0%(0)
0.1%(1)
0.1%(1)
0%(0)
肺炎
0%(0)
0%(0)
0%(0)
0.5%(4)
0.2%(2)
0%(0)
気管支肺炎
0%(0)
0%(0)
0%(0)
0.1%(1)
0%(0)
0.1%(1)
肺感染
0%(0)
0%(0)
0%(0)
0.1%(1)
0%(0)
0.1%(1)
Ⅳ 投与にあたって
感染
( )例数
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
9
Ⅱ 重大な副作用とその対策
3.末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)
●末梢神経障害があらわれることがあります。
●投与中は、観察を十分に行い、
しびれなどの症状が認められた場合には、減量や休薬などの適切な
処置を行ってください。
発現状況
国内臨床試験(221試験)、外国臨床試験(201、211、305試験)において、末梢神経障害が下表の通り
認められました。また、重篤と判断されたのは、外国臨床試験での5例でした。
なお、投与前の末梢神経障害の発現状況や前治療歴の種類により、末梢神経障害が発現しやすくなったり、
より高いGradeのものが発現するという傾向はみられませんでした。
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験での末梢神経障害の発現頻度
国内第Ⅱ相試験※1(n=81)
全Grade
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
Grade 3+4
全Grade
24.7%(20)
3.7%(3)
32.0%(265)
6.9%(57)
末梢性ニューロパチー
2.5% (2)
0%(0)
12.6%(104)
2.7%(22)
錯感覚
1.2% (1)
0%(0)
9.6% (79)
1.3%(11)
末梢性運動ニューロパチー
4.9% (4)
0%(0)
2.3% (19)
1.0% (8)
末梢性感覚ニューロパチー
21.0%(17)
3.7%(3)
10.6% (88)
1.7%(14)
多発ニューロパチー
0% (0)
0%(0)
1.3% (11)
0.2% (2)
末梢性感覚運動ニューロパチー
0% (0)
0%(0)
0.4% (3)
0.2% (2)
末梢神経障害
Grade 3+4
( )例数
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
投与前の末梢神経障害発現状況別の末梢神経障害の発現頻度:国内臨床試験※(221試験、n=81)
Grade 1
投与前の末梢神経
障害の発現状況
発現なし
(n=49)
Grade 1(n=32)
Grade 2
Grade 3
22.4%(11)
6.1%(3)
2.0%(1)
3.1% (1)
6.3%(2)
6.3%(2)
※Gradeは、もっとも高いものに分類
( )例数
発現時期
末梢神経障害が発現するまでの期間の中央値は、国内臨床試験(221試験)では投与開始39.1週後、外国
臨床試験(201、211、305試験)では投与開始23.4週後でした。 P32(Q&A2-5)
10
Ⅰ 適正使用のためのフロー
転帰
外国臨床試験(201、211、305試験)において、末梢神経障害が投与前までに回復するまでの期間の中央
値は、最終投与日から8.1週後でした。
なお、末梢神経障害による投与中止は、国内臨床試験(221試験)では1例、外国臨床試験(201、211、305
試験)では47例(5.7%)でした。
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験における末梢神経障害発現例の転帰
回復4例
未回復16例
Grade 1+2
208例(25.2%)
Ⅱ 重大な副作用とその対策
投与中止21例
不明1例
投与継続187例
末梢神経障害の発現
265例(32.0%)
回復11例
軽快1例
投与中止26例
Grade 3+4
57例(6.9%)
未回復14例
Ⅲ 投与患者の選択
投与継続31例
対処法
末梢神経障害が認められた場合には、下図を参考に必要に応じて、投与を延期または休薬してください。
各サイクルの1週目
各サイクルの2週目
Ⅳ 投与にあたって
Grade 3以上の末梢神経障害
投与を延期してください
Grade 2以下の回復を待って開始
1週間以内にGrade 2以下
次サイクルは、投与後
2週間以降に再開
未回復 休薬
Ⅴ Q&A
回復 減量して再開
●1.4mg/m2 1.1mg/m2
●1.1mg/m2 0.7mg/m2
●0.7mg/m2 投与中止
次サイクルは減量して再開
●1.4mg/m2 1.1mg/m2
●1.1mg/m2 0.7mg/m2
●0.7mg/m2 投与中止
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
11
Ⅱ 重大な副作用とその対策
4. 肝機能障害
●肝機能障害があらわれることがあります。
●外国臨床試験において、肝不全で1例、中毒性肝炎で1例、死亡が報告されています。
●肝機能障害のある患者に投与する場合は、減量を考慮してください。
●投与中は、肝機能検査を行うなど、観察を十分に行ってください。
●異常が認められた場合には、減量や休薬などの適切な処置を行ってください。
発現状況
国内臨床試験(221試験)、外国臨床試験(201、211、305試験)
において、肝機能障害が下表の通り認めら
れました。なお、外国臨床試験(301試験)において肝不全による死亡および中毒性肝炎による死亡が各1例
みられました。
また、国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)において、投与前の肝機能
検査値で層別し、Grade 4の好中球減少の発現状況を解析しました。その結果、Grade 4の好中球減少の
発現は、肝機能低下に伴って高くなる傾向がみられました。
P7
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験での肝機能障害の発現頻度
国内第Ⅱ相試験※1(n=81)
全Grade
