中国と台湾の租税条約 2015 年 8 月 25 日に中国及び台湾の代表により「二重課税の防止及び税務協力 の強化に関する協議」 (租税条約)が調印されました。中台租税条約は双方の承 認手続き完了後の翌年 1 月 1 日から効力を生じます。 現在、中国は日本、香港など 103 の国又は地域と租税条約の締結(効力未発行 は6件)をしていますが、日本と台湾の間には租税条約はありません。 租税条約の概略 一 適用範囲 適用対象 本協議に定める居民(居住者)とは各自の税務規定で居民(居住者)の定義に より処理する。ただし一方の所得について一方の納税義務のみを有する者は含 まれない。 上記の規定にかかわらず第三国の法律によって設立されたいかなる実体も、そ の実質管理機構(場所)が、本協議の一方の者である場合は当該一方の居民(居 住者)とみなす。 適用現行税目 【中国】個人所得税及び企業所得税 【台湾】営利事業所得税、総合所得税及び所得基本税 二 恒久的施設及び営業利潤 一方の居住者が他方において取得する利潤は他方に恒久的施設を有しない状 況下において他方において課税しない。 三 関連企業 本協議で定める関連企業とは企業間で次のいずれかの状況を有する場合をいう。 ①一方の企業が他方の企業の管理、支配或は資本に直接或は間接に参加してい る。 ②同一の者が一方の企業及び他方の企業の管理、支配或は資本に直接或は間接 に参加している。 四 海運及び空運収入 本協議に定める海運及び空運収入は、船舶或は航空機を運用し海運、空運業務 の収入及び利得をいう。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/ 五 投資所得 【配当】 配当金の受領者が直接 25%以上の持分を有する場合の税率は 5%、それ以外 の税率は 10%を越えない。 【利息】 利息の受益権者が一方の居住者の場合、他方の税率は利息総額の7%を超えな い。 【特許権使用費(権利金)】 特許権使用費の受益権者が一方の居住者の場合、他方の税率は特許権使用費総 額の7%を超えない。 使用費とは、文学上、芸術或は科学上の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、 図面、秘密方式或は秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として或は産業 上、商業上若しくは科学上の経験に関する情報の対価として受領されるすべて の種類の支払金をいう。工業、商業又は科学的設備の使用料は含まれません。 六 財産収益 【不動産】 一方の居住者が使用或は譲渡によって他方に所在する不動産の所得(農業或は 林業所得を含む)は他方において課税することができる。 【不動産化体株式の譲渡】 一方の居住者が株式の譲渡によって取得する収益に対しては、その価値の 50%超が不動産であって他方に存在するものにより直接又は間接に構成され る場合に限り他方において課税することができる。 【上記以外の株式の譲渡】 一方の居住者が他方の居住者である法人資本のうち株式或はその他の権利の 譲渡によって取得する収益は、その譲渡人である居住者の一方でのみ課税する。 ただし、居住地において譲渡収益が免税かつ譲渡人が譲渡直前 12 ヶ月以内に おいて直接或は間接に 25%を保有している場合は他方で課税できる。 七 個人労務所得 自由職業所得、給与所得、董事報酬、芸能人、退職年金、政府職員、学生の 項目が設けられている。給与所得については 183 日ルールが設けられている が、計算期間が暦年ではなく納税年度開始或は終了するいずれか 12 ヶ月とし ている。 八 その他 本協議では二重課税の排除方法、無差別取扱い、相互協議、情報交換につい ても定められている。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/
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