Grade 3+4
全Grade
肝機能障害
6.2%(5)
0%(0)
1.3%(11)
0.8%(7)
肝機能異常
2.5%(2)
0%(0)
0% (0)
0%(0)
肝毒性
0%(0)
0%(0)
0.6% (5)
0.4%(3)
肝障害
1.2%(1)
0%(0)
0.2% (2)
0.1%(1)
肝機能検査値異常
2.5%(2)
0%(0)
0.2% (2)
0.1%(1)
肝細胞融解性肝炎
0%(0)
0%(0)
0.1% (1)
0.1%(1)
トランスアミナーゼ上昇
0%(0)
0%(0)
0.1% (1)
0.1%(1)
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
12
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
Grade 3+4
( )例数
Ⅰ 適正使用のためのフロー
対処法
肝機能障害のある患者に投与する場合は、減量を考慮してください。
P17
肝機能検査値に異常が認められた場合には、下図を参考に必要に応じて、投与を延期または休薬してください。
なお、国内臨床試験(221試験)
において、AST、ALT上昇によって休薬が行われたのは8.8%(7/80例)
でした。
肝機能障害のある患者では、減量を考慮してください
Ⅱ 重大な副作用とその対策
各サイクルの1週目
各サイクルの2週目
●AST、ALT>施設基準値上限の5.0倍
●総ビリルビン>施設基準値上限の3.0倍
注)国内臨床試験(221試験)
では、投与開始基準を
「AST、ALT≦施設基準値上限の2.5倍(肝転移がある場合は
5.0倍)
「
」総ビリルビン≦施設基準値上限の1.5倍」
としていました
Ⅲ 投与患者の選択
投与を延期してください
以下の回復を待って再開
●AST、ALT≦施設基準値上限の5.0倍
●総ビリルビン≦施設基準値上限の3.0倍
1週間以内に
●AST、ALT≦施設基準値上限の5.0倍
●総ビリルビン≦施設基準値上限の3.0倍
次サイクルは、投与後
2週間以降に再開
次サイクルは減量して再開
●1.4mg/m2 1.1mg/m2
●1.1mg/m2 0.7mg/m2
●0.7mg/m2 投与中止
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
Ⅴ Q&A
未回復 休薬
Ⅳ 投与にあたって
回復 減量して再開
●1.4mg/m2 1.1mg/m2
●1.1mg/m2 0.7mg/m2
●0.7mg/m2 投与中止
13
Ⅱ 重大な副作用とその対策
5. 間質性肺炎
●間質性肺炎があらわれることがあります。
●国内臨床試験において、間質性肺疾患が1例認められ、未回復でした。
●投与中、乾性咳嗽など間質性肺炎が疑われる症状があらわれた場合には、画像検査(胸部CT、胸部X線
検査など)
を行うなど、観察を十分に行ってください。
●異常が認められた場合には、投与を中止するなどの適切な処置を行ってください。
発現状況
国内臨床試験(221試験)において1例、外国臨床試験(211試験)において1例、間質性肺疾患が認められ
ました。
感染、間質性肺疾患の経過(国内第Ⅱ相試験)
症例
50代、女性
合併症
脊柱管狭窄症、十二指腸潰瘍、慢性副鼻腔炎
経過・処置
14
第4サイクル 8日目
ハラヴェン1.0mg/m2投与
投与後 6日目
発熱性好中球減少症を発現し、外来にて加療
投与後 14日目
体調の回復が万全ではないため、第5サイクル1日目のハラヴェン投与を延期
投与後 20日目
発熱、下痢、CRP上昇、肝機能異常のため入院加療
SpO2が91%であったため、酸素カヌラ2Lを開始したところ98%前後まで回復
投与後 27日目
胸部X線像上の浸潤影はやや悪化。酸素比は改善傾向
投与後 31日目
胸部単純CTにおいて、びまん性、すりガラス様陰影を認めず、限局的肺浸潤影を
認めた。
気管支鏡などより、
肺障害の原因は感染症以外と判断され、
ステロイドパルス
療法開始(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日)
パルス開始後 3日目
パルス療法終了。呼吸状態はやや改善
パルス開始後 4日目
気管支肺胞洗浄(BALF)はclassⅠ。
プレドニゾロン50mgを開始
パルス開始後 5日目
CT上の胸部異常陰影はやや改善しているが、労作時呼吸困難は改善せず
パルス開始後 7日目
死亡(死因:肝不全)
Ⅰ 適正使用のためのフロー
Ⅱ 重大な副作用とその対策
Ⅲ 投与患者の選択
Ⅳ 投与にあたって
Ⅴ Q&A
15
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
Ⅲ 投与患者の選択
1.効能・効果(投与対象)
手術不能又は再発乳癌
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤およびタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法を施行後の増悪若しく
は再発例を対象としてください。
●術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していません。
2.禁忌
次の患者には、ハラヴェンを投与しないでください。
●高度な骨髄抑制のある患者
●ハラヴェンの成分に対し過敏症の既往歴のある患者
●妊婦または妊娠している可能性のある患者
3.慎重投与
次の患者には、ハラヴェンを慎重に投与してください。
●骨髄抑制のある患者
重篤な好中球減少、白血球減少が発現することがあります。 P7
また、骨髄抑制に伴う感染症が発現することがあります。 P9
●肝機能障害のある患者
肝機能低下に伴って、AUCが増加し、好中球減少の発現頻度が高くなります。 P7、P17
●腎機能障害のある患者
腎機能低下に伴って、
クリアランスが低下し、AUCおよびC max が増加します。 P27(Q&A1-7)
●高齢者
一般に高齢者では生理機能が低下しているため、副作用があらわれやすくなります。 P26(Q&A1-6)
4.インフォームドコンセント
治療開始に先立って、患者またはその家族に有効性および危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始
してください。
16
Ⅰ 適正使用のためのフロー
参 考
肝機能障害のある患者での薬物動態:外国第Ⅰ相試験(108試験)
固形がん患者18例を肝機能によって3分類し
(正常、軽度肝機能障害:Child-Pugh A、中等度肝機能障害:
Child-Pugh B)、それぞれにハラヴェン1.4、1.1または0.7mg/m 2を2~5分かけて静脈内投与したとき、
肝機能の低下に伴い、
クリアランスの低下、t 1/2 の延長、投与量で補正したAUCおよびC max の増加が認められ
ました。
肝機能障害のある患者に投与する場合は、減量を考慮してください。
Ⅱ 重大な副作用とその対策
薬物動態パラメータ
肝機能正常患者
(n=6)
肝機能障害患者
軽度:Child-Pugh A(n=7) 中等度:Child-Pugh B(n=5)
1.1
0.7
Cmax(ng/mL/mg)※1
72.0±20.2
83.9±28.5
100±46.2
AUC0-inf
(ng・hr/mL/mg)※1
229±58.3
420±175.4
646±412.6
t1/2(hr)
36.1±8.65
41.1±12.73
65.9±18.50
CL(L/hr)
4.57±0.959
2.75±1.094
2.06±1.028
Vss(L)
166±50.1
113±29.1
149±81.5
1点
2点
3点
脳症
ない
軽度
ときどき昏睡
腹水
ない
少量
中等量
2.0未満
2.0~3.0
3.0超
血清アルブミン値(g/dL)
3.5超
2.8~3.5
2.8未満
プロトロンビン活性値(%)
70超
40~70
40未満
Ⅲ 投与患者の選択
1.4
用量(mg/m2)
算術平均値±SD
※1 エリブリン1mgあたりに補正した数値を示す
参 考
Child-Pugh分類
Child-Pugh分類
項目
A
5~6点
B
7~9点
C
10~15点
ポイント
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
Ⅴ Q&A
血清ビリルビン値(mg/dL)
Ⅳ 投与にあたって
各項目のポイントを加算し、その合計点で分類
17
Ⅳ 投与にあたって
1.用法・用量
2
通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/m (体表面積)
を2~5分間かけて、
週1回、静脈内投与してください。これを2週連続で行い、3週目は休薬してください。これを1サイクル
として、投与を繰り返してください。なお、患者の状態により適宜減量してください。
ハラヴェンは、抗悪性腫瘍剤との併用療法での有効性および安全性は確立していません。 P26(Q&A1-3)
投与開始・休薬の基準
以下の基準を参考に、必要に応じて投与を延期または休薬してください。
投与開始・投与再開・休薬の基準
各サイクル1週目
投与開始基準※1
各サイクル2週目
下記の基準を満たさない場合、投与を延期
●好中球数≧1,000/mm3
●血小板数≧75,000/mm3
●非血液毒性≦Grade 2
注)国内臨床試験(221試験)
での好中球数、血小板数および肝機能検査値
に関する投与開始基準は異なります 下表参考
投与再開基準
上記まで回復した場合、
投与を開始
―
休薬基準
投与延期後1週間以内に上記まで
回復した場合、減量※2して再開
投与延期後1週間以内に上記まで
回復しない場合、休薬
※1 前サイクル2週目で減量した場合、1週目の投与は前サイクル2週目の投与から2週間以上間隔があいていることを確認してください
※2「減量の目安(P19)」
を参照
参 考
国内臨床試験(221試験)での好中球数、血小板数および
肝機能検査値の投与開始基準
各サイクル1週目
18
各サイクル2週目
好中球数
≧1,500/mm3
3
≧1,000/mm(Grade
2以下)
血小板数
≧100,000/mm3
3
2以下)
≧50,000/mm(Grade
AST、ALT
≦施設基準値上限の2.5倍(肝転移を有する患者では≦施設基準値上限の5.0倍)
総ビリルビン
≦施設基準値上限の1.5倍
Ⅰ 適正使用のためのフロー
用量の調節
1)肝機能障害を有する患者
減量を考慮してください。 P17
2)減量基準を満たす場合
以下の減量基準を満たす場合、
「 減量の目安」を参考に減量してください。
減量基準
Ⅱ 重大な副作用とその対策
各サイクル1週目
前サイクルにおいて下記の副作用等が発現した場合、減量した上で投与
●7日間を超えて継続する好中球数減少(<500/mm3)
●発熱または感染を伴う好中球数減少(<1,000/mm3)
●血小板数減少(<25,000/mm3)
●輸血を要する血小板数減少(<50,000/mm3)
●Grade 3以上の非血液毒性
●副作用等により、2週目に休薬した場合
減量の目安
減量前の投与量 減量後の投与量
Ⅲ 投与患者の選択
1.4mg/m2 1.1mg/m2
1.1mg/m2 0.7mg/m2
0.7mg/m2 投与中止を考慮
Ⅳ 投与にあたって
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
19
Ⅳ 投与にあたって
参 考
外国臨床試験(305試験)での休薬、投与延期および減量の基準
ハラヴェンの投与開始・休薬の基準ならびに用量の調節は、外国臨床試験(305試験)の結果に基づき設定
されました。
外国臨床試験(305試験)での休薬、投与延期および減量の基準
基準
第1日目の
投与延期
以下を満たすまで、投与を延期すること
・好中球数:Grade 2以下(≧1,000/μL)
・血小板数:Grade 1以下(≧75,000/μL)
・前サイクルでの上記以外の毒性(貧血、脱毛を除く)
:Grade 2以下
第8日目の
休薬・投与延期
以下を満たすまで投与を延期し、15日目までに満たした場合は、
減量して第8日目として投与すること
(満たさない場合は、投与をスキップする)
・好中球数:Grade 2以下(≧1,000/μL)
・血小板数:Grade 1以下(≧75,000/μL)
・非血液毒性(処置不十分の悪心、嘔吐を除く)
:Grade 2以下
1.4mg/m2
1.1mg/m2 ※
減量
・Grade 4の好中球減少が7日を超えて継続する場合
・発熱または感染を伴うGrade 3、4の好中球減少で、抗生剤および/ または
G-CSF製剤による治療を要した場合
・Grade 4の血小板減少(<25,000/μL)
・Grade 3の血小板減少(25,000~<50,000/μL)
で、血小板輸血および/または
全血輸血を要した場合
・Grade 3/4の非血液毒性
・毒性により8日目の投与をスキップした場合
1.1mg/m2
0.7mg/m2
・1.1mg/m2への減量およびG-CSF製剤の使用後に上記の好中球減少の再発
・1.1mg/m2への減量後にGrade 3、4の非血液毒性の再発
0.7mg/m2
投与中止
・0.7mg/m2への減量後にGrade 3、4の毒性が再発
※ Grade 3、4の血液毒性が2週間以内にGrade 2以下に回復しない場合、Grade 3、4の非血液毒性が1週間以内にGrade 2以下に回復しない場合は、原則
として中止を考慮すること。
ただし、治療継続により臨床的有用性が見込める場合は、治験依頼者と継続ならびに減量について相談すること
20
各サイクル1週目
Ⅰ 適正使用のためのフロー
2.投与スケジュール
●好中球数:1,000/mm3以上
●血小板数:75,000/mm3以上
●非血液毒性:Grade 2以下
満たす
満たさない
基準を満たすまで投与を延期してください
ハラヴェン投与※1
Ⅱ 重大な副作用とその対策
各サイクル2週目
●好中球数:1,000/mm3以上
●血小板数:75,000/mm3以上
●非血液毒性:Grade 2以下
満たす
満たさない
ハラヴェン投与
1週間以内に回復
Ⅲ 投与患者の選択
減量※2してハラヴェンを投与
1週間以内に未回復
各サイクル3週目
休薬
Ⅳ 投与にあたって
次サイクル1週目
前サイクルの投与から
2週間以上間隔が
あいていることを確認
●好中球数:1,000/mm3以上
●血小板数:75,000/mm3以上
●非血液毒性:Grade 2以下
Ⅴ Q&A
※2 減量の目安
※1 減量基準
前サイクルで以下が発現した場合、減量 ※2して投与してください
減量前の投与量 減量後の投与量
●7日間を超えて継続する好中球数減少(<500/mm )
●発熱または感染を伴う好中球数減少(<1,000/mm3)
●血小板数減少(<25,000/mm3)
●輸血を要する血小板数減少(<50,000/mm3)
●Grade 3以上の非血液毒性
●副作用などにより2週目に休薬
1.4mg/m2 1.1mg/m2
1.1mg/m2 0.7mg/m2
0.7mg/m2 投与中止を考慮
3
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
21
Ⅳ 投与にあたって
3.調製時の注意事項
希釈する場合は、日本薬局方生理食塩液を使用してください。
●他の医薬品と混注しないでください。
●5%ブドウ糖注射液で希釈しないでください。
ハラヴェンを5%ブドウ糖注射液で希釈した場合、反応生成物が認められました。
●0.01mg/mL未満の濃度に希釈しないでください。
●調製時には、手袋、ゴーグルおよび保護衣を着用してください。
皮膚に付着した場合は、直ちに石鹸および多量の水で洗い流してください。また、粘膜に付着した場合は、
直ちに多量の水で洗い流してください。
抜き取り量(mL)
=体表面積(m2)×1.4mg/m2×2mL/1mg(バイアル)※
※ バイアル
(2.0mL)中のエリブリンメシル酸塩含有量は1.0mg
体表面積※別のハラヴェン抜き取り量(mL)
身長(cm)
体重
140
145
150
155
160
165
170
175
180
185
35.0
3.19
3.27
3.34
3.42
3.49
3.56
3.63
3.70
3.77
3.84
37.5
3.29
3.37
3.45
3.52
3.60
3.67
3.74
3.82
3.89
3.96
40.0
3.39
3.47
3.55
3.62
3.70
3.78
3.85
3.93
4.00
4.08
42.5
3.48
3.56
3.64
3.72
3.80
3.88
3.96
4.04
4.11
4.19
45.0
3.57
3.65
3.74
3.82
3.90
3.98
4.06
4.14
4.22
4.29
47.5
3.66
3.74
3.83
3.91
3.99
4.08
4.16
4.24
4.32
4.40
50.0
3.74
3.83
3.92
4.00
4.09
4.17
4.25
4.34
4.42
4.50
52.5
3.82
3.91
4.00
4.09
4.18
4.26
4.35
4.43
4.52
4.60
55.0
3.90
3.99
4.08
4.17
4.26
4.35
4.44
4.52
4.61
4.69
57.5
3.98
4.07
4.17
4.26
4.35
4.44
4.53
4.61
4.70
4.79
60.0
4.06
4.15
4.25
4.34
4.43
4.52
4.61
4.70
4.79
4.88
62.5
4.13
4.23
4.32
4.42
4.51
4.61
4.70
4.79
4.88
4.97
65.0
4.20
4.30
4.40
4.50
4.59
4.69
4.78
4.87
4.96
5.06
4.27
4.37
4.47
4.57
4.67
4.77
4.86
4.96
5.05
5.14
70.0
4.34
4.45
4.55
4.65
4.75
4.84
4.94
5.04
5.13
5.22
72.5
4.41
4.52
4.62
4.72
4.82
4.92
5.02
5.11
5.21
5.31
75.0
4.48
4.58
4.69
4.79
4.89
4.99
5.09
5.19
5.29
5.39
77.5
4.54
4.65
4.76
4.86
4.96
5.07
5.17
5.27
5.37
5.47
80.0
4.61
4.72
4.82
4.93
5.04
5.14
5.24
5.34
5.44
5.54
82.5
4.67
4.78
4.89
5.00
5.10
5.21
5.31
5.42
5.52
5.62
85.0
4.73
4.85
4.96
5.06
5.17
5.28
5.38
5.49
5.59
5.70
87.5
4.80
4.91
5.02
5.13
5.24
5.35
5.45
5.56
5.67
5.77
90.0
4.86
4.97
5.08
5.20
5.31
5.41
5.52
5.63
5.74
5.84
92.5
4.92
5.03
5.15
5.26
5.37
5.48
5.59
5.70
5.81
5.91
95.0
4.97
5.09
5.21
5.32
5.43
5.55
5.66
5.77
5.88
5.98
(kg) 67.5
0.663
※ 体表面積(m2)
=体重(kg)0.444×身長(cm)
×88.83×10-4(藤本ら)
22
Ⅰ 適正使用のためのフロー
4.投与時の注意事項
無菌性の維持の観点から、調製後は速やかに投与してください。
シリンジに吸入後、室温であれば6時間以内、冷蔵であれば24時間以内は安定であることが確認されて
います。
Ⅱ 重大な副作用とその対策
Ⅲ 投与患者の選択
Ⅳ 投与にあたって
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
23
Ⅴ Q&A
1.投与開始時
Q1
アルコールに過敏な方に投与できますか。
A1
ハラヴェンは、
添加剤として1バイアル
(2mL)
中に5%無水エタノールを0.10mL含有し、体表面積
1.5m2の場合、0.21mLのエタノールが投与されることになります。そのため、特にアルコールに
過敏な方に投与する際には、注意が必要です。
Q2
B型肝炎ウイルスキャリアの方への投与にあたり留意すべき点はありますか。
A2
B型肝炎は遺伝子型により感染様式や予後が異なるため、HBV感染既往のある患者に化学療法
を行う場合には、肝炎リスクの評価および予防方法に関して、肝臓専門医にコンサルテーションを
することが推奨されています。
乳癌患者や乳癌の化学療法レジメンに限定したエビデンスは十分ではありませんが、ステロイドの
使用を回避し、HBs抗原陽性例については、化学療法開始1~2週間よりエンテカビルなどの核酸
アナログを予防投与することによって化学療法中の肝炎発症のリスクを下げられる可能性がある
ため、乳癌のリスクとのバランスを勘案したうえで、化学療法の使用を考慮してください。
乳癌診療ガイドライン 治療編 2013年版より
24
スクリーニング
(全例)
HBs抗原
注2)
HBs抗原(+)
Ⅰ 適正使用のためのフロー
免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
注1)
HBs抗原(-)
HBc抗体、HBs抗体
HBV DNA定量
2.1 log copies/mL以上
注6)
注7)
注3)
通常の対応
2.1 log copies/mL未満
2.1 log copies/mL以上
注5)a.b.c.
Ⅲ 投与患者の選択
核酸アナログ投与
注4)
モニタリング
HBV DNA定量 1回/1~3ヵ月
AST/ALT 1回/1~3ヵ月
(治療内容を考慮して間隔・期間を検討する)
注6)
注2)、8)、9)、10)
HBc抗体(-)かつHBs抗体(-)
Ⅱ 重大な副作用とその対策
HBc抗体(+)
またはHBs抗体(+)
HBe抗原、HBe抗体、
HBV DNA定量
2.1 log copies/mL未満
補足:血液悪性疾患に対する強力な化学療法中あるいは終了後に、HBs抗原陽性あるいはHBs抗原陰性例の一部にHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、
その中には劇症化する症例があり、注意が必要である。
また、血液悪性疾患または固形癌に対する通常の化学療法およびリウマチ性疾患・膠原病などの自
己免疫疾患に対する免疫抑制療法においてもHBV再活性化のリスクを考慮して対応する必要がある。通常の化学療法および免疫抑制療法においては、
HBV再活性化、肝炎の発症、劇症化の頻度は明らかでなく、
ガイドラインに関するエビデンスは十分ではない。
また、核酸アナログ投与による劇症化予防効
果を完全に保証するものではない。
Ⅳ 投与にあたって
注1)免疫抑制・化学療法前に、HBVキャリアおよび既往感染者をスクリーニングする。
まずHBs抗原を測定して、HBVキャリアかどうか確認する。HBs抗原陰性
の場合には、HBc抗体およびHBs抗体を測定して、既往感染者かどうか確認する。HBs抗原・HBc抗体およびHBs抗体の測定は、高感度の測定法を用い
て検査することが望ましい。
また、HBs抗体単独陽性(HBs抗原陰性かつHBc抗体陰性)例においても、HBV再活性化は報告されており、
ワクチン接種歴が
明らかである場合を除き、
ガイドラインに従った対応が望ましい。
注2)HBs抗原陽性例は肝臓専門医にコンサルトすること。全ての症例で核酸アナログ投与にあたっては肝臓専門医にコンサルトするのが望ましい。
注3)初回化学療法開始時にHBc抗体、HBs抗体未測定の再治療例および既に免疫抑制療法が開始されている例では、抗体価が低下している場合があり、HBV
DNA定量検査などによる精査が望ましい。
注4)既往感染者の場合は、
リアルタイムPCR法によりHBV DNAをスクリーニングする。
注5)a. リツキシマブ・ステロイド、
フルダラビンを用いる化学療法および造血幹細胞移植例は、既往感染者からのHBV再活性化の高リスクであり、注意が必要で
ある。治療中および治療終了後少なくとも12ヵ月の間、HBV DNAを月1回モニタリングする。造血幹細胞移植例は、移植後長期間のモニタリングが必
要である。
b. 通常の化学療法および免疫作用を有する分子標的薬を併用する場合においても頻度は少ないながら、HBV再活性化のリスクがある。HBV DNA量の
モニタリングは1~3ヵ月ごとを目安とし、治療内容を考慮して間隔および期間を検討する。血液悪性疾患においては慎重な対応が望ましい。
c. 副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、免疫抑制作用あるいは免疫修飾作用を有する分子標的治療薬による免疫抑制療法においても、HBV再活性化のリス
クがある。免疫抑制療法では、治療開始後および治療内容の変更後少なくとも6ヵ月間は、
月1回のHBV DNA量のモニタリングが望ましい。6ヵ月後以降
は、治療内容を考慮して間隔および期間を検討する。
注6)免疫抑制・化学療法を開始する前、
できるだけ早期に投与を開始するのが望ましい。
ただし、
ウイルス量が多いHBs抗原陽性例においては、核酸アナログ予
防投与中であっても劇症肝炎による死亡例が報告されており、免疫抑制・化学療法を開始する前にウイルス量を低下させておくことが望ましい。
注7)免疫抑制・化学療法中あるいは治療終了後に、HBV DNAが2.1log copies/mL以上になった時点で直ちに投与を開始する。免疫抑制・化学療法中の場
合、免疫抑制薬や免疫抑制作用のある抗腫瘍薬は直ちに投与を中止せず、対応を肝臓専門医と相談するのが望ましい。
注8)核酸アナログはエンテカビルの使用を推奨する。
注9)下記の条件を満たす場合には核酸アナログ投与の終了を検討してよい。
スクリーニング時にHBs抗原陽性例ではB型慢性肝炎における核酸アナログ投与終了基準を満たす場合。
スクリーニング時にHBc抗体陽性またはHBs抗体陽性例では、
(1)免疫抑制・化学療法終了後、少なくとも12ヵ月間は投与を継続すること。
(2)この継続期間中にALT
(GPT)
が正常化していること。
(但しHBV以外にALT異常の原因がある場合は除く)
(3)この継続期間中にHBV DNAが持続陰性化していること。
注10)核酸アナログ投与終了後少なくとも12ヵ月間は、HBV DNAモニタリングを含めて厳重に経過観察する。経過観察方法は各核酸アナログの使用上の 注意
に基づく。経過観察中にHBV DNAが 2.1log copies/mL以上になった時点で直ちに投与を再開する。
Ⅴ Q&A
日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会編:B型肝炎治療ガイドライン
(第2版)
:P72、2014年 6月
http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
25
Ⅴ Q&A
Q3
他の抗悪性腫瘍剤と併用したデータはありますか。
A3
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法での有効性および安全性は確立していません。 P18
Q4
CYP3A4で代謝される薬剤と併用していいですか。
A4
ハラヴェンは、in
vitro でCYP3A4で代謝されることが確認されていますが、生体内ではほと
んど代謝されません。また、CYP3A4の阻害および誘導に影響を与えず( in vitro 試験)、強力
なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾールとの併用においてもハラヴェンの薬物動態は
変化しませんでした(臨床試験)。さらに、CYP誘導作用を有するリファンピシンを反復投与し
た後におけるハラヴェンと 併用投与においてもハラヴェンの薬物動態は変化しませんでした
(臨床試験)
。これらのことから、ハラヴェンとCYP3A4で代謝または誘導する薬剤を併用した
場合、薬物動態に影響しないと考えられます。
Q5
過敏症を起こすことが知られているポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート80を含んでいますか。
A5
ハラヴェンは、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート80は含んでいません。添加物として、
Q6
高齢者では、用量調節が必要ですか。
A6
外国第Ⅰ相試験(101、102試験)、国内第Ⅰ相試験(105試験)、臨床薬理試験4試験(外国103、
無水エタノール、塩酸、水酸化ナトリウムを含有します。
108、109、110試験)および外国第Ⅱ相試験1試験(211試験)を統合して行った母集団薬物
動態解析の結果、65歳以上(63例)と65歳未満(206例)とのクリアランスに差は認められ
なかったため、高齢者での用量調節は必要ありません。
ただし、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、骨髄抑制や消化器症状などの
副作用があらわれやすいため、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与してください。
26
腎機能障害のある患者に投与する場合、用量調節は必要ですか。
A7
固形がん患者19例 の腎機能 をクレアチニンクリアランスによって、正常(≧80mL/min)
、中等
Ⅰ 適正使用のためのフロー
Q7
度腎機能障害(30~50mL/min)および重度腎機能障害(15 ~<30mL/min)に分類し、それ
ぞれハラヴェンを1.4、1.4および0.7mg/m 2 投与した際の薬物動態パラメータにおいて、腎機
能 の低下に伴い、半減期は変化しないものの、クリアランスの低下、投与量で補正したAUCおよ
びC max の増加が認められました。
正常(n= 6)
用量(mg/m2)
中等度(n= 7)
Ⅱ 重大な副作用とその対策
腎機能別の薬物動態パラメータ
重度(n= 6)
1.4
0.7
※1
Cmax(ng/mL/mg)
109 ±50.4
140±51.6
236 ±176
※1
AUC 0-inf(ng・hr/mL/mg)
408±244
595±299※2
575 ±232
t1/2(hr)
43.4±15.3
43.9±10. 9 ※2
38.7±12.5
CL(L/hr)
3.13±1.65
2.07±1.03※2
2.01±0.88
VSS(L)
144±73.7
86.5±32.7※2
66.6±26.8
Ⅲ 投与患者の選択
1.4
※1 エリブリン1 mgあたりに補正した数値を示す
※2 n = 6
Q8
ステロイドや抗ヒスタミン剤など、過敏反応を防止するための前投薬は必要ですか。
A8
国内臨床試験(221試験)では、過敏反応の予防を目的とした前投薬は行われませんでしたが、
ショックなどの重篤な過敏反応の発現はありませんでした。
インラインフィルターは必要ですか。
A9
必要ありません。
Ⅳ 投与にあたって
Q9
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
27
Ⅴ Q&A
Q10
用量制限毒性は認められていますか。
A10
日本人の固形癌患者を対象とした国内第Ⅰ相試験(105試験)
において、
ハラヴェン0.7、1.0、1.4、
として、好中球数減
2.0mg/m 2を1日目と8日目に静脈内投与した結果、用量制限毒性(DLT)
少および発熱性好中球減少症が認められました。
用量制限毒性(DLT)の発現状況:国内105試験
用量(n=15)
用量制限毒性(DLT)
2
0.7mg/m(n=3)
該当なし
2
1.0mg/m(n=3)
該当なし
2
1.4mg/m(n=6)
好中球数減少(Grade 4)
発熱性好中球減少症(Grade 3)、好中球数減少(Grade 4)
発熱性好中球減少症(Grade 3)、好中球数減少(Grade 4)
2
2.0mg/m(n=3)
好中球数減少(Grade 4)
好中球数減少(Grade 3)
28
ハラヴェンはいつまで継続すればよいですか。
A11
臨床試験において、ハラヴェンは、病勢進行あるいは忍容できない毒性の発現まで継続されま
Ⅰ 適正使用のためのフロー
Q11
した。
したがって、病勢進行あるいは忍容できない毒性の発現まで使用することができます。なお、
国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)における投与状況は
以下の通りです。
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅲ相試験での無増悪生存期間
外国第Ⅲ相試験※2(n=503)
112日
(61~133)
114日
(107~122)
Ⅱ 重大な副作用とその対策
無増悪生存期間の中央値
(95%信頼区間)
国内第Ⅱ相試験※1(n=80)
※1 国内221試験
※2 外国305試験
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験でのハラヴェン投与状況
サイクル数
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
5.0(1~20)
5.0(1~39)
1サイクル
7.5% (6例)
4.8% (40例)
2サイクル
18.8%(15例)
18.3%(151例)
3サイクル
15.0%(12例)
14.5%(120例)
4サイクル
7.5% (6例)
10.2% (84例)
5サイクル
10.0% (8例)
7.5% (62例)
6サイクル以上
41.3%(33例)
44.7%(370例)
Ⅲ 投与患者の選択
投与サイクルの中央値(範囲)
国内第Ⅱ相試験※1(n=80)
Ⅳ 投与にあたって
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
Ⅴ Q&A
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
29
Ⅴ Q&A
2.投与継続時
Q1
放射線療法を併用してもよいですか。
A1
ハラヴェンと放射線療法を併用した場合の有効性および安全性は確立されていないため、推奨
Q2
注射部位反応はありますか。
A2
国内臨床試験(221試験)では、注射部位そう痒感(Grade 1)、注射部位反応(Grade 1)、埋め
できません。
込み部位炎症(Grade 1)および静脈炎(Grade 2)が各1.2%(1/81例)
に認められました。外国
臨床試験では、211試験において注入に伴う反応(Grade 1)が0.3%(1/291例)、305試験に
おいて、注射部位紅斑(Grade 1)、静脈炎(Grade 1)が各0.2%(1/503例)、注射部位反応
(Grade 1)
が0.4%(2/503例)
に認められました。
Q3
血管外漏出の事例はありますか。
A3
ハラヴェンが投与された国内および外国臨床試験1,318例において、Grade 3の血管外漏出が
1例認められ、回復しました(非重篤)。また、血管外漏出に起因すると考えられる注射部位の硬結
および壊死はみられませんでした。
30
Q4
国内臨床試験と外国臨床試験で発現頻度に差が認められた副作用はありますか。
A4
全Gradeの副作用で、国内臨床試験の方が外国臨床試験と比べて10%以上高くなったのは次表
の青色の項目です。
国内第Ⅱ相試験※1
(n=81)
副作用名[MedDRA/J(Ver.12.1)]
外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験※2(n=827)
Grade 3+4
全Grade
Grade 3+4
100.0%(81)
95.1%(77)
95.5%(790)
61.2%(506)
<血液およびリンパ系障害>※3
100.0%(81)
95.1%(77)
63.0%(521)
52.4%(433)
7.4% (6)
0% (0)
20.3%(168)
1.5% (12)
発熱性好中球減少症
13.6%(11)
13.6%(11)
4.7% (39)
4.6% (38)
白血球減少症
98.8%(80)
74.1%(60)
22.1%(183)
13.9%(115)
リンパ球減少症
54.3%(44)
12.3%(10)
2.3% (19)
好中球減少症
98.8%(80)
95.1%(77)
54.7%(452)
48.2%(399)
0.8%
(7)
4.9% (4)
56.6%(468)
3.4% (28)
11.1% (9)
0% (0)
16.3%(135)
0.4%
(3)
下痢
13.6%(11)
0% (0)
15.0%(124)
0.5%
(4)
悪心
42.0%(34)
1.2% (1)
35.1%(290)
1.1%
(9)
口内炎
38.3%(31)
2.5% (2)
8.3% (69)
0.7%
(6)
嘔吐
14.8%(12)
0% (0)
14.5%(120)
0.5%
(4)
67.9%(55)
2.5% (2)
63.8%(528)
9.6% (79)
3.7% (3)
0% (0)
25.9%(214)
5.2% (43)
疲労
44.4%(36)
1.2% (1)
29.3%(242)
3.3% (27)
倦怠感
11.1% (9)
1.2% (1)
24.7%(20)
<全身障害および投与局所様態>
※3
無力症
0%
(0)
0% (0)
16.6%(137)
0.2%
(2)
72.8%(59)
14.8%(12)
18.1%(150)
3.9% (32)
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加
27.2%(22)
1.2% (1)
3.0% (25)
1.1%
(9)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
29.6%(24)
4.9% (4)
2.3% (19)
0.6%
(5)
血中クレアチンホスホキナーゼ増加
25.9%(21)
0% (0)
0%
(0)
0%
(0)
血中乳酸脱水素酵素増加
12.3%(10)
1.2% (1)
0.2%
(2)
0%
(0)
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加
19.8%(16)
6.2% (5)
0.1%
(1)
0.1%
(1)
ヘモグロビン減少
32.1%(26)
4.9% (4)
0.7%
(6)
0.1%
(1)
12.3%(10)
1.2% (1)
0.7%
(6)
0.1%
(1)
50.6%(41)
6.2% (5)
26.4%(218)
43.2%(35)
1.2% (1)
18.6%(154)
0.4%
56.8%(46)
3.7% (3)
47.5%(393)
7.9% (65)
味覚異常
33.3%(27)
0% (0)
9.6% (79)
0%
(0)
頭痛
14.8%(12)
0% (0)
11.0% (91)
0.1%
(1)
<臨床検査>
※3
血中アルカリホスファターゼ増加
<代謝および栄養障害>
※3
食欲減退
<神経系障害>※3
末梢性ニューロパチー
3.1% (26)
(3)
0% (0)
12.6%(104)
2.7% (22)
3.7% (3)
10.6% (88)
1.7% (14)
66.7%(54)
1.2% (1)
54.4%(450)
0.4%
(3)
脱毛症
58.0%(47)
0% (0)
49.7%(411)
0%
(0)
発疹
11.1% (9)
0% (0)
4.1% (34)
0.1%
(1)
<皮膚および皮下組織障害>
※3
※1 国内221試験
※2 外国201試験[3週サイクル群(n=33)]、外国211試験(n=291)、外国305試験(n=503)
※3 全ての副作用の集計(発現率10%未満も含む)
Ⅴ Q&A
2.5% (2)
21.0%(17)
末梢性感覚ニューロパチー
Ⅳ 投与にあたって
(2)
発熱
0.2%
Ⅲ 投与患者の選択
75.3%(61)
便秘
<胃腸障害>
※3
Ⅱ 重大な副作用とその対策
全Grade
TOTAL※3
貧血
Ⅰ 適正使用のためのフロー
国内第Ⅱ相試験および外国第Ⅱ、
Ⅲ相試験の主な副作用(いずれかの全Gradeの発現頻度10%以上)
:国内臨床試験の方が外国臨床試験に比べて10%以上発現頻度(全Grade)が高い副作用
( )例数
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
31
Ⅴ Q&A
Q5
末梢神経障害について、ハラヴェンの長期投与による懸念はありますか。
A5
ハラヴェンの長期投与に伴う末梢神経障害の発現に蓄積毒性は認められませんでした。
なお、
ハラヴェン投与中[国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験]
に発現したGrade 2以上の
末梢神経障害の累積発現率をKaplan-Meier法を用いて検討した結果、投与が長期にわたるに伴い
累積発現率は直線的に増加しており、発現率が高くなる可能性は否定できませんでした。
したがって、
個々の患者のリスクとベネフィットのバランスを勘案して、適宜、減量や休薬などを行ってください。
Q6
QT/QTc間隔の延長は認められていますか。
A6
ハラヴェンのQTc間隔への影響を検証した外国臨床薬理試験(外国110試験)
において、ハラヴェン
の投与後にQTc間隔が延長する傾向がみられています。
この試験では、固形がん患者26例を対象にハラヴェン1.4mg/m2を3週間サイクルの1および8日目
に2~5分かけて静脈内投与し、QT/QTc間隔に及ぼす影響を検討しました。
その結果、投与1日目では470msecを超えるQTcF(Fridericia法で補正されたQTc)の延長は
認められなかったものの、8日目では470~500msecの延長が1例に認められました。
また、ベース
ラインから30~60msecの延長を認めたのは、1日目では各観察時点1~2例であったのに対し、
8日目では1~5例でした。さらに、8日目では、60msecを超える延長が1例に認められました。
以上から、8日目においてQT/QTc間隔が延長する傾向が認められたものの、500msecを超える
延長は認められませんでした。なお、ハラヴェン血中濃度は1日目と8日目で差がなく、またQTcF
変化量との明らかな相関性はみられませんでした。
32
Ⅰ 適正使用のためのフロー
Ⅱ 重大な副作用とその対策
Ⅲ 投与患者の選択
Ⅳ 投与にあたって
Ⅴ Q&A
33
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
Notes
34
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
35
〈エリブリンメシル酸塩製剤〉
製造販売元
東京都文京区小石川4- 6 -10
http://www.eisai.co.jp
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フリーダイヤル 0120-419-497 9~18時(土、
日、祝日 9~17時)
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2014年9月作成